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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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クラリネットつながり


前々回のブログにも書きましたが、Hi-Fiレコードの今年のお年玉「これからの人生。 選曲・小西康陽 2019」でかかった曲の中で思わず耳を止めた曲の一つがアニー・ロスのこの「'tain't What You Do」でした。



こういうタイプの曲は僕のツボなんですが(例えばジュリー・ロンドンの「Come On-A My House 」とか)、何度かこの曲を聴いていたら、大瀧さんのある曲を思い出しました。

ファーストアルバム『大瀧詠一』のB面2曲目に収録された「朝寝坊」。




「朝寝坊」は大瀧さんの曲の中でもとりわけ好きな曲なんですが(以前、「大瀧詠一 ベスト・ソングズ25」というものを考えた時に13位に入れてました)、好きな理由はやっぱりそのジャジーな曲調ですね。大瀧さんがギターと口笛(フィンガースナップもかな)を入れている以外はすべてジャズのミュージシャンが演奏しています。

「朝寝坊」と「'tain't What You Do」の類似点を言えば、曲調と冒頭のフィンガースナップもありますが、なんといってもクラリネット。そのクラリネットについてちょっと興味深いことを発見したので紹介しておきます。

アニー・ロスの「'tain't What You Do」でクラリネットを演奏しているのはアルバムのクレジットではBob Burnsとなっています。Bob Burnsというクラリネット奏者のことは知らなかったんですが、調べたら面白いことがわかりました。

まず名前のこと。BobというのはRobertの愛称で、Bob Burnsという名前でクレジットされていることもあればRobert Burnsという名前でクレジットされていることもあるようです。いろんなところで活動していて有名なところではベニー・グッドマン楽団でサックスを吹いていますが、彼の活動の中でとりわけ注目すべきものが発見しました。なんとビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録されたポール・マッカートニーの名曲「When I'm Sixty-Four」でクラリネット(第1クラリネット)を吹いていたんですね。


 


さて、大瀧さんの「朝寝坊」のこと。

この曲は「空飛ぶくじら」の続編ということで大瀧さんが一番イメージしていたのはニルソン。ただ『KAWADE 夢ムック 増補新版 大瀧詠一』に収められているインタビューによればロジャー・ミラーとも言ってました。こんな発言。


基本的にはニルソンなんだけど、ニルソン1本だとバレバレになるから、ニルソンのジャジーさにロジャー・ミラーの「Engine Engine #9」なんかのジャジーな雰囲気を足したのだよ。これがロジャー・ミラーだとはお釈迦さまでも気がつくめえと思ったな。

その一方で、1995年に再発された『大瀧詠一』のCDの大瀧さん自身による解説ではこんなことを書いています。


「空飛ぶくじら」をアルバムに入れないということで、その第二弾を作りました。今度はクラリネットにトランペットを追加。もちろん「空飛ぶくじら」同様、ポールの「Honey Pie」やニルソンを意識したものです。更にミュージシャンには〈本物〉のジャズ・ミュージシャンを起用したという、ドキドキ・ワクワクもののレコーディングで非常に緊張しました。

クラリネットは「Honey Pie」にも入っていますが、「朝寝坊」とは感じが違います(ちなみに「Honey Pie」でクラリネットを演奏しているのはRaymond NewmanとDavid Smithの2人)。「朝寝坊」と雰囲気が似ているのは「When I'm Sixty-Four」で聴かれるクラリネットなんですね。聴けばわかるように「When I'm Sixty-Four」も「Honey Pie」もディキシー調のジャズがベースになっているので曲調はよく似ています。

ってことで推測なんですが、大瀧さんが「朝寝坊」でクラリネットを入れようと思った時に、まずイメージしたのが「When I'm Sixty-Four」ではなかったかと。というよりも「When I'm Sixty-Four」みたいな感じにしようと思ってクラリネットを入れたのかもしれません。

「朝寝坊」でクラリネットを演奏しているのは佐野博美(女性のような名前ですが男性)さん。この曲のアレンジは大瀧さんとなっていますが、クラリネットの譜面を大瀧さんが書いたとは思えないので、たぶん録音の時に佐野さんに「When I'm Sixty-Four」を聴かせてこんな感じでお願いします、って言ったんじゃないかなと。


ということで(というわけではないけれど)今、iPhoneの目覚まし用の音楽は「朝寝坊」にしています。詞を書いたのも大瀧さんです。

♬起こさないで 早起き鳥 ピーチク パーチク さえずる声~♬


by hinaseno | 2019-01-30 12:16 | ナイアガラ | Comments(0)

今朝起きて石川さんのブログを読んでびっくり(よくびっくりしてます)。昨日の達郎さんのサンデーソングブックでジョー・オズボーン特集が放送されていたんですね。先週の放送で告知されていたので絶対に聴こうと思っていたのに忘れてました。まあradikoで聴けるのであとで聴きます。

昨日は実はそれどころではなかったんですね。それはこれをずっと聴いていたから。

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ビーチ・ボーイズが1968年に出した2枚のアルバム『フレンズ』と『20/20』のセッション集。もちろん未発表のレア音源満載。

昨日の朝、いつも見ているこちらの鳥肌音楽さんのブログで紹介されていたのを読んでびっくりしたんですね。『フレンズ』と『20/20』の記念盤は昨年が50周年ということで出るという噂はいろんなところから流れてきていたのに結局出なかった…と思っていたら、なんと昨年暮れにiTunesなどでデジタル配信されていたと。

ってことで昨日は朝からそれをダウンロードして、曲を聴きながらCDの形にしたりといろいろやっているうちに、サンソンのこともすっかり忘れたまま1日過ごしていました。

考えてみたらビーチ・ボーイズの情報はWeb VANDAの佐野邦彦さんがどこよりもいち早く書かれた記事を読んで知っていたんですが、一昨年の暮れに佐野さんが亡くなられていたんで信頼のおけるビーチ・ボーイズ情報が得られなくなっていたんですね。


それにしても『スマイリー・スマイル』と『ワイルド・ハニー』の50周年盤は『1967: Sunshine Tomorrow』という形できちんとCDとして出たのに今回は音楽配信のみ。特に『フレンズ』はビーチ・ボーイズの中でも超愛聴盤なのでCDの形で出してほしかったな。音楽配信だと曲は聴けても曲に関する情報が確認できないのが一番困る。

さて、この『Wake The World: The Friends Sessions』と『I Can Hear Music: The 20/20 Sessions』と題された2枚のアルバム、まだ聴き始めたばかりなので感想というほどのものは書けかけないけど、やはり一番ときめくのはアカベラ・オンリーのトラック。それからバッキングトラック。「Friends」とか「Be Here In The Morning」のバッキングトラックを聴いていたら初期の『カップルズ』の頃のピチカート・ファイヴはこのアルバムからかなり影響を受けていたことがよくわかりました(バカラックとロジャー・ニコルスだけではない)。


2枚のアルバムで一番興奮したのは『The 20/20 Sessions』に収録された「I Can Hear Music (Track And Backing Vocals)」。これですね。




近年、たくさん出ているビーチ・ボーイズの未発表トラックで、僕がとりわけ気に入っているのがリード・ボーカルだけを外した「Track And Backing Vocals」というものなんですが、大好きな「I Can Hear Music」の「Track And Backing Vocals」が収録されているのがわかって大興奮。もちろん一番最初に聴きました。

この日のブログでも書いているように、大瀧さんの「CM Special Vol. 2」のカラオケを聴いた時、バックコーラスの感じが「I Can Hear Music」とよく似ているなと思ったんですが、これを聴くとよくわかりますね。どっちも「One, Two, One, Two, Three, Four」という声のカウントから始まるのもおんなじだったのにもびっくり。もちろん「たまたま」。


『The 20/20 Sessions』では「The Nearest Faraway Place」の別バージョンにもびっくりでした。




それからジェローム・カーンの「Old Man River」のカバーのいろんなバージョンが収録されていたのもうれしかったです。

最終的にはオリジナルのアルバムからは外された、このフォスターの「Old Folks At Home」からジェローム・カーンの「Old Man River」へのメドレー(老人つながりですね)はすごく好きです。この2曲をカバーしようとしていたということで、『フレンズ』を作っていた頃のビーチ・ボーイズの心のありようがわかるような気がします。このアルバムが好きなはずだ。




そういえば昨日の寝る前に知ったんですが、昨日1月27日はジェローム・カーンの誕生日(1885年)だったんですね。で、前日の1月26日はステファン・グラッペリの誕生日(1908)。

ステファン・グラッペリがジェローム・カーンの曲を愛しているのは誕生日が1日違いというのもあったかもしれません。


by hinaseno | 2019-01-28 12:55 | 音楽 | Comments(0)

今週初めに余白珈琲さんから届いたマンデリンを飲みながら(もちろん、No Sugar)、今月初めにHi-Fiレコードから届いた「これからの人生。 選曲・小西康陽 2019」を聴いています。Hi-Fiレコードの恒例のお年玉。

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年末になると、今年はそのお年玉があるのかどうか気にしながらHi-Fiのサイトでレコードを探す日々を過ごすというのも恒例。今年も作ってくれたのでほっとしました。今日で聴くのは3度目かな。

毎年、さあ、今年はいったいどんな曲がかかるんだろうかとわくわくしながらCDをセットして、小西さんのナレーションと共に流れてくる曲を息を止めて聴きます。ここ数年はshazamという強力な武器を横に置いて。でもやはりshazamではわからない曲がいくつもありました。


1曲目に流れてきたのはギターによるドビュッシーの「月の光」。聴き覚えのあるギターの音色。昨日のブログにちょこっと出てきた大好きなギタリスト、ローリンド・アルメイダの演奏したものでした。ローリンド・アルメイダがクラシックを演奏したレコードはどれも本当に素晴らしくて何枚ももっています。小西さんの影響ですね。


何曲目かに女性ボーカルの素敵な曲が流れてくる。shazamで調べたらこれでした。




アニー・ロスの「'tain't What You Do」という曲。これいいな。アニー・ロスはもちろん好きなシンガー。この曲が収録されている『Skylark』はもっていないけどいい曲が多いな。ジェローム・カーン作曲の「I’ve Told Every Little Star」は以前iTunesからダウンロードしてました。


それからやはり大好きなシェルビー・フリントの「Moonlight」もかかりました。ボサノヴァ調の素敵な曲。シェルビー・フリントの声は冬に似合う。




とまあ、いろいろ紹介したいけど、今回かかった中で一番びっくりしたのはこの曲でした。




知らない曲だなと思ってshazamで調べたら、なんと大好きなオリオールズの曲。タイトルは「Sugar Girl」。

この曲、聴き覚えないなと思ってBear Familyから出ている6枚組のBOXを調べたら、やはり入っていませんでした。なんでだろうと調べてみたらBear FamilyのBOXはJubileeで録音した曲を集めたもので、「Sugar Girl」はその後移籍したVee-Jayから出していたんですね。そういえばと思って廉価版のCDを出しているJasmineから数年前に出たオリオールズのCDには「Sugar Girl」が収録されていました。そっちのCDはほとんど聴いていなかった。小西さんはこのCDを持っているのかな。

ちなみにこの「Sugar Girl」のシングル、eBayでチェックしたらなんと1000ドル(10万円!)。くぅ~。

実はかなり前から欲しいなと思ってチェックし続けているDoo-Wopのシングルがあって、それもやはりVee-Jayから出ているものなんですが、そちらは安いものでも100ドル(1万円)。これもやっぱり手が出ない。でも、Doo-Wopってやっぱりシングルで聴きたいんだな。


最後に「これからの人生。 選曲・小西康陽 2019」で印象に残った曲をもう一つ。「これからの人生。」では知らない日本のシンガーソングライターの曲がときどきかかってびっくりすることがあるんですが今回もありました。かかったのは宮田ロウさんの「悲しみはさざ波のように」。ここで少し聴けますね。

この曲は昨年、7インチのレコードで発売されたようでB面の「メッセージ・ソング」はピチカートファイヴのカバー。それも「これからの人生。」のエンディングでかかりました。


宮田ロウさんは神戸在住のシンガーソングライターとのこと。小西さんはその宮田さんのレコードにこんなコメントを寄せています。


いますぐ、誰かに話したくなるような音楽。
神戸の街に、ひとりのシンガー・ソングライターがいる、
ということを知ってもらいたいのです。

このレコード、どこかで手に入らないかな。


by hinaseno | 2019-01-26 15:58 | 音楽 | Comments(0)

丘の上に住む人々


東京というのは、ついこの前まであった店がなくなり、ついこの前まであった建物がなくなり、というのが繰り返されている街であることはよく知っていますが、大切な思い出となっている場所の一つがなくなるというのはとても残念なこと。

昨日の石川さんのブログを読んでいたらびっくりする話が。2年前の2017年の5月に石川さんと一緒に見に行った野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”のライブが行われたTokyo Tucが昨年暮れで閉店したということが書かれていたんですね。僕にとっては一度きりのことだったとはいえ、やはり残念。ビッグバンドの演奏ができるライブハウスってあまりないと聞いていましたが、これからどこでやれるんだろうと少し心配。


久しぶりにあの日撮った写真を眺めながらその日のことを思い出していましたが、ライブの後、Tokyo Tucで野口さんとBREEZEのメンバー、そして石川さんに囲まれて写っている自分の写真の幸せそうなこと。いかにあのライブが素晴らしいものだったか、その写真を見ただけでわかります。

その日の最大の出来事といえば、わが愛するジャック・ケラーの「Beats There A Heart So True」が歌われたことで、その瞬間の感動といったらなかったわけですが、正直、そのときの記憶は飛んでしまってるんですね。

今、振り返ったときに一番よく覚えているのは別のシーン。それはBREEZEが登場して、その1曲目に「Pick Yourself Up」が紹介されたときに前に座られていた石川さんが振り返って「ジェローム・カーン! ジェローム・カーン!」と興奮気味に言われたこと。

実はその瞬間、僕は石川さんが興奮されていた理由に気づいていなかったんですね。でも、そのあと同じジェローム・カーン作曲の「Ol' Man River」が演奏されて、そのとき野口さんがフレッド・アステア主演の映画『有頂天時代』や、いくつかジェローム・カーンの作曲した曲を紹介する中で石川さんの好きな「The Way You Look Tonight」の話をされて、その理由がようやくわかったという。

この日から、僕の中でジェローム・カーンという作曲家が大きな存在となって、意識していろいろと聴くようになったんですね。


ジェローム・カーンといえば、昨年の秋頃、ペットサウンズ・レコードの”今日のこの1曲”で『ステファン・グラッペリ・プレイズ・ジェローム・カーン』というCDを取り上げているのを見て、おおっ!と。ステファン・グラッペリというジャズのバイオリン奏者は一時期すごくハマっていたので、これは絶対に聴かなくてはと思ってすぐに注文しかけたんですが、ちょっと調べたらレコードでも出ていたことがわかったのでそれを入手することにしました。これです。

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収録された曲には「The Way You Look Tonight」もあって、予想通り石川さんもそのCDを購入されて、ブログで紹介されていました。ちょっと調べたらステファン・グラッペリはどうやらジェローム・カーンの曲がお気に入りのようで、このアルバム以外にもジェローム・カーンの曲をたくさん演奏していることがわかりました。


さて、昨日のことですが、久しぶりに『Sammy Davis, Jr. sings / Laurindo Almeida plays』というアルバムを聴いていたらすごくいい曲が流れてきたんですね。それが9曲目に収録された「The Folks Who Live on The Hill」という曲。




調べたらジェローム・カーンの曲。僕のパソコンの中にはペギー・リーとブロッサム・ディアリーが歌ったものが入っていました。僕が一番よく聴いたのはもちろんブロッサム・ディアリーの歌ったもの。『Soon It's Gonna Rain』というとびきり素敵なアルバムのB面の最後に収録されています。ちなみにこのアルバムのA面の1曲目は「A Wonderful Guy」というこれまた素敵な曲。「ワンダフル」つながりで曲を探していたときに見つけていい曲だな~と思って…(以下略)。


で、「The Folks Who Live on The Hill」を他に歌ったり演奏したりしている人を調べていたらステファン・グラッペリが演奏しているのがわかったんですね。いろんな人と何度も録音しているようでiTunesを見てもいろんなバージョンがいっぱい。

とりあえず自分の手元にあった、このオスカー・ピーターソンとのものものを紹介しておきます。




いやあ〜、いい曲ですね。これには歌は入っていませんが、歌詞を調べたらすごくロマンチック。庄野潤三さんが好きそうだな。


こちらにオーケストラをバックに演奏している映像がありました。




by hinaseno | 2019-01-25 15:15 | 音楽 | Comments(0)

勘のいい人ならばタイトルを見ただけで誰のことを書くかわかる人がいるかもしれません。

そう、ロビン・ワードのこと。

先週の日曜日のサンデーソングブックでロビン・ワードの曲がかかったんですね。特集は「WINTER(冬)の曲」。前もっていくつか曲を予想してたんですが、1曲目に予想通り(期待通り)大好きなロビン・ワードの「Winter’s Here」がかかりました。

「Winter’s Here」は、1963年の秋に大ヒットした「Wonderful Summer」の続編として作られた冬の曲。夏の曲でヒットしたから、じゃあ冬の曲をと。まあイージーといえばイージーですが、ポップスの世界ではよくある話。でも、曲を書いているのが「Wonderful Summer」と同じギル・ガーフィールドとペリー・ボトキン・ジュニア(プロデュース&アレンジもペリー・ボトキン・ジュニア)ということなので悪かろうはずがありません。しかも歌っているのがロビン・ワードなわけですから。




で、そういえば、と思って久しぶりに取り出したのがこのCD。

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タイトルは『Second Helpings: Sequels To The Songs That Left 'Em Hungry For More!』。2015年にイギリスのACEから出たCD。ACEはいつも本当に素晴らしいCDを出し続けてるんですが、考えたら去年はACEが出したCDを1枚も買っていませんでした。ACEもだんだんとタネが尽きかけているかなと。来月末にずっと書い続けてきた『Where The Girls Are』シリーズのVolume 10がようやく出るみたいだけど、どうなんだろう。一応買うけど。

それはさておき『Second Helpings: Sequels To The Songs That Left 'Em Hungry For More!』。「Second Helpings」とは「おかわり」のこと。副題には「空腹感が残っている曲の続編」という言葉が付いています。つまりヒットした曲の続編集ってこと。いつもながら素晴らしい企画。シャレも効いているし。

で、このCDの16曲目ににロビン・ワードの「Winter’s Here」が収録されていたんですね。この曲、16局目とはいえこのCD的には目玉だったようでブックレット(ACEのブックレットはいつも最高)では最初に紹介されていました。以前、僕のブログにも書いたことのあるロビン・ワードの「Wonderful Summer」の裏話がかなり詳しく書かれています。そしてジャケットに写っているジュークボックスの一番上も「Winter’s Here」です。


『ワンダフル・サマー』のCDの再発がなかなか実現しなくてやきもきしていたときだったので、このCDにひょこっとロビン・ワードの「Winter’s Here」が収められているのがわかってすごく嬉しかったのを覚えています。

で、翌年の2016年にようやくロビン・ワードの『ワンダフル・サマー』のCDが再発。ブックレットの解説は願い通り長門芳郎さん。初めて『ワンダフル・サマー』が出たときの解説も長門さんで、その解説の”秘話”にどれだけわくわくさせられたことか。で、そこで大瀧さんがロビン・ワードの大ファンだったことを知るんですね。なんともワンダフルなつながり。


ちなみに大瀧さんも「ゴー!ゴー!ナイアガラ」で一度「ウィンター・ソング特集」をやってるんですが、そこでは「Winter’s Here」はかけていませんでした。「Wonderful Summer」は2度もかけているけど。


ところで『Second Helpings』のCDに収録された”続編曲”で、”前作”がわかるのは半数くらい。調べて聴いてみても全然知らない曲がいくつも。まだまだ知らない曲ばかり。アメリカン・ポップスって奥が深い。


by hinaseno | 2019-01-23 15:01 | 音楽 | Comments(0)

去年の暮れ、例年のように「今年の10枚」とか「今年の10曲」とかを書こうと思ってたんですが、選びかねているうちにすっかり年も明けて1月も後半に入ってしまいました。もういいか。

まあほとんどは昨年のブログで取り上げたものになるように思いますが、ブログでは取り上げなかったけど「今年の10枚」に必ずや(いや「今年の5枚」、あるいは「今年の3枚」でも)入れたはずのCDを紹介します。本当は年末に紹介する予定だったんだけど。

作品のタイトルは『Columbia Groovy Songbirds(コロンビア・グルーヴィー・ソングバーズ)』。

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女性シンガーの作品を集めたコンピレーション。レーベルをコロンビアに絞ったというのもよかったです。

監修は長門芳郎さん、ってことで絶対にいい作品であることはわかっていたけど、でも、いつもながら何から何まで素晴らしい。

特に40ページのブックレットには貴重な写真、情報が満載。解説を書いているのも長門さん。もちろん歌詞・対訳つきです。


まずは選曲ですが、正直、女性シンガーのコンピレーションは数年前からタネが尽きかけてるという印象を持っているんですが、これが本当に素晴らしい曲だらけでびっくりでした。知っていたのはジョニー・ソマーズの2曲(「Never Throw Your Dreams Away」は最高)とエイプリル・ヤングの「Gonna Make Him My Baby」(曲を書いたのはアンダース&ポンシア)くらい。

曲を歌ったときの年齢がそれぞれ何歳なのかはわかりませんが、ドリス・デイやペギー・リーなどの曲も含まれていてガールというよりは大人の女性が歌ったものが多いのかな。


いきなりびっくりさせられたのがこの1曲目の「Hush, Don't Cry」。これだけでつかみはOK。




歌っているのはシンガーズ・アンリミテッドの紅一点、天使の声の持ち主、ボニー・ハーマン。この作品はグループに加入する前年とのこと。シンガーズ・アンリミテッドのイメージとはかなり違いますが、いい曲です。プロデュースはジョン・サイモン。いいはずだ。

ちなみにこのYouTubeのビデオにはシンガーズ・アンリミテッド時代の彼女の天使の声が集められています。これがいいんですね。一時期ずっと聴いていました。




ドリス・デイの2曲では「Rainbow's End」がよかったな。アレンジはジャック・ニッチェ。プロデュースには息子のテリー・メルチャーも。

テリー・メルチャーはビーチ・ボーイズに途中から加入したブルース・ジョンストンとブルース&テリーというグループを組んでいた人。ちなみにブルース・ジョンストンはこのブログの名前になっている「Nearest Faraway Place」という曲を書いた人。以前、彼の「ディズニー・ガール」という曲に出てくるパティ・ペイジの「オールド・ケープ・コッド」のことを書きましたが、長門さんのパティ・ペイジの解説のところにその話が出てきてにっこり。


知らなかったシンガーではジョディ・フォスターに似た美形のルグラン・メロンが写真を見て素敵だなと。テオ・マセオがプロデュースした「Growin' My Own」もなかなかいい曲。スーザン・クリスティというシンガーの曲もよかった、と書けばきりがないけど、最高によかったのはなんといってもこの曲。




パティ・マイケルズの「Mrs. Johnny」。

作曲、プロデュースは大好きな作曲家ヘレン・ミラー(「俺はヘレン・ミラーでもあるんだ」という大瀧さんの名言もあります)。パティ・マイケルズはもう1曲「They’re Dancing Now」も収録されていて、そちらもヘレン・ミラーの作曲でそちらは知っていたんですが、「Mrs. Johnny」は「They're Dancing Now」のA面。こっちの方がはるかにいいですね。

ヘレン・ミラーといえばレスリー・ゴーアの「All Of My Life」、ボビー・ヴィーの「Charms」、ジョニー・クロフォードの「Rumors」、トミー・サンズの「Connie」、アンドレア・キャロルの「The Doolang」など最高にロマンチックな曲を作っている人ですが、それらと並ぶくらいの素敵な曲。イントロのドラムの音はレスリー・ゴーアの「All Of My Life」と同じですね。




ってことで昨年暮れにこんなものを作ってずっと聴いていました。もうそろそろヘレン・ミラーの作品集がきちんと出てもいい頃だけど。

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ヘレン・ミラーの作品集は5年くらい前に作ったことがありますがパティ・マイケルズの「Mrs. Johnny」以外に新たに見つけた曲を何曲か入れています。

そのうちのひとつがスティーヴ・ローレンスのこの「I'm Making the Same Mistakes Again」。これもコロンビアから出てますね。




ところでブックレットの最後のページを見たら、

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Supervisor: Yoshiro Nagato


ここのところスーパーヴァイザーを意識することが多かったのでにっこりでした。そういえば去年出たCDでは『ケニー・ランキン/コンプリート・コロンビア・シングルズ 1963-1966』も素晴らしかった。そちらも「Supervisor: Yoshiro Nagato」です。


by hinaseno | 2019-01-20 14:59 | 音楽 | Comments(0)

Two Blue Books(その2)


『ことばの生まれる景色』という本を出版するという情報をTitleさんがSNSで流したときに、僕がまず反応したのは一番最初に紹介していた本の一節を引用した文とその文に添えられたnakabanさんの絵が載ったこのページの写真でした。

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引用されていたのはこの一節。


 ある日、東京、神田の古書店街の洋書専門店で、一冊のアラスカの写真集を見つけた。たくさんの洋書が並ぶ棚で、どうしてその本に目が止められたのだろう。まるでぼくがやってくるのを待っていたように、目の前にあったのである。

写真のページには本のタイトルは書かれていませんでしたが、この文を読んでそれが何の本かすぐにわかりました。

星野道夫の『旅をする木』。

引用された部分はまさに星野道夫のセレンディピティを描いたもの。もうこれだけで本を買うのを決めました。


星野道夫の『旅をする木』の次に紹介されていたのは須賀敦子の『ミラノ 霧の風景』。さらにメイ・サートンの『独り居の日記、石牟礼道子の『苦海浄土』、庄野潤三の『夕べの雲』、谷崎潤一郎の『細雪』、リチャード・ブローティガンの『芝生の復讐』…。村上春樹は『1973年のピンボール』が選ばれていたのもにっこり。

知らない本もいくつかありましたが、辻山さんの文章を読んでいるとどれも全部読みたくなってしまいました。あるいは読み返したくなる本もいくつも(一番読み返したくなったのは夏目漱石の『門』)。辻山さんの文章が本当に素晴らしいんですね。


そしてこの本をより素晴らしいものにしているのがnakabanさんの絵。

nakabanさんのことは去年買った『窓から見える 世界の風』という本で知りました(この本のこと、去年の10冊を選ぶときに忘れてた)。風を絵にするのは相当に困難なことであったにちがいありませんが、一つ一つの風に添えられnakabanさんの絵に強く心を打たれました。


『ことばの生まれる景色』にはそのnakabanさんの描かれた絵の色のことについての話があって、それが強く心に残りました。その話の最後に辻山さんが「世界を新たに発見させる驚きと感動があった」と書かれているんですが、僕も同じ思いを抱きました。それはまさに「青」の話。


 数年前、仙台にある古本とカフェの店「book cafe 火星の庭」で、nakabanさんとトークイベントを行なった。トーク中、以前より気になっていたnakabanさんの「青」へのこだわりについて尋ねたところ、「すべての色には青が溶け込んでいますから」と、はっきりとした答えが返ってきた。
 目の前にある茶色の机、歩道のアスファルト、新緑のけやき並木……。nakabanさんによれば周りに存在するどんなものにも、多かれ少なかれ「青」が溶け込んでいるという。画家のヴィジョンに沿って世界を眺めると、目の前の空間が青の濃淡でできたモノの連なりに見えてくる。レイモンド・カーヴァーの短編小説「大聖堂」には、主人公が盲人の手ほどきを受け、自らも「見えない」感覚を追体験するという印象的なシーンがあるが、nakabanさんの一言にも、世界を新たに発見させる驚きと感動があった。


by hinaseno | 2019-01-18 12:53 | 文学 | Comments(0)

Two Blue Books(その1)


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今年に入って読み始めたこの2冊の本。一昨日に同時に読み終えました。

一冊は夏葉社から自費出版された『見える光、見えない光 朝永作品と編集者』(中桐孝志著)、そしてもう一冊は「Title」という本屋の辻山さんのアイデアから生まれた『ことばの生まれる景色』(辻山良雄 文、nakaban 絵)。

どちらも昨年暮れに出た本ですが、手に入れたのは今年。読み始めたのもあまり変わらないかな。いっぺんに読み終えるのがもったいなくて(どちらも本を目にしたり手に触れる日数を少しでも長くしておきたかったので)、それぞれちょっとずつ読み進めていました。

ということなのでこの2冊はずっと机の上に一緒に置かれていたわけですが、ふと気がついたら、2冊ともブルー。いつもどっちかの本がどっちかの本の上に乗っかっていて、まさにBlue On Blue。それぞれ本当に素晴らしい本で、新年早々、素敵な読書時間を過ごさせてもらいました。


『見える光、見えない光 朝永作品と編集者』は朝永振一郎の著作に尽力した編集者、松井巻之助の仕事を紹介したものですが、著者の中桐さん(岡山のお生まれ)の言葉に、おっと思わせるものがいくつかありました。内容とは直接関係がないんですが、最近のキーワードになっている言葉がいくつか出てきたので。まずは「スーパーバイザー」、そして「セレンディピティ」。


 スーパーバイザーは、自由な雰囲気の場をつくり、実際に手を動かす研究者・技術者に任すことである。一方研究者・技術者はそれにこたえ、自由の精神をもちつづけセレンディピティを養い決して諦めないことである。なかなか難しいであろうが、つねに念頭に置いて心掛ける努力が必要である。
 スーパーバイザーはそのほかいろいろと考え、ホイットニーにも聞きながら実行していくとよいであろう。


実は唐突にスーパーバイザーという言葉が出てきてびっくりしたんですが、あとがきを読んで著者の中桐さんは理学博士となって中央研究所でスーパーバーザーをされていたと知りました。セレンディピティについてはひとつの章で語られています(この本の前に読んだ仲野徹さんの『(あまり)病気をしない暮らし』にもセレンディピティが出てきました)。1998年版の広辞苑によると「思わぬものを偶然に発見する能力。幸運を招きよせる力」と載っているそうです。僕もここで書いていますね。スロウな本屋さんで行われた河野通和さんと松村圭一郎さんのトークイベントで河野さんにセレンディピティの話を伺えたのは一昨年の最高の想い出。


それから『見える光、見えない光 朝永作品と編集者』で、もう一つ、おっと思った部分。


 まさに仁科(仁科芳雄)は、楕円思考の人であったことを語っている。ここで云う楕円思考の人とは、東洋的なものと西洋的なものをそれぞれ楕円の焦点として楕円を形づくり、東洋的なものと西洋的なものを共存させながら考え、行動する人をさしている。
 仁科研究室を運営するさいの一つのポイントは、前述したように理論グループと実験グループを共存させてすすめたことであり、これも先生の楕円思考の然らしめるところであったと思われる。
 このように楕円思考は、両価性のもの・ことをそれぞれ楕円の焦点におき、楕円内に共存させながら、ものごとに対処する考え方である。これは、非常に重要であり、さまざまな局面で役立つであろう。いつの世においても、もっと強調されてよいのではなかろうか。
 楕円思考について、続刊でより詳細に言及していきたい。

楕円思考はもちろん平川克美さんの『21世紀の楕円幻想論』を読んで僕の中に入ってきた考え方。中桐さんが最後に「楕円思考は、両価性のもの・ことをそれぞれ楕円の焦点におき、楕円内に共存させながら、ものごとに対処する考え方である。これは、非常に重要であり、さまざまな局面で役立つであろう。いつの世においても、もっと強調されてよいのではなかろうか」と書かれているのは平川さんが主張されていたのと同じ。その通りですね。

僕の考えでは、真円思考の人にはあまりセレンディピティは起こらないんだろうなと。たぶん、いや、きっと。


『ことばの生まれる景色』についてはまた次回ということで。それにしても中桐さんの言葉で一つ気になったのは「スーパーバイザーはそのほかいろいろと考え、ホイットニーにも聞きながら実行していくとよいであろう」に出てきた「ホイットニー」。いったいだれ? どこかで読み飛ばしたかな。


by hinaseno | 2019-01-17 11:03 | 文学 | Comments(0)

先週の土曜日、アン・サリーさんのライブに行ってきました。場所は岡山市内にある蔭凉寺(西大寺商店街の入り口から西に600mほど行ったあたり)。蔭凉寺というお寺でいろんなイベントをしていることを知ったのは最近のこと。寺尾紗穂さんの『楕円の夢』リリースツアーの岡山公演が蔭凉寺で行われていたのを知ったのはつい最近。青葉市子さんも何度かライブをしてました。音楽以外でもいろんなイベントをしているようで、去年の暮れには松村圭一郎さんがここで行われたイベントに出演されていました。

アン・サリーさんのライブに行くのはもちろん初めて。2003年に出た彼女の2枚のアルバム『Moon Dance』と『Day Dream』は「超」を10個くらい並べてもいいくらい大好きで、2000年代には一番よく聴いたアルバムだと思います。夕方の3時か4時くらいに、ちょっと一服してコーヒーを、ってときにはたいていこれを聴いていました。ということでこの日のブログに書いたように「昼下がりから夕方に、コーヒーを飲みながら聴きたい音楽」といえばすぐに彼女のアルバムを思い浮かべたわけです。

その話をブログに書いた少し後くらいに、ふと今、アン・サリーさんは何をしているんだろうかとチェックしたら、彼女がライブ・ツアーをしていることを知ったんですね。

でも、そのときには岡山でのライブの予定は入っていなかったんですが、数日後にチェックしたら岡山でのライブが決定していて、チェックした日が予約の初日だったので即予約。少しでも遅かったら予約が取れなかったかもしれないのでラッキーでした。


蔭凉寺に行くのも初めてでしたが、あの西川沿いの道は好きなので、何度も近くを通っていました。これは西川にかかる「ほたるばし」という名の橋から見た蔭凉寺。

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開演時にはすでに50人近くの人が並んでいました。すごい人気。

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堂内に入ると新しいアルバムが置かれていてびっくり。一昨年に出てたんですね。Amazonでは販売していないので知らなかったはず。もちろん購入。

ところで、お寺でライブ!? でしたが、ライブが行われたお堂は100人くらいが入れるようになっていて、大型のミキサーなど機材もすごいのが置いていました。お寺のお堂なので寒いんじゃないかと思って着込んで行ったら床暖房でぽかぽか。いろいろとびっくり。


さて、アン・サリーさんのライブ、まず最初にギタリストの人が舞台に出てギターを弾き始め(このギタリストには後で驚くことに)、そのあとにアン・サリーさんが登場したときには、やはり興奮しました。ずっとCDを聴き続けてきたあのアン・サリーがすぐ目の前に立っているわけですから。


死ぬほど好きな曲「蘇州夜曲」を歌ってくれたのがやはり一番うれしかったですね。それから「こころ」も。

新しいアルバムに収録された曲からも何曲か。そのうちの1曲、ハース・マルティネスの「Altogether Alone」が歌われたときには、おおっ!と。『Moon Dance』にもハース・ハース・マルティネスの「5/4 Samba」が収録されていましたが、アン・サリーさん、ハース・マルティネスが好きなんですね。小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」のカバーも素晴らしかった。


ところでギタリストのこと。1曲目からこの人の演奏すごいなとは思って、アン・サリーさん以上にそのギタリストの演奏を見ていました。驚いたのはアン・サリーさんのライブにずっと帯同されているわけではないのに楽譜を一切見ないで演奏していたこと。

何曲目かでアンさんがギタリストに向かって「ようもう!」「ようもう!」って叫んだりしてたんで「ようもう」という名前の人なんだなと思っていたら、実は羊毛とおはなの羊毛さんでした。羊毛とおはなは一時期ずいぶん聴いていたのでびっくり。でも、数年前におはなさんが亡くなったんですね。ニュースで知ったときにはびっくりでした。

ってことでCDにはアン・サリーさんといっしょに羊毛さんにもサインしてもらいました。

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そういえば大好きな「スマイル」が聴けたのもうれしかった。昔、「『スマイル』がつながる」という話を書いたのは青葉市子さんが細野さんと「スマイル」を歌ったのがきっかけ。青葉さんのライブでも「スマイル」聴きたかったな。


by hinaseno | 2019-01-15 15:32 | 音楽 | Comments(0)

アメリカン・ポップス伝パート4第5夜、ジャン&ディーンの「Baby Talk」をかけた後の大瀧さんのコメント。


「『Baby Talk』を発売したのはDoré(大瀧さんは「ドリ」と発音していましたね) レコード。ここからはジャン&ディーンが来る前に特大のヒットが出ておりました」


ここで、かかったのがフィル・スペクターがいたテディ・べアーズの「To Know Him Is To Love Him」。大瀧さんから語られるのはつながりの話ばかりです。


このテディ・ベアーズがDoréから出した2枚目のシングルが先日紹介した「Wonderful Loveable You」。同じ月にルー・アドラーとハーブ・アルパートがプロデュースしたジャン&ディーンの「Baby Talk」が出ていたということになります。


さて、大瀧さんはそのあとハイ・スクールつながりの話をするんですがこれがすごい。テディ・べアーズが通っていたのはLAにあるフェアファックス・ハイスクール。で、スペクターの先輩がジェリー・リーバー、ルー・アドラー、ハーブ・アルパート。後輩がラス・タイトルマン、スティーヴ・ダグラス、さらにP.F.スローンとスティーヴ・バリ。


ところで今回の話の中心人物であるルー・アドラーとハーブ・アルパート。ハーブ・アルパートについてはA&Mを設立してからのことはそこそこ知っているし、レコードやCDも何枚か持っています。一方のルー・アドラーについたはキャロル・キングがシンガー・ソングライターとしてデビューするきっかけを与えた人くらいしか認識していなかったんですが、いろいろやってたんですね。

今回、彼について調べるために、買おうと思いながら買っていなかったこのAceから2014年に出ていたCDを手に入れてみたら知らなかったことがいくつも。

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まずはジャン&ディーンのこの「Honolulu Lulu」という曲。この曲大好きです。




1963年に出たジャン&ディーンの全米ナンバー1の大ヒット曲「Surf City」のB面だった曲。この時期にはハーブ・アルパートもルー・アドラーも彼らのプロデュースからは離れていたんですが、この曲を書いていた一人がルー・アドラーだったんですね。ちなみにレコード盤の作曲者のクレジットには「Berry-Christian-Spunky」と記載。この最後のSpunkyというのがルー・アドラーだったようで、AceのCDには「Lou Adler, Jan Berry, Roger Christian」と記載されています。

で、このCDに収録されている曲で何よりも驚いたのがこのエヴァリー・ブラザーズの「Crying In The Rain」。




この曲のプロデューサーはなんとルー・アドラーだったんですね。レコード盤のクレジットにはプロデューサー名が記載されていないし、かなり細かいところまで調べてブックレットに載せているBear Familyのボックスにもプロデューサー名はNo Creditでしたが。

Aceの解説を読むとルイー・アドラーは「Crying In The Rain」の他に「No One Can Make My Sunshine Smile」「Don't Ask Me To Be Friends」そして「How Can I Meet Her?」もエヴァリー・ブラザーズと一緒にやったとのこと。この3曲、いずれもジャック・ケラーの曲なんですね。どうやらエヴァリー・ブラザーズにキャロル・キングやジャック・ケラーの曲を歌わせたのはルー・アドラーだったようです。彼はスナッフ・ギャレットのやり方を真似ていたんですね。

これはルー・アドラーとエヴァリー・ブラザーズの写真。隣にはエンジニアをしていたボーンズ・ハウも。

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もう一つ、ルー・アドラーでびっくりしたこと。彼が結婚したのが1964年の6月なんですが、その相手がなんとシェリー・フェブレー。これには腰が抜けるくらいびっくり。

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きっかけはなんだろうと調べたら、彼女のコルピックスでの最後のシングル「Football Seasons Over」の両面の曲のSupervisorとしてルー・アドラーの名前が書かれていました(プロデューサーはデヴィッド・ゲイツ)。

こちらはそのB面の「He Don't Love Me」のレーベル。

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作曲者の名前にジャン&ディーンのジャン・ベリーの名前があるというのはやはりルー・アドラーつながりなんでしょうね。


ところで2人が結婚したときルー・アドラーは31歳、シェリー・フェブレーは20歳。

そういえばシェリー・フェブレーの「He Don't Love Me」といえばそれを下敷きにして作ったのが大瀧さんが松田聖子に書いたこの「冬の妖精」。これも大好きな曲。




考えたら大瀧さんが松田聖子をプロデュース、いやクレジット通りに言えばスーパーヴァイズしたとき大瀧さんは33歳。松田聖子は20歳。つまり大瀧さんが松田聖子と結婚したようなものですね。もちろん大瀧さんはすでに結婚して子供もいたんだけど。

ってことで最後はワンダフルでもなんでもないつながりで終わります。ちなみにルー・アドラーとシェリー・フェブレーは2年ほどで離婚したようです。だからどうした、ですが。


シェリー・フェブレーは結婚した後でコルピックスを離れてレコードを出しているんですが、そのプロデューサーはもちろんルー・アドラー。で、曲を書いたのはルー・アドラーのもとでコンビを組んだP.F.スローンとスティーヴ・バリ。




by hinaseno | 2019-01-13 15:21 | ナイアガラ | Comments(0)