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by hinaseno
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カテゴリ:映画( 112 )



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岡山で広瀬すずさん主演の映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』のロケをしたのはちょうど2年前の2016年11月下旬の10日間。で、まさに2年前の今日、11月28日に京橋で撮影が行われたようです。

特典ディスクには広瀬すずさんへのインタビューがいくつか収録されているんですが、岡山でのロケでいちばんの思い出はと訊かれて、すずさん、こう答えていました。


やっぱり橋の上がすごく綺麗なロケーションで。路面電車とか、なかなか東京にないから素敵だなって印象が残ってます。

なんだかうれしいですね。広瀬すずさんがあの風景を心に留めてくれていて。まあ、それくらいこの映画では京橋の風景と橋の上や橋の近くを走る路面電車がこれでもかというくらいに写されています。いくつか紹介。

まずは最初に京橋が写る夜の風景。「京橋」の文字もはっきりと。

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こんなふうに遠くから京橋を渡る路面電車をとらえたカットも何度も。

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ラストシーンもやはり京橋。京橋の真ん中あたりで立ち止まっているすずさんのところに先生役の人(生田斗真さん、ってよく知らないんだけど)が駆け寄る。向こうから東山線の路面電車が近づいてきます。映画では岡山という言葉は一切出てこないんですが、路面電車の正面には「岡山駅前」という文字が読み取れます。

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これは京橋の上で抱き合う二人。向こうにはかつて遊郭のあった西中島が見える。

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で、そのあとこんなシーン。夕日の中の京橋とそこを走る路面電車。いいシーンです。

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映画では何度かすずさんが路面電車に乗るシーンもあります。例えばこのシーン。

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最初は、京橋の手前の西大寺町駅かと思ったんですが、あとでよく調べたら終点の東山駅。

それからすずさんが自転車に乗って先生に会いに行くシーン。そばに路面電車が走っています。

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そのすぐ後に写るのがこのシーン。路面電車の横には「大手まんじゅう」という広告が入っていますね。

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このシーンが撮影されたのはどこだろうかと調べたら、先日、平川さん、石川さんと京橋を歩いて渡ったときに下りた小橋駅の少し向こうの道でした。赤の矢印がすずさんが自転車で走ったところ。

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路面電車が100mくらいで右に左に曲がるところがあるんですね。なかなかいい風景。また、終点の東山まで路面電車で行って、このあたりを歩いてみよう。

一応、ストリートビューで撮った写真を貼っておきます。

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さて、映画を見ながら気になっていたのは広瀬すずさんが通っている高校。映画では「県立南高校」となっています。

今回の映画を地理的にたどれば、路面電車の東山線の終点の東山、あるいは京橋あたりまで歩いていける高校となりますが、そこにある県立の高校として考えられるのは2つ。一つは古くは内田百間、それから身近なところでは小川洋子さんが通っていた岡山県トップの進学校である朝日高校。で、もうひとつが岡山東商業。

ただ、何度か写る校舎とかを見たときにはピンとくるものがなくて、背景の山の感じもそのあたりの風景とは違っているように思ったので、きっと東京近辺のどこかの高校で撮影したんだろうと思っていたら、最後のエンドロールでびっくりするような高校の名前が出てきたんですね。

岡山学芸館高校と西大寺高校。

いずれも京橋からはかなり離れた西大寺(京橋近くの西大寺町ではない)にある高校。

すぐ近くじゃん。

西大寺、広瀬すずさんが来たり松本穂香さんが来たり、すごいですね。


どうやら学校内のシーンはほとんど学芸館高校で、それから入学式や卒業式の時に写る校門付近のシーンは西大寺高校で撮影しているようです。特典ディスクには学芸館高校の体育館で全校生徒を前に主演の生田さんと広瀬すずさんがサプライズで登場するという映像もありました。

びっくり。全然知らなかった。


ところで広瀬すずさん、出演している映画の数が思ったほどには多くなく、ちょっと意外な感じがしました。たぶん出演する映画を選んでいて、さらに出演する映画の役作りに時間をかけて、一つの映画にじっくりと取り組むようにしているんでしょうね。


その広瀬さんが出演することが決まっているのが、僕がいちばん好きな映画監督である岩井俊二の新作『Last Letter』。タイトルからピンとくるように、これはかの名作『Love Letter』のアンサー作品になっているようです。

僕が岩井作品にはまったきっかけはまさにその『Love Letter』。『Love Letter』では中山美穂さんが一人二役を演じていたんですが、『Last Letter』では広瀬すずさんが一人二役を演じることになっています。楽しみすぎますね。公開されたらイオンシネマに観に行くことになりそうです。


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by hinaseno | 2018-11-28 14:13 | 映画 | Comments(0)

人の縁と時の運(あるいは時の縁と人の運)のことを考える日々。

基本的に計画性というものがほとんどなく思いつきで行き当たりばったりなことばかりをやっていて、しかもたいした行動力もないけれど、不思議なほどに人の縁ができ、時の運にめぐまれることがあるんですね。最近もいろいろとあって、われながらその不思議さに驚いています。

まあ、なんのこっちゃですね。また、いずれ書ける時が来たら。


ところで先日、契約している衛星劇場の番組表を見ていたら、ある映画のタイトルが目に飛び込んできました。


『血煙高田の馬場』

おお、「ケツエンタカダノババ」!!

「ケツエンタカダノババ」といえば、昔、新春放談でちょこっと「ケツエンタカダノババ」に触れる話が出てきたんですね。それ以来、ずっと気になっていました。

せっかくなのでその話が出てきたところを探そうとしたんですが、どうにも見当たらない。どういう文脈でその話が出てきたかがわかれば、いつ頃の新春放談かは判断できるのですが。

ということであくまで僕のつたない記憶の中での対話ですが、紹介しておきます。


達郎:そういえば以前、好きな映画は、というアンケートがあって、みんな真面目に答えているのに、ひとりだけ「ケツエンタカダノババ」って答えている人がいましたね。
大瀧:だれでした〜(笑)。ああいうアンケート、真面目に答えるの嫌いなんです。
達郎:知ってます。

とまあ、これだけの会話。つまり大瀧さんはふざけて「ケツエンタカダノババ」と答えていたんですね。

「ケツエンタカダノババ」なんて映画、もちろん知りません。で、何度か調べました。「タカダノババ」が「高田の馬場(高田馬場)」であることは間違いないにしてもその前の「ケツエン」って何? でした。

一度はその映画を観たいと、その日の放送を聴き返すたびに調べたんですが本当にそんな映画が存在するかどうかすらわからなかったんですね。

大瀧さんはウケを狙ったはずだけど、その狙いがどれまでの人に届いたんだろうと。


さて、先日、ついに見ることのできた『血煙高田の馬場』。これ「血煙」は「ケツエン」と音読みするのではなく「ちけむり」と訓読みするようです。調べてもわからないはずだ。

主演は大河内傳次郎。原作・脚本・監督は伊藤大輔。1928年の作品。無声映画で、はっきり言って画像、かなり悪いです。

で、映画は、というとあっという間に終わりました。なんとたったの6分。収録時間は35分だったんですが、残りの時間は大林宣彦さんの解説のような話。そう、これは「大林宣彦のいつか見た映画館~クラシック映画の世界~」という特集で放送されたものなんですね。確か本にもなっていたはず。


ところで『血煙高田の馬場』について調べてみようとウィキペディアをチェックしたら、なんとそっちに載っていたのは別の監督の作品。阪東妻三郎が主演で1937年に製作・公開されたもの。監督はマキノ正博。

大瀧さんがアンケートで答えたのは、マキノ正博が監督をした方の可能性が高そう。

『血煙高田の馬場』の2年後に公開されたのがあの『鴛鴦歌合戦』。2005年に出たその「コレクターズ・エディション」で大瀧さんが解説を書かれているんですね。その解説のタイトルは『人の縁と時の運』(時の縁と人の運)。この解説、今では『大瀧詠一 Writing & Talking』で気軽に(でもないか…)読めるようになりましたが、これがもう最高で。何度読み返したことやら、です。今回、また久しぶりに読み返しました。縁って、やっぱり、「たまたま」という「時の運」によるところが大きいのがよくわかります。


いつかマキノ正博の『血煙高田の馬場』を見てみたいです。


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by hinaseno | 2018-10-18 14:04 | 映画 | Comments(0)

五反田物語


昨日ブログで「今日は『東京暮色』のことを書いた日のブログへのアクセスが増えるのかな」と書きましたが、やはりそうなりました。

あの五反田あたりのロケ地の話にアクセスがどどっと。今、「東京暮色 ロケ地」で検索したら、なんとトップに僕のブログが載っています。びっくりですね。三石は何度も行った場所ですが、五反田は一度だけ。ただ五反田は『東京暮色』だけではなく『早春』の舞台にもなっているので、『早春』がらみで結構貴重な写真を集めたので、それが大きかったのかな。


それはさておき「三石(みついし)」という地名が他県に住む人にとってはどこ? だったように、『早春』を最初に見た頃に、どこかの会話に出て来た「ごたんだ」という地名は僕にとっては「どこ?」だったんですね。今となっては五反田から蒲田にかけての池上線沿線には相当詳しくなってしまったけど。

ちなみに『早春』では、池部良の奥さんの淡島千景の母親役をしている浦辺粂子が営んでいる小さなおでん屋が五反田にあるという設定。最近『早春』のシナリオを読み返したら、そのおでん屋は「荏原中延界隈」となっていてびっくり。荏原中延は平川克美さんの隣町珈琲がある所。そういえば淡島千景も平川さんの生まれ育った久が原あたりに住んでいたとか。

縁ですね~。


五反田といえば思い出したことがありました。この『五反田物語』という本。

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五反田について調べていた時に目にとまった漫画ですが、実はこれおひさまゆうびん舎の本棚の世田谷ピンポンズさんのコーナーに置かれていたんですね。買ったまま重ね置きしてたので忘れてました。

で、今朝、読みました。

ちょっと切ない話。ピンポンズさんの歌の雰囲気とちょっと重なっている感じ。

五反田の風景も少し描かれていました。五反田駅のホームの絵もありましたが、残念ながら池上線ではなく山手線。

最後のページに鉛筆書きされた値段のそばにはピンポンズさん手書きの絵がありました。これだけで価値がありますね。

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そういえばその同じピンポンズさんの棚に置かれていたのが田村隆一の『ぼくの人生案内』。
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田村隆一というのは平川さんの大好きな詩人ですね。この本の中にもいくつかいい詩が収められていました。田村隆一の写真もいっぱい。この本で初めて田村隆一という人の顔を知りました、




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by hinaseno | 2018-10-13 12:52 | 映画 | Comments(0)

いろいろとせわしない日々が続いています。ゆっくり本も読めないし、映画もほとんど観れない。

映画といえば、昨日外出先から家に戻って、一息つこうとテレビをつけたら見覚えのあるシーンが流れていました。登場していたのは大好きな三井弘次と加東大介のコンビに池部良。もちろん小津の『早春』のワンシーン。NHK-BSで放送されていたんですね。

一昨日から小津の特集が続いているようで、一昨日が『お茶漬けの味』、昨日が『早春』、そして今日が『東京暮色』。


実は来月、ある方々を三石にお連れしようと考えていて、久しぶりに『早春』を観ようと思っていたところだったのでグッドタイミングでした。というわけで途中からでしたが映画を最後まで観ました。まあ、DVDは持ってるけど。

「三石」という言葉が映画に最初に登場するシーンは何度見てもたまらないですね。耐火煉瓦会社の上司である中村伸郎が池部良を呼び出してこう告げます。


「君に三石に行ってもらいたいと思うんだけど…ああいう生産の現場を見てくるのも、君の将来のためにいいと思うんだ」

当時も、今も、このシーンを見た人のほとんどが「三石」ってどこ? ってなるはずだけど。


そういえば昨日、このブログのアクセス数がものすごくはねあがったので何があったんだろうと調べたら『早春』と三石がらみのことを書いた日のブログへのアクセスでした。NHK-BSで放送された映画を見て、そのロケ地を確認しようと思った人が多かったようで、で、ネットで検索して僕のブログのサイトにたどり着いたようでした。

今日は『東京暮色』のことを書いた日のブログへのアクセスが増えるのかな。


そういえば、このブログで映画の話を書くのも久しぶりで、前回は牛窓を舞台にした想田和弘さんの『港町』についての話でした。その時のブログのタイトルは「牛窓暮色」。

そう、暮れなずむ牛窓の風景も、あの方々に見てもらいたいと思っています。できればあの場所で。


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by hinaseno | 2018-10-12 15:43 | 映画 | Comments(0)

牛窓暮色(最終回)


想田和弘さんの『港町』の岡山での上映も今日が最終日。できたら2、3度は見に行こうと思っていましたが、結局1度しか行けませんでした。でも、6月末から大好きな海街の一つである尾道で上映されるので、そちらでぜひ見たいと思っています。

ということで長く続いたこの話も今日が最終回ということにします。牛窓のことになるといつまでも書き続けたくなるので、そろそろきりをつけないといけないので。


今日最初に紹介するのは、映画を見るひと月前(3月末)に牛窓に行ったときに撮った写真を。牛窓で撮った写真の中では個人的にはお気に入りの1枚です。

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映画を改めて見直してきちんと確認しようと思っていたんですが、『港町』にはたぶん子供の姿が1度も映っていなかったはず。出てくるのは老人ばかり。過疎、そして高齢化という日本の地方のどこにでも見られる姿が映し出されています。

確かに牛窓に行くと、海沿いにいる観光客は別にして、一歩路地に入るとめったに子供の姿を見ることはありません。ましてや何人かの子供達が遊んでいるところには今まで出くわしたことがなかったけど、この日、この場所で、5、6人の子供が遊びまわっていたんですね。本当にめずらしい風景。


向こうの正面に見える3階建ての家はこのブログでも何度か紹介していますね。窓に映画俳優を描いた絵が貼られたものが残っている例の建物です。個人的には現在牛窓に残っている中で最も貴重だと思っています。いつ取り壊されてもおかしくない状態ですが、とにかくこの建物は失われないでほしい。

で、右手にあるのが、この写真を撮った数日前に放送された『鶴瓶の家族に乾杯』で、鶴瓶と蛭子さんが立ち寄った正本写真館。遊んでいる子供の何人かはそこの子供かな。


この正本写真館は何代にもわたって写真館を営んでいるのですが、その先代か先々代の人が撮った写真を集めたのが以前も紹介したことのある『あるく みる きく 231号』(1986年5月)。そこには、昔の牛窓の貴重な写真が満載。で、このページに掲載されている左の写真はまさにこの場所を撮っているんですね。

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これは昭和25年ごろに撮影された写真とのこと。もしかしたらこの写真、あの3階建ての建物の3階の部屋から撮ったものかもしれません。

それにしても子供の数の多いこと。ちなみに右の写真はニコニコ食堂のある広場で行われている盆踊りを写したものなのですが、遊女屋であった建物の2階にまで子供が上がりこんでいます。

その遊女屋の建物に新しくできた匙屋さんの2階から見えるのがこの風景。こんな風景が見られるなんて思ってもみませんでした。

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さて、一番上に紹介した子供たちを撮った場所から、少しだけ歩いて反対側を撮ったのがこの写真。

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右に見える白い建物は正本写真館の旧館。正面には昔牛窓で撮影された『カンゾー先生』のポスターが貼られたままです。

で、この正面に見える階段を上ったところにあるのが『港町』のクミさんが想田さんたちを連れて行った丘の上の病院。以前は国民宿舎で、あの井伏鱒二が昔療養を兼ねて泊まったところ(「備前牛窓」)。

ということでこちらの階段からは何度か丘に上がっていましたが、あんな裏道があったとは知りませんでした。


知らなかったと言えば『港町』ではこんな路地も映りました。

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白い猫が歩いていますが、この猫は『港町』に何度も映るシロではありません。

この路地、どこだろうと調べたら、以前紹介した地図からは外れた場所にありました。

ここですね。猫もいっぱいいました。

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ちなみにこの路地、実は牛窓に1軒だけある本屋さんの裏側にあったんですね。本屋さんの正面にはホテル・リマーニの真っ白な建物があるんですが、まさか裏にこんな路地があるとは知りませんでした。

実は去年、この本屋さんに行ったときに店内に猫が何匹かいてびっくりしたんですね。本の間で平気でごろごろしている。

で、何枚か写真を撮っていたんですが、想田さんの『港町』に映ったのはこの猫じゃないかな。

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写真を撮るときに、猫の後ろに飾られている『kotoba』という雑誌の表紙の池澤夏樹、山極寿一の名前が並んでいるのが目に入ったので買いました。


さて、最後に『港町』のパンフレットのことを。これがまた最高に素晴らしいんですね。映画のいろんなシーンをとらえた写真も素晴らしいし、多方面から寄せられたコメントも素晴らしい。

是枝監督、内田樹先生、平川さん、そして寺尾紗穂さん…。

で、このパンフレットには大好きな詩人である小池昌代さんと想田さんの対談まで掲載されています。

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牛窓を舞台にしたこんな素晴らしい映画が作られて、さらにそのパンフレットに大好きな人たちの名前が並ぶ日がやってこようとは、このブログに牛窓を書き始めたときには予想すらできませんでした。本当に信じられない。ただただ驚いています。


牛窓のことはこれからも何度も書いていくだろうと思います。


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by hinaseno | 2018-05-11 15:56 | 映画 | Comments(0)

牛窓暮色(その9)


牛窓が暮色に包まれようとした時間、今は病院となっている大きな建物のある丘の上で(その丘の背後にある山には墓地が広がっている)、クミさんが語り出したのが奪われた息子の物語でした。


クミさんは頰に当てた手(彼女が話しをするときの癖)を何度も震わせ、坂を一気に登ってきたためとは思えないような荒い息を吐きながらその物語を語り続けます。それはどこまで信じたらいいのだろうかと思えるような話の連続。明らかに不自然で矛盾する部分はいくつもあるけれど、カメラを持つ想田さんは、ときどき相づち程度の言葉をはさむだけでクミさんの話を聴き続けます。

日はどんどんと暮れていき、その場にいた想田さんとともに、見ているこちらも異界へとひきづられていきそうになってしまう。おそらく想田さんも危険なものを感じていたはず。


そんなときその場に現れたのが白髪の年老いた女性でした。彼女は少し離れたところからクミさんと想田さんの姿を眺めている。

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   *    *    *


このときに現れた白髪の年老いた女性は『港町』で何度か登場しているものの、ほとんど語りません。ただ、日が経つにつれて、この女性の存在が大きなものとなっていきました。


彼女はいつもクミさんといっしょにいるけれど、クミさんが語っているときにその話に加わってくることは決してしません。少し離れている場所からクミさんの話している様子を見つめているだけ。

実はクミさんは想田さんに向かって彼女の悪口をずいぶん言ったりしているんですね。聞こえているのかどうなのかはわからないけど、クミさんがときどき向ける視線を見れば自分に関わる、あまり好ましくない話をしていることはわかるはず。でも彼女は立ち去るわけでもなく、その場に立っている。


昨日紹介したクミさんが海沿いの道を歩いて知り合いの家に干物を届けに行くシーン、実はクミさんは白髪の女性に一緒に行こうと声をかけているんですね。でも、足の悪い彼女はその誘いを断ります。杖をついた彼女の歩きぶりを見ると、とてもクミさんのあのスピードについて行くことはできないことがわかります。


ところが彼女、クミさんが丘に上ったときには付いてきていたんですね。そのことが何日か経ってとても重要に思えてきました。

なんで足の悪い彼女が、海沿いの起伏のない平らな道を歩いて行くのは拒んだのに、上り坂が続く道を、しかもかなり日が暮れているのにもかかわらず付いてきたんだろうかと。

もちろん彼女はクミさんと同じスピードで歩くことはできないので、側に付いていた想田さんの奧さんと一緒にかなり遅れて丘に到着します。


彼女の姿が見えた瞬間、ああ助かったという気がしたんですね。彼女が助けたのはクミさんなのか想田さんなのかはわからないけど。でも、彼女はそこにだれかを助けにきたのではないかと。

これ、ちょっと村上春樹的ですね。物語的にしすぎているでしょうか。


丘の上で奪われた息子のことをクミさんが語り続けるこのシーン、精神的に問題を抱えた老婆が作り話をしているだけだと処理して何も感じない人もいたのかもしれません。実際、映画館では、あの語りが続くシーンで、ときどきクスッと笑い声が聞こえたりもしていました。僕にはとても笑えないようなところでも。


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by hinaseno | 2018-05-09 15:12 | 映画 | Comments(0)

牛窓暮色(その8)


今日は、丘の上でクミさんが語ったことについての話を書こうかと思いましたが、それは次回ということで、もう一つクミさんが『港町』の中で歩いていたルートを紹介することにします。

それはワイちゃんが作業をしている場所からニコニコ食堂のある広場(牛窓の終点のバス停がある場所)の少し向こうにある家に行く海岸沿いの道。クミさんは自分が作った干物を届けに行くんですね。


これは『港町』の本予告編の0:54で映るシーン。

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クミさんは地図で紫の星印で示したあたりを矢印の方向に向かって歩いています。

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パンフレットの表紙やポスターに使われているこの写真はまさにクミさんがニコニコ食堂の前の広場のあたりを通過している時です。向こうに見える駐車場にたいてい車をとめます。

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で、これは本予告編の最後に映るクミさん。

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干物を届けに行った家に人が誰もいなくて、仕方なく引き返しているところ。クミさんが立っているのはニコニコ食堂のある広場のバス停のすぐそばです。


ということでこのルートもビデオで撮ってきました。実際にはワイちゃんが作業する場所から歩きましたが、時間の関係で紫の星印のあたりからニコニコ食堂のある広場までをアップしています。

昔、川本三郎さんが宿泊された川源、それからかつて女郎屋だった建物、そしてニコニコ食堂が見えてきます。

この道も何度歩いたことやら。





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by hinaseno | 2018-05-08 12:31 | 映画 | Comments(0)

牛窓暮色(その7)


かなり「知っている」と思っていた牛窓の”あの”場所に、自分の「知らないこと」がこんなにもあったことを映画を見て思い知らされました。

知らない路地、知らない人の営み、知らない音、知らない風景、そして思いもよらなかった異界の存在。


映画の終盤、この映画の主役の一人であるクミさんによって想田さん夫婦は丘の上に連れて行かれます。そこはまさに異界ともいうべき場所。そしてそこでクミさんがひとつの物語を語り始めます。この映画で最も強い衝撃を受けたシーンでした。


そのシーンの話をする前に、その丘に行くまでのクミさんが歩いた路地のことを少し。

改めて『港町』の本予告編を。冒頭にその丘へ歩くシーンが映ります。




牛窓を高台から見た景色とともに聞こえてくるのは、クミさんの歩く足音。かなりのスピードです。で、次に緩やかに登る路地をそのスピードでクミさんが歩く後ろ姿をとらえたシーンが映り、そのあとクミさんが丘の上で語る場面がちらっと。


実はこの予告編を見ただけではクミさんが歩いた路地がどこにあるのかはわかりませんでした。で、映画を見て場所がわかったんですが、それは通ったことのない路地(路地のそばにある街角ミュゼ牛窓文化館には何度か入ったことがありました)。それが前日、地図で示した場所ですね。改めてその地図を。赤い矢印がクミさんが歩いたところです。

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これはやはりひと月前に撮った写真。地図の星印の場所から海の方を撮っています。まさかここが異界への入り口だったとは。

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向こうの堤防の近くにいつもワイちゃんやクミさんがいて、クミさんはここに入ってきたんですね。左手の角には小さな祠があって、その前に真っ赤な鳥居があります。この鳥居、映画でもちらっと映ったはず。

で、街角ミュゼ牛窓文化館からクミさんの速度で歩きました。




坂になる手前に井戸があるんですね。歩いている途中で、そういえば映画でクミさんが想田さんにこの井戸のことを説明していたなと。

近くに大きな川もなく、雨も少ないことから牛窓近辺には井戸があちこちにあります。あとで改めて立ち寄ったら、「朝鮮通信使ゆかりの井戸」という看板がついていました。

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さて、その井戸から丘の上まで。ここからはかなり急な坂道で、ちょっと息が切れました。途中にある地蔵も映画でクミさんが紹介していました。



この坂は本予告編の1:33あたりから再び映ります。そのあと丘の上での語りが少し。

彼女が語るのは「死」につながる話。


ところで、あとで確認してわかったんですが、ここの裏山の頂上辺りには墓地が広がっていたんですね。地図のオレンジ色で囲んだ辺りに墓地があります。実はこの墓地、猫たちがいっぱいいる場所を偶然通りがかった「DOG HUNTING」のジャンパーを着た女性が花を供えに行ったところなんですね。僕は想田さんが写した墓を探すために、矢印で示したあたりの山の道を歩きました。で、その道がクミさんが話していたあたりに通じていることがわかったんですね。


背後の山に墓があることはクミさんはもちろん知っていたはず。彼女がこの場所に来て「死」につながる話をしたのも、そうした場所との関係があったからなのかもしれません。


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by hinaseno | 2018-05-07 12:33 | 映画 | Comments(0)

牛窓暮色(その6)


想田和弘監督の『港町』本予告編をYouTubeで初めて見たときに、一番おっと思ったのはこのカットでした。

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すぐに思い浮かべたのは小津の『東京物語』の、あの福善寺で撮影されたこのカット。

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物語には「とみ」と「しょうじ」の墓。すごく気になってこのカットが撮影された場所を探しました。写真と見比べながら、かなりの時間をかけて。


想田さんの、あのカットを見たときに、これは絶対に『東京物語』のあのカットを意識したに違いないと思いました。

でも、墓がどこかは皆目見当がつかない。以前ブログにも書きましたが、今村昌平監督の『黒い雨』に映った墓のシーンは本蓮寺の裏の墓だとすぐにわかりました。でも、あそこの墓地とは全然風景が違う。いったいどこだろうと気になっていました。それがあの猫たちのいる井戸のそばの坂道を上がったところにあったとは。


想田さんがその墓に行くきっかけになったのは、猫に餌を与えている人のところに偶然通りがかった例の「DOG HUNTING」のジャンパーを着た女性。彼女は菊などの花を供えるために自分の墓に行く途中だったんですね。

これは「花くらべ」という岡山に現在も残っている風習。僕もここ数年、母親を連れて「花くらべ」に行っています。

「墓に花が並べられてきれいですよ」と女性に誘われて想田さんたちも付いて行ってみることにしたんですが、結果的には映画的にというか物語的にそれがとても重要なシーンになったんですね。

興味深かったのはその女性の墓のそばに上から落ちてきたという墓があって、そのだれのものだかわからない墓の世話も女性がしていたこと。たぶんそういうことのできる人だからこそ、野良猫に餌を与えていることに対して迷惑そうな目を向けることがなかったような気もします。


このシーンに関しては先日紹介した想田さんと中島さんの対談でもかなり語られていました。想田さんも「お墓に行き着いたのは全くの偶然だったのですが、撮影している時から『これは今回の映画にとって非常に重要な部分になるだろうな』と思っていました」と語っていますが、そんな重要な出来事が生まれるきっかけが、あの猫たちのいる場所で起こっていたということに、ただただ驚きました。


ということで猫たちのいる場所から坂道を登って墓のある場所までビデオで撮ってきました。




実は猫たちのいる場所に行くまでも緩やかな坂で、そこから立ち止まることなく結構急な坂を登って行ったので、正直息が切れかけていたんですが、ハアハアと息しているのが入らないようにするのって大変ですね。観察映画の大変さを少し知ることができました。


さて、墓のある場所に着いたものの、あのカットが撮られた場所は見当たらない。もう少し山を登ってみたら、もっと大きな墓地が広がっていたので、あちこち歩き回ったんですが、残念ながら見つかりませんでした。墓はさらにその山の向こうにも点在していて、それらをくまなく探すのは無理だなとあきらめました。戻って改めてあのカットをよく見たら、左の奥に見える山がポイントだったなと(山の入れ方も『東京物語』と似ています)。また、改めて行ってみます。


それはさておき、この山の上の方が墓地になっていたということは、物語的にあとにつながっていたんですね。


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by hinaseno | 2018-04-30 12:35 | 映画 | Comments(0)

牛窓暮色(その5)


昨日の夕方、ちょこっと牛窓に行ってきました。いくつか確認したい場所があったので。暮色までの時間はいれなかったけど。

その話の前に、ひと月前に牛窓に行ったときに撮った写真をもう一枚。『港町』に倣ってモノクロで。

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牛窓にはいい路地がいくつもありますが(まだ歩いたことのない路地もいっぱい)、ここは一番好きな路地の奥の方。牛窓で最もディープな感じの場所といってもいいかもしれません。古い街並みが続くしおまち唐琴通りから入るんですが、何度行ってもどこから入るんだっけ、となります。

で、昨日、そのしおまち唐琴通りからこの場所までの風景をビデオで撮ってきたのでそれを貼っておきます。途中、別の路地からおじさんが出てきて、ちょっと動揺しています。



ビデオに映っているように、この路地、突き当たりに階段があるんですね。それを登ると妙福寺というお寺があります。そのお寺には木蓮の木があって、3月末になるとそれを見に行ってます。

ここの一番の見所は、その階段の手前にある井戸。そこにいつもびっくりするくらい多くの猫がいるんですね。

でも、先月、久しぶりに行ったときにはそこに猫が一匹もいなかった。一体どうしたんだろうと。

ちなみに上に貼った写真はその階段の手前を左に曲がって山の上に登る坂道を撮ったもの。いい感じの坂道だったので、また今度来たときに登ろうと思っていたら、『港町』でまさにそこを登っていくシーンが出てきてびっくり。


ところでこの場所を見つけたきっかけのこと(以前書いていたような気がしましたが書いていなかったですね)。想田さんが牛窓でいろいろと撮影しているのを知った少し後、ニコニコ食堂のそばの小料理屋さんに行ったら、最近牛窓を舞台にした映画が撮られて、それが上映されたばかりだということを教えてもらいました。それが『晴れのち晴れ、ときどき晴れ』という映画。主演はEXILEの人ですがよく知りません。

DVDが発売されてすぐに借りて観ました。この映画、あのニコニコ食堂が舞台になっていてびっくりだったんですが、正直ストーリー的にはどうでもいいような映画(怒られる?)。

ただ、ひとつ印象に残った場所があったんですね。それが主演の白石美帆さんが座っていたこの石段のある路地。

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次にこの石段の上から下の路地を撮ったシーンも映りました。

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ここはいったいどこだろうと思って、この写真を持って小料理屋さんに行き、場所を教えてもらいました。

妙福寺というお寺の近くだと。でも、見つけるのは大変でした。で、ようやく見つけたらそこに猫がいっぱいいたんですね。20匹くらいはいたんじゃないかな。

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そしてそこで撮った写真を一枚投稿しました。たぶんこの写真。

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そうしたらなんと想田さんからリプが来たんですね。「そいつ、知ってる」と。びっくりやら、うれしいやら。それがちょうど5年前のことでした。

でも、その猫たち、3年前に公開された『牡蠣工場』には出てこなかったんですね。


それが今回の映画では、しっかりと映っていました。あんなに多くの猫がそこにいる理由も。

その理由がよくわかっただけに、ひと月前に行ったときに猫の姿が全く見えなかったことが気になったんですね。もしかしたら何らかの事情で猫への贈与のラインが閉ざされる事態が生じたのではないかと。


というわけで今回、改めてその場所に行ったら、上のビデオに映っているように井戸のそばに2匹の猫がいました。少なすぎるけど。

しばらくその場にいたら、隣の家の、猫用に作られた通り道からこちらをのぞいている猫を発見。警戒しながらも大丈夫と思ったようで、一匹出て来たら、さらにもう一匹。どうやら家の中で贈与が行われているようでした。



ところで『港町』では、猫に餌を与えている人に「色々とトラブルがあるんじゃないですか」と聞いていたときに一人の女性がその場に登場します。女性の着ているジャンパーの背中には「DOG HUNTING」との文字。どきっとするけど、でも何だか笑えるシーン。映画館でも笑いが起きていました。

この女性の登場はもちろん偶然だったはずですが、最初に貼った坂道はまさにこの女性が登っていくことになるんですね。で、登って行ったところにあったのが、予告編でどこだろうと一番気になっていた場所でした。

ということでその坂道を登ってきました。


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by hinaseno | 2018-04-29 13:08 | 映画 | Comments(0)