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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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2019年 06月 24日 ( 1 )



今日の神戸新聞の朝刊の第一面の「正平調」というコラムに、先日の姫路文学館の望景亭で開かれた世田谷ピンポンズさんの話が載っているという情報を発見したので早速神戸新聞のサイトでチェックしたら、なんとなんとあの木山捷平の「船場川」に関する話が。これはすごい。全文引用します。

あえないで帰る月夜 船場川はいつものように流れていたり…。フォーク歌手世田谷ピンポンズさんの歌「船場川」は、作家木山捷平(しょうへい)の詩に曲を付けたもの。船場川は姫路城の西を流れる川だ◆世田谷と名乗るが、京都在住。複数形だがグループではなく、単独で活動している。まだ35歳の若さだが、ギター一本引っさげて、古い文学作品や懐かしの風景を歌う◆歌声に乗ると、昭和の私小説作家の孤独が今の私たちに重なり、心を揺らす。当のピンポンズさんも、学生時代は全く友達がいなかったらしい。とかく人の世は生きづらいが、どこかに理解者がいれば救われる◆現在、15~39歳で約54万人、40~64歳では60万人以上が引きこもり状態にあるという。一人で抱え込まず、悩みを吐き出すすべはないものか◆先月、姫路文学館での演奏会で、ピンポンズさんは提案した。「姫路の信号機で『船場川』を流してみては?」。やり場のない感情を歌が代弁し、道行く人々と共有できれば、少しは心の和らぐ人がいるだろうか◆しかしメロディー式信号機というのも、近頃はとんと見かけなくなった。つくづく古いものがお好きなようで。そんな忘れられた、目立たない場所に目を凝らしてこそ、大切なものが見えるのかもしれない。(2019・6・24)


ピンポンズさんのこと、そして木山捷平のことが新聞の第一面に載るなんて。正平調のコラムニストの方、5月のライブに来られていたんですね。しかもいい話。とりわけ最後の「姫路の信号機で『船場川』を流してみては?」あたりからの話はたまらないですね。

ああ、新聞ほしい。だれか、余分に買っておいてください。


ところで正平調(「しょうへいちょう」と読むのかなと思ったら、どうやら「せいへいちょう」のようですね)、ちょっと過去のコラムを辿ってみたら、最近のだけでもおっという話がいくつもありました。6月14日にはアッバス・キアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」のことが書かれていました。わが国の首相がイランを訪問した話のまくらです。


映画の話を少し。男の子が級友のノートを誤って家に持ち帰ってきた。イランの小さな村を舞台にした、アッバス・キアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」(1987年)である◆級友はきょうも宿題をノートに書いてこず、先生にひどく叱られていた。男の子はノートを返そうと家を飛び出したものの、その子の家がどこにあるのかを知らない…


僕個人としてはアッバス・キアロスタミに登場している人たちに激しく共感し、宗教に関係なく同じアジア人として共通するものをいくつも見出していたんですが、でも、わが国の首相は…

いや、やめておこう。ということで後半は省略。

さらに過去のコラムを辿ると、今月の初めにも木山捷平が登場していました。前日くらいに起きた事件の話のまくらとして使われているんですが、ここで引用されている話は木山さんが姫路にやってくる直前の出来事のこと。正平調のコラムニストの方はンポンズさんのライブをきっかけに木山捷平が姫路に来たいきさつなどをいろいろと調べられたのかもしれないですね。こちらは全文引用します。


作家の木山捷平(しょうへい)が若い頃である。不摂生で体をこわし、実家に帰省を願い出たのだが、黙って仕事をやめて大学に通っていた息子を父は許さない◆考えの甘さを戒める父の手紙はしかし、こう結ばれていた。「わかつたとは言ふてくれるな」(梯久美子著「百年の手紙」より)。物わかりよく反省するお前ではなかろう、と。父は結局、帰省費も出してやる◆心配をかけるわが子を最後には救ってやりたい。どの親もそうだと思うだけにやりきれない。76歳の元農林水産事務次官が44歳の長男を殺害したとされる事件である。長男が実家に身を寄せてすぐの惨劇だった◆川崎市で児童ら20人が殺傷された事件からまだ日がたたない。長男は私たちに暴力をふるい、小学校の音にも腹を立てる。これでは他人に危害を加えるかもしれない…。そんな趣旨の供述を父はしているという◆体にあざがあったという老父の心情に思うところなしとはしないが、見識も人脈も広いはずの元官僚トップが自ら出口をふさいでしまっては救いがなくなる。助けを求めたり相談したり、道を探ってほしかった◆とは言いつつ、わがことに置き換えれば、誰でも考え込む。「家族の問題だ」という世間の風潮がカーテンを閉めさせ、外の光を見えなくさせる。(2019・6・5)


最後にもう一つ紹介。今年の3月29日の朝刊に載ったコラム。松田聖子さんが歌った「制服」という曲の話。作詞はもちろん松本隆さん。実はこのコラム、松本隆さんがリツイートしてたんで、ネットで読んでいました。


卒業シーズンを彩る一曲に松田聖子さんの「制服」がある。四月からは都会に/行ってしまうあなたに/打ち明けたい気持ちが…。歌の続きによれば、「あなた」は東京に出るらしい◆進学や就職などに伴い、若い人がふるさとを離れていく。ひと昔前ならまぶしく映った青春の光景も、今では少し違って見える。人とモノは都市圏に集中するばかり。先細っていく地方の危機が叫ばれて久しい◆「制服」を手がけた作詞家、松本隆さんが神戸に拠点を移して7年になるという。先週の本紙夕刊で語っていた。アメリカにはニューヨークだけでなくラスベガス、サンフランシスコと歌手の活躍できる町が多くある。「日本も東京だけじゃダメだ」と◆地方の踏ん張りどき、いやむしろここが元気でないといけない、とは音楽だけに限った話ではないだろう。といって、言うはやさしい「地方創生」にどんな妙手を打てるのか。一緒に考える今がいい機会である◆統一地方選の論戦が兵庫でも始まる。地元で新生活を迎え、初めて1票を投じるという若者もいるに違いない。「あなた」が住む都会より、わが町のほうが暮らしよい-そんな知恵を少しでも多く聞けたらいい◆候補の皆さんには若者にも響く言葉で具体策を語ってもらおう。(2019・3・29)


正平調、いいですね。明日から朝日新聞に連載されている鷲田清一先生の「折々のことば」とともに、毎朝チェックすることにします。


by hinaseno | 2019-06-24 11:51 | 雑記 | Comments(0)