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by hinaseno
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2019年 06月 15日 ( 1 )


『早春』と『港町』


昨日は、昼過ぎにNHK-BSで三石を舞台にした小津安二郎監督の映画『早春』が放送され、深夜(日付では今日)には日本映画専門チャンネルで牛窓を舞台にした想田和弘監督の『港町』が放送されるというミラクルな一日。たまたまなんでしょうけど、僕にとっては夢のよう。

想田和弘監督の『港町』と小津映画とのつながりについてはこのブログでも書いたように思いますが、先日、『小津安二郎大全』という結構すごい本が発売されて、その中に想田さんも寄稿されていました(内田樹先生も寄稿)。

タイトルは「小津映画との出会い」。こんな書き出しです。


 映画青年でもなかった僕がいま映画を作る仕事をしている理由のひとつは、小津安二郎の映画に出会ってしまったからである。
 大学時代、雑誌に載っていた小津作品(おそらく『晩春』だったと思う)についての短い文章を、たまたま目にした。たぶん川本三郎さんによるコラムだったと思う。

きっかけは川本三郎さんですね。

で、出会いというものの多くがそうであるように、本当の出会いは”再会”という形で訪れます。それは想田さんがニューヨークの美大の映画学科に留学したときのこと。


 入学してすぐ、必修の映画理論の授業を取った。授業で上映される作品リストを一瞥して、またもや「あっ」と声をあげてしまった。世界の名作に交じって『東京物語』の文字があったのである。
 国際色豊かな同級生たちと試写室の椅子に座り、電気が暗くなり、映写機が動きだした。そしてあの松竹の富士山とともに斎藤高順の音楽が鳴り始めた瞬間、僕は不覚にも泣いてしまった。

で、映画学科を卒業後、想田さんはドキュメンタリーと出会い、ドキュメンタリーの映画を撮るようになる。想田さんの文章はこう結ばれています。


 知らぬ間に小津とは真逆の手法に行ってしまったなあと思う。同時に、ある意味では小津からまったく離れていないとも思う。ジャンルや手法は異なっても、僕は今でも相変わらず、小津のように「生きること」や「死ぬこと」を描きたい、と思い続けているからである。


考えたら、僕は近しい人が死んだときの作法のほとんどを小津の映画から学んだような気がします。で、それは間違いなく僕の生き方を作っていったんだろうと。


想田さんの『港町』はやはりつい先日DVDで発売されたばかりなので、見逃した方はぜひ手に取って見てください。

小津の『早春』は今ではDVD、Blu-rayなどたくさん出ています。

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そういえば昨日『早春』が放送されたので、僕のブログへのアクセスがどどっと増えていました。また、新たに三石で早春探偵をする人が増えるかもしれません。それから想田さんの映画を見てこの週末、牛窓で港町探偵をする人もきっといるはず。僕はしばらく牛窓に行っていません。また行きたいな。


さて、今日からはちょっと久しぶりに小津の『麦秋』を見るつもり。『麦秋』の「麦」は正しくは「麥」なので『麥秋』と表記すべきですね。次は『麥秋』つながりの話を書く予定です。


by hinaseno | 2019-06-15 12:32 | 映画 | Comments(0)