人気ブログランキング |

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

2019年 05月 02日 ( 1 )



昨日僕が撮った宇仁菅書店の写真を探したので、ちょっと話がそれるけどパソコンに保存している古い写真のことを。いちばん古い写真は2010年1月25日に撮ったもの。三石の駅を撮っていました。三石探索を始めた頃ですね。

僕がiPhoneを買ったのはiPhone3Gが日本で発売された2008年7月(近くのショップでクジに当たった)なのですが、その頃撮った写真は残っていない。パソコンと同期されていなかったのか、あるいはパソコンかiPhoneがいっぱいになったときに削除したか。

撮った写真はマイアルバムのファイルに分けて保存していますが、数枚だけちょこちょこと撮ったようなものは「my picture」と題したファイルに入れています。

その「my picture」のファイルの最初に入っているのが神戸の住吉駅近くに完成したばかりの内田樹先生の凱風館の前で撮ったもの。家をバックに自撮りもしてます。もちろん了解をとって(了解をとったのは設計者の光嶋さん)。日付は2011年11月3日。

実はまさにこの日に初めて宇仁菅書店と、同じ六甲道にある口笛文庫の立ち寄っているんですね。写真も何枚か撮ったんですが1枚も残っていません。

「my picture」のファイルの凱風館の次に入っているのは翌2012年2

月に姫路の南の方にあるカフェで行われた吉田慶子さんのライブのときの写真。吉田慶子さんと一緒に写った写真もあります。

内田先生の凱風館と吉田慶子さんのライブ、何の関係ないはずのこの2つが実はつながっているんですね。


僕があちこちの古本屋に足を運ぶようになったのは2011年の秋頃。そのときからの3年くらいが最も古本屋に通っていた時期。でも、古本マップとかを買って歩くというのではなく、たいていは行き当たりばったり。2011年の暮れにおひさまゆうびん舎と出会ったのも、たまたまあの路地を歩いていたときのこと。

宇仁菅書店と口笛文庫も以前から知っていたわけではありません。設計当時から気になっていて完成したら一度は見たいと思っていた凱風館を見に行くついでに、せっかくなのでそのあたりで古本屋はないかと調べたら住吉の一つ手前の六甲道にその2つの古書店を発見したんですね。

口笛文庫も『漱石全集を買った日』のゆずぽんさんの話に出てくるように最高に素敵な書店なんですが、歴史のある宇仁菅書店と、ちょっと新しい口笛文庫が同じ町に存在していたというのはすごいことだなと思います。いや、ほんとに。


さて、2011年11月3日のこと。JRの六甲道で降りて、まず行ったのが駅からすぐの場所にあった宇仁菅書店。入ってすぐにそこが素晴らしい古本屋であることがわかりました。

その頃僕がいちばん探していたのは小沼丹。残念ながら小沼丹は一冊もありませんでした。でも、興味深い本がいっぱいありました。

そういえばその頃の僕の古本熱に多大な影響を与えたのがクラフト・エヴィング商會の『おかしな本棚』だったんですが、それに掲載されていた本、特に大型の豪華本がいくつもありました。これはすごいやと思ったんですが、そのあとで口笛文庫に行くのと、さらに口笛文庫から凱風館まで歩いて行こうと思っていたんで、あまり大きな本を買ったらちょっと大変だなと。もちろんお金のこともありました。

その中で1冊、すごく悩んだ本があったんですね。

『ブラッサイ やさしいパリ』。

やはり『おかしな本棚』に載っている本だったんですが、中を見たら内容が素晴らしかったんですね。古いパリにはずっと憧れていたので。ずいぶん悩んで、結局買うのをやめました。で、ほかに3冊ほど単行本買ったんですが何を買ったか全然思い出せない。『おかしな本棚』に載っていた(小西康晴さんの『ぼくは散歩と雑学が好きだった』にも載っていたような気がする)矢内原伊作の『モンマルトル便り』をそこで買ったかなと思ったけど、取り出してみたら宇仁菅さんのシールが貼られていない。やはり違うか。


レジは店の少し奥まったところに作られた切符売り場のようなところにあったような気がします。店主の顔が見れたような見えなかったような。

お金を払うときに「小沼丹、ありますか」と訊いて、それから「とてもいい店ですね。また来ます」と言ったように思います。そう、また来て、今度は『ブラッサイ やさしいパリ』を買おうと。


その言葉の通り、年が明けて間もない時期に店に行ったんですね。でも、店は閉まったいました。で、その数日後にネットのニュースで宇仁菅書店の店主が亡くなられて店を閉めることを知りました。そのことをおひさまゆうびん舎の窪田さんに伝えたら、窪田さんにとっても宇仁菅さんは大切な書店だったようで(というか窪田さんの方がいい思い出をたくさん持っていたようです)、すごくびっくりされていたのが印象的でした。閉店セールには結局行きませんでした。閉店セールで『ブラッサイ やさしいパリ』を買いたくはなかった。

ということで、宇仁菅書店のことを考えたときにまず頭に浮かぶのはそこで買うことができなかった『ブラッサイ やさしいパリ』。買えなかった本のことを覚えているっていうのも変な話だけど。

のちにそれを手に入れた過程については語るべき物語は何もない。ちなみに『ブラッサイ やさしいパリ』の最初に収められた写真は先日火災になったノートルダムから撮った街の風景。

a0285828_14092847.jpeg


さて、2011年11月3日の話の続き。

僕は、また来ますとは言ったものの、次に来たときにはなくなっているかもしれない『ブラッサイ やさしいパリ』のことを考えながら緩やかな坂を北に登って行きました。向かったのは口笛文庫。


by hinaseno | 2019-05-02 14:10 | 文学 | Comments(0)