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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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2018年 06月 16日 ( 1 )



暇をみつけては(まあ、いつも暇です)『新春放談』を2011年に放送されたものから順番に遡って聴いていて、ようやくある会話をみつけました。映画の話がひとしきり終わった後、大瀧さんがある人の名前を口にします。

寺尾次郎。

その部分から。


大瀧:寺尾次郎みたいなのもいたしね。でも、(映画の話を)あんまりしなかったんだよ、そのころね。
山下:寺尾とか、一回も映画の話、したことない。
大瀧:そうなの。
山下:言わないんだもの、あいつ。
大瀧:う~ん、知りすぎてっからね。
山下:おそらく。くっくっ、おかし。
大瀧:人に歴史ありだよね。
山下:字幕書いちゃうんだもん。
大瀧:書いちゃったんだよね。寺尾次郎とか出ちゃうんだよね~、字幕が。
山下:今聴くとベース上手いんですよね、結構。
大瀧:なかなかね。ランニングなんかね。
山下:ろくすっぽ聴いてやしなかった。
大瀧:(笑)。あの鰐川くんがゴツいベース弾いてたからね。非常に寺尾君がスマートな感じに聴こえたよね。
山下:うん。なんか多彩というかね。
大瀧:う~ん、確かにね。すごい人だったんだよね。
山下:(笑)
大瀧:ぞんざいに扱った今はちょっとね、過去を反省しなきゃいけないね。
山下:(笑)どっかでクシャミしてますね。
大瀧:(笑)いろんな人が集まったんだよね。才能は呼ぶんだね。
山下:だけど人の出会いというのは不思議なものですよね。本当に今から考えても、なんかそこで出会うべくしてたぶん出会ったんだろうけど…
大瀧:後になるとそう思うんだろうけれども、ねえ。
山下:その時はなんの別に…
大瀧:意図があったわけでなく。
山下:ドラマ性もない。
大瀧:ないないない。ほんとに、簡単に、偶然としか言いようがない。
山下:日常の一コマでパッとやって、それがだんだん肥大していくという。不思議ですねえ。
大瀧:不思議だねえ、歳をとればとるだけ。
山下:つくづく思ってきますね。


「What A Diff'rence A Day Made」と題して塩屋でのことを書いた最初の日のブログで、「楕円」と「楕円」がつながる、ということで紹介したのが寺尾紗穂さんでした。その紗穂さんのお父さんである寺尾次郎さんが、それを書いた3日後の6月6日に亡くなられました。


僕が紗穂さんのことを知ったのは寺尾次郎さんの娘さんとして。寺尾次郎さんは達郎さんがいたシュガーベイブのメンバーで、もちろん大瀧さんとも交流がありました。

もうかなり前になって、いつだったか忘れましたが、たぶん10年くらい前のサンデーソングブックで、達郎さんが自分といっしょにやっていたミュージシャンの2世がデビューして活躍するようになっているという話をしたんですね。そのときたぶん紹介したのが寺尾次郎さんの娘さんである寺尾紗穂さんと、それから土岐英史さんの娘さんである土岐麻子さんでした。


寺尾次郎さんのことはこのブログでも何度も書いているので繰り返しませんが、僕が寺尾さんに興味を持つことになったのは『レコード・コレクターズ』2012年4月号に収録された大瀧さんと佐野さんと杉さんの対談。テーマはもちろん『ナイアガラ・トライアングル VOL.2』。でも、ここで大瀧さんが語っていたのは一言で言えば「縁」の話。対談というよりも、大瀧さんが佐野さんと杉さんに事実確認をしている感じ。

とにかく興味深い話の連続で、僕が「縁」のことを強く意識するようになったのはまちがいなくこれがきっかけでした。ってことなのでこのブログでもこの時に大瀧さんが語った話はなんども引用しています。そしてとりわけ関心を持ったのが寺尾次郎さん。たぶん語り手である大瀧さんが寺尾次郎さんという人の存在に関心を持っていたからこそ、僕も寺尾さんに興味を持ったんだろうと思います。

ナイアガラ・トライアングルのおもしろさは、ただ単に『VOL.1』と『VOL.2』に参加したそれぞれ3人ずつのアーティストのつながりだけでなく、大瀧さんを除いた『VOL.1』の2人と『VOL.2』の2人にも不思議なつながりがあるところなんですね。佐野さんをプロデュースしていた銀次さんはいうまでもないけど、杉さんが学生時代にやっていたバンドに達郎さんと結婚することになる竹内まりやさんがいたとか。大瀧さんも『VOL.2』をやるときにあらかじめ知っていたこともあれば、あとになってそうだったのかとわかったこともある。そんな中で一番興味深いのが佐野さんのバンドにいたけれど達郎さんのシュガーベイブに引き抜かれてしまって、佐野さんがしばらくソロで活動することを余儀なくされる原因となった寺尾次郎さん。佐野さんにとっては「にっくきシュガーベイブ」「にっくき寺尾次郎」なんですね。もちろん今となっては「(笑)」をつけることもできる話。結果的には佐野元春というアーティストを成長させることにもなり、そのさらなる成長があったからこそ大瀧さんとの縁も生まれたわけなので、その意味では寺尾次郎さんというのは見えにくいけれどもとても重要な存在だと大瀧さんは思ったんでしょうね。


僕なりのイメージとしては2つのトライアングル(それぞれ3つの焦点をもつ楕縁)をつないでいる人でした。


映画の世界にどんどんとのめり込んでいっていた大瀧さん、いつか寺尾次郎さんと映画の話をしてみたかったんじゃないかな。いや、今頃、いろんな話をしているはず。

まずは「ぞんざいに扱った」ことをわびたかもしれません(笑)。


明日のサンソンはきっと寺尾次郎さんの追悼特集のはず。聴き逃さないようにしよう。

これは第2期のシュガーベイブ。一番右が寺尾次郎さん。

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by hinaseno | 2018-06-16 15:00 | ナイアガラ | Comments(0)