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by hinaseno
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2018年 03月 04日 ( 1 )


楕円の夢


武蔵小山のアゲインで行われた平川克美さんの『21世紀の楕円幻想論』発売記念トーク・イベントの後半は”助っ人”として小田嶋隆さんが登場。やっぱりおもしろいですね、このお二人の話は。

小田嶋さん、先日の報道ステーションの最後の言葉(僕はずっとカーリングを見てたけど、小田嶋さんが報道ステーションに出演されているという情報が流れて来たので最後の方をちらっと見たら、ちょうどあの場面だったんですね)、あとでかなり自己嫌悪に陥ってしまったようです。いろいろと言い訳されてましたけど。正直なことを言うにはマツコみたいに女装するしかないとか。次回を楽しみにします。


さて、トーク・イベントの最後は、なんと太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」がかかったんですね。

おおおっ! 

となるところですが、これについてはトーク・イベントの翌日の石川さんのブログに書かれていたので知っていました。でもやはりうれしかったですね。

石川さんの話によると平川さんがアゲインに到着するとすぐに「木綿のハンカチーフ」が店にあるかどうか尋ねたそうです。でも、店になかったので、すぐに上のペット・サウンズに買いに行ったんですね。すぐそばにCDショップがあるって本当にいいですね。


ところでそのペット・サウンズの通販で先日買ったのがこのCDでした。

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寺尾紗穂さんの『楕円の夢』。

実は先日「楕円」に関するある画像を探していたときのこと、「楕円」と別のある言葉を入れて画像検索をしていろいろ見ていたら、このCDのジャケットの写真を見つけたんですね。目的の画像とは全然違うものだったんですが、どこかで見たことあるなと。それが寺尾紗穂さんの作品だとわかって、おおおっ!ってなったんですね。


アルバムが発売されたのはちょうど3年前の2015年3月。調べたらアルバムの最後に「楕円の夢」という曲が収録されていることもわかったのでYouTubeをチェックしたら曲のプロモーション・ビデオがありました。これが素晴らしいんですね。曲もいいし、映像も素晴らしい。




ところで寺尾紗穂さんというのはあのシュガー・ベイブのベーシストである寺尾次郎さんの娘さん。寺尾次郎のことはこのブログでも何度も書いていますね。シュガー・ベイブに入る前には佐野元春さんのバンドにいて、そこから引き抜かれてシュガー・ベイブに入ることになったので佐野さんにとっては「にっくきシュガーベイブ」の原因になった人。もちろん大瀧さんの曲でもいくつもベースを弾いていて、以前紹介したこの映像では、大瀧さんの後ろでベースを弾いている姿が映っていました。

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その娘さんがシンガー・ソングライターになって活動されているのを知ったのはずいぶん前ですが、紗穂さんを熱心に応援されていたのがまさにペットサウンズだったんですね。『楕円の夢』も2015年3月5日の「今日の1曲」で紹介されていました。それを読んでみたらなんと、あの「楕円の夢」のPVは武蔵小山で撮影されていたと書かれていてこれまたびっくり。


さて、その武蔵小山のペット・サウンズから送られてきたCDにはうれしいことに『楕円の夢』発売記念のリーフレット(それから『楕円の夢』のジャケットのバッジ。円形ですが)が付いていました。ペット・サウンズの森さん(陽馬さんでしょうね)が紗穂さんにインタビューしたものなんですが、「楕円の夢」に関して興味深いことが語られていました。

たとえば「楕円の夢」とはどのような夢なんですかという問いに対して。


「楕円の夢」は、一言で言えば「1から離れる」ということです。それは単眼的なものの見方から離れて、一つのものの見方や自分自身を相対化してみるということです。
けれど、これはとても難しいことなので、人は悩んだり自殺したり、世界には殺人や争いが絶えないということになっていると思います。
私自身が、そして世界がもう少しやわらかく、ほぐれたものになるように、という願いを込めて夢という言葉を使いました。

それから5曲目の「いくつもの」という曲に関する質問で、こんなことも語られていました。


マスタリングした日がジャーナリストの後藤さんが殺された日でした。この曲にさしかかって、涙が出ました。
『楕円の夢』では、個人的な体験や感情を相対化するものとしての楕円、ということろから描いていますが、固定した価値観から離れてみる、という意味でこの世界で起きているあらゆる問題を考える時にも有効だと思っています。後藤さんを殺したものも硬直して、その意味で円的なものであった、と言えると思うのです。
残された者が世界を、人を、やわらかくしていかなくてはならない、と思います。

そう言えば後藤さんが殺害されたときに「自己責任」という言葉があまりに無責任に使われていましたが、平川さんも『21世紀の楕円幻想論』の中でその「自己責任」という言葉に関して強い疑問を投げかけています。「責任」ということはこの本の重要なキーワードになっているんですね。他者に向かって平気で「自己責任」だと言うようなことは楕円的世界のモラルでは考えられないこと。


平川克美さんが「21世紀の楕円幻想論」を考えるきっかけとなった花田清輝の「楕円幻想」のことを寺尾紗穂さんが知っているかどうかはわかりませんが、平川さんと紗穂さんがイメージする「楕円」はかなり重なり合っていることがわかります。


さて、そんな平川さんと寺尾紗穂さん、実は面白いことに、想田和弘さんの『牡蠣工場』のパンフレットにそろって載っていて、それから今朝わかったことですが、その想田さんの新作『港町』の公式サイトに新たに寺尾紗穂さんもコメントを寄せられたんですね。

「楕縁」の不思議さ、です。


紗穂さんのコメントも素晴らしいのでこちらに貼っておきます。


一人の老婆に導かれて垣間見る平穏な港町の日常。しかし突然訪れる転調は見る者に動揺をもたらす。他者について下す判断、抱く印象、それらが崩され、塗り替えられていく時間の中で、自分の感覚や想像力の不甲斐なさが浮き彫りになる。暮れゆく港に響く波の音だけがいつまでも耳に残っている。



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by hinaseno | 2018-03-04 14:40 | 雑記 | Comments(0)