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by hinaseno
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2018年 01月 14日 ( 1 )



この話もいよいよ大詰め。

本当は2回で終わりにして、「きみの肩のうえでやさしさ…」の部分は大瀧さんが考えたんだという結論にするつもりだったんですが、実はそうでなかったということで長い話になりました。あれは松本さんから出た言葉だったとは。しかも想定外の「3行」。それがきちんと証拠として残っているのだからびっくり仰天でした。


ところで昨日は終日『定本はっぴいえんど』を読んでいました。とりあえずまずは大瀧さんのインタビュー、それから松本さん、細野さんのインタビューを読みました。大瀧さんのが一番長いんですね。まあ、大瀧さんは当時の出来事をきちんと書いた手帳や、歌詞のメモなどいろんなものを持っていたので、証言としては一番信用がおけたのだろうと思います。


さて、いろいろ読んでいて、ひとつだけおっというものを見つけました。それは松本さんがロスから国際電話で歌詞を聞いた相手のこと。

僕が持っている『HAPPY END』のCDの解説や、あるいは大瀧さんの2012年のインタビューでは電話した相手は当時のはっぴいえんどのマネージャーの石浦信三さんということになっているんですが、『定本はっぴいえんど』の執筆者の『HAPPY END』の解説では電話したのは石浦さんではなく松本さんの奥さんということになっていました。


大滝がアイディアを使いはたし詞が書けないということで、松本が国際電話で自宅に電話し、夫人に『風のくわるてつと』の中で、まだ曲のついてないものを読んでもらい、それを控え、大滝に渡している。

まあ、マネージャーの石浦さんからにせよ、松本さんの奥さんからにせよ、『風のくわるてつと』に収められた形の詞が伝えられたことだけは確かなようです。


さて、改めて『定本はっぴいえんど』に掲載された「外はいい天気だよ」の歌詞の手書きメモを。

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それからこちらは『風のくわるてつと』に載っている詞。

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最後の×の部分以外は基本的にはそのままですね。漢字、ひらがなの表記もほぼ同じ。

違いはというと『風のくわるてつと』では「机」となっているのが「テーブル」に、「ほおづえついて」が「ほおづえつき」になっています。

おそらく字数を整えるために変更したはずなので、このメモは電話で伝えられたのを書き取ったそのままのものではなく、大瀧さんが曲を作り始めて、大瀧さんの意見を取り入れる中で書き換えられたものと推測できます。


大きな違いは『風のくわるてつと』の詞では最後に「さあ あたまに帽子のせて…」のサビが繰り返しがくるのですがメモの方ではカットされて、新たな歌詞が3行加えられていること。


メモで最後のサビがカットされていることに関しては、ただ単に繰り返しなので書くのを省いただけのことだろうと思っています(最初に大滝さんに渡されたメモには当然書かれていたはず)。大瀧さんが作ろうとした曲の1番の構成を見ればわかるように、最後にサビが来るからこそ必要な部分としてあの3行が書き加えられているはずなので。


ちなみにその最後のサビはこんな歌詞。1番の後に出てくるサビと少し違っています。


 さあ
 あたまに帽子のせて
 でかけなさいな
 ほら外はあんなにいい天気だよ

最初のサビの「いい天気だよ」の前に「あんなに」という言葉が入っているんですね。4文字も多い歌詞を同じメロディで歌うのは難しいのでは、と、知らない人であれば思うかもしれませんが、実はこの曲は「あんなに」が入った方が自然な形のメロディになっているんです。ところが『HAPPY END』版の「外はいい天気」でも、結局最後のサビがカットされて、「あんなに」が入っていない最初のサビだけが残ったのでそこは「い~い~い~い~」と歌っているんですね。はっきり言えばかなり不自然。

やはり大瀧さんは最後に「あんなに」を入れた形のサビがくる形の曲作りをしていたことは間違いありません。だからこそ、そのために1番と同様の形をした3行の言葉を松本さんに考えてもらう必要があったんです。


ちなみにはっぴいえんど後に作り直された「外はいい天気だよ」では、最後にサビは来ないものの、一度目のサビで「あんなに」を入れて歌っているんですね。そっちの方がもちろん自然です。


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by hinaseno | 2018-01-14 14:18 | ナイアガラ | Comments(0)