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by hinaseno
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2014年 04月 24日 ( 1 )



川本三郎さんが牛窓を再訪されたときの話を収めた『文藝春秋SPECIAL もう一度日本を旅する』(2010年季刊夏号)をぱらぱらとめくっていたら、川本さんのエッセイによく登場される、やはり鉄道好きの原武史さんのエッセイが載っているのに気づきました。タイトルは「山陽本線で歴史を感じる」。初めに原さんは山陽本線の魅力についてこう語っています。
眺めのいい線なら他にもたくさんあります。(中略)これらの線と山陽本線が決定的に違うのは、自然と人間の営みが関わり、歴史の厚みが感じられることなのです。

で、いろんな場所のことを書かれた最後に「山陽本線の車窓風景十選」というのが載っていて、なんとその第2位が「上郡ー三石」。
ちなみに1位は「須磨ー垂水」。電車で神戸に行くときには、このあたりを通るときが一番ワクワクします。それから3位は「新倉敷ー金光」。ここまで兵庫・岡山間が占めています。ついでと言っては何ですが、小津安二郎の『東京物語』の舞台のひとつになっている「東尾道ー尾道」は第5位。

さて、堂々の2位に選ばれた「上郡ー三石」についてこんなことが書かれています。
 神戸から門司まで、山陽本線はかなり長い距離を走るわけですが、車窓に現れる小さな変化に気をつけていると、「違う文化圏に入った」と感じることがあります。たいていの場合、駅間距離が長いところが境界にあたっています。上郡ー三石間がいい例で、12.8キロに及ぶこの区間は船坂峠で兵庫県と岡山県に分かれます。それは、そのまま昔の「播磨国」と「備前国」の分岐点でもあります。だらだらと続いた上り坂がやっと終わり、船坂トンネルを越えると、突然、煙突が点在しているのが目に入ってくる。この煙突は、耐火煉瓦工場なのです。三石の駅舎も橙色の瓦屋根が目に鮮やかで、風情がある。このトンネルを越えるとき、私はいつもゾクゾクしてしまいます。この感覚は、未知の文化圏に対する期待感でもあるのでしょう。

『東京物語』の撮影のために、小津が山陽本線に乗って尾道に向かっていたときにも、この船坂トンネルを越えて、突然、煙突が立ち並んでいる風景(小津が訪れたときには「点在」ではなく「林立」ですね)に驚いたに違いありません。

と書きつつ、僕が電車に乗ってこの区間を通ったのはそんなにないですし、まず初めに岡山側から兵庫に向かったので、驚きを感じることはありませんでした。
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by hinaseno | 2014-04-24 10:31 | 文学 | Comments(0)