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by hinaseno
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初恋の人の話


久しぶりにスロウな本屋さんへ。ようやく松村圭一郎さんが編者の一人に名を連ねている『文化人類学の思考法』(世界思想社)を手に入れました。松村さんと平川さんの本はスロウな本屋で買わないとね。また、ゆっくりと読ませていただきます。「はじめに」は松村さんが書いているのかな。何枚か掲載されている写真の「子どもの髪を結うおばあさん(エチオピア)」を撮られているのはもちろん松村さんのはず。子供たちの表情が最高。おばあさんもうれしそう。こちらのサイトの一番下にその写真が貼られていました。本のほうは白黒ですがこちらはカラー。松村さんが撮影した写真はどれも本当に素晴らしくて、いつか写真集を出してほしいと思っています。


ところでスロウな本屋さんの小倉さんから伺った興味深い話をきっかけに、僕の保育園のときのことをいろいろと思い出しました。やはりすぐに思い出すのはT先生のこと。T先生は短大を出てすぐに僕の行った保育園に来て僕たちの世話をしてくれました。若くて可愛くて優しくて僕は先生のことを大好きになったんですね。家に帰ったら毎日毎日父や母にT先生の話をして「T先生大好き。結婚する」とか言っていたようです。

何年かしてT先生は結婚して退職されるんですが、住むようになったのがすぐ近所。父や母は地区のいろんな行事でT先生夫婦と会っていて、その都度、僕がいかにT先生のことを好きだったかを話していたようです。父なんかは僕の目の前で「ほら、お前の初恋の人じゃ」なんてT先生に言ったりしてたんで、顔を合わすたびに照れ臭い思いをしていました。

T先生はずっと僕のことを下の名前に「ちゃん」付けで呼んでいて、で、僕は名字が変わっているのに旧姓のまま「T先生」と呼んでいました。T先生は年を重ねても昔のままでした。


大学を卒業してからは実家を離れて暮らしていたのでT先生に会うことはほとんどなくなってしまいましたが、T先生夫婦と父は協力して地区の面倒なことをいろいろとやっていたようです。T先生夫婦にとっても父にとっても一番の相談相手になっていたんですね。

でも、10年くらい前にT先生のご主人が病に倒れ、T先生も看病疲れで体を壊していることを聞きました。5年ほど前にご主人が亡くなられたあとで一度T先生にお会いしましたが、変わり果てた姿にびっくりしたものでした。


で、あれは確か2年前のこと。

父の痴呆が進み、だんだんと目が離せなくなった頃、庭にいたはずの父の姿が見えなくなっていました。そういうのは何度かあって、だいたいは隣の家のあたりにいたんですが、その日はいくら探しても見当たらない。で、もう少し遠くまで行ったら、T先生の家の玄関の前に人影が見えたんですね。

父が呆然とした様子でそこに立っていました。呼び鈴を押したのかどうかはわかりませんが、父はただ一人でそこでじっとT先生の家の方を見つめていました。

「家に帰ろう」といったら素直に帰ってくれましたが様子は変なままでした。


翌日、地区の区長さんがやってきてT先生が前日に亡くなったことを教えてくれました。昨日の父の行動を知っていたので僕も母もびっくり。実はT先生はかなり体を悪くしていてひと月ほど前に入院していたようで、亡くなったのは病院でした。でも驚いたのは亡くなられた時間。それはまさに父がT先生の家の前に立っていたときだったんですね。

父に虫の知らせがあったとしか言えない出来事でした。


by hinaseno | 2019-06-27 12:20 | 雑記 | Comments(0)