今日は朝から雨、久しぶりの雨のウェンズデイです。
水曜日に降る雨の色は、もちろん菫色。
雨の色といえば、少し前に大瀧さんの「NIAGARA CONCERT ’83」の「すこしだけやさしく」を聴いていたときにおやっと思ったことがあったんですね。それは大瀧さんの曲には欠かせないブリッジの部分の歌詞。
「水色の街に」のあとに「雨」が出てくるんですが、薬師丸ひろ子さんの歌を聴いていたときには、ずっと「水色の雨」だと思っていました。でも、大瀧さんの歌を聴いていたらなんか違う。
大瀧さんは独特の発音や節回しをされるので、違うふうに聴こえるだけかなと思って歌詞カードを見たら、なんと「蜜色の雨」になってたんですね。
「蜜色(みついろ)」。
「みずいろ」の街に「みついろ」の雨が降る、だったとは。今頃こんなことに気づくっておそすぎですね。でも、みなさん、ちゃんと聴き取れていたんでしょうか。
それにしても松本(隆)さんは、いろんな色の空から、いろんな色の風を吹かせ、そしていろんな色の雨を降らせてくれます。もちろんどの色も透明な、水彩画の色合いなんですが。
色といえば、ひと月ほど前のブログで「藍色」の話を書きました。青の中でもインディゴが好きだという話から、インディゴの日本語訳は藍だと知り、さらに藍は母方の先祖の出身地である徳島が日本一の生産地だということをつい最近知ったという話。「僕のインディゴ好きには先祖のDNAが入っていたのかもしれないな」というオチで。
ところで昨日、ちょっと遠いけど、わりとよく行っていた書店が閉まるという情報が入ったので行ってきました。まあ、数年前に店の品揃えがごそっと変わってからはあまり行かなくなったんですが、その前は本当にいい本を置いていました。しかも店内にはいつも僕好みのジャズが流れていて。
でも、あるとき僕好みの本がなくなって、そこに漫画をどっさりと置いちゃったんですね。それからあまり行かなくなりました。
でも、ときどきそこに行っていたのは昔お世話になった古書五車堂さんの棚があったから。で、昨日、これが最後かなと思いながら行ってきました。
店に入ったら、どうやら店に貼っているチラシで閉店を知ったらしき年配の女性が「これから本を買おうと思ったらどこへ行けばいいの」と、店の人にちょっと怒ったような調子で訊いている姿を見て、なんだかたまらない気持ちに。そういうの、訊かれても困りますよね。店の人も困ったような感じで「TSUTAYAさんとか…」って答えられていましたが、車がないとそこまで行くのは大変。ちなみに僕はTSUTAYAには全く行ってないけど。
さて、古書五車堂の棚を眺めていたら一冊の本が目にとまりました。
『阿波の藍うた』。
ふた月ほど前に行ったときにはなかったはず、と思いながら、そのときには目に止まらなかったかなと。でも、きっとこれは五車堂さんからの贈り物だろうなと勝手に考えて、中は見ないで買いました。
『阿波の藍うた』は一目見ればわかるように児童書。ほるぷ出版から「ほるぷ創作文庫」の一冊として1981年に出版。あとがきを読むと筆者はこれを書くにあたって徳島の藍の生産地をまわっていろいろと調べたようです。実際、本には吉野川流域の地名、あるいは寺の名前が出てくるんですが、物語の舞台となっている場所は先祖が出た地とわりと近いこともわかりました。
こういう出会いがあるから本屋っていいんですね。そんな出会いの場所がまた一つなくなってしまうのかなと思うと、心は藍色になってしまいそうです。
『阿波の藍うた』は阿波国の春の風景から始まります。読み始めるのにもちょうどいいタイミングでした。
ああ、春色の汽車に乗って四国に行きたい。