去年の暮れ、例年のように「今年の10枚」とか「今年の10曲」とかを書こうと思ってたんですが、選びかねているうちにすっかり年も明けて1月も後半に入ってしまいました。もういいか。
まあほとんどは昨年のブログで取り上げたものになるように思いますが、ブログでは取り上げなかったけど「今年の10枚」に必ずや(いや「今年の5枚」、あるいは「今年の3枚」でも)入れたはずのCDを紹介します。本当は年末に紹介する予定だったんだけど。
作品のタイトルは『Columbia Groovy Songbirds(コロンビア・グルーヴィー・ソングバーズ)』。
女性シンガーの作品を集めたコンピレーション。レーベルをコロンビアに絞ったというのもよかったです。
監修は長門芳郎さん、ってことで絶対にいい作品であることはわかっていたけど、でも、いつもながら何から何まで素晴らしい。
特に40ページのブックレットには貴重な写真、情報が満載。解説を書いているのも長門さん。もちろん歌詞・対訳つきです。
まずは選曲ですが、正直、女性シンガーのコンピレーションは数年前からタネが尽きかけてるという印象を持っているんですが、これが本当に素晴らしい曲だらけでびっくりでした。知っていたのはジョニー・ソマーズの2曲(「Never Throw Your Dreams Away」は最高)とエイプリル・ヤングの「Gonna Make Him My Baby」(曲を書いたのはアンダース&ポンシア)くらい。
曲を歌ったときの年齢がそれぞれ何歳なのかはわかりませんが、ドリス・デイやペギー・リーなどの曲も含まれていてガールというよりは大人の女性が歌ったものが多いのかな。
いきなりびっくりさせられたのがこの1曲目の「Hush, Don't Cry」。これだけでつかみはOK。
歌っているのはシンガーズ・アンリミテッドの紅一点、天使の声の持ち主、ボニー・ハーマン。この作品はグループに加入する前年とのこと。シンガーズ・アンリミテッドのイメージとはかなり違いますが、いい曲です。プロデュースはジョン・サイモン。いいはずだ。
ちなみにこのYouTubeのビデオにはシンガーズ・アンリミテッド時代の彼女の天使の声が集められています。これがいいんですね。一時期ずっと聴いていました。
ドリス・デイの2曲では「Rainbow's End」がよかったな。アレンジはジャック・ニッチェ。プロデュースには息子のテリー・メルチャーも。
テリー・メルチャーはビーチ・ボーイズに途中から加入したブルース・ジョンストンとブルース&テリーというグループを組んでいた人。ちなみにブルース・ジョンストンはこのブログの名前になっている「Nearest Faraway Place」という曲を書いた人。以前、彼の「ディズニー・ガール」という曲に出てくるパティ・ペイジの「オールド・ケープ・コッド」のことを書きましたが、長門さんのパティ・ペイジの解説のところにその話が出てきてにっこり。
知らなかったシンガーではジョディ・フォスターに似た美形のルグラン・メロンが写真を見て素敵だなと。テオ・マセオがプロデュースした「Growin' My Own」もなかなかいい曲。スーザン・クリスティというシンガーの曲もよかった、と書けばきりがないけど、最高によかったのはなんといってもこの曲。
パティ・マイケルズの「Mrs. Johnny」。
作曲、プロデュースは大好きな作曲家ヘレン・ミラー(「俺はヘレン・ミラーでもあるんだ」という大瀧さんの名言もあります)。パティ・マイケルズはもう1曲「They’re Dancing Now」も収録されていて、そちらもヘレン・ミラーの作曲でそちらは知っていたんですが、「Mrs. Johnny」は「They're Dancing Now」のA面。こっちの方がはるかにいいですね。
ヘレン・ミラーといえばレスリー・ゴーアの「All Of My Life」、ボビー・ヴィーの「Charms」、ジョニー・クロフォードの「Rumors」、トミー・サンズの「Connie」、アンドレア・キャロルの「The Doolang」など最高にロマンチックな曲を作っている人ですが、それらと並ぶくらいの素敵な曲。イントロのドラムの音はレスリー・ゴーアの「All Of My Life」と同じですね。
ってことで昨年暮れにこんなものを作ってずっと聴いていました。もうそろそろヘレン・ミラーの作品集がきちんと出てもいい頃だけど。
ヘレン・ミラーの作品集は5年くらい前に作ったことがありますがパティ・マイケルズの「Mrs. Johnny」以外に新たに見つけた曲を何曲か入れています。
そのうちのひとつがスティーヴ・ローレンスのこの「I'm Making the Same Mistakes Again」。これもコロンビアから出てますね。
ところでブックレットの最後のページを見たら、
Supervisor: Yoshiro Nagato
ここのところスーパーヴァイザーを意識することが多かったのでにっこりでした。そういえば去年出たCDでは『ケニー・ランキン/コンプリート・コロンビア・シングルズ 1963-1966』も素晴らしかった。そちらも「Supervisor: Yoshiro Nagato」です。