人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

「ワンダフル」がつながる(その3)


エルヴィス・プレスリーといえば、この前の日曜日に放送された「大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション」の3回目は「My Elvis」と題されたエルヴィス特集。大瀧さんの好きなエルヴィスの曲が次から次へと全部で22曲もかかるんですが(初めて聴いた時は知らない曲だらけだった)、その1曲目にかかるのが「Rip It Up」。邦題は「陽気に行こうぜ」。

この曲、「幸せな結末」に向けた例のリハビリ・セッションで大瀧さんが歌っていたものですね。もしも1998年にナイアガラ・トライアングルVol.3が出ていれば収録されていたかもしれません。

ところでナビゲーターの宮治淳一さんとゲストの萩原健太さんの話で気がついたんですが、曲の合間のコメントで大瀧さん、何度もエルヴィスの曲を口ずさんでいるんですね。ほんのワンフレーズくらいですが、それがとってもいいんです。そこだけ取り出した音源を作ろうかと思ったくらい。


それはさておき、今回のradikoから録った音源、なんとまたまた不具合が生じていました。今回は無音。まあ、無音の方が一時的に回線が途切れたのかもしれないと推測できて、前回の時ほどの気持ちの悪さはありませんでしたが、でも、不思議なのはこれまでかなりの番組をradikoから聞いたり録音したりしているのに、不具合が生じるのは大瀧さんの番組のときだけ。これ、きちんとリアルタイムで聞けってことなんでしょうねぇ。radikoのタイムフリーで聞くっていうのはやっぱりどこかうしろめたさがあります。まあ、もしアメリカン・ポップス伝パート5が放送されるのならば、絶対にradikoのタイムフリーなんか使わないけど。


さて、話はリアルタイムで聴いた(当時radikoなんてなかったけど)アメリカン・ポップス伝パート4の第2夜。放送されたのは2013年8月14日。この日の特集は50年代のウェストコースト事情で、その最後にサム・クックの話が出てきたんですね。まず最初にゴスペル・グループのThe Soul Stirrersの曲が2曲かかります。The Soul Stirrersはかなり古い頃から活動しているんですが、かかるのはThe Soul StirrersがR&B専門レーベルSpecialtyと契約した後の2曲。その2曲目にかかった曲のタイトルが、なんと「Wonderful」。グループで新たにリード・ボーカルになったのがサム・クック。リリースは1955年。




これはゴスペル・ソングなんですが、この曲を原型にしてポップ調の曲をつくってサム・クックが歌ったのがこの「Lovable」。1957年リリース。




これ、続けて聴いたら笑っちゃいますね。「Wonderful」も「Lovable」も似た発音の単語なので、曲の歌い出しは全く同じって感じです。

それにしても「Lovable」の前に元歌があったのには驚きでした。しかもそのタイトルがサム・クックには縁の深い言葉である「Wonderful」とは。


ところで話が少しそれますが、フィル・スペクターがいたテディ・ベアーズの曲に「Wonderful Loveable You」という曲があるんですね。「Loveable」は「Lovable」の別表記。




曲を書いたのはフィル・スペクター。曲はサム・クックの歌った「Wonderful」とも「Lovable」とも似てませんが、タイトルに「Wonderful」と「Lovable」を並べるなんて、なんか匂いますね。

ちなみにテディ・ベアーズのが「Wonderful Loveable You」をリリースしたのは1959年5月。レーベルはDoré。実はそのDoréから同じ1959年5月に別の興味深い曲がリリースされているんですが、それはまた次回に。


さて、話はアメリカン・ポップス伝に戻ります。サム・クックが所属していたレコード会社Specialtyの社長はサム・クックが「Lovable」のようなポップ調の曲を歌うのを好まなかったということで、なんとサム・クックと「Lovable」をプロデュースしたバンプス・ブラックウェルを解雇しちゃうんですね。ただ、そのSpecialtyで57年6月に行われた最後のセッションの音源が彼らに手渡されたので、それをできたばかりのレコード会社Keenレコードからリリース。それが超ビッグヒットとなった「You Send Me」。

このあたり、曲の運命ってわかならいものですね。


このKeenレコードにいたのがルー・アドラーとハーブ・アルパートのコンビ。彼らは自分たちのレコードを出す一方で他のアーティストに曲を提供したりプロデュースをしたりしてたんですね。で、Keenレコードにやってきたサム・クックをプロデュースするようになる。ということでこの3人のコンビによる曲が立て続けにかかります。「Everybody Likes To Cha Cha Cha」「Only Sixteen」そして「(What A) Wonderful World」。

この曲のあとサム・クックはRCAレコードに移ってルー・アドラーとハーブ・アルパートのコンビはなくなります。


この日の放送の最後はこんな言葉で締めくくられます。


ウェスト・コーストのシーンでは50年代(初期)はジョニー・オーティス、中期がリーバー=ストーラー、そして50年代後半にはルー・アドラーとハーブ・アルパート。彼らがウェスト・コースト・サウンドを支えたプロデューサーでした。このあとにも続々登場しますが、それはまた次の機会にお話ししたいと思います。それではまた明晩。


だれもがその「続々」を期待していて、どきどきわくわくしていたら、明晩はなんとフォークだったんですね。

それはさておき、なんとなく聴き流してしまっていたルー・アドラーとハーブ・アルパートのコンビのこと。いろいろと調べました。彼らは「(What A) Wonderful World」のほかに、もう一曲、サム・クックに曲を書いていたんですね。それがこの「All Of My Life」という曲なんですが、これがすばらしくいいんですね。年末はずっとこの曲を聴いていて、この曲とともに年が暮れていきました。




by hinaseno | 2019-01-10 16:42 | ナイアガラ | Comments(0)