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by hinaseno
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Tokyo Fighting Kids in Okayama #4 ー 「『見坂』が合ってるから、いいじゃん」


Tokyo Fighting Kids in Okayama #4 ー 「『見坂』が合ってるから、いいじゃん」_a0285828_14563812.jpeg


僕と僕の友人は渋谷から南平台に向う坂道にあるマンションを借りて、翻訳を専門とする小さな事務所を開いていた。(中略)72年の春のことだった。
               (村上春樹『1973年のピンボール』より)


いよいよ今日から岡山の日々のことを順に書いていこうと思ったら、石川さんの今日のブログ(1日で消えます)を読んで、ああ、それも書いておこうと。


石川さんは岡山旅行の前後で以前紹介した渋谷にあるシネマヴェーラという映画館(経営者の内藤さんはおひさまゆうびん舎さんのイベントで知り合った方のお兄さん)で現在上映されているミュージカル特集を見に行かれていたんですね。岡山から戻った日の夜にも当初は見に行く予定にされていました。

ブログによると、昨日、映画を見られたあとでかつて平川克美さんが起こした翻訳会社のあったビルに行かれたと。そこで働いていたのが石川さんと内田先生でした。


実は先日来紹介している『東京ファイティングキッズ』の最初の書簡を書いたのは平川さんなんですが、その書簡は平川さんがアーバン・トランスレーションという名の翻訳会社を始めた1977年という時代の話から始まっているんですね。

僕が平川さんのことを知り始めて、石川さんも含めていろんなことがつながりだしたとき、もちろん一番驚いたのは大瀧さんを中心にしたつながりだったんですが(川本三郎さんの本に書かれていたトライアングル・ステーションにつながったときにも驚いた)、もうひとつがこの翻訳会社のこと。始められた年に5年の違いがありますが、場所も、その会社の雰囲気もまさに村上春樹が1980年に出した『1973年のピンボール』に出てくる翻訳会社にそっくりだったんですね。

平川さんの始めた翻訳会社のことを最初に知ったのは内田先生のこの日のブログ。後追いで読んだか、あるいはその前に読んだ何かの本に掲載されていたか(内田先生の本はブログからの転載が多かった)は忘れましたが、僕は村上春樹の小説の中でもとりわけ『1973年のピンボール』が好きだったので、この話はたまらなかったな。内田先生のブログにも書かれているように平川さんはあちこちで「あれはアーバンがモデルなんでしょ?」と訊かれたそうです。


そういえば「坂道にあるマンション」といえば、とひとつ思い出したことがありました。実は先日のスロウな本屋さんで平川さんが大瀧さんの話をちょこっとしたんですね。「いい加減」のたとえ話として。会場にいた人で大瀧さんのことを知っている人がどれだけいたんだろう。


大瀧さんのその話が出てくるのはどこだったかと探していたんですが、ラジオデイズの「大瀧詠一的2009」の(5/6)の3:55あたりからでした(「大瀧詠一的2009」は無料なので聴いてね)

内田先生が「富士見坂」の話をしていた時に平川さんが唐突に「富士見坂ってわれわれのビジネスの原点の場所でしょ?」と。内田先生も石川さんも「???」 で、平川さん「あれ?ちがったっけ?」と。でも、内田先生も石川さんも「???」の状態が続き、さらに平川さんが「富士見マンションでしょ、だって…」と言いかけた時に内田先生が思い出して「松見坂でしょ」と。「ああ松見坂だ」と平川さん。ここで内田さんも石川さんも大爆笑するんですが、この時に大瀧さんが言ったのがこの言葉。


「『見坂』が合ってるから、いいじゃん」

会話をしている時、多少言葉が正確でなくてもその言葉の何文字かが合っていて、それが相手に伝わっていればいちいち間違いを指摘しなくてもいいじゃないというのは大瀧さんが常々何度も言っていたことでした(「大瀧詠一的2008」では人の名前をいうときには一文字合っていたらいいとも。それを平川さんがトークイベントの時に話したんですね)。

で、その「見坂」の話は「大瀧詠一的2009」の最後の方で再び出てくるんですが、ここは何度聞いても爆笑。ここでの話はある意味平川さんの「いい加減さ」を示していることにもなっているんですが、そんな平川さんを一番面白がっていた(そして最大級に評価していた)のが大瀧さんでした。

もちろんこれを聞いて僕が平川さんへの親密さの度合いを高めたことはいうまでもありません。


by hinaseno | 2018-11-16 15:36 | 雑記 | Comments(0)