Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
プロフィールを見る
画像一覧
カレンダー

明るい道と暗い道 狭間の小道を進むんだ(その7) ー 流星の夢と楕円の夢④ ー


寺尾次郎さんの話になる前、ちょうどライブの1週間ほど前に亡くなられた一人の音楽ライターの話になりました。

吉原聖洋という人。

とっさに、東京新聞で連載中の「愛(かな)し、読書」で平川克美さんの『21世紀の楕円幻想論』を取り上げたときの記事の最初に触れられていた「音楽ライター」にちがいないと思いました。5月31日に掲載されたその記事では「何度目かの入院をした」と書かれていましたが。

その吉原さんが特の多く記事を書いていたとして紗穂さんが名前をあげたアーティストが佐野元春。僕のブログ的には紗穂さんの口から佐野元春という名前が出たのにはびっくり。佐野さんにとっては”にっくき”寺尾次郎の娘さんなわけですから。

ちょっと調べたら吉原聖洋さん、佐野さんの『No Damage DELUXE EDITION』のブックレットにも寄稿されていました。

a0285828_14571096.jpg

で、吉原さんのあとに寺尾次郎さんの話を少し。

寺尾次郎さんが亡くなられたのは6月6日。その3日後の6月9日に金沢でライブがあったそうなのですが、そこに向かう新幹線の中で作ったという曲を歌われました。タイトルは「北へ向かう」。

別れを歌った曲には違いないけれど、悲しみというよりも懐かしさに包まれるような曲でした。どこかほっとさせてくれるような曲。

で、これに続けて「楕円の夢」がライブの最後の曲として歌われました。最初に出てくるのはこんな歌詞。


私の話を聞きたいの
あなたと別れてからのこと
私の話を聞きたいの
会えなくなってからのこと

人のことを強いとか弱いとか簡単にいえるものではないけど、次郎さんが亡くなった翌日に書かれた「二つの彗星」や『愛し、日々』というエッセイ集に載っていた中国の滞在記などを読むと紗穂さんってとてもタフな女性だなと思ってしまうんですが、曲の最初のフレーズを歌い出した時、紗穂さんの声が震え、喉が詰まり始めたんですね。


私の話を聞きたいの
あなたをなくしてからのこと
私の話を聞きたいの
一人になってからのこと


「楕円の夢」は3年前の曲なので、作られたときは次郎さんはご存命なんですが、先日のライブで紗穂さんがこの曲を歌った時の「あなた」はやはり次郎さんだったはず。聴いているこちらも胸が詰まってきて仕方ありませんでした。喉を詰まらせながらも紗穂さんは最後まで歌い切り、そしてエンディング。

CDでは紗穂さんのフェンダーローズの静かな音色にミュートしたホーンがからむ演奏が続くのですが、この日のライブでは紗穂さんのピアノの演奏が延々と1分以上。それがすごかった。紗穂さんの魂の叫びというか震えがピアノから聞こえてきて、こちらの魂も激しく揺さぶられ、止めようがないくらいに涙が溢れてきました。こんなに涙を流したの、いつ以来だろう。




この最後の1分間の映像。紗穂さんのエンディングのピアノを弾いていた時、それまではじっと大人しく聴いていた目の前に座っていた女の子が何度も何度も紗穂さんのピアノを弾く姿を覗き込もうとしていたのが印象的でした。たぶん、言葉ではない何かが彼女にも伝わったんでしょうね。

そして夜、きっと楕円の夢を見たはず。


明るい道と暗い道
狭間の小道を進むんだ
あなたが教えてくれたのは
楕円の夜の美しさ

楕円の夜に会いましょう
月の光で踊りましょう
世界の枯れるその日まで
楕円の夢をまもりましょう

明るい道と暗い道
狭間の小道を進むんだ
あなたが私においてった
楕円の夢をうたいましょう

[PR]
by hinaseno | 2018-09-07 14:59 | 音楽 | Comments(0)