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明るい道と暗い道 狭間の小道を進むんだ(その2) ー 川島芳子の話 ー


寺尾紗穂さんが告知していたんですが、この10月に東京の南青山の梅窓院で行われる「りんりんふぇす2018」というイベントに、寺尾紗穂さんとともに先日紹介したふちがみとふなとさんが出演すると書かれているのを見て、おっ!と。

ということでふちがみとふなとというグループのことを少し。このグループのことを知ったのはアゲインの石川さんでした。ブログでもふちがみとふなとさんのことは何度も書かれていたし、折に触れてふちがみとふなとさんの話をしてくれていました。

きっかけは石川さんが2006年に自費出版した『バートン・クレーン作品集』。そのバートン・クレーンの曲をいち早くカバーしたのがふちがみとふなとさん。なんと「威張って歩け」と「ニッポン娘さん」の2曲もカバーしてるんですね。石川さんから送っていただいたCD-Rには、『バートン・クレーン作品集』を出した直後くらいに行われたふちがみとふなとさんのライブで歌われたものが収録されていました。そのときのMCで石川さんの話も出ているんですが、例によって石川さん、こっそりとライブに行って、こっそりと録音してたんですね。


ところでここに『バートン・クレーン作品集』を出した頃に石川さんが書かれていた文章をまとめたものありました。そこに、こんな話が。

「発送準備に入ったところ、更に申込みメールが増えてきました。「平川さんのブログをみて」といった添え書きがしてあるものが多く、平川くんが彼のブログで取り上げてくれたのでした。早速そのページをチェックして驚いてしまいました。いや、しばらくしてボロボロ涙が出てきました。最近嬉しくなると涙が出てしまうのだ。素晴らしい紹介文だ。もし自分がこのブログを読んだらきっと申込んでしまいたくなるような素晴らしい文章だ。ちょっと恥ずかしさを通り越して感動してしまった。やはりあの人の書く文章は人を引き付ける魅力を持っている」と。

確かに素晴らしい文章。石川さんとの出会いの話もたまらないですね。


さて、『バートン・クレーン作品集』を出したいきさつを読むと「自分がSP盤を収集し出してから、一番面白いと思った昭和初期の人で、本職は歌手ではない」ということが書かれていました。僕は石川さんのSPのライブラリーについてはあまり詳しくは知らないのですが、「本職は歌手ではない」というのも結構キーワードなのかなと思っています。

で、話は寺尾紗穂さんのことに。

石川さんと何度か電話で寺尾紗穂さんのことを語っていたら、石川さんが寺尾紗穂さんならぜひ読むべきだと言って教えてくれたのがこの『評伝 川島芳子 男装のエトランゼ』でした。

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紗穂さんが出されている本は以前から本屋などでいくつか見ていましたが、『評伝 川島芳子』(文春新書)は目に入っていませんでした。というか川島芳子ってだれ? でした。

実は紗穂さんはアゲインで昔ライブをしたことがあって、そのときにどうやら石川さんは川島芳子の話をされたようです。石川さん、川島芳子の古いSPを持っていて、それを紗穂さんに見せたんですね。紗穂さん、ずいぶん驚かれたようです。この「十五夜の娘」、あるいはこちらの「蒙古之唄」でしょうか(紗穂さんの本によればほかに「なんですてましょ」、「涙の王」という曲もレコーディングしているようです)。

それでは読んでみようと、本屋に行ったら『評伝 川島芳子』はなくてどうやら絶版。ネットの古書サイトで注文して、読み始めたんですが紗穂さんのライブには読み終えることができず、ライブの翌日くらいに読了。

実はこの『評伝 川島芳子』は紗穂さんの修士論文なんですね。ということもあって修士論文ならでのとっつきのにくさがありました(仕方ないですね)。


この本を読む前に川島芳子のことをネットでざっと見て、かなり数奇な人生を送った女性であることを知り、いったい紗穂さんは川島芳子という人のどこに惹きつけられたんだろうかと思いながら読み進めました。

で、見つけたのがこんな言葉。


「中国と日本の和平への万感の思いを込めて、狭間に立つ自らを…」


あるいはその少し後のページでも、


「常に、中国と日本の狭間におかれた不安定な自らが…」


「狭間」。

狭間といえば、あの『楕円の夢』で、何度か繰り返されるこの印象的なフレーズを思い起こしました。


「明るい道と暗い道 狭間の小道を進むんだ

紗穂さんは狭間的なもの、狭間的な生き方をしている人に惹きつけられるのかもしれませんね。

と、自慢げに自分が発見したように書こうとしたら、こちらに掲載されていた紗穂さんのインタビューでこんなことを語っていました。


ずっと川島芳子を追っかけてきたのも、結局あのひとって狭間にいるからなんですね。日本と中国、男と女、日本人と満州族の狭間。その狭間にいてどっちとは言い切れない中途半端さを持っているんですよ。そこが追いかけてきた理由なのかなって最終的には思うんですけど。


やはり。

ところで『評伝 川島芳子』の冒頭には「川島芳子という女性を知ったのは、十年以上前に李香蘭と共にテレビ番組で取り上げられたのを見て、であった」と書かれていて、そこはさらっと読み流してしまったのですが、このインタビューを読んだらなんとそれは中1のときだったんですね。「中1のときに『驚きももの木20世紀』で、「川島芳子と李香蘭とラスト・エンペラー」みたいな回をたまたま見て、「これは調べなきゃ」と思い立って翌日から図書館へ通いました」と。

驚いた。


ここで再び、明日、世田谷ピンポンズさんのライブが開かれるジャンクションカフェの喫茶余白の話に。

余白珈琲の大石くんから「昼下がりから夕方に、コーヒーを飲みながら聴きたい音楽」をセレクトしてほしいと連絡をもらったときに最初に思い浮かべたのはアン・サリーのこの『moon dance』というアルバムでした。僕自身が「昼下がりから夕方に、コーヒーを飲みながら」一番よく聴いた音楽だったので。

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このアルバム、とりわけレコードであればA面にあたる1曲目から6曲目は素晴らしい曲ばかり。全てカバーだったんで、あとでオリジナルの音源を集めて聞き比べをしたものです。オリジナルがいいものもあれば、アン・サリーの方がいいものもありました。

ちなみにその1曲目から6曲目はこんな曲。


1 I Wish You Love

2 Onde Eu Nasci Passa Um Rio

3 Haven't We Met

4 蘇州夜曲

5 Peaceful

6 Only Love Can Break Your Heart


素晴らしい曲のオンパレードですがとりわけ衝撃を受けたのが4曲目の「蘇州夜曲」。このアルバムで初めて知った曲でした。

作詞西條八十、作曲服部良一。李香蘭主演の映画「支那の夜」で歌われたんですね。僕のパソコンには霧島昇・渡辺はま子が歌ったものが入っています。ちなみに李香蘭が歌った「蘇州の夜」もパソコンに入っていてこちらは仁木他喜雄が書いた素晴らしい曲。


さて、紗穂さんの話や本の中に李香蘭のことが出てきたのでちょっと調べたら、川島芳子生存説というのがあって、川島芳子は処刑されないで、方おばあさんと名乗ってずっと暮らしていたと。どうやら紗穂さんが『評伝 川島芳子』を出した直後くらいに騒がれるようになったようです。2010年に出た『川島芳子 生死の謎』という本によれば、方おばあさんの隠居生活における趣味の一つは李香蘭のレコードを聞くことで、とりわけお気に入りだったのは「蘇州夜曲」と「蘇州の夜」だったと。へ~、でした。

結局、「蘇州夜曲」は喫茶余白用に用意したCDには入れなかったんだけど。


ということで昨日から書き始め、話が逸れに逸れて、めちゃくちゃ長い話になってしまいました。

See you in September!


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by hinaseno | 2018-08-31 16:12 | 音楽 | Comments(0)