毎朝のぞいている京都の善行堂さんのブログ「古本ソムリエの日記」を見たら、「ふちがみとふなと」というミュージシャンの名前が書かれていて、おっと。
今回書いている話は、1週間ほど前にアゲインの石川さんから送っていただいたライブの音源集を収めたCDRの最初に収録されている大瀧さんの「別れのコラージュ」に端を発しているのですが、実はそのCDRには「ふちがみとみなと」さんの曲も2曲収録されていたんですね。2曲とも、石川さんと関係の深い曲。それについてはまた改めて書いてみます。
それにしても「ふちがみとふなと」さん、善行堂さんとどんなつながりがあるんだろう。
さて、クリント・イーストウッド監督主演の映画『センチメンタル・アドベンチャー』(「HONKYTONK MAN」)のこと。この映画は1982年に公開されているのですが、最近サントラのCDが発売されていたことがわかりました。発売は2013年。気づかなかったな。
早速、入手。クレジットを見たらいろいろと驚くことばかり。
まず、一番驚くのはこの映画の音楽プロデューサー。
なんとスナッフ・ギャレット!
と、初めて知ったように書いてしまいましたが、おそらく昔映画を見たときに、このクレジットを見て気づいていたはず。すっかり忘れてました。
とはいえスナッフ・ギャレットが活躍していたのは1960年代。厳密に言えば1960年から66年ごろまで。その後は目立った活動はしていなかったはずですが、そういう人を引っ張ってくるのがクリント・イーストウッドのすごいところですね。音楽のことをよくわかっている人をよぶ。
そういえば大瀧さんは「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のリヴァティサウンド特集でスナッフ・ギャレットがいかにプロデューサーとして優れているかを説明する中で、才能のある作曲家を発見する能力が飛び抜けていることを語っていました。
考えてみるとジャック・ケラー特集で、ジャック・ケラーが素晴らしいアメリカンポップスを書くようになったきっかけとなったのはボビー・ヴィーの曲を書くようになってからだと言ってましたが、そのジャック・ケラーにボビー・ヴィーのための曲を書かせたのはまさにスナッフ・ギャレットなんですね。
さて、サントラに収録された曲。いくつかのカントリーソングのカバーと、この映画のために作られた曲があります。
カバーで目を引くのはジミー・ロジャースのこの「In The Jailhouse Now」。
この映画がジミー・ロジャースへのオマージュであることの証拠ですね。でも、この曲、映画のどこで歌ってたっけ。多分、イーストウッドが牢屋(Jailhouse)に入れられたシーンだと思うけど。
で、この映画のために作られた曲ですが、とりわけ重要なのがクリント・イーストウッドが映画の中で歌った「When I Sing About You」とエンディングでマーティ・ロビンスがイーストウッドのあとを引き継いで歌った、映画の主題歌でもある「Honkytonk Man」。これです。
「Honkytonk Man」はこの曲が発表された1982年にカントリーチャートでなんと10位まで上がってるんですね。すごいな。
さて、この「Honkytonk Man」と「When I Sing About You」の2曲を書いた人がDewayne Blackwellという人。
Dewayne Blackwellという名前を見てピンとくる人が果たしてどれだけいるんでしょうか。僕も知らなくてパソコンで調べたら、大瀧さんにとってかなり重要な曲の作曲者であることがわかりました。
あの「別れのコラージュ」を歌ったLET'S DEBUT AGAINのライブでは『ロンバケ』の曲以外はカバーを7曲歌っているんですが、その最初に歌っていたのがフリートウッズの「Mr Blue」のカバー。翌年、達郎さんとやったスタジオライブでも歌っています。そのスタジオライブはエヴァリー・ブラザーズの曲をカバーするという企画だったんですが、でもあえて「Mr Blue」を歌ったんですね。大瀧さんがいかに「Mr Blue」を愛しているかがわかります。で、その「Mr Blue」を書いていたのがまさにDewayne Blackwellだったんですね。
ところでDewayne Blackwellは「Mr Blue」以外、そんなに曲を書いていないことがわかりました。「Mr Blue」の次にそこそこ有名な曲といえばエヴァリー・ブラザーズの「The Ferris Wheel」くらいでしょうか。
興味深いのはボビー・ヴィーに何曲か曲を書いていたこと。いずれもプロデューサーはスナッフ・ギャレット。その頃からスナッフ・ギャレットとDewayne Blackwellはつながりがあったんですね。
この「Hickory, Dick And Doc」がちょこっとヒットしてます。
ま、でもやっぱりDewayne Blackwellはなんといっても「Mr Blue」。これを書くためにずっと聴いてたんですが、本当に素敵な曲。シングルレコードが欲しくなりました。レーベルも可愛いし。また手に入れたら紹介します。
ってことで最後に、大瀧さんと達郎さんのデュオによる「Mr Blue」を聴いてみてください。このYoutubeの音源の6:25からです。この前後の会話を聞くと、大瀧さん、本当に「Mr Blue」が好きなのがわかりますね。