1980年12月16日に行われたLET'S DEBUT AGAINのライブのセットリストを見たら、いろいろと興味深いものがありました。アンコールを除いた全15曲で、最初の5曲と最後の3曲は『A LONG VACATION』に収録された曲。残りの7曲はカバー。今日はそのカバーされた曲につながる話になりそうです。
ところで先日の「マスターの自由自在Vol.3」の話の続きになりますが、平川克美さんの次に登場されたのが小田嶋隆さん。
小田嶋さんも来てくださるなんてすごいですね。その小田嶋さんの話も最高でした。石川さんを持ち上げることになったかどうかはわからないけど、小田嶋さんらしい視点での石川さんやアゲインの評価をされています。
最初に平川さんの言われた「ショボクレたコミュニティ」という言葉の「ショボクレた」を別の「こぢんまり」という言葉に変えて(ちなみに僕は平川さんがおっしゃった「ショボクレたコミュニティ」という言葉をすごく気に入っています)、話はこのイベントの最初の方で石川さんが紹介されたデイヴ・クラーク・ファイヴのことから(イベントのテーマソングもデイヴ・クラーク・ファイヴの「Theme Without a Name」でした)。ちなみにいうと小田嶋さんは音楽にかなり詳しい人。その小田嶋さんをして、デイヴ・クラーク・ファイヴは、ビートルズを中心にしてブームになったリバプール・サウンドの中でも、意識としては外れの方の、そんなのいたかなって思えるようなグループだと。
それから、最近小田嶋さんは石川さんや内田先生、平川さんがずっと続けられている箱根の温泉旅行に同行されていて、そのときの話も。
旅館で麻雀をしているときに流す音楽はたいてい石川さんが用意されているんですが、そのときに延々と流しているのがリンゴ・スターのアルバムだったと。たいていビートルズを好む人であればジョン・レノンかポール・マッカートニーを聴いているのに、石川さんはリンゴ・スター。
ここから石川さんがいかに中心から外れたものを好んでいるかを指摘したんですね。そう、大瀧さんの言葉を使えば「その他好き」。
もちろん石川さんはそれをよくわかっているんですね。中心嫌い、というか中心への抵抗感を持っていることを。というよりも中心しか見ようとしない人に対しての反発といってもいいのかもしれません。で、あえて石川さんは意図的に「その他」のメッセージを送り続けているんですね。
すると面白いことに、そのメッセージに反応してくる人が必ずいると。そう、中心ではない「その他」のような場所で小さなコミュニティのようなものがいくつも生まれる。そういえば僕も例えばハリー・ウォーレンやジャック・ケラー、あるいはボビー・ラッセルなんかで石川さんと小さなコミュニティを作りました。それが「ショボクレたコミュニティ」かどうかはわからないけど、でも、ときに思わぬようなことが起こったりするんですね。
そういえばLET'S DEBUT AGAINのライブで大瀧さんはビートルズの「I Call Your Name」を歌っていました。例によってレノン=マッカートニーの作品となっていますが、実際はジョン・レノンの作詞作曲だったようです。このライブのちょうど1週間前にジョン・レノンが亡くなったので、追悼の意味を込めて歌ったようですね。でも、「I Call Your Name」というのはちょっと、というかかなり意外。ジョン・レノンの中でもどちらかといえば「その他」に属しているんじゃないでしょうか。僕はジョン・レノン作詞作曲のビートルズの作品集を勝手に作ってるんですが「I Call Your Name」は入れていませんでした。
さて、話はリンゴ・スター同様、ビートルズの「その他」の人(こんなこと書いたら怒られるでしょうね)になるのかどうかわからないけどジョージ・ハリソンの曲のことになりますが、時間がなくなったので今日はここまで。