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by hinaseno
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牛窓暮色(その6)


想田和弘監督の『港町』本予告編をYouTubeで初めて見たときに、一番おっと思ったのはこのカットでした。

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すぐに思い浮かべたのは小津の『東京物語』の、あの福善寺で撮影されたこのカット。

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物語には「とみ」と「しょうじ」の墓。すごく気になってこのカットが撮影された場所を探しました。写真と見比べながら、かなりの時間をかけて。


想田さんの、あのカットを見たときに、これは絶対に『東京物語』のあのカットを意識したに違いないと思いました。

でも、墓がどこかは皆目見当がつかない。以前ブログにも書きましたが、今村昌平監督の『黒い雨』に映った墓のシーンは本蓮寺の裏の墓だとすぐにわかりました。でも、あそこの墓地とは全然風景が違う。いったいどこだろうと気になっていました。それがあの猫たちのいる井戸のそばの坂道を上がったところにあったとは。


想田さんがその墓に行くきっかけになったのは、猫に餌を与えている人のところに偶然通りがかった例の「DOG HUNTING」のジャンパーを着た女性。彼女は菊などの花を供えるために自分の墓に行く途中だったんですね。

これは「花くらべ」という岡山に現在も残っている風習。僕もここ数年、母親を連れて「花くらべ」に行っています。

「墓に花が並べられてきれいですよ」と女性に誘われて想田さんたちも付いて行ってみることにしたんですが、結果的には映画的にというか物語的にそれがとても重要なシーンになったんですね。

興味深かったのはその女性の墓のそばに上から落ちてきたという墓があって、そのだれのものだかわからない墓の世話も女性がしていたこと。たぶんそういうことのできる人だからこそ、野良猫に餌を与えていることに対して迷惑そうな目を向けることがなかったような気もします。


このシーンに関しては先日紹介した想田さんと中島さんの対談でもかなり語られていました。想田さんも「お墓に行き着いたのは全くの偶然だったのですが、撮影している時から『これは今回の映画にとって非常に重要な部分になるだろうな』と思っていました」と語っていますが、そんな重要な出来事が生まれるきっかけが、あの猫たちのいる場所で起こっていたということに、ただただ驚きました。


ということで猫たちのいる場所から坂道を登って墓のある場所までビデオで撮ってきました。




実は猫たちのいる場所に行くまでも緩やかな坂で、そこから立ち止まることなく結構急な坂を登って行ったので、正直息が切れかけていたんですが、ハアハアと息しているのが入らないようにするのって大変ですね。観察映画の大変さを少し知ることができました。


さて、墓のある場所に着いたものの、あのカットが撮られた場所は見当たらない。もう少し山を登ってみたら、もっと大きな墓地が広がっていたので、あちこち歩き回ったんですが、残念ながら見つかりませんでした。墓はさらにその山の向こうにも点在していて、それらをくまなく探すのは無理だなとあきらめました。戻って改めてあのカットをよく見たら、左の奥に見える山がポイントだったなと(山の入れ方も『東京物語』と似ています)。また、改めて行ってみます。


それはさておき、この山の上の方が墓地になっていたということは、物語的にあとにつながっていたんですね。


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by hinaseno | 2018-04-30 12:35 | 映画 | Comments(0)