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by hinaseno

塩屋で「Walk With Me」(その3)


佐川満男さんが佐川ミツオという芸名でシングルを出した2年後の1962年、ようやくニール・セダガ自身のシングルに「Walk With Me」のオリジナル・バージョンが「King Of Clowns」のB面として収録されることになります。録音してからも2年の歳月が経っていました。

これがそのシングル。

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一応曲を。




発売されたのは1962年3月。で、おそらく、それからあまり時をおかずに日本盤のシングルが発売されます。これですね。

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ジャケットのデザインはアメリカ盤と同じ(イメージは教壇に立つ先生?)。タイトルが邦題に変わっていますね。「King Of Clowns」は「悲しきクラウン」(このタイトルで「クラウン」が道化師であることをどれだけの人がわかっていたんだろう)、で「Walk With Me」は佐川ミツオのデビュー・シングルと同じ「二人の並木径」。

ジャケットの裏の解説には、「Walk With Me(二人の並木径)」についてこんなことが書かれています。

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2年前、ニール・セダカが来日した時、佐川ミツオのデビュー・ソングとして贈った曲。

ちなみに1962年というのは大瀧さんが中学2年になった年。大瀧さんが解説で「丁度この頃、セダカは来日していて、この曲を(同じビクターということで)佐川ミツオにプレゼントしています。(このエピソードは『ミュージック・ライフ』で知りました。当時はワタシは中学2年)」と書いているのを見ると、おそらく『ミュージック・ライフ』の1962年の4月号か5月号あたりでニール・セダカのこのシングルが取り上げられていたんでしょうね。


さて、このニール・セダカが歌ったものを聴いて早速それをカバーしたのが、あのジミー・クラントン。




その「Walk With Me」が収録されたアルバムがこれ。残念ながらこのLPは持っていません。

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アルバム・タイトルが『Venus In Blue Jeans』。そう、この1962年の夏に「Venus In Blue Jeans」がヒットしてその流れで作られたアルバムに「Walk With Me」が収録されたんですね。このアルバムが出たのはたぶん1962年の12月頃。このLP、大瀧さんももちろん持っていました。


ネットの画像をレーベルをチェックしてみたら「Venus In Blue Jeans」の作曲者はジャック・ケラーではなくシングルと同様にニール・セダカになっていますね。

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シングルを発売して半年近く経っているのにまだ訂正されていないとはちょっとびっくり。誰も指摘する人がなかったんでしょうか。

それはさておきシリア・ポールのアルバムで「Walk With Me」をカバーし、そしてその4年後に「Venus In Blue Jeans」を下敷きにして松田聖子の「風立ちぬ」を作っているということを考えると、このあたりのつながりは実に興味深いものがあります。


ところで「ゴー!ゴー!ナイアガラ」ではシリア・ポールのアルバムが作られた前年の1976年8月16日に放送された男性シンガー特集でニール・セダカとジミー・クラントンが歌った「Walk With Me」が続けてかかっています。少しずつ構想を固めていた頃なんでしょうね。

この曲をかけた後の大瀧さんの言葉。


ジミー・クラントン、「Walk With Me」でした。その前はオリジナルのニール・セダカ、「Walk With Me」でした。これが日本語のタイトルが、なんだこりゃ、「二人の並木径」という(笑)タイトルでしたけれどもね。この解説文を読みますとね、ニール・セダカが日本に来た時に、佐川ミツオにデビュー・ソングとして贈った曲というふうに書いてありますね。佐川ミツオのレコードってのがたぶんあるんでしょうね、「二人の並木径」。この曲、聴いてみたいものですけどね。
ずっと以前、去年ですね、6月9日に「ゴー!ゴー!ナイアガラ」が始まりましてから、アルドン・スクリーンジェムス系統というね、わけのわからないスタッフ・ライターの特集をずっとやってきましたけども、その中で中核をなしますところのキャロル・キングと並んで中核をなしますニール・セダカの曲で「Walk With Me」でしてね。
ジミー・クラントンも♫ビ~ナ~ス・イン・ブルー・ジ~ンズ、ザ・シンデレラ・アイ・ア~・ド~♫(笑)の人ですけどもね、その人が「Walk With Me」をカバーやっているわけなんですね。ヒュルルルってハープがたくさん入ってきましたけどね。さすがに『Venus In Blue Jeans』のLPだけありますわな、ホントに。


ということでこの1976年8月の段階では大瀧さんは佐川ミツオの「二人の並木径」は聴いたことがなかったようです。

でもシリア・ポールで「Walk With Me」をカバーすることになったんでレコードを手に入れたんでしょうね。シリア・ポール特集の前の週である1977年6月7日に放送されたジャパニーズ・グラフィティ特集で佐川ミツオの「二人の並木径」をかけています。曲の前にこんな紹介。


来週は6月25日発売の『夢で逢えたら』、LPのほうですね、シリア・ポールの特集しますけどもね。来週と再来週、2週間にわたって特集しますけども、その中で取り上げた曲があるんですよね。ニール・セダカの「Walk With Me」っていう曲なんですけどもね。それをなぜか昔、日本の人がカバーして取り上げていましてね。今日はまずそれを聴いてもらおうと思います。

ところで昨日ちょっと久しぶりにそのシリア・ポール特集を聞いたんですが、なんと「Walk With Me」はかかっていないんですね。気づきませんでした。

1977年6月25日に発売されたシリア・ポールの『夢で逢えたら』のアルバムに入っているインナー・スリーブの大瀧さんによる「Walk With Me」の解説にはこう記されています。

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ニール・セダカのヒット曲のB面には、いい曲が多い。(例えば「星へのきざはし」の「フォーティー・ウィンクス・アウェイ」や「かわいいあの娘」の「アイ・ビロング・トゥ・ユー等」)、この曲は「悲しきクラウン」のB面に収められていた曲で、他にはジミー・クラントン、佐川ミツオがカヴァーしていた。

さて、今回の『夢で逢えたら VOX』の、萩原健太さんの手の入った(ややこしいな)大瀧さんのライナーノーツには『We Love Celia』の他に、1987年に出たCDの解説が少し含まれているんですね。そちらの解説にちょっと興味深いことが書かれているのですが、例によってかなり長くなったのでそれは次回に。小松久さんの話までたどり着けませんでした。


by hinaseno | 2018-04-01 13:56 | ナイアガラ | Comments(0)