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by hinaseno
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『転校生』の中の『東京物語』(最終回)


浄土寺の手前の信号を右折して国道を東に進むトラックを手を振りながら追いかける一美。でも、どうも風景が違う。どうやらこのシーンは違う道路で撮影されていることがわかりました。

どこかということですが、手がかりはたくさんありました。それは道路沿いに立ち並ぶビルや電柱に取り付けられた看板。現在も残っているものが多いんですね。わかりやすいものでいえば仁井時計店。あるいは大村石材店。そう、そこは市役所のある通り。

地図で確認するとこうなります。

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青い線がトラックの走った方向。で、赤い線がトラックを追いかけて一美の走った道。なんと実際には出発した一夫の家に戻っている形になっているんですね。この道には『東京物語』の撮影の時に小津や俳優たちが泊まった竹村家(竹村旅館)もあります。

ちなみにその竹野屋で撮影された『東京物語』のこのカット。


東山千栄子の葬儀の後にみんなが集まって食事をする場所ということになっています。実際の食事のシーンはもちろんセット。『転校生』の冒頭、一夫の家から見える海の風景が見えるシーンが出てきます。

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この窓の外に見える風景は『東京物語』の竹村屋からの風景と似てるんですね。

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ということなので最初は一夫の家は竹村屋なのかと思っていました。


さて、改めて一美が走っているこの場面を。

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彼女が走っていているのは市役所が入っている市民会館の前の道。映画を撮影した時にはこの市民会館のビルを建設中だったようですね。

この場所、例によってストリートビューで確認してみます。

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実は世田谷ピンポンズさんのライブの日の夕方、僕はここの場所の写真を撮っていました。

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なぜかといえば、ここはまさに『東京物語』の冒頭のこのシーンが撮られた場所だとわかったから。大林さんはまさにこのシーンが撮られた場所から一美を走らせたんですね。

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前にも書いたように『転校生』の冒頭で、『東京物語』のラストシーンの汽車が走り去って行くのを撮ったのとほぼ同じアングルで電車がやってくるシーンを撮っているんですが、『転校生』のラストでは逆に『東京物語』の冒頭の子供たちが学校に通うシーンを撮った同じ場所で一美がトラックを追いかけるシーンを撮っていたんですね。まさにシンメトリックな構造になっていたわけです。


ところで、この市役所前の道を走るシーンをDVDでコマ送りしながら、ストリートビューの現在の風景と見比べていたんですが、そこで驚くようなものを発見したんですね。

それは一美が走るのをやめる寸前にとらえられたトラックが走っていくシーン。最後の最後ですね。

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このときトラックの向こうの右手に見えている瓦屋根の大きな家が竹村家。左の電柱には「竹村屋」と書かれた看板も見えます。

驚いたのは右のトラックの停まっている建物に取り付けられた看板の文字。


「栗吉木材店」!


栗吉木材店というのは『東京物語』の冒頭の、小学生たちが登校するシーンで見えていた看板に書かれていた会社と同じ名前(『東京物語』のほうでは「栗吉材木店」となっています。どうやら『東京物語』で唯一といってもいい本物の看板が映っている「栗吉材木店」は竹野屋の近くに移転していたようです(現在は栗吉木材店はありません)。

それにしても、これが『転校生』の最後の最後に映されいるというのは偶然にしてはできすぎていますね。


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by hinaseno | 2018-02-20 15:11 | 映画 | Comments(0)