年末に「今年の10曲」とともに「今年の10冊」を選んでいたので、遅くなったけど紹介しておきます。1昨年は確か「3冊」だった気がしますが、まあいいですね。選んだのはこの10冊。たぶん全てこのブログで取り上げたような気がします。条件としては1人の筆者の本は1冊だけとしました。
左から順番(順位ではありません)に、まずはミシマ社の3冊が並びました。
益田ミリ『今日の人生』。
松村圭一郎『うしろめたさの人類学』。
河野通和『言葉はこうして生き残った』。
結果的にはこの3冊が去年の「今年の3冊」といえるものになりました。それくらいいろんな形で影響されました。
岡崎武志『人生散歩術』。
木山捷平の章がうれしかったです。
川本三郎『「男はつらいよ」を旅する』。
『老いの荷風』もよかったけど、岡山や龍野の町を歩いたことが書かれていたので。
『東京の編集者 山高登さんに話を聞く』。
夏葉社です。この本が出ることを島田さんから聞いた時の喜びといったら。山高さんの言葉もいいし、山高さんが撮られた写真も素晴らしすぎました。
高橋和枝『くまくまちゃん、たびにでる』。
発売されたのはちょうど1年前ですね。これも本当にうれしくて、同時に出た『くまくまちゃん』、『くまくまちゃんの家』とセットにしていろんな人にプレゼントしました。
平川克美『路地裏の民主主義』。
東京に行って隣町珈琲に立ち寄ったときにいただきました。もちろん平川さんにサインをしていただいて。考えたらこの10冊のうち半分の5冊はサイン入り。
太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」の入ったアルバムを聴きながら東京に行って、で、この本を開いたら「木綿のハンカチーフ」の章があってびっくりでした。隣の章は「楕円」と「贈与」。まもなくミシマ社から出版される新刊はそこを膨らませた話になるはず。本当に楽しみ。
宮治淳一『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』。
これは最高に面白かったです。奇跡のような話の連続。これを書きあげるために宮治さんがされたはずの綿密な調査にも感心しました。
村上春樹・川上未央子『みみずくは黄昏に飛びたつ』。
村上さんといえば久しぶりに長編『騎士団長殺し』が昨年出て読書の楽しみを堪能しましたが、あれは2冊なのでこちらの川上さんとの対談のほうを選びました。村上さんが対談を心から楽しんでいたことがよくわかります。川上さんの質問が素晴らしくて、結構深い話もしてます。
さて、今年はどんな本に出会えるでしょうか。
ちなみに今年最初に読んだのは昨年暮れに買った内田樹先生の『ローカリズム宣言』でした。『TURNS』という雑誌で連載されていたインタビューをまとめたもの。『TURNS』はなかなか興味深い雑誌でときどき買ったりしていたので、ちょこちょことは読んでいました。
内容的には松村圭一郎さんの『うしろめたさの人類学』と重なる部分が多くありました。
最後の方にこんな言葉が出てきます。
問いは答えを得ると、そのまま「ファイル」されてしまい込まれてしまいます。でも、「なかなか答えに出会えない問い」は「デスクトップ」に置かれたまま、いつもそこにあります。僕たちを知的に活性化し続けてくれるのは、そういう「なかなか答えを得られない問い」です。(中略)
知性的であるためにもっとも効果的なのは「簡単には答えの出ない問い」を抱え込んでいることです。そして、いつも「喉に魚の小骨がささったような片づかない気分」でいること。「すっきりしないなあ」と思うでしょうけれど、人生とはそういうものなんです。
先日の河野通和さんと松村さんのトークイベントでも、ある質問をされた方にこれと同じようなことを河野さんと松村さんが言われていました。僕はどんな質問にもすぐにずばずば答える人よりも、こういうことを言う人の方を信頼しています。
ところで、昨日、ミシマ社の東京のオフィスで新年会があったそうなんですが、なんとそこに内田樹先生、平川克美さん、小田嶋隆さん、そして河野通和さんが同席されていたとのこと。びっくりでした。内田先生によれば「活字化不能の内輪話」をされたようなんですが、どんな話をされたのか聞いてみたいな。
河野さんに、もう少し僕のセレンディピティ、話しておけばよかった。