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by hinaseno

「Beats There A Heart So True」#9


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Rich Podolsky 著『Don Kirshner: The Man with the Golden Ear』より


葬儀はナッシュビルの郊外のブレントウッド市にあるCongregation Micahという場所で行われた。アーティー・カプランと長年の友人であるボブ・フェルドマンが南フロリダから車でやって来た。トニー・オーランドとトニ・ワインは飛行機でやって来て、ほかの数多くの親しい友人や親戚が到着した。

式は4月4日の月曜日に行われた。式が始まる前、参列者は教会に入るときにスピーカーから流れてくるジャック・ケラーのヒット曲のテープを聴くことができた。その時に流れていた曲の1つが美しいバラード、「Beats There A Heart So True」だった。それは彼が1958年にノエル・シャーマンと書いた曲だった。そしてそれは43人編成のオーケストラとレイ・チャールズ・シンガーズの助けを借りてペリー・コモによって録音された。ジャック・ケラーが書いた最も美しいメロディといえるかもしれない。その曲は深い愛を見事に歌っていた。


 Someone who'd be miles away

 Still within her heart I'd stay

 Beats there a heart so true?


その曲は心臓の鼓動の音で始まり、終わっていた。彼が自分の友人たちのために作ったCD4枚組のボックスセットのライナーノーツで、ケラーは「Beats There A Heart So True」について「これはこれまでで僕が最も気に入っているレコーディングの1つだ」と書いていた。ジャックはその曲が大好きだったので、それを特別なものとしてボックスセットの1枚目のCDに収録していた。その4枚組のCDボックスのパッケージのタイトルはバンドリーダーだった彼の父親が宣伝のときに使っていた「Music for All Occasions(あらゆる機会のための音楽)」という言葉だった。

そのボックスセットの派手な赤色のカバーにはこう書いてあった。「Music for All Occasions Written by Jack Keller-TV Themes-Golden Oldies-Jazz-Swing-Disco-Bubblegum-Novelty and Motion Picture Title Songs-4 CDs-80 Songs-80 Recordings -With personal memories from the composer」。


(このあと何人かの参列者のスピーチが紹介されますがその部分は省略)


葬儀を終えて家族が家に戻ったとき、彼らはものすごい量のごちそうが配達されているのを発見した。そしてそこにはドン・カーシュナーからの手書きの短い手紙が添えられていた。なぜ葬儀に行けなかったかを説明した後で、彼はこんなことを書いていた。


ジャック・ケラーは私が一緒に仕事をし、彼を知り、彼を愛するという幸運に恵まれた友人でした。それに加えて、彼は私たちの世代の中で最も優れた、最も過小評価された作曲家の一人でもありました。彼のすぐれた音楽的才能のおかげで、彼はレコード、映画、テレビで世界中に永遠の遺産を残しています。私たちはみんな、いろんな形で私たちの人生に関わっていたジャックを知ったことで大いに豊かになりました。


*  *  *


ケラーが亡くなる数ヶ月前、彼は自宅に戻ってジェリー・ゴフィンと連絡を取っていた。彼らはいっしょに最後の曲を書こうとしていた。ケラーはゴフィンにまだ未完成のメロディーを送った。ゴフィンはそれに取りかかり始めていたものの、仕上げることができなかった。ジャックが亡くなった後、ゴフィンはそれをアーティ・カプランに送った。カプランはそれに手を加えてメロディーと歌詞を完成させた。ゴフィンはその曲を「HIts In Heaven」と呼ぶことに決めた。


 And when I reach that very sad

 I knew we’ll be together my old friend,

 So say a prayer for me and ask heaven to be kind,

 And we’ll have hits in heaven, yes we’ll have hits in heaven,

   one more time


*  *  *


Jack Keller; November 11, 1936-April 1, 2005. Beats there a heart so true.



(「Beats There a Heart So True」の章の翻訳は以上です。次回、「Beats There a Heart So True」についてもう少し触れて、この長い話を終わろうと思います)


by hinaseno | 2017-02-20 12:36 | 音楽 | Comments(0)