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by hinaseno
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彼女の眼差しがとらえた風景は...(その4)


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「『She Got The Blues』にまつわる10曲」と題されたこちらのページは、アルバムを買って一週間くらい経ってから気がついたのですが、興味深い話がいっぱいでした。作曲者で選曲者の佐藤清喜さんがポップスに大変くわしいこと、なによりもポップスをこよなく愛されていることがよくわかります。ファーストアルバムからわかっていたことですが。

佐藤さんは『She Got The Blues』の収録した曲ごとに、それにまつわる曲を1曲選び、その曲についてのコメントをされているのですが、はじめにこんな説明をされています。

アルバム『She Got The Blues』にまつわる楽曲ということで、各曲の制作時にイメージした曲、アレンジの参考に聴いていた曲、出来上がったあとに想起した曲などをピックアップしてみました。やっている曲が王道のポップスなのでおのずと選んだ曲もヒット曲中心のセレクトになっています。

で、佐藤さんが「She Got The Blues」にまつわる曲として選ばれていたのがジャッキー・デシャノンの「What The World Needs Now Is Love」。



こんなコメント。

アルバム・タイトル曲の「She Got The Blues」は当初、3連のソウル・バラードというイメージで作りはじめたんですが、作っていくうちになんとなく自分の中でバカラックやバリー・マンなどのバラード曲に寄っていった感じです。バカラックにはたくさんの名曲がありますが、この曲は初めて聴いた時よりも今の時代に聴く方が胸に刺さります。自分が歳をとったせいなのかこの時代の空気感のせいなのかわかりませんが、聴けば聴くほど沁みてくる大名曲。

「She Got The Blues」はルーマーの「Come To Me High」を下敷きにしたはずだと考えていたので、最初に呼んだときには、あれ? でしたが、すぐに、なるほど! に変わりました。深いな、と。もちろん単純に「Come To Me High」をなぞるように作ったなんてさらさら思っていたわけではありませんが。ちなみにペット・サウンズ・レコードの独占インタビューのリーフレットにもルーマーの「Come To Me High」には触れられていませんでした。

勝手な推測ですが「She Got The Blues」という曲については、ルーマーのあのアルバム(のA面)へのオマージュとして作ろうという気持ちがお二人に共有されていたんだろうと。で、佐藤さんが最初に考えたのは「Come To Me High」のような曲。3拍子のスロー・バラードですね(実はルーマーの『Seasons of My Soul』のA面の4曲目の「Take Me As I Am」も3拍子のバラードです)。
おそらくこの「Come To Me High」のイントロの部分を曲のサビに使おうというアイデアから始まったんではないかと思います。
で、そこから曲作りを進めているうちに「What The World Needs Now Is Love」のような曲になっていったんですね。
佐藤さんが選曲したものは「各曲の制作時にイメージした曲」と「アレンジの参考に聴いていた曲」と「出来上がったあとに想起した曲」の3つがあるようですが、おそらく「What The World Needs Now Is Love」は「出来上がったあとに想起した曲」だろうと思います。似たようなフレーズがどこかにあるわけではないけれども、できあがって聴いてみたら似たものを感じさせたんでしょうね。
興味深いのはこの曲の作曲者がバカラックだということ。考えてみればルーマーはバカラックの影響を大きく受けているので(バカラックもルーマーの才能を高く評価しています)、「Come To Me High」の背景に「What The World Needs Now Is Love」があった可能性も十分考えられます。
ちなみに「She Got The Blues」のイントロの雰囲気はジャッキー・デシャンノンのバージョンよりもバカラック自身によるこちらのバージョンに近いような気がしました。



あるいは3拍子ではないけど、やはりバカラックが曲をかいたカーペンターズの「(They Long To Be) Close To You」にも似ているかなと。



佐藤さんのコメントでもうひとつ興味深かったのはバカラックとともにバリー・マンの名をあげていたこと。
アルバムを手に入れてから10日くらいたったときに書いたこの日のブログで「(「She Got The Blues」は)『A LONG VACATION』でいえば「恋するカレン」のような曲といえるでしょうか」と書きましたが、僕が感じた印象はまちがっていなかったようです。
この日のブログでも書いている通り「恋するカレン」は大瀧さんがバリー・マン的なものを意図的に取り入れた曲。”不本意”ながら、曲が大きくなった原因となったのがバリー・マンだったんですね。

ちなみにルーマーの「Come To Me High」は『Seasons of My Soul』のA面の2曲めに置かれた曲。いかにもA面2曲目といった感じで、それほど派手さはありません。曲もアルバムの中では最も短くて3分を切っています。小品ですね。
この小品をもとにして「She Got The Blues」という曲を作っていく中でバリー・マン的なものが入って来たというのが面白いですね。具体的にバリー・マンのどの曲を、というのではないのですが、「You've Lost That Lovin' Feelin'」や「Rock And Roll Lullaby」に見られるような高揚感があります。にもかかわらず3分30秒という短い曲になっているのが見事と言うほかありません。
by hinaseno | 2016-08-18 14:50 | 音楽 | Comments(0)