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by hinaseno

下北沢で「ブルース」


今日はピンポンズさんは下北沢でライブ。
そのライブ特典としてもらえるのがこの3曲入りのCD。
下北沢で「ブルース」_a0285828_1029599.png

欲しい!
収録曲は1曲目が「みいはあのブルース」、2曲目が「五月」、3曲目が「二階の歌」。

このうち知っているのは先日のライブで披露された「五月」だけ。ピンポンズさんの誕生月である5月をテーマにした、吉田拓郎の「ペニーレインでバーボン」タイプのなかなかかっこいい曲です。サビの部分で確か「僕のターン!」と、やや照れくさそうにシャウトしていました。この特典CDのタイトルとして使われている「私のターン」というのは、そこからとられているんでしょうね。

他の2曲のうち、特に気になるのは1曲目の「みいはあのブルース」。このCDのジャケットにも70年代の吉田拓郎へのリスペクトが表れているように、「フォーク」をカムバックさせる試みをされているピンポンズさんがブルース!? 

ライブをする「下北沢」で「ブルース」というとぴんとくる話がひとつあります。それは又吉直樹さんの『東京百景』の2つめに収録された「下北沢駅前の喧噪」というエッセイ。『東京百景』は僕が最初に読んだ又吉さんの本ですが、つかみとしてはこれ以上ない話でした。

ある夜、「僕」は下北沢の駅前である人と待ち合わせをしていたら、突然妙な中年男性に肩を組まれてこう言われる。
「一緒だな……同志」
戸惑った「僕」が「えっ」と声を出すと男はさらにこう言う。
「見りゃ解るよ……お前もやってんだろ!」
「僕」は当然「薬物」のことを考える。でも、それはやっていない。で、男に「何をですか?」と訊ねる。すると男は突然叫ぶ。
「ブルース!」

怖いですね。
このあと男としばらくの間ブルースをめぐる話が続く。
ようやく待ち合わせをしていた人がやってきたので、男から離れて商店街の方に歩みを進める。しばらく歩いてから後ろを振り返ると雑沓の切れ目に小さく男の姿が見える。
次の瞬間、男は真っ直ぐな眼で「僕」をとらえて大声で叫ぶ。
「ブルース!」

このブルースのおじさんは実在しているようで、ピンポンズさんもこの男に話しかけられたことがあるそうです。
このおじさん、話しかける相手を選んでいるんでしょうか?
by hinaseno | 2016-07-23 10:30 | 音楽 | Comments(0)