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by hinaseno
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「ゴルディロックス・ゾーン」と「3びきのくま」の話


「”旅をする本”の物語」でなによりもうれしかったのは、久しぶりに動く星野道夫の姿を見ることができたこと。20年くらい前に見た『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第三番』で彼の姿を見て以来。
ここにその予告編があります。



冒頭、星野がクマについて語っています。彼がクマに襲われて死んだということを考えると、どきりとしてしまう言葉ではありますが、彼のことを愛する人すべてがきっとそうであるように、僕は彼が「死んだ」というふうにはいまだに理解できていません。すべてがあまりにも神話的なので。

クマといえば先日紹介した青葉市子さんの「3びきのくま」という曲のことを少し。これですね。



この曲はずっと青葉市子さんの作詞作曲だと思っていたのですが、実は前回紹介した通り作詞は大貫妙子さん、作曲は坂本龍一さん。知ったのは結構最近のこと。
こちらが坂本さんのピアノをバックにして大貫さんが歌ったもの。



先日ある方(!)から、この曲にはクマは出てこないんですねと教えていただいてびっくり。確かに歌詞の中にクマは一切出てきません。クマのいそうな風景すらもない。

青葉市子さんの「3びきのくま」は、おひさまゆうびん舎の窪田さんが高橋和枝さんの「くまくまちゃん」が大好きだということを知って、この曲を1曲目に入れたコンピレーションのCDを作ってプレゼントしたことがありました。でも、その曲にクマが出てこないなんて思いもよりませんでした。いかに歌詞をよく聴かないで曲を聴いているかということですね。
歌詞を引用しておきます。

 果てない宇宙で
 今日も夢を見た
 星も瞬たかぬ
 黒い闇の中で
 
 風に揺れている
 葦の茂る原
 波の打ちよせる
 砂丘に降る雪を

 待つ人の呼ぶ声は
 幾千の時を超え
 届くだろう

 ただひたすらなその思い
 孤独な闇をいつか
 照らすだろう

 すべては流砂の
 中に消えてゆく
 眩い命の
 光跡を残して

 果てない宇宙で
 生まれた奇蹟は
 泡のひとカケラ
 深く碧い海の


この詞のどこが「3びきのくま」というタイトルにつながるんだろうかと調べたら、大貫さんのこんなコメントが見つかりました。もともと坂本さんが作ったインストの曲に詞をつけられたんですね、

これは09年に日本郵政の年賀状のCMで使われた坂本さんのインスト曲がもとになっています。そのときのタイトルは「KOKO」。「此処」と「心」といろいろ意味のあるタイトルだそうです。その曲に、今回、私が歌詞をつけて歌わせていただいています。あるメロディに歌詞をつけるということは、100の可能性のひとつを選択することです。100パターンの歌詞が書けるかもしれないのに、ひとつだけ選んで99のパターンを捨ててしまう。もちろん実際には100のパターンを考えはしませんが、それでもどういう歌詞を乗せるべきかということは常に考えます。そのために曲は何度も聴きます。何度も何度も聴いているうちにそのメロディが呼んでいる言葉や、いまの時代、聴いてくださる方の気持ちといったものがひとつの方向となって指し示されて歌詞ができていく。原曲の「KOKO」につけた歌詞は「3びきのくま」というタイトルです。
ちょっと変わったタイトルですが、「3びきのくま」というのはゴルディロックスという女の子が出てくるイギリスの童話です。ある家にくまが3びき住んでいて、ゴルディロックスちゃんはお散歩しているうちにその家に辿り着く。そしてテーブルの上にスープのお皿が3つあるのを見つけます。最初の皿のスープは熱すぎて飲めない、次の皿は冷めてて飲めない、しかし最後の皿のスープは適温だったので飲んでしまう。この調子で、3つの椅子のうち、高すぎる、低すぎる、調度いいという具合に。そこから転じて「ちょうどいい場所」というたとえに「ゴルディロックス・ゾーン」という言葉が使われるようになりました。この宇宙で(人類にとって)熱すぎず、寒すぎず、最適なゾーンをたとえるときに使われる言葉にもなっています。ということで、この「3びきのくま」のテーマは宇宙なんです。ちょうど「はやぶさ」が宇宙をさまよった末に無事に地球に帰還した頃で、私も非常に感動してそのニュースを見ていました。「あきらめない気持ち」「どんなにはなれていても届く気持ち」「失ってわかるものの大切さ」などを歌にしてみたいという気持ちがあって書いた歌詞でもあります。

もとにあったのは「3びきのくま」というイギリスの童話とのこと。
アマゾンでチェックしたらトルストイ(もちろんロシアですね)をはじめいろんな作者の名が並んでいてどういうことだろうかと思ったら、どうやらもともとはイギリスの民話だったけれども似たような話が世界中に広がったようです。
この話から「ゴルディロックス・ゾーン」「ちょうどいい場所」「宇宙」のいうイメージができ上がり、さらに例の「はやぶさ」につながってそこから「あきらめない気持ち」「どんなにはなれていても届く気持ち」「失ってわかるものの大切さ」なども歌にしたとのこと。

最後の「 果てない宇宙で生まれた奇蹟は 泡のひとカケラ 深く碧い海の」というフレーズは昨日紹介した田邊優貴子さんの言葉につながっていますね。

青葉市子さん手書きの歌詞と、「3びきのくま」が収録された『うたびこ』というアルバムにサインをいただいたものを。
a0285828_1321993.jpg

「ちょうどいい場所」という意味の「ゴルディロックス・ゾーン」って素敵な言葉ですね。
by hinaseno | 2016-05-17 13:21 | 音楽 | Comments(0)