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by hinaseno

ノーブレス・オブリッジ


シャーリー・テンプルの出演しているジョン・フォードの『アパッチ砦』を少し観ました。数ヶ月前に観たばかりでしたが、シャーリー・テンプルという人と思いがけない形で出会ったあとでは、映画が以前よりも新鮮に思えてしまうから不思議なものです。
映画の冒頭、出演者のクレジットでは、ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダに続いて彼女の名前が出てきました。こんなところにも彼女の存在の大きさがわかります。
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で、映画が始まって間もなく、彼女とヴィクター・マクラグレンが言葉を交わすシーンが出てきてきました。
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ヴィクター・マクラグレンさん、相変わらずいい役柄を演じています。軍律に厳しいはずの騎兵隊に、あえて彼のような役柄の人物を入れたというのがジョン・フォードの素晴らしいところ。

ところでウィキペディアを見るとシャーリー・テンプルに関する話はどれも興味深いものばかりですね。とりわけへえ〜っと思ったのはこれ。
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ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』とともにロック史上最高のアルバムといわれるビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケット。
この中にシャーリー・テンプルが映っているんですね。しかも2カ所。同一人物が2つも映っているのはビートルズのメンバーと彼女だけ。
まずは左のスーツ姿のビートルズのメンバーの後にちょこっと彼女の顔がのぞいています。
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もう一枚は右の方。2人の大人の女優(マレーネ・ディートリッヒとダイアナ・ドース)の間に子役時代の彼女が映っています。2か所も映っているというのはもちろん特別な理由があるんでしょうね。
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それから大好きな女優であるシャーリー・マクレーンのシャーリーはシャーリー・テンプルにちなんで名づけられたとか。1930年代に生まれた女の子にシャーリーと名づけるのが流行ったようです。

シャーリー・テンプルについては『Child Star: An Autobiography』という自伝が出ていて日本でも翻訳されています。で、うれしいことに川本三郎さんの『本のちょっとの話』に収められた「ノーブレス・オブリッジ」と題されたエッセイに、このシャーリー・テンプルの自伝についての話が書かれているのがわかりました。その部分を引用しておきます。

 アメリカは厳しい競争社会だからアメリカ人は自己主張が激しく、隙あらばライバルを蹴落そうとする。ついそういう風に考えがちだが、実は物静かで控え目なアメリカ人もまたたくさんいる。
 以前、30年代のアメリカの名子役シャーリー・テンプルの伝記を読んでいたらこんなエピソードにぶつかった。
 小学校の父兄参観日に子どもたちは椅子取りゲームをした。シャーリーは誰よりも素早く椅子を取り、ゲームに勝った。終った後当然、母親に賞めてもらえると思った。
 ところが母親はシャーリーにこういったという。
「お母さん、恥ずかしかったわ。あなたが人を押しのけてまで勝とうとするんだもの」
 なるほどこういうアメリカ人もいるのかと新鮮な思いがした。

シャーリー・テンプルの自伝の上巻の帯にはこう書かれています。
「大恐慌下、貧困にあえぎアメリカ国民に、ひとり勇気と希望をあたえた小さな大女優〈テンプルちゃん〉のつづった自伝」

その大恐慌下で作られた映画の中で彼女が歌っていた曲の多くをあのハリー・レヴェルが作っていたわけです。
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by hinaseno | 2016-01-17 12:02 | 雑記 | Comments(0)