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by hinaseno

1995年の大瀧詠一(その6)


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『ちびまる子ちゃん』の主題歌を歌った渡辺満里奈さんの話をしようかと思いましたが、今日8月23日は木山捷平の命日なので、そちらの話を。と思いましたが、離れないような話をします。

木山捷平が昭和2年に書いた詩に「さあいそげ」という作品があります。『木山捷平全詩集』では「船場川」の次に収められています。木山さんが姫路の荒川小学校に勤務していたときに書かれた詩。
子供等よ
いそげ、
あの丘を越えると
もうすぐだ、
あの丘を越えると
大きな海が見えてゐるのだ、
そこだ
そこが広なんだ。
さあいそげ。

子供達を海に連れて行くことを描いた詩。実際に荒川小学校時代の木山さんが子供達を姫路近辺のどこかの海に連れて行ったときのことを描いたものなのか、それ以前の出石小学校で先生をしていたとき、あるいは「尋三の春」に描かれた木山さんが子供だったときを思い出して書いたものなのかは正確にはわかりません。
でも、この詩でずっと気になっていたのは「広」という言葉。詩集には「ひろ」というルビがふられています。

1995年から数年間、阪神淡路大震災をきっかけに僕はある活動に関わっていたと書きました。その活動をしていたのは姫路の西を流れている夢前川の西の広畑という場所でした。

ここに大正12年の地図があります。
1995年の大瀧詠一(その6)_a0285828_12552387.jpg

赤丸の「文」が昭和2年に木山さんが勤めていた荒川小学校。東には船場川(「舩場川」と表記されています)が流れています。
青の四角で囲んだのが広畑。すぐそばを夢前川が流れています。北の方に蒲田という地名がありますね。
さて、広畑はのちに沿岸部に新日鉄の巨大な工場が造られて町は大きく発展したのですが、この頃はまだ田圃だらけです。
興味深いのはその広畑の南の海に近い辺りの地名が「広村」と書かれていること。「広(ひろ)」と呼ばれる土地がここにあったんですね。まあ、荒川小学校から子供達を海に連れて行くならば、まっすぐ南に下って船場川の河口あたりに行けばいいわけですが、でも、もしかしたら「さあいそげ」の「広」は広畑の南の「広村」なのかもしれないと考えたりもしています。

ところで、渡辺満里奈さんが結婚されたネプチューンの名倉潤さんはこの広畑の出身。で、ちなみに渡辺満里奈さんは大田区の蒲田の出身。
おもしろいですね。
by hinaseno | 2015-08-23 12:55 | ナイアガラ | Comments(0)