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by hinaseno
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廻れば大門の見返り柳いと長けれど...


小山清を通じて樋口一葉の「たけくらべ」と”再会”して以来、僕の中で「たけくらべ」ブームが起こっています。
先日紹介したラジオデイズでの小池昌代さんの朗読部分だけを抜き取って何度も聴いていたら、あまりにも心地よくて、自分も暗唱してみたくなったというわけです。
ただ、僕の持っている新潮文庫版はふりがなが不十分だったので、ふりがな付きのものをiTunes Storeで購入。で、とりあえず、小池さんが読まれた冒頭のこの部分の暗記から始めました。
廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お齒ぐろ溝に燈火うつる三階の騷ぎも手に取る如く、
明けくれなしの車の行來にはかり知られぬ全盛をうらなひて、大音寺前と名は佛くさけれど、
さりとは陽氣の町と住みたる人の申き

まあ、これくらいはすぐに覚えられるだろうと思っていましたが、元々記憶力がよくないこともあって、3日ほどたった今でも、まだすらすらと言葉が出てくる状態にはなっていません。でも、音読してみて、この小説の心地よさがよくわかりました。優れた小説でもあるし優れた音楽でもあります。

こうなると、小池さんも、それからアゲインの石川さんもされたように、朗読のテープ(CD)を聴きたくなって、図書館で借りてきました。YouTubeやiTunesにも朗読したものがありましたが、なんとなく幸田弘子さんという方が朗読したものがよさそうな気がしたので、それを借りてきました。それから、小池昌代さんが、まさに樋口一葉の「たけくらべ」を暗唱する少女を主人公にした小説を2年前に書いているのがわかったので、その小説『厩橋』も借りてきました。
で、昨夜、幸田弘子さんさんの朗読したものを小さく流しながら『厩橋』を読んでいたら、こんな記述が出てきました。
 いっときは、日課のように、テープを流した。朗読しているのは、幸田弘子さんという女性で、女性にしては、歯切れよく、やや伝法なものの言い方をする。それが黎子には痛快だった。数回、通して一緒に聞くと、いつのまにやら、月子にだけ、乗り移ったように、その文章が入ってしまった。当時、月子は小学生だったが、子供というのは、みんなそうなのか。おそるべき能力だと黎子は感嘆した。

どうやら小池さんが聞かれていたのは幸田弘子さんの朗読したものだったようです。
で、改めてラジオデイズの平川さんと小池さんの話を聞いていたら、小池さんこんなことを言っていました。
「うちの子供も、私がこれをず〜っとテープで流していたり、私が読むものだから最初の一段落は覚えちゃいましたね。小学生でも覚えられちゃう」

なんと小説のきっかけになるようなエピソードがここで語られていました。
というわけで、しばらくは幸田弘子さんの朗読を聞き続けることになりそうです。どこまで暗記できるやら。
廻れば大門の見返り柳いと長けれど..._a0285828_1311044.jpg

by hinaseno | 2015-02-02 13:00 | 文学 | Comments(0)