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by hinaseno
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新山の秋(9) ― 恋の汽車ポッポ ―


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神島を離れていよいよ木山さんの故郷の新山へ。
その新山の村に入ったときに最初に立ち寄ったのがここでした。
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井笠鉄道記念館。もとは井笠鉄道の新山駅。その駅舎を保存して記念館としたそうです。知りませんでした。正面に飾られている「新山駅」という文字も昔のままなんでしょうね。
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踏切あたりに立てられていたこんなものも。「汽笛」と書かれているのは、いつどんなタイミングで使ったんでしょうか。
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実はここも立ち寄った日には閉まっていて、残念ながら中を見ることはできませんでした。でもまさか、新山駅がそのまま残っていたとはびっくりでした。この新山駅と、そこを走っていた軽便と木山さんには驚くべきつながりがあったので。

弟とともにもう少しで亡くなりかけた疫痢にかかった4年後に、木山さんは再び大病に襲われます。木山さんが小学校の4年のときでした。病状はジフテリアだったようです。
病にかかったのは大正2年10月2日。喉が痛くなって声が出なくなったそうです。最初はたぶん風邪だと思ったみたいですね。でも、この病気が長引いて、呼吸も困難な状態に陥り、笠岡の病院、それから岡山市内の病院で診察、治療を受ける日々が続きます。

ひと月半くらい過ぎてようやく病状もよくなってきて、学校に行けるようになったのが11月13日。
その3日後の11月16日の日曜日に井笠鉄道の開通式が行なわれています。で、なんと木山さんはこの開通式の日に父親といっしょに軽便鉄道に試乗していたんですね。木山さんのことをいろいろ調べ始めたほぼ同じ時期に岡山の軽便鉄道のことを調べていたので、木山さんがまさに井笠鉄道の開通式の日に試乗していたと知ったときにはほんとうにびっくりでした。いつかそのことについて書きたいと思っていたので、ようやく。ちょうど101年前の出来事。

この日のことは父静太の日記に書かれています。病院通いと家での療養が続いていた木山さんにとってはこの上ないうれしい出来事だったようです。
 十一月十六日。日。晴
 井原、笠岡軽便鉄道開通。
 八時四十五分迎への汽車にて笠岡行き。 
 招待されて僕は捷平を連れて行ったら、折詰も寄贈品も二人前づつ貰って、捷平の歓喜といったらなかった。病気もこれで愈々全快するだろう。(翌日の新聞に式場の写真が出とる。捷平も僕も鮮明。捷平又大喜び。)

式があったのは笠岡だったようです。この日は停まっている軽便に乗ってみただけなのかもしれません。木山さんとお父さんも写っているというこの日の写真はどこかにあるんでしょうか。
この後、木山さんは新山駅から何度もこの軽便に乗ることになります。
 十一月十八日。火。晴
 軽便鉄道初乗り。(一昨日のは試乗なれば)
 捷平を連れて山下病院行。それより捷平ひとりを帰らして、僕は鴨方へ汽車で行く。

山下病院は笠岡にある病院。鉄道が開通する前も何度も通っていました。もちろん歩くわけにも行かないので、車でも頼んだんでしょうか。金銭的にも結構大変だったはずなので、そう考えるとまさに井笠鉄道は木山さんの病気の快復を助けるように開通したことになります。
この日は父親と二人で笠岡に行って、帰りは一人で新山に戻ったようです。きっとわくわくしたでしょうね。
その後の日記にも何度も山下病院へ通う記述が続きます。年末の12月30日にはこんな記述。
山下先生へ捷平一人で往って帰った。

それから翌12月31日も。
山下先生へ捷平は今日も一人で往って帰った。

一人で行って帰れるようになっていたんですね。
ところで、旧新山駅の井笠鉄道記念館にはこんな機関車も置かれていました。1号機関車とのこと。この機関車に引っぱられた客車に当時小学校4年だった木山さんも乗ったんでしょうね。
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これは正面に近い場所からの写真。
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ただし撮ったのは金網の外。休みでなければ中に入れて実際に触れることもできたのでちょっと残念。また来て下さいということですね。
この機関車を目の前にしたときに思ったのですが、今度来たときにはぜひこの機関車の上に跨がってこんな写真を撮ってみたいと思ってしまいました。いろんな意味で相当に勇気のいることですが。
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by hinaseno | 2014-11-20 13:06 | 木山捷平 | Comments(0)