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by hinaseno
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洋楽のシングル盤が330円だった時代


昔の、特に音楽を最初に聴き始めたときの思い出を語るというのは、簡単なようで、実は難しいのではないかと思います。
どうしてもそこには後付けの話やある種の捏造、その一方で都合の悪そうなものはカットするということが起きてしまいがちなんですね。大瀧さんはそういうのはすぐにわかるっておっしゃられていましたね。もちろんそんな人間は絶対に信用しないと。
フィジカルな体験をもっていない人の話って、本人の頭の中ではうまく構築していたとしても、お話しにならないなということは、 大瀧さんでなくてもわかるものですね。別に音楽体験に限らないとは思いますが。

と、まあややこしい話はおいといて、石川さんの話というのは(電話で直接お話しさせていただいたときも含めて)フィジカルな体験を今も持ち続けられていることがよくわかります。もう何度も(たぶん何千回も)聴き続けているはずなのに、曲がかかり始めるとあの時の風景がよみがえってきて体が反応しているのがわかります。

とにかく本当にいろんなジャンル(「大人向け」も含めて)の音楽を分け隔てなく聴いていたことに驚いてしまいます。歌っている人の人種の多彩さにもびっくり。逆にいえば人種とかジャンルなんてことを考えることもなく、スポンジのようになっていろんな音楽を吸収されていたんですね。

それから、やっぱり「B面」ですね。大瀧さんも、音楽について話をするときにB面の話ができるかどうかがポイントだって何度も語られてましたが、石川さんの口からもB面の話がいくつも飛び出してきます。
B面の曲も、というかかなりの割合でB面の曲の方を愛聴していたことがわかります。ビーチ・ボーイズの「Don’t Worry Baby」、クリフ・リチャードの「Next Time」、そしてビートルズの「This Boy」(邦題は「こいつ」)などは、どれもB面の曲。
ナット・キング・コールの「悲恋のワルツ」を紹介されたときにも「B面もいいんですね。『可愛いキャリー』...」って石川さんが話されたら、思わず宮治さんが「今日はA面だけで勘弁して下さい」と突っ込まれる場面もあって、笑ってしまいました。
B面って、考えてみたら、風景でいえば裏通りのようなものなんでしょうか。レコードのB面同様に、B面の風景がどんどんと失われつつありますね。

そういえば、石川さんの今回の1964年特集のもうひとつの大きなポイントは、当時の洋楽のシングル盤が330円だったということ。このことは僕も石川さんの話を伺って気づかされたことでした。僕が後追いで集めた64年前後の洋楽のシングル盤も確かに330円。そのあとで370円、さらには400円になったんでしょうか。
僕の持っているシングル盤でも370円と印刷された上に、赤で400円の判子を押したものもあったりします。
で、石川さんは、その330円を握りしめて、レコードを買いに行かれたんですね。100円玉3枚と10円玉3枚をようやく貯めた少年がレコードを買いに行く風景を想像するだけでもたまらない気持ちになります。でも、その少年が駆けていた街のあちこちでは東京オリンピックによって急ピッチでB面の風景が失われていったことも事実なんだろうなと。

今回かかった曲の中でいちばん心に響いたのは、やはりクリフ・リチャードの「Next Time」。A面は「バチェラー・ボーイ」だったんですね。クリフの「バチェラー・ボーイ」のことは、大瀧さんの「バチェラー・ガール」がらみの話で知って聴きましたが「Next Time」は石川さんに教えていただくまでは全く知りませんでした。
で、この曲を今日の石川さんのブログでも紹介されている「訳詞」作りのために、昨年の夏の間じゅう聴き続けていたので(何百回聴いたかわかりませんが、ちっとも聴き飽きることがありませんでした)、僕にとってはクリフの「Next Time」は2013年の夏の思い出として(それを車の中で聴きながら目にした風景も含めて)記憶され続けることになるだろうと思います。


by hinaseno | 2014-06-17 10:15 | 音楽 | Comments(0)