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by hinaseno
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And the Sweet Secret of A Summer Place(part 1)


あいかわらず1959年のことを考えています。ただ、その年の曲を聴いているだけですが。

今、どっぷりとはまっているのが「Theme From "A Summer Place"」。邦題は「夏の日の恋」、あるいは映画と同じ「避暑地の出来事」となっていることもあります。
映画の中で流れたのはHugo Winterhalter楽団によって演奏されたもののようですが(映画はまだ観ていません)、なんといっても一番有名なのはもちろんパーシー・フェイス楽団が演奏するバージョン。



1960年の最大のヒット曲ですね。聴いたことがない人はいないほどの名曲です。聴こうと思わなくてもいろんなところでかかっているはず。
ちなみに村上春樹の小説でもいくつかパーシー・フェイスの演奏する「夏の日の恋」は使われています。『ダンス・ダンス・ダンス』ではホテルのスピーカーから、そして『ねじまき鳥クロニクル』では駅前のクリーニング店のラジオ・カセットから流れてきます。

実は1959年の曲を集めていたときに、この曲を入れるかどうか悩みました。映画が上映されたのが1959年、パーシー・フェイスが録音し、シングル盤を発売したのも1959年ですが、ヒットしたのは1960年になってから。
1960年の2月末に全米チャートの1位になり、それから9週間、つまりほぼ2か月の間1位を独占し続けます。もちろん1位ではなくても1960年の夏にはこの曲が聴かれ続けていたんでしょうね。

というわけで、パーシー・フェイスの「夏の日の恋」は1960年の曲として広く知られているようなので、1959年の曲に入れるべきかどうか悩んだのですが、あえて入れることにしました。そして、先日書いた通り、1959年を代表する曲の「次点」としました。実はディオン&ザ・ベルモンツの「A Teenager In Love」をぱっと決めた後で結構悩みました。聴けば聴くほどいい曲なんですね。前から好きではあったのですが。

改めて考えるとアメリカン・ポップス史的に見てもこの曲の存在はものすごく大きいような気がしました。もちろんそれに気づかせてくれたのは大瀧さんの「アメリカン・ポップス伝」でした。

パーシー・フェイスの「夏の日の恋」がかかったのは「アメリカン・ポップス伝パート4」の最終日の終わりに近いあたり。
映画音楽とアメリカン・ポップスのつながりが語られるところですね。そこから最後の(最後の最後の)ジョニー・ソマーズの「One Boy」につながっていくところがたまらなく興奮しました。一応かけられた曲を紹介しておきます。

Theme from “A Summer Place”(避暑地の出来事)/ Percy Faith
Tall Paul / Annette
『77 Sunset Strip(サンセット77)』のテーマソング
Kookie, Kookie (Lend Me Your Comb) / Edward Byrnes
Sixteen Reasons / Bill & Doree Post
Sixteen Reasons / Connie Stevens
One Boy / Joanie Sommers

アメリカン・ポップスの歴史を考えるときに、そこには切れ目とまでは言えないにしてもいくつかの「ライン」を引くことができます。いうまでもなくエルヴィスが登場する1955年/56年、それからビートルズが登場する63年/64年。

この2つの「ライン」に関しては大瀧さんがここにとても興味深い文章を書かれています。3年ほど前に書かれたものですね。
特にこの言葉に引き付けられます。
私の役目は《63と64》の間がどう“繋がっているか”を明らかにすることではないかと、そう思っております。(時代の“変わり目”の混沌とした状況が好きなのです)

「時代の“変わり目”の混沌とした状況が好きなのです」という言葉が印象的です。大瀧さんを理解するのに重要な言葉ですね。
で、これを書かれた翌年から(実際にはすでにこれを書かれていたときから準備を始められていたと思いますが)「アメリカン・ポップス伝」を始められます。まずそのパート1でされたのが55年と56年のライン。
そして次に向かっていたのが最大のテーマである「《63と64》の間がどう“繋がっているか”を明らかにすること」だったんですね。それが「私の役目」だと。
でもそこに向かう前に、55年/56年や63年/64年の「ライン」ほどの大きなものではないにしても、やはり無視することのできないもうひとつの「ライン」に気づかれたんでしょうね。それが59年と60年のライン。実際にはここにものすごい時間と労力をかけられることになりました。

で、パート4でようやくそれを終えたのですが、「《59と60》の間がどう“繋がっているか”」を考えるときに、まさにパーシー・フェイスの演奏する「夏の日の恋」が最も重要な曲だったと思えてきたんですね。まさに59年の末から60年にかけてヒットした曲でしたから。
by hinaseno | 2014-04-21 10:24 | 音楽 | Comments(0)