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by hinaseno
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心の痛みがある場所には心があるにちがいないから


『バート・バカラック自伝』を読み終えて、無性に『明日に向って撃て!』が観たくなったので、久しぶりに観賞。1969年に公開された映画。音楽を手がけたのはもちろんバート・バカラック。主題歌は「Raindrops Keep Fallin' On My Head(雨に濡れても)」。B.J.トーマスの歌う「Raindrops Keep Fallin' On My Head」をバックにポール・ニューマンが自転車を乗り回している場面は何度見ても心ときめきます(サウンドトラックでは「On A Bicycle Built For Joy」というタイトルになっています)。
この場面ですね。この、女性の乗せ方がすごい。



そういえば、昔、ウクレレを買ったときに最初に演奏したのがこの曲のイントロでした。

主題歌は「Raindrops Keep Fallin' On My Head(雨に濡れても)」 ですが、この映画のメインテーマは映画が始まってセピア色の映像とともに流れてくる「Not Goin' Home Anymore」。何度聴いてもたまらなく切ない気持ちにさせられてしまいます。このフィルムの音とともに流れるバージョン(楽器はウクレレ?)はサントラには入っていないもの。
ちなみに『明日に向って撃て!』のオリジナル・サウンドトラックには2つのバージョンの「Not Goin' Home Anymore」が収められています。アコーデオンで演奏されるものとピアノで演奏されるもの。いずれも曲調は穏やか。
それからメロディは全く同じですがややアップテンポで演奏されているバージョンもあります。ただしその曲のタイトルは「Come Touch The Sun」。オーケストラで演奏されているので豪華な感じ。でも、正直僕はあまり好みではありません。

『バート・バカラック自伝』を読んでいたらバカラック本人はこの曲を「Not Goin' Home Anymore」ではなく「Come Touch The Sun」というタイトルで認識していることがわかりました。ライブ・アルバム『Burt Bacharach In Concert』にも「Come Touch The Sun」というタイトルで収録されています。やはりこのタイトルで演奏されたバージョンがこの曲の完成形ということなんでしょうね。

『バート・バカラック自伝』にはこの「Come Touch The Sun」についてこんな話が出てきます。
 映画用に書いた愛のテーマには歌詞がついていなかったが、映画の公開後にサウンドトラック・アルバムをつくっていたとき、ハルが歌詞をつけたいと言いだした。
 彼が〈太陽をつかもう(Come Touch the Sun)〉のために書いてきた歌詞―「心の痛みがあるところには、きっと心があるはず(Where there is a heartache, there must be a heart)」―を、わたしはまったく好きになれなかったが、曲づくりのパートナーがいて、しかもそのコンビが大成功を収めている場合には、うかつに波風を立てるような真似はできない。ハルのところに行って、「あの曲を返してもらえるかな? 別の作詞家に頼みたいんだ」と言ってやるわけにはいかないのだ。そのまま受け入れるしかなかったし、それからはせめてもの腹いせに、あの曲はインストゥルメンタルと呼ぶようにしている。

ずいぶんひどい言葉なんでびっくりしてしまいました。ハル・デイヴィッドによって付けられた歌詞は彼らしい本当に素敵な歌詞なのに。
ただ、ふと思ったのはハル・デイヴィッドが歌詞を付けたときにイメージのもとにあった曲は「Come Touch The Sun」ではなくて「Not Goin' Home Anymore」だったんではないかと。「Come Touch The Sun」には合わない歌詞のような気がしました。
というわけで、ハル・デイヴィッドが「Not Goin' Home Anymore」に付けたはずの歌詞「Where There's A Heartache (There Must Be A Heart)」を。日本語に訳すと結構照れくさいものがありますが、一応訳しておきます。アストラッド・ジルベルトの歌ったものに馴染んでいるので、女性の立場からの訳にしています。
Don’t let your tears
Keep us apart
Where there's a heartache
There must be a heart

After the tears
True love can start
Where there's a heartache
There must be a heart

Each day my whole life through
Will make amends for hurting you
Please have a heart and...

Come back to me
And always be my love

あなたの涙が
わたしたちを離ればなれにはさせないで
心の痛みがある場所には
心があるにちがいないから

涙の後に
本当の愛が始まることもある
心の痛みがある場所には
心があるにちがいないから

わたしの人生はずっと、日々
あなたを傷付けたことを償っていくでしょう
どうかお願いだから...

わたしのところに戻ってきて
そしていつまでもわたしの愛する人でいて



by hinaseno | 2014-04-18 10:56 | 音楽 | Comments(0)