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by hinaseno
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Little White Lies


「嘘」とか「捏造」とかをめぐって、連日テレビで"彼女"のことが盛んに取り上げられています。
はたして彼女のついている「嘘」は何色なんだろう?

何年も前から向田邦子さんの1冊の本を探しています。出会える確率は極めて低いことはわかっているのですが。
本のタイトルは『真っ白い嘘』。
愛読書のひとつであるクラフト・エヴィング商會の『おかしな本棚』で知りました。そんな本があったのかと調べたら、2009年に行なわれた向田邦子生誕八十周年の朗読会で配られた冊子とのこと。きっと部数も少ないんでしょうね。『おかしな本棚』には写真も載っていますが、タイトル通り真っ白い素敵な本。もし、どなたか見つけられたらご連絡を、なんて。

そういえば昨日紹介した「字のない葉書」の主人公である妹の和子さんが、何かのエッセイであんな葉書を書いた覚えはないというようなことを書かれていたような。もちろん和子さんは当時小学1年生なので、覚えていないことなんていくつもあるだろうとは思いますが、あの話が全部とは言わないまでも向田邦子さんが作った話だとしたらとふと考えてみたり。「嘘」だと認定されたら教科書から外されるんでしょうか。

村上春樹に「真っ白な嘘」というエッセイがあります。『村上ラヂオ』に収められています。
「深刻な嘘をつくのは苦手だけど、害のない出鱈目を言うのはけっこう好きだ」ということで、過去のいくつかの「害のない出鱈目」について語られています。
ある月刊誌で書評嫌いの村上さんが書評を頼まれたので、架空の本をでっちあげて詳しく評論したとか。でも、苦情も、本に関する問い合わせもなかったとのことですが。
あるいは若いときにはインタビューとかで「最近どんな本を読んでいますか」とか訊かれると、やはりあまり真面目に答える気になれなくて、実在しない作家をでっちあげて答えられていたとか。

そういえば昔の新春放談で語られていたことですが、何かのアンケートで、好きな映画は何ですか、という質問に、回答者の人がみんなそれぞれ真面目に答えている中で、ひとりだけとても真面目とはいえない回答をしていた人がいたという。もちろんそれが大瀧さんなのですが、大瀧さんが答えられていたのは『決戦高田の馬場』という映画だったとのこと。

「なんか昔からアンケートに真面目に答えるのが嫌いで」と大瀧さん。
「知ってます」と達郎さん。

村上さんのエッセイでも触れられていますが、英語では罪のない嘘を表す言葉として「white lie」という言葉があります。村上さんのエッセイのタイトルも、そして向田邦子さんの本のタイトルもそこから来てるんですね。

「white lie」といえば「Little White Lies」という、ちょっと素敵な歌があります。スタンダードとまではいえないような気もするのですが、わりと好まれて歌われている曲のようで、僕のiTunesにも5つのバージョンがあります。
曲を作ったのはWalter Donaldsonという人。作詞も作曲もできる人ですね。「Makin' Whoopee」とか、スペクターファンとしては気になる「Yes Sir, That's My Baby」とか、エヴァリー・ブラザーズもカバーしている「My Mammy」とか、なかなかいい曲を作っています。作品の数は少ないのかもしれませんが。

「Little White Lies」という曲を知ったのは、クリス・モンテスのバージョン。やはりこれが最高ですね。『The More I See You/Call Me』というハリー・ウォーレンの曲が2曲収められたアルバムの最後に収録されています。アレンジが「The More I See You」とほとんど同じ。ちなみにアレンジャーはバカラックの曲をいくつも歌ったり演奏したりしているハーブ・アルパート。プロデューサーはそのハーブ・アルパートとトミー・リプーマ。悪かろうはずがないですね。

というわけでクリス・モンテスの「Little White Lies」を。



ところで『決戦高田の馬場』ってどんな映画?
by hinaseno | 2014-04-14 10:30 | 雑記 | Comments(0)