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by hinaseno
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水丸さんに最も接近した日と、「セロニアス・モンクのいた風景」


安西水丸さんの話をもう少し。
水丸さんが亡くなられてからずっと読んでいるのは川本三郎さんの『ちょっとそこまで』。数年前に古書店で見つけたもの。こんなタイトルの本が出ているなんて知らなくて手にとったら、表紙がなんと水丸さんのイラスト。水丸さんの装画もいくつかあります。
水丸さんに最も接近した日と、「セロニアス・モンクのいた風景」_a0285828_108381.jpg

川本三郎さんの本の装幀を水丸さんがしているものがあったとは知りませんでした。この本、いつか読もうと思いつつ、そのままにしていました。
本が出版されたのは1985年。あちこちを旅された話、あるいは東京の町歩きをされた話が収められています。僕が読んできた川本さんのエッセイは1990年以降に書かれてきたものがほとんどなので、文章がすごく若い感じがします(当たり前ですね)。でも、あとがきには「老人に対する憧れ」が書かれています。「自分のなかに潜んでいる老人性を大事にしたいと思う」と。少しずつ(急速に?)その方向に向かわれていたんでしょうね。

水丸さんのことで思い出したことがありました。
だれか大切な人が亡くなると、あのときにああしておけばよかった、ということがあります。そんな話。
一昨年、ベン・シャーン展が岡山でありました。ベン・シャーンは僕の最も好きなイラストレーターのひとり。で、もちろんベン・シャーンを敬愛しているイラストレーターは数多くいて、その代表が和田誠さんと安西水丸さんですね。
その水丸さんが岡山で開かれていたベン・シャーン展に講師としてきていたんですね。ちょうどゴールデンウィークのとき。僕が行ったのは4月29日。そのときに5月3日に水丸さんの講演があることを知りました。ちょっと無理をすれば行けたのですが、結局行きませんでした。あとでちょっぴり後悔したのですが、今になってみると絶対に行っておくべきだったなとすごく後悔しています。

最後にもうひとつ、水丸さんのこと。
週刊朝日の最新号は、「1回だけの『村上朝日堂』復活!」ということで、表紙が水丸さんのイラスト。そして村上さんが「描かれずに終わった一枚の絵」という文章を寄稿されています。
そうかその日そんなことがあったのか、そんな約束もあったのか、ということが書かれていますが、まあ読んでみて下さいということであえて触れないことにします。

タイトルにもつながる最後の一文だけ引用します。
人の死はあるときには、描かれていたはずの一枚の絵を永遠に失ってしまうことなのだ。

本当にそうですね。
人の死はあるときには、作られていたはずの一つの曲を永遠に失ってしまうことなのだ。

でもあります。
by hinaseno | 2014-04-10 10:08 | 雑記 | Comments(0)