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by hinaseno
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Sassafrass and Moonshine


昨日4月8日はローラ・ニーロの命日。
亡くなったのは1997年。もう20年近く前になるんですね。
当時とっていた朝日新聞の隅の方(訃報欄ですね)に、写真もなく、とても小さく書かれた「ローラ・ニーロ」の名前を見つけたときには本当にびっくりでした。
日頃そんなに訃報欄を読んだりするわけでもなかったので、自分でもよく見つけられたなと思う一方で、「ローラ・ニーロ」という、カタカナにするとシンメトリックな形になる字面に馴染んでいたからこそかなと考えたり。でも、その記事の小ささが、当時の(今でも、と言うべきなんでしょうか)日本での(あるいは世界での)、ローラ・ニーロというミュージシャンの過小評価を示しているような気がしました。

先日、安西水丸さんが亡くなられたときに、水丸さんがローラ・ニーロを描いたものがあることを思い出しました。村上春樹の『村上朝日堂 夢のサーフシティー』に収められています。村上さんもローラ・ニーロが好きで、彼女が亡くなって書かれたた話に添えられていたのが水丸さんのイラスト。『イーライと13番目の懺悔』のジャケットを描いたものですね。一応、下に本物のCDを置いておきます。本物のジャケットの静謐な空気に比べて水丸さんのイラストはどこか笑えるものがあります。どこまでちゃんと見ながら描かれたのやら、ですね。
Sassafrass and Moonshine_a0285828_10315594.jpg

ちなみに、ローラ・ニーロの横に描かれているのは先日、小津の話で触れたアキ・カウリスマキ。村上さん、アキ・カウリスマキも大好きなんですね。僕はたぶんこれを読んで、彼の映画を見たんだと思います。

というわけで、昨日は、水丸さんの描いたローラ・ニーロの『イーライと13番目の懺悔』を、水丸さんへの哀悼の気持ちも込めてずっと聴いていました。
一番好きなのは「Lu」かな、とは思いつつ、僕がローラ・ニーロの音楽に”開眼”した「Stoned Soul Picnic」の素晴らしさに改めて感服していました。



ローラ・ニーロという名前はたぶん達郎さん経由で知ったような気がします。達郎さんや細野さん、ピチカート・ファイヴの小西さん、そして長門さんと、僕の敬愛する人たちが最大級の評価をしているのを知って、是非聴いてみなければと思いつつ、でも、彼女のことを知ったときにはまだ1枚もCDは出ていませんでした。
で、ようやくCDが出るようになって最初に聴いたのが『ニューヨーク・テンダベリー』。
はっきり言って、すごく戸惑いました。佐野さんの『VISITORS』どころではなかったですね。知人からは最初に聴くならば『ファースト・ソングズ』がいいと言われましたが、『ファースト・ソングズ』がCDで発売されたのはもう少し後のこと。
で、ある日車の中で『イーライと13番目の懺悔』を聴いていたとき、たまたま視界が開けて、向うに夕陽が見える風景が広がって、そのときに流れていたのが「Stoned Soul Picnic」。ちょうど、”Come along and surry on sweet trains of thought”のフレーズを歌っていたあたり。音楽的にぱっと開ける瞬間と目の前の風景が見事に重なって、とてつもなく心が震えたことを今でもはっきりと覚えています。まさに”開眼”でした。
「Stoned Soul Picnic」は、彼女の歌うものを聴くかなり前に、大ヒットしたフィフス・ディメンジョンの歌うものを聴いていましたが、そのバージョンにはそんなには心動かされれことはなく、ローラ自身の歌うバージョンも何度も聴いていたのですが。

その”開眼”から、彼女の音楽を聴く日々が続きました。『ファースト・ソングズ』のオリジナルである、ジャケットが最高に素敵な『More Than A New Dicovery』を買ったりもして。
一番聴いたのはやはり『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』。

さて、「Stoned Soul Picnic」は「ピクニックに出かけましょう」なんて歌詞が出てきますが、実は”危ない”ピクニック。
歌詞の中で何度も出てくる”Sassafrass and Moonshine”も危ないもの。綺麗な植物と月の光ではないんですね。

数年前、イギリスのACEからローラ・ニーロのソングブックが発売されましたが、その副題が”Sassafrass and Moonshine”でした。
このソング・ブック、出たのはうれしかったけど、内容的にはちょっと、という感じでした。僕はローラが亡くなってすぐにピーター・ゴールウェイのプロデュースのもとで制作された『The Music of Laura Nyro: time and love』の方が断然好きです。歌っているのは全員が才能のある女性シンガー。村上さんも、ローラの歌うものよりも、こちらを勧めています。「最近聴いたCDの中では一番感心しました」と書いていますね。「Stoned Soul Picnic」はJill Sobuleという人が歌っていますが、フィフス・ディメンジョンのバージョンよりも好きです。是非、聴いてみて下さい。
by hinaseno | 2014-04-09 10:33 | 音楽 | Comments(0)