人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

“動くロビン・ワード”を発見!(1)


動くロビン・ワード。
「恋するカレン」のことをいろいろ調べていたときに、YouTube上で偶然発見した映像。
ロビン・ワードといえば、1963年に生まれたアメリカン・ポップス史上奇跡の一曲、最高のガール・ポップスと言っても過言ではない、この「Wonderful Summer」を歌った人。



でも、YouTubeで、例えばロビン・ワード(Robin Ward)で検索しても、彼女が実際に歌っている姿を見つけることなんて絶対にできません。なぜなら彼女はその曲をレコードに吹き込んだだけで、人前で歌うことは決してしなかったのだから。それだけでなく、写真すらもほとんど存在しない。よく見かける顔が大きく写ったものは、たった1枚。この日本盤のシングルに写っている写真ですね(ネット上で見つけた画像。ほしくて仕方がないけど...)。
“動くロビン・ワード”を発見!(1)_a0285828_1075910.png

ロビン・ワードという名前をどういう形で知ったのかはよく覚えていないのですが、大瀧さん経由でも達郎さん経由でもなかったように思います。たぶん1990年に彼女の唯一のアルバムがCD化されたときに、当時買っていた『レコード・コレクターズ』のレビューに「奇跡のCD化」とかといった言葉とともに絶賛されていたので(書かれていたのはペットサウンズの森さんかもしれません)購入したように思います。「Wonderful Summer」も一度も聴いたことがありませんでした。

そのCDの1曲目に収められていた「Wonderful Summer」を聴いたときの驚きといったら。もちろんその驚きは、すぐに大瀧さんの『A LONG VACATION』に収められたドリーミーな曲につながるものであるとわかったのですが。

スペクター・サウンドによる夏の曲。
この曲の作曲者でもあり、アレンジャーでもあったペリー・ボトキンJrが、ジャック・ニッチェのあとにスペクターの曲のアレンジをしている人だということが解説に書かれていて(解説を書かれているのは長門芳郎さん)、納得、...するほどにはまだスペクターを満足に聴いていなかった。スペクターのBoxが出たのはその翌年ですね。
ちなみにペリー・ボトキンjrのアレンジしたスペクターのプロデュースした曲の中で最も好きなのは、ロネッツのこの「I Wish I Never Saw The Sunshine」。バリー・マンが作った大作っぽいですが、実はジェフ&エリーの曲。66年という時代がそうさせたのでしょうか。でも、改めて聴くと「恋するカレン」に通じるものがありますね。



まあとにかく、このロビン・ワードのCDを手にして迎えた最初の夏は、こればかり聴いていました。もちろん、車で海に行くときも。
曲もいいしサウンドも抜群。でも、何より最高だったのがロビン・ワードの声。これほどに透明感あふれた可憐な声というのは、それまで聴いたこともありませんでした。本当に限られたティーンエイジャーしか持ちえない声。

大瀧さんもやはりロビン・ワードは大好きだったみたいで、「ゴー!ゴー!ナイアガラ」では、めったに同じ曲を2度かけることのない大瀧さんが、「Wonderful Summer」を、そのシングルのB面に収められた「Dream Boy」という曲とともに、2度もかけていました。1枚のシングルのA面とB面の曲を、両方とも2度ずつかけているのは、おそらくこれだけのはず。きっと、これを聴くと大瀧さんにとって最高に素晴らしかった1963年の夏(大瀧さんが中学3年生のときの)に戻ることができたんでしょうね。
一応「Dream Boy」も貼っておきます(大瀧さんはアン・ルイスのために同名のとってもロマンチックな曲を作っています)。



ところで、実はロビン・ワードが「Wonderful Summer」という曲を歌ったのが彼女のティーンエイジャーの時ではなく、20歳を超えていて、しかもその時点ですでに4歳になる子供がいたというのを知ったのは、別に最近になってのことではなく、初めて「Wonderful Summer」を聴いたとき。CDの解説に書かれていたんですね。
でも、ポップスというのは、そんな事実というものを消し去ってしまう魔法があります。僕の中では、そして大瀧さんの心の中でも「Wonderful Summer」を歌っているのは、永遠に可憐な姿をしている16歳のままのロビン・ワード。

といいつつ、いくつかの事実の確認。
彼女の本名はジャッキー・ワード(Jackie Ward)。ロビンは彼女の娘さんの名前だったんですね。ロビンの方がティーンエイジャーっぽいってことでそうしたようです。
ジャッキー・ワードは、ずっと裏方のコーラスの仕事をしていて、ロビン・ワードとして活動していたのは(といってもあくまでレコードを吹き込むだけで、曲が大ヒットしてもテレビに出ることもなければもちろんツアーに出ることもない)、ほんの1年ほど。映画の中で歌われる歌の吹き替えもいくつかやったようで、特にナタリー・ウッド主演の映画でナタリー・ウッドによって歌われる部分は、たいていジャッキー・ワード(ロビン・ワード)だったそうです。
ここにその音源がまとめてあります。「Wonderful Summer」で聴かれるシュガー・ヴォイスとはちがいます。いろんな声を出せるシンガーだったということでしょうね。



彼女はデモテープを吹き込む仕事もしていたようで、そこで奇跡が起こります。
“動くロビン・ワード”を発見!(1)_a0285828_10314927.jpg

by hinaseno | 2014-01-22 10:14 | ナイアガラ | Comments(0)