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by hinaseno
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「大事なのはじつは視点」


小林旭の話にいくつもりでいましたが、うれしい発見があったのでそちらを書くことに。

大瀧さん、やはり小林信彦さんの『うらなり』を読んでいたことがわかりました。
ここのスタジオジブリのサイトに載っている亀渕昭信さんとの対談。ジブリの『熱風』という冊子に収録されたものでしょうか。対談が行われたのは2011年11月25日。ちょうど2年前ですね。
僕は『熱風』を入手できなかったので、この対談はブックマークの「お気に入り」のトップに置いています。その最初の方で、大瀧さんの口から『うらなり』のことが出てきます。何度か読んでいたのに、覚えていませんでした。そこの部分を引用します。
これは要するに「視点」の話なんですね。結局、クリエイティビティとか言っても、じつは視点の持ち方だったりするわけです。音楽も、オリジナルよりもカバーのほうがわかりやすいことがある。カバーって結局、どの視点で再構築するのかということだから。音楽以外でも例えば小林信彦さんが『坊っちゃん』を「うらなり」の側から書くというのも視点だし(『うらなり』)、サリエリを主人公にしてモーツァルトを描いた映画『アマデウス』とかも視点の話。大事なのはじつは視点であって、...

そう、大事なのは「視点」です。僕はいつも大瀧さんの「視点」に驚かされ続けているのですが。
ここを読む限り、大瀧さんは小林信彦さんの『うらなり』を興味深く読まれたことがよくわかります。大瀧さんのことだから、もしかしたら本を読みながら、大正末期や昭和初期の姫路の地図を眺められたかもしれません。そしてきっとその「視点」のもとで書かれたものが、綿密な調査に裏付けられていることを確かめられていただろうと思います。

さて、それぞれが豊富な知識と、とびぬけた調査、分析能力を持ち、しかも最高のクリエイターである小林信彦さんと大瀧さんが対談されるとなると、面白くないはずがありません。
僕が最初に読んだお二人の対談は、大好きな映画である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』についてのもの。これはもう最高です。何度読んだことやら。へえ〜っの連続。
対談が行われたのは1985年。映画が公開された年です。当然、ビデオも出ていなければDVDなんてものも存在しない時代です。それなのに、...という話ばかり。
個人的にはボーンズ・ハウとヒューイ・ルイスの話が驚きでした。それから映画の冒頭の時計のシーンに出てくる「伏線」のことも、何十回も観ているのに気がつきませんでした。
この対談、最初は『キネマ旬報』に載って、その後、小林信彦さんの『映画につれてって』という本に収録されています。小林信彦さんと和田誠さんの対談もあって、とっても楽しい本。もちろん表紙デザインは和田誠さん。でも、現在は廃刊になっています。

前にも貼ったこのシーンで歌う「アース・エンジェル」のスーパーバイザーがボーンズ・ハウなんですね。



ああ、また『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が観たくなりました。
「大事なのはじつは視点」_a0285828_8372696.jpg

by hinaseno | 2013-11-23 08:38 | 文学 | Comments(0)