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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

  「僕の場合は、全部たまたま、すべからく」


 2日間ほど実家に戻っていました。旭川に近い岡山市内に家族を連れて行く用事があったので、あえて旭川東岸からこの日のブログで写真を貼った中島が見える場所を通って行きました。家族を連れてそこに行くわけにはいきませんでしたから、川越しに眺めるだけでしたが、まだ十分風情が残っているように思いました。実はそのあたりを見るのははじめて。また今度、改めて行ってみようと思いました。

 今回の帰省のメインは線路跡探し。例によって長い話になりそうですが、今日はそのきっかけを少しだけ。
 "その鉄道"を知ったのは先月に実家に戻ったときのことでした。実家に到着したとき、僕が着くのとほぼ同時に、めったに来ることのない、岡山市で書店を営んでいる叔父がたまたま来ていて、で、たまたま出たばかりの写真集を持ってきていました。岡山市の昔と今の写真を集めた本。昔と言っても、川本さんがよく使われる言葉で言えば”近過去”。叔父は僕がそういう時期の岡山に興味を持っているなんて全く知りません。本がたまたま出たばかりで、岡山市に編入された実家のある町の写真もいくつか載っていたんで父親に見せようと思って持ってきていたんですね。
 父親と叔父といっしょにぱらぱらと見ていたら面白そうでしたが、すぐに出かける用事がありましたので、叔父にその本を置いておいてもらうことをお願いして外出。戻ってみたら父親はその本を買っていました。
 で、ぱらぱらと見ていて目に飛び込んできたのが前回貼った鉄道の写真でした。
 僕はSLにも電車にも特に興味は持ってはいないのですが、その列車の写真は強烈に惹きつけられてしまうものがありました。西大寺鉄道という名前の鉄道。西大寺という地名はこのブログでも何度も書きましたね。
 驚いたのは列車が渡っている鉄橋がかかっている川。
 砂川。
 この写真に写っている場所からそんなに遠くない上流で、子供の頃何度も遊んだ川でした。
 実家からそんなに遠くないところに、こんなかわいい列車が走っていたなんてうれしくなってしまいました。聞けば、父親も母親も乗ったことがあるとのこと。で、それからこの鉄道を調べる日々が始まりました。

 たまたま、といえば川本さんの『そして、人生はつづく』の例の「遠い声」という話を紹介したこの日の文章で、最後に川本さんの『はるかな本、遠い絵』のことに触れました。10年ほど前に出た本で、ときどきは読み返していたのですが、前回ブログに写真を貼ろうと思って、久しぶりにぱらぱらとめくっていたら「鉄道廃線の旅」というエッセイがあって、読んでいたら宮崎俊三編著『鉄道廃線跡を歩く』という本のことが紹介されていました。当時はまだⅠとⅡが出たばかり。川本さんは「これはちょっとすごい。圧倒された」と書いています。で、「この本は実に面白い。二冊だけでなく、三冊も四冊も出して欲しい」
  「僕の場合は、全部たまたま、すべからく」_a0285828_10314089.jpg川本さんの願い通り宮崎俊三編著『鉄道廃線跡を歩く』はその後たくさん出ることになります。そして川本さんが出して欲しいと言われた三冊めにこの西大寺鉄道のことが詳しく乗っていることがわかりました。鉄道が走っていた路線を書いた正確な地図も載っていたんですね。出会うときには出会うものです。たまたまばかりなのですが。

 ここで話を少し別のことに。これも"たまたま"聴いた"たまたま"の話。
 前に録音してほとんど聴いていなかった大瀧さんがゲストによばれているラジオ番組を昨日聴いていたら、興味深い会話がなされていました。
 1973年に、なぜ福生へ行ったかという話。この日のブログでどうしてだろうと僕も書きましたね。ぜひ聞いてみたい話。
 パーソナリティの人が大瀧さんにその問いを向けたら、大瀧さんはまず一言「いい質問!」と答えられています。そしてこう言葉を続けます。

 世の中に「どうしてなんだろう」ということが多いでしょう、質問するときに。でも、答えの大半は「たまたま」。僕の場合は「全部たまたま、すべからく」。


 引っ越さなければならないなとぼんやり思っていた頃に、たまたま奥さんとドライブしていたときに、福生の米軍基地の近くで、たまたま英語でBarberとかSaloonと書かれた建物が並ぶ町並みを見つけて、まるで西部劇に出てくる風景のように思っていたら、その近くにやはりたまたま"House For Rent"の家を見つけたとのことです。で、即決したとのこと。
 風水でも何でもありませんでした。
 でも、さっきリンクした日のブログを読んでいたら、これも"たまたま"なのですが、僕は最後に「たまたま」を連発していました。大瀧さんにからむ話って"たまたま"だらけなんですね。僕がここに書いていることも、考えたら、"全部たまたま"の話ばかりです。
by hinaseno | 2013-02-13 10:34 | 鉄道 | Comments(0)