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by hinaseno
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「友愛数」に関するいくつかの物語


先週末くらいから、どこかの店に入るとクリスマス・ソングが流れていたりするのを耳にするようになりました。クリスマス・ソングは好きですけど、いくらなんでも早すぎますね。せめて12月からくらいにしてもらわないと、逆に何かを急かされているようでいい気持ちがしません。

そういえば、友愛数(親和数とも言います)にからめたちょっと素敵なクリスマス・ストーリーがあります。「数学的媚薬」というタイトルの短い話。ポール・オースターが編集した『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』(素敵な話が多い)に収められているので、おそらくは実話。
「友愛数」に関するいくつかの物語_a0285828_841475.jpg

「愛」と題された章の中の一篇。読むとすぐに?になり、なんだ、そういう関係かというのがわかり、それがわかると最後の一文はちょっと引いてしまうのですが、それは説明しないことにしましょう。とりあえず、ある1組のカップルの話。

2人はつきあってはいたけど、いろいろと喧嘩をすることが多くなったので、あるときちょっと距離をおくことに決める。そんな折、クリスマスが近づいてくる。「僕」はそういう状況だから相手に何もプレゼントしなくてもいいかなと思ったけど、結局、祖母のプレゼントを買うついでに相手へのプレゼントを買う。5ドルほどのクロスワード・パズルの本。
クリスマスの日がやって来て「僕」は相手に本を手渡す。包装もしないで、ごくさりげなく。でも、相手は何もくれない。ちょっと傷つく。
翌日、クリスマス・プレゼントがあるからと相手に呼ばれて相手のアパートに行く。「遅くなってごめん」と。
相手から手渡された、不器用に包装されたつつみを開けると手編みの長方形のものが出てくる。片側には「124155」、もう片側には「100485」という数字が編み込まれている。「親和数だよ」と相手は言う。コンピューターで12時間計算させて出てきた最大の親和数だったとのこと。そのクリスマス以来、2人は”casual”ではない関係になる。

説明しなくても2人の関係はわかりますね。それはさておき、プレゼントに友愛数のことを考えたのは素敵です。
これがいつ頃の話なのかはわかりませんが、今だったら計算しなくても友愛数の組み合わせはウィキペディアなんかを見れば、もっと大きな数の組み合わせも含めて、ずらっと見ることが出来ます。

「友愛数」に関するいくつかの物語_a0285828_8451234.jpg
『博士の愛した数式』では、友愛数はこんな形で使われています。博士の家に行くことになった家政婦が、初めて行った日に博士に誕生日を尋ねられてこう答えます。
「2月20日です」
その言葉を聞いて博士はこう言います。
「君の誕生日は2月20日。220、実にチャーミングな数字だ。そしてこれを見てほしい。僕が大学時代、超越数論に関する論文で学長賞を獲った時にもらった商品なんだが……」
そう言って博士は腕時計を外し、彼女に文字盤の裏側を見せる。
”学長賞 No. 284”
ここから2人の関係が始まります。


ところで、今朝起きてブログをチェックしたら39nemonさんからこんなコメントが。
「“28”といえば大瀧さんの誕生日ですね」
そうでした。大瀧さんの誕生日は7月28日。もちろん知っていましたが、昨日書くべきでしたね。とんでいました。39nemonさん、教えて下さってどうもありがとうございました。

で、今朝、ちょっと興味があったので2月20日の誕生日の人をネットで調べました。すると何と最近の話題に出てきた、あっと驚くような名前がありました。
長嶋茂雄。
熱心な阪神ファンである小川洋子さんは、このことを知っていたんでしょうか。
それはさておき、では、その友愛数(親和数)である”284”で何かおもしろいものはないかと探していましたが見当たりません。長嶋さんのことだから、誰か個人と言うよりも、野球というもの、あるいはもっと天上的なものと親和的な関係を持っていそうです。これを読まれた方で、長嶋さんと親和的な関係がありそうな”284”という数字に関する何かを発見されたら、ぜひコメント下さい。

最後に、僕が最も期待する友愛数の物語は、ある日、「220」と「284」というTシャツを着た2人の双子の女の子に運命的な出会いをしてデートかなんかすることですね。

下の絵は村上春樹の『羊男のクリスマス』に登場する双子。もともとは『1973年のピンボール』に出てくる二人ですね。イラストはもちろん佐々木マキさん。
「208」と「209」の数字を「220」と「284」に変えようかと思いましたが、やめました。
「友愛数」に関するいくつかの物語_a0285828_94635.jpg

Commented by 自然数の日 at 2020-06-08 04:01 x
≪…友愛数…≫など自然数の本性を観るのに、射水市大島絵本館の「かおすのくにのかたなかーど」からの『幻のマスキングテープ』なる[数直線]で、[切り・繋ぎ]すると興味深い。

[数直線]は、自然数の[通過点表示]において、[偶結合]か[奇結合](パリティー結合)での連続性に思いを馳せるコトに生る。

この原型は、『HHNI眺望』で観る自然数の絵本
有田川町電子書籍「もろはのつるぎ」

御講評をお願い致します。
by hinaseno | 2012-11-12 09:09 | 文学 | Comments(1)