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by hinaseno
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 『Ring-a-Bell』のトライアングルなヒミツ(その10)


いよいよ『Ring-a-Bell』の話の最終回。
6曲目、アルバムの最後の曲「うれしい予感」です。「ちびまる子ちゃん」の主題歌として使われた曲ですね。そのアルバム・バージョン。
先日リンクしたシングル・バージョンとの違いはというと、いちばん大きな違いは、大瀧さんの「あの子に」のコーラスがカットされていること。
それからもう一つ、曲の時間が10秒ほど長くなっています。その10秒分がどこにあるかというと、曲がはじまって2分20秒すぎの部分。シングルにはないこんなフレーズが出てきます。ちょうど10秒くらい。

きれいな うたごえが
空から きこえるよ


あとの部分はシングル・バージョンと全く同じはず。

さて、空から聴こえてくる「きれいなうたごえ」といえば、この曲の最大のポイントは随所に聴かれる女性(+α?)コーラスですね。
先日貼ったクレジットを見ると、こんな女性の名前が見られます。

「佐々木久美、CANDEE」

この名前を見るとピンと来る人はいるだろうと思います。これは山下達郎さんの曲でしばしばコーラスをしている人たち。
そう、実はこの「うれしい予感」は、”クレジットはされていませんが”コーラス・アレンジを山下達郎さんがしているんですね。
大瀧さんが達郎さんにコーラス・アレンジをしてくれるように頼んだのは1994年の10月9日。その前日、つまり1994年の10月8日に起こった”ある出来事”が大瀧さんを動かします(「1994年10月8日」を検索されれば、その出来事はすぐに出てきます。”国民的行事”があった日ですから)。

大瀧さんは1988年に発売された小泉今日子さんの「快盗ルビイ」を書いて以来、公には全く曲を発表されていませんでした。作曲の依頼が、ものすごくあったことは想像に難くありません。でも、その依頼のされ方も含めて、大瀧さんを動かすものがないまま何年も時が過ぎていきます。
大瀧さんはその楽曲(あるいは「ゴー!ゴー!ナイアガラ」などのご自分で制作されたラジオ番組)を聴けばわかるように、徹底した完全主義者(この表現は好まれないとは思いますが)。やるからには徹底してやる人。ですから、それをするには、絶対にそれをしたい、あるいはそれをしなければならないという必然性のようなものがなければ動かれないんですね。

「ちびまる子ちゃん」の主題歌(および挿入歌)の依頼がいつ頃あったかはわかりません。きっと面白い話だなと思って断ることはせず、保留した状態が続いていたんではないでしょうか。で、おそらくは曲のイメージ作りはされていただろうと思います。あるいはその曲は、「ちびまる子ちゃん」の主題歌の依頼がくる何年か前にある程度作られていたものなのかもしれません。ただ、大瀧さんを決定的に動かすものがなく日の目を見なかった状態になっていたのかもしれません。

で、 1994年10月8日にこれが起こります。これについての詳しい説明はしませんので、ウィキペディア等で調べて下さい。

考えたら今年もクライマックス・シリーズで、最終的には中日とセ・リーグ優勝を争いましたね。かなり危機的な状況からの勝利。巨人の監督は長嶋さんではありませんでしたが、相手の監督は高木さんでした。この出来事は、何か大瀧さんを動かしたでしょうか?

でも、やはり長嶋さんという存在が大瀧さんにとっては大きくて、1992年に長嶋さんが監督に復帰されたときには、しばらく動かれていなかった大瀧さんが「おれも何かをしなければ」と確か新春放談で語られていたように思います。で、おそらくいろいろと始められたものが数年後にいろいろな形になって表に出てくることになります。でも、表に出すときには、やはり出すときなりのきっかけが必要だった。それが「10・8」だったんですね。

さて、話は”クレジットはされていませんが”の話。
『Ring-a-Bell』の最初のページの曲ごとの編曲者(ストリングス、コーラスも含めて)や最後のページの楽器の演奏者は、かなり詳しく書かれているのに、実際に関わったはずの山下達郎さんの名前はありません。別にいじわるしているわけではないのですが、大瀧さんの過去の作品にも実際には達郎さんが関わっているのにクレジットされていないというものがあります。
大瀧さんの意図はさておき、クレジットはされていないだけに、達郎さんがどれだけの関わりをしていたのか気になります。抑えめな声でコーラスに関わっている可能性も十分にあります。シングル・バージョンの「あの子に」の大瀧さんの声に重なっている声(大瀧さんの多重コーラスの可能性も高いですけど)が達郎さんの声に聴こえなくもありません。あるいは女性コーラスといっしょに、あくまで絶対に目立たない形で声を入れているようにも思います。

クレジットされていない、といえばもう一人、気になる人がいます。最初に書こうかと思っていましたが、ここまでとっておきました。もうわかりますね。同じ「ナイアガラ・トライアングルVol.1」に達郎さんと一緒に参加されていた伊藤銀次さん。では、どの曲にというと、おそらくは1曲目。ウルフルズといっしょに、何らかの声を入れられているはず。で、もしかしたらシングル・バージョンの「あの子に」にひっそりと声を入れられているんではないかとも思っています。いつか知りたいですね。
改めて、シングル・バージョンを貼っておきますので、よく聴いてみて下さい。


というわけで、『Ring-a-Bell』は最初と最後に「ナイアガラ・トライアングルVol.1」の伊藤銀次さんと山下達郎さんがいて、2曲目と5曲目に大瀧さんがプロデュースした3人の女性(吉田美奈子さんと金延幸子さんとシリア・ポールさんのトライアングル)をはさんで真ん中の3曲目と4曲目に「ナイアガラ・トライアングルVol.2」の佐野元春さんと杉真理さんがいる。サンドイッチというかシンメトリックというか、そんな構造になっているんですね。これが『Ring-a-Bell』のトライアングルなヒミツ。
こじつけが多かったでしょうか?
by hinaseno | 2012-11-09 09:08 | 音楽 | Comments(0)