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by hinaseno
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  それぞれの東京


  それぞれの東京_a0285828_10595326.jpg
川本三郎さんに『それぞれの東京』という本があります。昨年(2011年)の1月に出た本。もともとは月刊誌『なごみ』に連載されたもののようです。『それぞれの東京』は、僕が今年最も多く手にとっている本かも知れません。
川本さんのあとがきの言葉を使えば、この本は東京に関係のある人たちの生き方を通して、それぞれの東京を浮かび上がらせています。
取りあげている人は全部で23人。写真も含めて一人につき、ちょうど10ページ。
この本に取りあげられている人たちの名前(本に取りあげられている順序通り)と、その人の肩書き(本に書かれているまま)を載せておきます。

芝木好子(小説家)
池波正太郎(小説家)
植草甚一(評論家・エッセイスト)
加太こうじ(紙芝居作家・評論家)
沢村貞子(女優・随筆家)
桑原甲子雄(写真家・写真評論家)
石田波郷(俳人)
永井龍男(小説家)
松本竣介(画家)
奥野信太郎(中国文学者・随筆家)
大岡昇平(小説家)
石井桃子(児童文学者)
鈴木信太郎(画家)
山口瞳(小説家)
向田邦子(脚本家・小説家)
清岡卓行(詩人・小説家)
木山捷平(小説家)
田村隆一(詩人)
水上勉(小説家)
野口冨士男(小説家)
成瀬巳喜男(映画監督)
高田敏子(詩人)
鈴木真砂女(詩人)

よく知っている人から、全然知らない人までさまざま。でも、この本をきっかけにして、よく知ることになった人も何人かいます。はじめ一通り読んだときにはそれ程頭に残らなかったのに、あとで何かで再び出会って、どこかでこの人の名前見たなと思ってこの本を開いたら取りあげられていたということが何度もありました。で、そういう場合、たいていその人のことをとても好きになってしまいます。その代表はなんといっても木山捷平でした。

昨日もそういうことがありました。
名前は松本竣介。
きっかけは岡山の万歩書店平井の店長さんのツイートでした。実は昨日お店にうかがっていたのですが、店に行く前に流れてきたツイートで「松本竣介」の名前をちらっと見てたんです。今、島根県立美術館で「生誕100年 松本竣介展」が開かれていて、店長さんはそれに行かれてたんですね。
僕は車の中で「松本竣介」あるいは彼の描いた「ニコライ堂」をどこかで見たなと思いつつお店に行ったのですが、結局、松本竣介の話はせず、もっぱら竹久夢二の「福島夜曲」の絵を収めた本がどこかにないか一緒に探してもらっていました(残念ながら見つかりませんでした。果たして今、この絵、現在も存在しているんでしょうか)。

さて、万歩さんでは池波正太郎の『日曜日の万年筆』というのを買って、確か川本さんが池波正太郎のことどこかで書いていたなと思って、家に帰って『それぞれの東京』を開いたら予想通り池波正太郎が載っていて(幸運なことに僕が買った本に収められているエッセイがいくつか川本さんの本で引用されていました)、で、後ろの方のページを見たら、あったんですね。松本竣介の名が。おお、って思いました。

この続きはまた明日にでも。

ところで万歩書店の店長さんから、もうすぐ木山捷平の本が出ますよ、との情報をいただきました。例の『木山捷平全詩集』を出している講談社文芸文庫から12月に出るんですね。タイトルは『落葉・回転窓~木山捷平純情小説選』。どんな作品が収められているのかまだわかりませんが、これはよさそうです。文芸文庫からは絶版になっている岩阪恵子(川本さんの『それぞれの東京』で取りあげられている清岡卓行の奥さん。文芸文庫から出ている木山さんのほとんどの本の解説を書いています。岩阪さんに清岡卓行を紹介したのが今年亡くなられた吉本隆明ですね)の『木山さん、捷平さん』も同時に出るみたいです。
木山捷平、再評価の動きが再び出始めているようです。
by hinaseno | 2012-10-29 11:08 | 文学 | Comments(0)