人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』で湯浅さんがインタビューしたのは全部で17人。実はそのうちで知らない、というか名前を見てもピンと来ない人が3人だけいました。6人目に登場した濱野啓介さんがその一人。濱野さんの肩書きはプロモーター、つまり『ロンバケ』の販売促進担当をされた方。

『A LONG VACATION 40TH VOX』収録のブックレットにはプロモーション企画書が載っているページがあって、上の段に載っていた企画書を書いたのが『アロング・ア・ロング・バケイション』でインタビューをされた一番目の中山久民さん。中山さんが書いた企画書には例の”あの”の話が書かれていたということで以前紹介しましたね。で、その下に掲載された企画書を書いたのが濱野啓介さんだったんですね。

このアルバムの裏コンセプトは〈夏への憧れ〉だからね!_a0285828_11214450.jpeg

ただ、見ての通り「CBSソニー販売部:浜野」と記されているだけで、『ロンバケ』のクレジット一覧に濱野さんの名はありません。濱野啓介という名を見てもピンと来なかったわけです。


それにしても濱野さんの言葉の熱量がすごいものの、字は整って読みやすく、ページにピッタリ収まるように書かれていて感心します。

印象に残る言葉はなんと言っても表に書かれたこの言葉。


構想2年、制作1年…天才が夢中で創り上げた不朽の名盤が完成!!


そして驚くのはその後の「構想に2年、制作に約1年を費やした天才が夢中で創ったニューアルバムは、たぶん日本のポップス史上の永遠の金字塔になることは間違いない」という一文。湯浅さんも指摘しているように「日本のポップス史上の永遠の金字塔になることは間違いない」という言葉は全くまちがってなかったんですね。販売促進のためにかなり大袈裟目に考えた文句だったはずですが、それがちっとも大袈裟でなかったことが今となっては誰も否定できない形で証明されたわけですから。


そんな濱野さんへのインタビューの中で、湯浅さんの「プロモーション全体として、なにか一貫したコンセプトはありましたか」という質問に対して、こんな答えがあったんですね。


「デモ・テープを聴かせてもらった頃、大滝さんがいつものオトボケ口調で”このアルバムはジャケットも含めて〈夏〉をイメージするだろうけど、裏のコンセプトは〈夏への憧れ〉だからね!”と示唆してくれたことがありました」


オトボケ口調で、っていうのが笑っちゃいますが、でも最後に感嘆符がついているので、語調は強かったんでしょうね。濱野さんの話はさらにこう続きます。


「短期集中型のプロモーションが得意な会社でしたから、夏のアルバムなら夏を実感するタイミングで発売すればいいのに…と考えがちですが、3月21日という春の発売日設定は、”夏への憧れ”を想像してもらうための時間なんだ、と改めてその意味合いを確認できました。この裏コンセプトを理解できたおかげで、プロモーションの方針はより明確になって、全国規模のオンエア施策も一過性のものではなく、春夏秋冬、それぞれの季節感の中で継続的に展開していくことになります。この発売日の設定は、それまでの短期集中型という戦略を変えることになるキー・ポイントだったのかもしれません」


この部分を読んで、思わずひざを10回くらい叩きました。これが読めただけでもこの本を買った甲斐があったような気がしました。濱野さんに伝えた大滝さんの言葉もいいし、その言葉の濱野さんなりの解釈も素晴らしすぎますね。こうした人があってこその『ロンバケ』だったというのを忘れてはいけません。

そう、まさにこのアルバムには永遠の〈夏への憧れ〉がつまっているんですね。あの時代、この『ロンバケ』以降に雨後の筍のごとく、〈夏〉がいっぱいつまった作品が次々に出ましたが、それらと一線を画す理由がそこにあった、というか大滝さんがそのコンセプトを最初から明確に意識して創っていたわけです。”日本のポップス史上の永遠の金字塔”となった理由がまた一つわかりました。


# by hinaseno | 2025-11-12 11:22 | ナイアガラ | Comments(0)

8年前に同じタイトルでブログを書いていたので、今日のタイトルにはかぎ括弧をつけることにしました。その日のブログでも書いているように、僕がはじめて「Breeze」という言葉を覚えたのは『A LONG VACATION』の帯に記されたこの言葉だったんですね。

「BREEZEが心の中を通り抜ける」_a0285828_13155085.jpg

さて、poyarnでの湯浅学さんのトークイベントで買ったこの本を読む日々が続いています。

「BREEZEが心の中を通り抜ける」_a0285828_11282639.jpeg

『A LONG VACATION』制作に関わった17人のインタビューのうち、現在読んだのは5人。最初に読んだのは最後に収録された松本隆。それから前に戻って中山久民、朝妻一郎、鈴木茂と読んで昨日読み終えたのが白川隆三。

これまで読んできた人のインタビューの中にも、おっおっ、ていう話がいくつも出てきているんですが、書くタイミングがなかなかなくて、今日は読み終えたばかりの白川さんのインタビューに出てきた話を。

白川さんは『A LONG VACATION』のアルバム制作にディレクターとして関わっていて、とりわけレコーディングのためにスタジオを押さえるという大変な仕事に尽力されたんですね。なにせ大瀧さんのレコーディングはかなりの長期間に渡っていますから、いかに大変だったかがわかります。

へえ~という話はいくつもありますが、とりわけ驚いたのはこの言葉。


「僕が担当になった時点で『ロンバケ』ってタイトルも決まってたし、永井(博)さんの絵を決めたのも大瀧さん、唯一、帯のキャッチフレーズを作ったのは私です」


そう、「BREEZEが心の中を通り抜ける」ですね。僕はってっきり大瀧さんが考えたんだろうと思ってましたが違ってました。おもしろいのはこの後に続く白川さんの言葉。


「キャッチフレーズを帯に書かなきゃならないていうんで、僕が5つくらい候補を書いていったの。その中で、僕が一番気に入ってないやつを選ぶんだよ(笑)」
「あれ、あんまりいいキャッチフレーズじゃないといまだに思ってるんだけど。ああ、恥ずかしいですねえ…」


僕が思うに、大瀧さんは絶対に「BREEZE」って言葉に反応したんでしょうね。なんたって『A LONG VACATION』のA面2曲目に収録された「Velvet Motel」の元々のタイトルは「Summer Breeze」だったわけで、もちろん白川さんはそんなことを知り由もない。大瀧さんって、そういう偶然の一致に反応する人だから。ちなみに白川さんを担当ディレクターに決めたとき、白川さんの誕生日が大瀧さんと同じ7月28日だと知るんですね。それも大瀧さんにとってはかなり重要な決め手であったわけです。


ところで、キャッチフレーズに選ばれなかった他の候補の言葉ってどんなものだったか知りたいですよね。白川さんが気に入っていたという言葉を。当然、湯浅さんはそれを白川さんに尋ねます。それに対してはこんな答え。


「いやー、覚えてない。覚えてないけど、これよりはカッコよかった(笑)。これ、当て馬だったんですよ。僕にとってはね。それを選んだの」


ってことでした(笑)。

いやでも、「BREEZEが心の中を通り抜ける」は当時の僕にとって本当にカッコいい言葉であったことは間違いありません。


# by hinaseno | 2025-11-10 11:30 | ナイアガラ | Comments(0)

poyarnの店内に入ってすぐに目を留めたのはすでに席に着かれていた湯浅さんの姿と、前のテーブルに置かれていた立派なプレーヤー装置。前回「poyarnさんにオーディオの装置があるかどうかはわかりませんが、できれば湯浅さんにレコードをかけながら解説してもらいたいですね」と書いていたのでほっと一安心。

ところがトークが始まって30分あまり、湯浅さんの隣に座っている男性と、大瀧さんとは直接関係のないような話が延々と続いてちょっと不安になってきた頃に、「曲、別にかけなくてもいいよね」と口にされたんですね。「スマホで調べて聴けばいいじゃん」と。それはないでしょうと思ってしまいました。それからようやく大瀧さんの話になったものの、なかなか『ロンバケ』関係の核心に触れるような話にはいかず、ちょっと焦ったい気持ちになってしまった頃、おそらくはトークが始まって2時間くらいたったときに、湯浅さんが立ち上がって後ろに置いてあった箱(シングル盤が20枚くらい入っている感じ)の中から1枚のレコードを取り出したんですね。何をかけるかは言わず、ジャケットをこちらに見えないようにして、隣の男性に渡そたんですが、その時ちらっとレコードを入れる袋のオレンジ色のデザインが目に入ったんですね。間違いなくCBSソニーのレコード袋。

とはいえCBSソニーは大瀧さんが『ロンバケ』以降在籍していたレーベルだし、松田聖子も太田裕美もCBSソニー。

でも、僕はそこで最初にかかる曲はあれしかないと思っていました。

そしてかかったのは、やはり。

…と、ここでそのシングル盤の写真を貼りたいところでしたが、残念ながら持っていないんですね。持ってたような気がするんだけど、手に入れることができないままだったかなあ。なんせかなりのレア・アイテムなので。

ということでYou Tubeに上がっている曲を貼っておきます。



そう、須藤薫さんの「あなただけ I LOVE YOU」。

この曲を湯浅さんを前にして、湯浅さん所有のシングル盤を聴けるとは。しかも爆音で。もうそれだけで感激。行った甲斐がありました。


トークイベントのときに買った湯浅学さんの『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』のイントロダクションの最初に「あなただけ I LOVE YOU」に関する興味深いエピソードが書かれています。それは1980年4月のある日、福生の米軍ハウスに住んでいた湯浅さんが横浜の実家に戻ることが決まってその報告をするために大瀧さんに電話をかけたときのこと。大瀧さんのこんな言葉から始まります。


「この間、須藤薫ってこの曲をやったんだけど、”あの音”が出たんだよ、なんと」
「えっ! やりましたね、ついに」
「いや、まったく。ドラムがつのひろ(つのだ⭐︎ひろ)でさ。よかったよー。あがったら聴いてよ。〈あなただけ I LOVE YOU」〉っていうの。詞曲、両方やったから」
 確かな手応えを感じているのがよくわかって、大滝の声が明朗なのも無理はないと思った。トンネルを抜けて光の中に立った、そんな光景が浮かんだ。


このあと、”あの音”の話になります。もちろんそれは『ロンバケ』で聴かれることになるナイアガラサウンドのことですが、その最初の音ができたのは『ロンバケ』の前作である『レッツ・オンド・アゲン』のレコーディングのときだったんですね。湯浅さんは現場でその音を聴いたものの結局アルバムには収録されず(まだ公になっていないはず)。あのアルバムにその音は合わないと判断したんでしょうね。で、満を持して作り上げたのが須藤薫さんの「あなただけ I LOVE YOU」だったわけです。


というようなことが書かれたイントロダクションをトークイベントが始まる前に読んでいたので、最初にかかる曲は「あなただけ I LOVE YOU」しかないと。

今となってはこの曲が『ロンバケ』の序章であることはナイアガラーであれば誰もが知っていることではあるんですが、湯浅さんはその前にそれにつながる”あの音”を体験してたんですね。


ここで須藤薫さんの「あなただけ I LOVE YOU」の思い出を書こうかと思ったら、ブログを始めて間もない時期に書いたこの日のブログにほとんど書ていました。せっかくなのでその書き出しだけ引用しておきます。


『ロング・バケイション』というアルバムから入った僕は、それが大瀧さんのデビュー・アルバムではないことを知るや、当然のことながら大瀧さんが過去にどんな曲を作っているんだろうかという作業に入ります。いわゆる「後追い」ですね。
正直言えば、前に貼った「ナイアガラ音頭」を聴かれればわかるように、まさに驚きと戸惑いの連続。意味不明の言葉、理解不能の音楽のオンパレード。離れようかと思ったことも何度か。
でも、そんな中で、ときどきたまらないくらい素敵な曲に出会うんですね。ああ、これぞまさに『ロンバケ』の大瀧さんの曲!というものに。そういう楽曲が離れそうになりそうな心をつなぎ止めて、いつしか次第にディープな世界へと入っていく...。何人もの人が辿った軌跡ではないかと思います。

そんな後追いをはじめて出会ったとびっきり素敵な曲が、須藤薫さんの歌う「あなただけ I LOVE YOU」という曲でした。


ところでトークイベントで湯浅さんの話し相手を務め、湯浅さんから手渡されたレコードやCDをセットしてかけていた男性のこと、いつかどこかで見た顔、と思っていたら円盤の田口史人さんでした。 

僕が田口さんのことを知ったのは夏葉社から出たこの『レコードと暮らし』でした。この本にはナイアガラ関係のレコードは一枚もありませんでしたが、「あなただけ I LOVE YOU」をかけたときはいっしょに口ずさんでいましたね。湯浅さんと田口さんがつながっていたとは。

実は開演前に湯浅さんに本のサインをお願いしたときに湯浅さんにお見せしてちょっとだけ話をしたのが夏葉社の『早く家に帰りたい』だったんですね。そのときにそばに座られていたのが田口さんだとわかっていれば田口さんも交えて夏葉社の島田さんの話とかもできたのだけど。


# by hinaseno | 2025-11-05 14:58 | ナイアガラ | Comments(0)

前回の話の続き、というわけでもありませんが、もしおひさまゆうびん舎へ立ち寄ったなら、ぜひそこで前売券を買ってもらいたいものがあります。

それがこれ。

「大滝詠一について」のつぎは「ジュンについて」_a0285828_14083608.jpg

「大滝詠一について」のつぎは「ジュンについて」_a0285828_14083842.jpg


一昨年にわが人生最高のイベントといっていい木山捷平展が開かれた姫路文学館で、実現を待ち侘びていた夏葉社の島田潤一郎さん主演のドキュメンタリー映画上映されるんですね。

タイトルは『ジュンについて』。

ジュンとはもちろん島田潤一郎さんのこと。

考えたら湯浅学さんのトークイベントのタイトルは「大滝詠一について」。

大瀧さん、島田さんと、僕にとって「大切な」という言葉で言い尽くせないほど大きな存在である2人についてのイベントが姫路で続くことになったわけです。

上映日は11月16日(日)。

ということでこちらの宣伝も早くしなくてはと思ったんですがなかなか書けないうちに日が迫ってきました。映画の上映後には島田さんと監督・撮影・編集を手掛けられた田野隆太郎さんのトークもあります。楽しみで仕方ない。

その前売券を取り扱っている場所はいくつかありますが、最初に並んでいるおひさまゆうびん舎・あまかわ文庫・喫茶フリーダは僕の馴染みの店。どこでもいいからぜひぜひ。湯浅さんのトークイベント同様、こんな機会は2度とありません。


ちなみに僕が大瀧さんの訃報を最初に知ったのは島田さんのツイートでした。なんか不思議なつながりがあるんですね。島田さんと大瀧さん。

このブログで夏葉社がらみのことをどれくらい書いてきたかと調べてみたらすごい数。ブログは2012年9月4日に姫路の木山捷平のことから書き始めたわけですが、その10日後の9月14日に書いたブログで夏葉社の話が初登場。「関口直人さんのこと」と題した話でしたが、それが夏葉社と大瀧さんがつながる奇跡のような出来事の話なんですね。

夏葉社と大瀧さんとのつながりといえば、今年40周年を迎えた『B-EACH TIME L-ONG』が出てくる本が夏葉社から出ていてます。

高階杞一さんの詩集『早く家(うち)に帰りたい』。

「大滝詠一について」のつぎは「ジュンについて」_a0285828_14084274.jpeg

この表題作の詩に「大滝詠一の「ビーチ・タイム・ロング」」が出てくるんですが、その不思議な登場の仕方とともに、心揺さぶられる詩なのでぜひ読んでみてください。おひさまさんにはあるかな。


そういえば湯浅学さんの新刊『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』は長年購読していた『レコード・コレクターズ』という雑誌で連載されていたものですが、それを出しているのがミュージック・マガジン社。『ミュージック・マガジン』という雑誌をもともと出していて、ロックやポピュラー音楽を愛する人でその雑誌を知らない人はいません。僕も1980年代暮れから1990年代にかけては『レコード・コレクターズ』と『ミュージック・マガジン』の両方を購読していました。

その『ミュージック・マガジン』に今年から島田潤一郎さんが「夜の川、夜の音」と題した連載を始めたんですね。岡山のイベントで会った時に島田さんが教えてくれたときにはびっくり。音楽好きの島田さんもうれしそうでした。”あの”『ミュージック・マガジン』なわけですから。


改めて考えてみれば島田潤一郎さんに関してはいろんな段階で喜んだものでした。

まず最初の大きな喜びは最初の本『あしたから出版社』が出たとき。いくつかの媒体で書かれた島田さんの人柄がそのまま出ている誠実な文章に魅せられていた僕(僕たち)はいつか島田さんの本が出るのを楽しみにしていましたから。

以降、あの新聞に、あるいはあの雑誌に島田さんの記事が載ったと聞いては喜び勇んで買いに行き、さらには”あの”新潮社から、さらには”あの”みすず書房から本が出て自分のことのように喜んだものでした。

文章だけでなくラジオへの出演、あるいはテレビに出演も次第に増えてきて、うれしく思うとともにだんだんと手の届かない存在になりつつあるような気さえしたものですが、その後何かの機会にお会いすれば、そこにはいつも変わらない決して飾ることのないシャイな島田さんがいてほっとしたものでした。

ああ、うれしかったといえばこのブログに何度も登場している平川克美さんとのトークイベント(小田嶋隆さんや関口直人さんも参加)も感慨深いものがありました。


でもドミュメンタリー映画が撮られているのを知ったときには、それはそれは信じられない気持ちになったものでした。

そう、それは3年前の夏のこと。

この日のブログにちらっとだけ書いてますね。


おひさまゆうびん舎さんの入り口あたりにいたのは夏葉社の島田潤一郎さんと息子のSくん(小学2年)、そして店の常連さんが何人か。ああ、それから窪田さんが僕のことを「踊りが上手いの」と説明していた人も。実はその人は……、いや、それは今はシークレット、のはず。


その日は確かおひさまさんでちょうど夏葉社フェアが始まったばかりで、高知に息子さんと帰省していた島田さんがおひさまに立ち寄ってたんですね。会えるかどうかわからないまま昼頃に着いたら、店の外に人だかりがあって、僕を見つけた窪田さんが僕に向かって「◯◯さ~ん、踊って~」と叫んだんですね。よく見たらそばにカメラを持った人がいて、その人に「◯◯さんは踊りが上手いの」とか嘘ばっかり言っている。踊れるわけないじゃんと思いながらも、カメラがこちらに向けられたのでできもしないマイケル・ジャクソンのムーン・ウォークをちょっとだけやったっけ。

そのカメラを持った人というのが田野隆太郎さんでした。名刺をいただいて、今、島田さんのドキュメンタリー映画を撮るためにずっと島田さんを追いかけ続けていると聞いたんですね。


それからは窪田さんに会う都度に映画はいったいどうなったんだろうかと話をしたものですが、しだいにその話題もしなくなってひょっとしたらポシャったかなと思い始めた頃に映画完成の話が飛び込んできたんですね。

となると今度はそれをぜひ観てみたい、となりますが、どういう形で上映していくかということでいろいろあったよう。昨年だったか姫路文学館で上映できたらという案が出てきて、でも当然のことながらすんなりとはいかず、窪田さんはお店の仕事の合間を縫って右往左往されて実現に向けて動いていたんですね。結局、僕にとって一番馴染みのある場所の一つとなった姫路文学館での上映を実現したのだから本当に頭下がります。

ということで、お近くならぜひ観に来てください。見て絶対に後悔しないと思います。こちらにやはり夏葉社がらみでこのブログでも何度も登場している高橋和枝さんが東京で開かれた上映会で映画を観た時の素晴らしい感想を書かれています。


# by hinaseno | 2025-11-01 14:11 | 映画と文学 | Comments(0)

ビッグニュースを。

一昨日の夜のこと、その日行われたワールドシリーズ第3戦の延長18回まで続いたものすごい試合(リアルタイムで見てました)のニュースをいくつかはしごして見ていた時に、スマホに姫路のおひさまゆうびん舎の窪田さんからのメッセージが届いていることに気づきました。ただ、メッセージといっても何かイベントを紹介したものが貼られていただけ。なんだろうと思って開いたら、な、な、なんと。

湯浅学さんが「大滝詠一について」語るトークショー@姫路poyarn_a0285828_13215749.png

すぐに目に飛び込んだのは大滝さんと湯浅学さんのイラスト(どちらもよく似てて笑える)。湯浅さんは『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』を出されたばかりで、その刊行記念で姫路でトークイベントをされると。

テーマはもちろん「大滝詠一について」。

すごいですね。湯浅さんが姫路に来てくれるとは、です。

このブログでも当然のことながら湯浅さんのことは何度も書いています。先日放送された「ETV特集 POP 大滝詠一 幸せな結末」にも登場されていましたので、もちろん湯浅さんのことを書いています。

湯浅学さんが「大滝詠一について」語るトークショー@姫路poyarn_a0285828_13215209.jpeg

湯浅学さんが「大滝詠一について」語るトークショー@姫路poyarn_a0285828_13215426.jpeg

レコードをかけながら曲について説明するシーンがやっぱりいいですね。湯浅さんも大瀧さんの自宅でそういう形の”教育”を受けられてきたんでしょう。ここで、湯浅さんが”融合”というキーワードを使って紹介した曲がJunior Parkerの「Foxy Devil」でした。こんな曲があるなんて知らなかったのでびっくりでした。


湯浅さんのトークイベントが開かれる場所がおひさまゆうびん舎の目と鼻の先にあるpoyarn。

poyarnには行ったことはないけど(たぶん割と最近できたはず)、いつも姫路に行った時には車を駐める大手前公園地下駐車場の真ん前のビルにあって、そのビルの3階にあるよう。poyarnの入っているビルの一階には黒田書店という昔ながらの書店があって姫路に暮らしていたときもちょこちょこ立ち寄っていました(池内紀の本が充実)。そこからおひさまゆうびん舎まではほんの100mほどの距離。途中に岩崎書店という古本屋があって、開いていれば外の棚をちょっと覗きます。


ということで場所もよく知っているし、これは絶対にいかなくちゃと、と思ったもののイベントが開かれるのが夜。しかも開催日まで1週間をきってしまっている。

でも、いろいろ考えてやっぱりいくことにしました。これを逃せば湯浅さんには一生会えないと思うので絶対に後悔するはずだと。で、ラッキーなことに予約間に合いました。

もちろん今おひさまゆうびん舎で開かれている夏葉社フェアで展示されている里見デザインさんが制作されたというパネルも絶対に見に行かなくては、です。

poyarnさんにオーディオの装置があるかどうかはわかりませんが、できれば湯浅さんにレコードをかけながら解説してもらいたいですね。


ということでお近くにお住まいのナイアガラーの方もぜひぜひ。来ないと一生後悔しますよ。で、おひさまゆうびん舎にも立ち寄ってください。もしかしたら僕がセレクトした大瀧さんの曲がかかっているかもしれません(『ロンバケ』の曲は1曲もいれなかったかな)。


# by hinaseno | 2025-10-30 13:22 | ナイアガラ | Comments(0)