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by hinaseno
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タイムマシンで現れたの


神戸の塩屋の余白珈琲さんから、雨のウェンズデイに焼かれた珈琲豆が届きました。

今日、その塩屋の旧グッゲンハイム邸で浜田真理子さんのライブ。

あ~行きたい。

それから明日は神戸の元町の元町映画館で想田和弘さんの『港町』の上映&想田さんと内田樹先生のトーク。

あ~行きたい。


ところで話はころっと変わって。

ここ数日、車であちこち行く機会が多かったんですが、車でずっと聴いていたのはこの音源をCDに落としたものでした。




1983年7月24日に西武球場で行われた大瀧さんの貴重なライブ。1983年7月28日日発売予定だった『EACH TIME』が発売延期になって罪滅ぼしにやったとか。

大瀧さんのライブやイベントには結局一度も行くことはできなかったけど、どれかひとつタイムマシンで行かしてあげるよと言われたら、迷わずこの日のライブを選びます。

このライブが行われた当時はもちろん僕はかなり熱心な大瀧さんファンになっていたのですが、でも残念ながら大瀧さん関係の情報はそんなに入ってこなくて、このライブも後で知りました。もちろん共演がサザン・オール・スターズとラッツ&スターだったわけですから、ライブがあることを知っていても、たぶんチケットなんか入手できなかっただろうけど。


この日のライブ音源がちょこちょことYouTubeなんかにはあがっていたことは知っていましたが、大瀧さんがライブで歌った全曲を収めているものがアップされているとは知りませんでした。びっくり。

ということで、ちょっと音が悪くて、できればもう少しいい音のものをオフィシャルで発売してもらえないかなと思いつつ聴き続けています。興味深い音源がいっぱいですね。


ライブのふた月前の5月末に発売された薬師丸ひろ子さんの「探偵物語」「すこしだけやさしく」は、大瀧さん自身がつい先日までその曲に携わっていたこともあってか、すごくナチュラル。

『DEBUT AGAIN』に収録された「探偵物語」「すこしだけやさしく」はこの日のライブのために大瀧さんのキーに合わせた形で録音したものが収録されていますが、元をただせば大瀧さんはこちらのキーで自分で歌いながら曲を書いたわけだから、しっくりくるのは当たり前。自作のカバーというよりもこちらがオリジナルのよう。

ところで1983年7月といえば、この日のライブで共演したラッツ&スターに「Tシャツに口紅」をレコーディングしたばかり。まだシングルは発売される前だけど、ラッツ&スターはその日歌ったんでしょうか。


それからちょっと、おっと思ったのは、いくつか歌詞を間違えて歌っているもの。ざっと聴いて気がついたのは「ハートじかけのオレンジ」と「FUN×4」。明らかに歌詞が違っていました。

で、今日書くのは「ハートじかけのオレンジ」。本来の歌詞(作詞はもちろん松本隆さん)では「タイムスリップで現れたの」となっているところを大瀧さん「タイムマシンで現れたの」と歌ってたんですね。最初は、あっ。間違えたな、大瀧さん、でした。でも、単に歌い間違いと言えないところが大瀧さんにはあるんですね。

前にも紹介したようにこの数年前に大瀧さんは「ナイアガラ・タイムマシン・ミュージック」というタイトルで雑誌に連載をしていました。大瀧さんとしては「タイムマシン」のほうがしっくりきたんじゃないかなと。つまり間違えたんじゃなくて、あえてそう歌ったと。

で、それを証明するものがあったんですね。この音源。




これはライブを編集してのちにラジオで放送されたものなんですが、ライブをそのまま曲を減らして収録したものかと思ったら、どうもそうではない。全部は確認していませんが、何曲かは明らかにラジオの放送のために歌い直しているんですね。「ハートじかけのオレンジ」は間違いなく歌い直されたもの。すぐにわかります。

で、その歌い直して入れたものも大瀧さん、やはり「タイムスリップ」ではなく「タイムマシン」と歌ってるんですね。

確信犯でした。別に犯罪じゃないけど。

この2年後に「タイムマシン」を使ってロックンロールの誕生した年に行くSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が公開されます。この映画に大瀧さんがときめかないはずはありませんでした。


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# by hinaseno | 2018-06-22 15:23 | ナイアガラ | Comments(4)

ラジオデイズから小池昌代さんと平川克美さんの対談のコンテンツが発売されました。

小池昌代さんと平川さんの対談

いったい何年ぶりだろう。2013年8月29日に書いたブログでその前日にUstreamで生で配信された対談を見たことを書いていたのでどうやらそれ以来5年ぶり。

小池さんの声って相変わらず魅力的です。そして小池さんを相手にされると平川さんの声のトーンもちょっと(かなり)変わります。


冒頭は二人の出会いのことから。平川さんの口から「不思議な縁」という言葉が出てきます。


不思議な縁で。かつてNHKで『ブックレビュー』というテレビ番組があって、NHKから僕に電話があってね、小池昌代さんという人が僕と内田くんが書いた本を取り上げるんだと。小池昌代って誰だよ、と。

ここで大爆笑。あとは聴いてみてください。

テーマは戦後詩。

詩には詳しくないけれども、今回とりわけ興味深かったのは、松村圭一郎さんとの対談で登場した熊本の詩人のこと。

平川さんと松村さんとの対談、松村さんが熊本のご出身とのことで熊本にゆかりのある詩人の話になったんですね。石牟礼道子さんや伊藤比呂美さんなどはご存知だったようですが、平川さんがとりわけ驚かれたのが谷川雁。平川さんが学生時代に詩作をされていたときにとりわけ大きな影響を受けたのが谷川雁だったようで、その谷川雁が熊本出身だと知って、そこで飛び出した平川さんの言葉が「熊本って、やっぱ変だわ」。その谷川雁についての小池さんとのやりとりもとても興味深いものがありました。


ところで僕が小池昌代さんのことを知ったのはやはりNHKで放送されていた『週刊ブックレビュー』でした。見ていたのは児玉清さんが司会をされていた頃。ときどきは木野花さんも司会をされていました。

『週刊ブックレビュー』のゲストで特に惹かれたのが川上弘美さんと小池昌代さん。どちらも綺麗な方だったこともありますが、紹介される本が僕の趣味にあっていたんですね。

で、その頃に買ったのがこの本。

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川上弘美さんの『なんとなくな日々』、そして小池昌代さんの『屋上への階段』。いずれも2001年3月に出版。それぞれの本はその後、買ったり手放したりを何度かしていますが、この本だけはずっと持っています。いいエッセイが多いんですね。そういえば川本三郎さんが何かで川上さんの『なんとなくな日々』に収められた「玉音」というエッセイを取り上げていました。


さて、内田樹先生と平川克美さんの共著である『東京ファイティング・キッズ』が発売されたのは2004年10月。お二人の往復書簡が内田先生のサイトで続けられている時からそのやりとりに関心を持っていたので、本が出たときにはすぐに購入しました。でも、この本を出されたとき、内田先生はまだ知る人ぞ知るという存在。平川さんはこれが初めての本。


というわけなのでこの本がテレビで(しかもNHK)取り上げられたときの驚きといったら。それ以来小池さんへの関心はさらに高まることになり、駒沢敏器との出会いにもつながっていきます。

平川さんもこのときに小池さんに褒められたのがきっかけで次の、ご自身にとっては実質的に最初の本となる『反戦略的ビジネスのすすめ』を執筆されることになるんですね。小池さんもたまたま出会ったはずの『東京ファイティング・キッズ』をあのときテレビで取り上げることがなければ、今の平川さんはなかったのかもしれません。


ところで平川さんといえば『言葉が鍛えられる場所』が本になるもととなったサイトで新たな連載が始まっています。タイトルは「見えないものとの対話」。いいタイトルですね。「見えないもの」、英語で言えば「invisible」。

「invisible」といえば是枝裕和さんの『万引き家族』がパルムドールを受賞した時に、審査員長の方が授章式での言葉の中にこの「invisible」という言葉を使ったことに是枝さんが強く反応されていました。「見えないもの」に目を向けることができる人、対話できる人であるかそうでないかは僕にとっても大きな分かれ目のような気がします。


さてその平川さんの「見えないものとの対話」の第2回目が「『まる』のいた風景」

「まる」というのは平川さんが飼っていた犬。いや「飼っていた」というのは正確な言葉ではないのかもしれない。

「まる」のことは昔からいろんなエッセイに書かれていて、今回のエッセイに書かれているエピソードのほとんどは知っているなと思いながら読み進めていたら、最後に思わぬ話が。


 休日の早朝から犬連れの男を迎い入れてくれる店はなかった。
広尾にある大きな公園で、近所にあった犬を入れても大丈夫な喫茶店が開く時間まで時間をつぶした。
 わたしは、毎週末、この店に通うことになった。
 昼の間、何時間も足元に「まる」を座らせて、わたしにはどうやって時間を潰せばいいのか思案に暮れた。
 わたしにとって、最初の著作はこのときに書かれたものであった。

あの『反戦略的ビジネスのすすめ』に、ビジネスの本からはかけはなれた他者に対する慈しみのようなものが感じられたのはそのせいだったんですね。


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# by hinaseno | 2018-06-19 15:33 | 文学 | Comments(0)

2018年は JKの時代


今朝、アマゾンをチェックしていたら、先月、なんとなんとあのジャック・ケラーの作品集がCDで発売されていることがわかりました。

タイトルは『The Jack Keller Songbook』。

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発売しているレーベルはNot Now Music。このレーベル、ジャック・ケラーの作品なのに別の人の作品集に入れているのを発見して、このブログでもいくつか指摘しました。例えば「(I Play The) Part of a Fool」という曲はバリー・マンの作品集に、それからエヴァリー・ブラザーズのとびっきり素敵な「How Can I Meet Her?」はキャロル・キングの作品集に。間違えた理由はある程度推測がつくのですが、きちんと調べないで曲を収録する廉価版レーベルのひとつ、というイメージを強く持っています。

とはいえ、今までどこのレーベルからも出ていなかったジャック・ケラーの作品集を出したことは評価に値します。ジャケットに使われている写真も初めて見ました。まだ入手していないのでブックレットや、肝心の音がどうなのかはわからないけど。

CD3枚に全60曲収録。曲のリストはこうなっています。


Disc 1
1. Venus In Blue Jeans - Jimmy Clanton
2. How Can I Meet Her? - The Everly Brothers
3. A Forever Kind Of Love - Bobby Vee
4. Everybody's Somebody's Fool - Connie Francis
5. What A Nice Way To Turn Seventeen - The Crystals
6. That's Where My Lovin' Goes - Conway Twitty
7. Before We Say Goodnight - The Poni-Tails
8. That's How Much - Brian Hyland
9. Who - Gary Crosby
10. One Little Acre - George Hamilton IV
11. A Heartache Named Johnny - Jaye P. Morgan
12. It's Unbearable - Dorothy Jones
13. Now You Know How It Feels - Wink Martindale
14. Next - Johnny O'Neill
15. When Does Friendship End And True Love Start - Debbie Stuart
16. Have A Nice Weekend - The McGuire Sisters
17. Cute And Collegiate - The Brooktones
18. A Most Impossible Dream - Dwayne Hickman
19. I've Got A Lot Of Things To Do - Johnny Burnette
20. Walking In The Footsteps Of A Fool - Ben E. King

Disc 2
1. Run To Him - Bobby Vee
2. Little Hollywood Girl - The Crickets
3. Yum Yum Yum - The Cinderellas
4. Seven Minutes In Heaven - Poni-Tails
5. It Started All Over Again - Brenda Lee
6. Ask Me No Questions - Carl Dobkins Jr.
7. Keep In Touch - Georgia Gibbs
8. Never Say Goodbye - Jimmy Beaumont
9. Everybody Loves A Guy Named Johnny - Cardigan Brothers
10. A Pair Of Scissors - Dean Reed
11. Just Couldn't Resist Her With Her Pocket Transistor - Alma Cogan
12. One More Time With Billy - Anita Bryant
13. Poor Little Puppet - Jan & Dean
14. Lonely Tomorrows - Tony Orlando
15. Just Between You And Me - The Chordettes
16. The World In My Arms - Nat King Cole
17. Say Hello (Goodbye Makes Me Cry) - Cardigan Brothers
18. I've Got My Pride - Jack Jones
19. I Can't Sit Down - Marie And Rex
20. Beats There A Heart So True - Perry Como

Disc 3
1. No One Can Make My Sunshine Smile - The Everly Brothers
2. Who Do You Think You Are? - The Four Lads
3. If I Didn't Love You So Much - Babs Tino
4. Short Hair And Turtleneck Sweater - Billy Adams
5. Don't Read The Letter - Patti Page
6. The Lovin' Touch - Mark Dinning
7. Notify The F.B.I. - The Arena Twins
8. Love Is A Two Way Street - The Chordettes
9. He Who Laughs Last - Freda Payne
10. Give It Up - The Deb Tones
11. Wanted, One Girl - Jan & Dean
12. Fantastico - Peggy Lee
13. Please Don't Ask About Barbara - Bobby Vee
14. My Heart Has A Mind Of Its Own - Connie Francis
15. Chills - Tony Orlando
16. He's Got My Sympathy - Ray Adams
17. Breaking In A Brand New Broken Heart - Jean Campbell
18. One Way Ticket (To The Blues) - Neil Sedaka
19. Don't Ask Me To Be Friends - The Everly Brothers
20. The Tiger's Wide Awake (The Lion Sleeps Tonight) - The Romeos


Disc 1の1曲目はやはりジミー・クラントンの「Venus In Blue Jeans」。キャロル・キングの作品集に入っていたエヴァリー・ブラザーズの「How Can I Meet Her?」はDisc 1の2曲目に。それからペリー・コモの「Beats There A Heart So True」もDisc 2のラストに収録されています。僕が手に入れることができなかった曲も何曲かあります。まあ、その一方であの曲をいれてないんだというのも何曲かあるけど。


本当はACEレーベルからか、あるいは宮治淳一さんの編集で日本盤を出してもらいたかったけど。

こうなったら宮治さん、これに負けないだけのものを出してもらわないと。「2017年は JK(ジャック・ケラー)の時代」という宮治さんの言葉は空振りに終わったけど「2018年は JKの時代」ということで。


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# by hinaseno | 2018-06-18 13:15 | 音楽 | Comments(0)

6月の風、坂の終わり


姫路のおひさまゆうびん舎で開かれていた吉田篤弘さんの『神様のいる街』(夏葉社)フェアも今日が最終日。で、来週水曜日から始まるのが高橋和枝さんの『あめのひのくまちゃん』フェア。梅雨の時期にこの絵本のフェアをするというのは窪田さんのかねてよりの願い。それがようやく実現するんですね。

それにしても水曜日から始まるというのはたまたま? 

「水曜日」「雨」といえば大瀧さんのあの曲を思い浮かべないわけにはいかないので。今度の水曜日、雨降るといいですね(姫路の天気予報は雨)。


そういえば寺尾次郎さんが亡くなられた先々週の水曜日、6月6日も雨でした。その前日、こんなビッグニュースが届いたんですね。

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なんと村上春樹がラジオのDJを。選曲も村上さん。そして音楽に関する質問にも答えると。こんなチャンスを逃してはいけないと、すぐに応募しようと考えましたが、質問ありすぎて悩んでしまいました。その前にもう一つ悩んだのがラジオネーム。

とりあえずそっちを先に決めておこうと、あれこれと考え始めたのが6月6日の雨のウェンズデイ。でも、全然いいのが浮かばない。こうなったら「雨のウェンズデイ」でいこうかと思って、そこから連鎖的にいろんな名前が浮かんでくることになりました。


まずは「雨の水曜日」、そして「水曜日の雨」。でもイマイチだなと思ってそこで出てきたのが「六月の雨」。もちろんこのときに太田裕美さんに「九月の雨」という曲があることをちらっと考えました。作詞はもちろん松本隆さん。

で、ここで浮かんだのがこの曲でした。




ジョアン・ジルベルトの「Águas de Março」という曲。ボサノヴァの名曲で、数多くの人が歌っています。曲を書いたのはアントニオ・カルロス・ジョビン。

この曲、英題は「Waters Of March」。ところが邦題は「三月の水」となったり「三月の雨」となったり。内容的を考えると「雨」。ちなみに南半球のブラジルでは3月は夏の終わり。この曲の歌詞にも「夏の終わりを告げる 三月の雨」という言葉が出てきます。南半球の「三月の雨」は日本では「九月の雨」ということになります。

それはさておき、僕は個人的には「三月の水」という邦題の方が好きなんですね。最初にこの曲を知った時の邦題が「三月の水」だったこともありますが、こちらの方がいろんなイメージがわくし、日本の早春のまだ冷たい川や海の水のことも浮かんできます。

ちなみに「Águas de Março」が収録されたジョアン・ジルベルトのこのアルバム。

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オリジナルにはタイトルがなく、ただ「JOAO GILBERTO」と記されているだけ。でも、邦題は『三月の水』。

ということでラジオネームは「六月の雨」から「六月の水」に変更。これで決定ということにしました。


次の日。木曜日。晴れ。

朝一番で近所の書店に行きました。その日発売される『文學界』7月号を購入するため。村上春樹の最新の短編が収録されていたので、いち早く読みたいなと。でも、書店に入荷するのは翌日の金曜日になるとのこと。別の書店に行ってもいっしょだろうと思い、注文して帰りました。

ちょっと予定が狂ったので、この日に質問を出すことにしました(締め切りは3日後の6月10日の日曜日)。質問はだいたい夜のうちに考えていたので、それをまとめて書きました。このブログで書いていた話です。

で、ラジオネームを「六月の水」と入力しようとしたとき、ふと手がとまってナラ・レオンのこのアルバムのことを思い出しました。このアルバムを買ったのは神戸の元町のいまはもうないレコード屋さん。

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アルバムのタイトルは『五月の風(Vento de Maio)』。外に出たときに、ちょっと5月のような爽やかな風が吹いていたからかもしれません。「風」もいいな。いや、「風」のほうがいいなと。

というわけでラジオネームは急遽「六月の風」に変更。ポルトガル語では「Vento de Junho」。うん、悪くないな。ってことで送信。


さて、その次の日の金曜日。朝一番で書店から『文學界』が入荷したとの電話がありました。昼頃買いに行きましたが、時間がなかったので、夜読むことにしました。

収録されている短編は全部で3つ。最初に読んだのは一つ目の「石のまくらに」。短歌を作る女性が出てくるんですが、彼女の作った短歌を見てびっくり。なんと「六月の水」という言葉が最後に。

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村上さんが「六月の水」という言葉を考えた時、絶対にジョビンの「三月の水=三月の雨」のことを考えたに違いありません。


で、翌日、2つめと3つめの短編を読みました。3つ目の短編のタイトルは「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」。

ボサノヴァの話というだけでもびっくりでしたが、8曲収録されたこの架空のアルバムに、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲がなんと6曲も。

世の中どうなっているんでしょう。


ところで昨日久しぶりにジョアン・ジルベルトの『三月の水』のアルバムを取り出して、A面1曲目の「三月の水」を聴いていたら、なんと針とび。同じ部分が延々と繰り返されることに。これです。

これを聴いていたら繰り返されている部分の言葉が気になったんですね。ちょっと調べてやろうと。ただ、この曲の歌詞、とにかくすごいんですね。しかもポルトガル語。針とびがするのは曲の後半。2度くらいどこ歌ってんのかわからなくなってようやく3度目にたどり当てました。

É o fim da ladeira

意味を調べたら「坂の終わり」。

思わず『港町』に出てきた牛窓のあの坂や、余白珈琲さんの家のある塩屋の坂のことを思い出しました。「坂の終わり」というラジオネームもよかったなと。

面白いのはこの「é o fim da ladeira」の直前にはこんな言葉が出てくるんですね。

É o vento ventando

「Vento」は先ほど紹介したように「風」。ジョビンが英語でリライトした歌詞では「It's the wind blowing free」となっています。「気ままに吹いている風」。そんな風が集まる「坂の終わり」。


たまたまにしては、ちょっと出来過ぎ。


というわけで8月5日に放送される村上RADIO、今からどきどきします。果たして「六月の風」というラジオネームが読まれることになるでしょうか。もしよかったらチェックしてみてください。

ところで今日は気持ちのいい6月の風が吹いています。


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# by hinaseno | 2018-06-17 15:51 | 雑記 | Comments(0)

暇をみつけては(まあ、いつも暇です)『新春放談』を2011年に放送されたものから順番に遡って聴いていて、ようやくある会話をみつけました。映画の話がひとしきり終わった後、大瀧さんがある人の名前を口にします。

寺尾次郎。

その部分から。


大瀧:寺尾次郎みたいなのもいたしね。でも、(映画の話を)あんまりしなかったんだよ、そのころね。
山下:寺尾とか、一回も映画の話、したことない。
大瀧:そうなの。
山下:言わないんだもの、あいつ。
大瀧:う~ん、知りすぎてっからね。
山下:おそらく。くっくっ、おかし。
大瀧:人に歴史ありだよね。
山下:字幕書いちゃうんだもん。
大瀧:書いちゃったんだよね。寺尾次郎とか出ちゃうんだよね~、字幕が。
山下:今聴くとベース上手いんですよね、結構。
大瀧:なかなかね。ランニングなんかね。
山下:ろくすっぽ聴いてやしなかった。
大瀧:(笑)。あの鰐川くんがゴツいベース弾いてたからね。非常に寺尾君がスマートな感じに聴こえたよね。
山下:うん。なんか多彩というかね。
大瀧:う~ん、確かにね。すごい人だったんだよね。
山下:(笑)
大瀧:ぞんざいに扱った今はちょっとね、過去を反省しなきゃいけないね。
山下:(笑)どっかでクシャミしてますね。
大瀧:(笑)いろんな人が集まったんだよね。才能は呼ぶんだね。
山下:だけど人の出会いというのは不思議なものですよね。本当に今から考えても、なんかそこで出会うべくしてたぶん出会ったんだろうけど…
大瀧:後になるとそう思うんだろうけれども、ねえ。
山下:その時はなんの別に…
大瀧:意図があったわけでなく。
山下:ドラマ性もない。
大瀧:ないないない。ほんとに、簡単に、偶然としか言いようがない。
山下:日常の一コマでパッとやって、それがだんだん肥大していくという。不思議ですねえ。
大瀧:不思議だねえ、歳をとればとるだけ。
山下:つくづく思ってきますね。


「What A Diff'rence A Day Made」と題して塩屋でのことを書いた最初の日のブログで、「楕円」と「楕円」がつながる、ということで紹介したのが寺尾紗穂さんでした。その紗穂さんのお父さんである寺尾次郎さんが、それを書いた3日後の6月6日に亡くなられました。


僕が紗穂さんのことを知ったのは寺尾次郎さんの娘さんとして。寺尾次郎さんは達郎さんがいたシュガーベイブのメンバーで、もちろん大瀧さんとも交流がありました。

もうかなり前になって、いつだったか忘れましたが、たぶん10年くらい前のサンデーソングブックで、達郎さんが自分といっしょにやっていたミュージシャンの2世がデビューして活躍するようになっているという話をしたんですね。そのときたぶん紹介したのが寺尾次郎さんの娘さんである寺尾紗穂さんと、それから土岐英史さんの娘さんである土岐麻子さんでした。


寺尾次郎さんのことはこのブログでも何度も書いているので繰り返しませんが、僕が寺尾さんに興味を持つことになったのは『レコード・コレクターズ』2012年4月号に収録された大瀧さんと佐野さんと杉さんの対談。テーマはもちろん『ナイアガラ・トライアングル VOL.2』。でも、ここで大瀧さんが語っていたのは一言で言えば「縁」の話。対談というよりも、大瀧さんが佐野さんと杉さんに事実確認をしている感じ。

とにかく興味深い話の連続で、僕が「縁」のことを強く意識するようになったのはまちがいなくこれがきっかけでした。ってことなのでこのブログでもこの時に大瀧さんが語った話はなんども引用しています。そしてとりわけ関心を持ったのが寺尾次郎さん。たぶん語り手である大瀧さんが寺尾次郎さんという人の存在に関心を持っていたからこそ、僕も寺尾さんに興味を持ったんだろうと思います。

ナイアガラ・トライアングルのおもしろさは、ただ単に『VOL.1』と『VOL.2』に参加したそれぞれ3人ずつのアーティストのつながりだけでなく、大瀧さんを除いた『VOL.1』の2人と『VOL.2』の2人にも不思議なつながりがあるところなんですね。佐野さんをプロデュースしていた銀次さんはいうまでもないけど、杉さんが学生時代にやっていたバンドに達郎さんと結婚することになる竹内まりやさんがいたとか。大瀧さんも『VOL.2』をやるときにあらかじめ知っていたこともあれば、あとになってそうだったのかとわかったこともある。そんな中で一番興味深いのが佐野さんのバンドにいたけれど達郎さんのシュガーベイブに引き抜かれてしまって、佐野さんがしばらくソロで活動することを余儀なくされる原因となった寺尾次郎さん。佐野さんにとっては「にっくきシュガーベイブ」「にっくき寺尾次郎」なんですね。もちろん今となっては「(笑)」をつけることもできる話。結果的には佐野元春というアーティストを成長させることにもなり、そのさらなる成長があったからこそ大瀧さんとの縁も生まれたわけなので、その意味では寺尾次郎さんというのは見えにくいけれどもとても重要な存在だと大瀧さんは思ったんでしょうね。


僕なりのイメージとしては2つのトライアングル(それぞれ3つの焦点をもつ楕縁)をつないでいる人でした。


映画の世界にどんどんとのめり込んでいっていた大瀧さん、いつか寺尾次郎さんと映画の話をしてみたかったんじゃないかな。いや、今頃、いろんな話をしているはず。

まずは「ぞんざいに扱った」ことをわびたかもしれません(笑)。


明日のサンソンはきっと寺尾次郎さんの追悼特集のはず。聴き逃さないようにしよう。

これは第2期のシュガーベイブ。一番右が寺尾次郎さん。

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# by hinaseno | 2018-06-16 15:00 | ナイアガラ | Comments(0)