人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

前々回に書いたブログの最後にちらっと載せた写真に写っていたこの雑誌を紹介しておきましょう。

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12370548.jpeg

『American Book Jam(アメリカン・ブックジャム)』バックアップ・カンパニー発行。

これは1996年から2006年の間に合計11号まで不定期に出ていた(当初は季刊を予定していたよう)雑誌で、駒沢敏器は「AMERICAN STUDIES 写真をとおしてリアルなアメリカを覗く」というタイトルで創刊号から全号でエッセイを寄稿。一回だけ番外編として漫画『PEANUTS』(スヌーピー!)を取り上げていますが、毎回1冊のアメリカの写真集を紹介しながら、それを通じて彼が学んだことを書いています。

ちなみに創刊号が出たのが1996年12月に出ているということは、ちょうど駒沢敏器が1度目のスモールタウン巡りの旅を終えた少し後ということになりますね。


実は前回紹介した写真集『SMALL TOWN AMERICA』を知ったきっかけはこの雑誌でした。そもそもの始まりは偶然手に入れたこの『THE AMERICAN MOTEL』という写真集。

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12370871.jpeg

あれは9年前、2017年のこと(この日のブログに書いています)、久しぶりに立ち寄った古本屋(万歩書店)で、探していた本がなくて帰ろうかなと思ったものの、せっかくなので店内の本をじっくりと見ることにしたんですね。で、写真集のコーナーで見つけたのが『THE AMERICAN MOTEL』でした。タイトルを見て思い浮かべたのは大瀧さんの「Velvet Motel」、そして駒沢敏器の『語るに足る、ささやかな人生』。彼はスモールタウンのモーテルに泊まり続けて旅をしていたのを知っていたので。値段を見たら2000円! この手の本にしては安すぎたのでもちろん即購入。

戻って早速Amazonでこの本をチェック。値段とか出品者(海外ばかり)を見て、よくぞこんな本が岡山のはずれの古本屋でこんなにも安く見つけられたものだなと、我ながらその幸運にほくそ笑んだものでした。そしてその下の方を読んで更なる驚きがあったんですね。それが滅多に読むことはない商品説明の最後に記された駒沢敏器の名前でした。ここから駒沢敏器探しが始まったわけです。

まずは『THE AMERICAN MOTEL』の写真と文章を手がけたMichael Karl Witzelの本を順番に見ていきました。すると…、『The American Diner』『The American Drive-In』『Route 66 Remembered』『The American Gas Station』『Americana: Roadside Memories』などなど、僕好みの本ばかりなんですね。当然のことながら駒沢敏器も読んでいるはずだと思って1冊1冊商品解説をチェックしていきました。でも、予想は外れて1冊も見つからず。次はそういう本をチェックしていると下に出てくるおすすめの本もチェック。やはりなし。う~ん、当てが外れたかと。それ以後もちょっと気になる写真集に目が留まったら商品説明の下の名前を確認し続けましたが、結局出会えずじまい。


今回『語るに足る、ささやかな人生』が復刻されることがわかったときに、再び駒沢敏器探しが再燃して、何か手掛かりはないかと調べたのがこちらにあがっている「駒沢敏器著作リスト」でした。もちろんこれは以前から何度も見ていて、そのときどきで必要な本を手に入れていたわけですが、今回、目に留めたのが『American Book Jam』という雑誌だったんですね。掲載タイトルは「写真をとおしてリアルなアメリカを覗く」。

で、ネットでこの雑誌を調べたら目次を確認できるものが1冊あって、そこに書かれていたのが『THE AMERICAN MOTEL』でした。そうか、もしかしたら駒沢敏器の商品解説はもともとはこの雑誌に書いたものだったかもしれないぞと。ということで多少苦労したものの全部手に入れたわけです。

せっかくなので各号で駒沢敏器が紹介していた本を写真と発行年を添えて並べておきます。


創刊号(1996年12月発行)

AMERICAN STUDIES① JUKE POINT BY Birney Imes(1990)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12380499.png

第2号(1997年4月発行)

 AMERICAN STUDIES② THE AMERICAN DRIVE-IN by Michael Karl Witzel(1994)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12380196.png

第3号(1997年10月発行)

 AMERICAN STUDIES③ SMALL TOWN AMERICA by David Plowden(1994)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12375907.jpeg

第4号(1998年6月発行)

 AMERICAN STUDIES④ Scared Space by Tom Rankin(1993)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12380721.png

第5号(1998年12月発行)

 AMERICAN STUDIES⑤ WHISPER PINES by Birney Imes(1994)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12375634.png

第6号(1999年6月発行)

 AMERICAN STUDIES⑥ HAWAIIAN COUNTRY TABLES by Kaui Philpottts(1998)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12375345.png

第7号(1999年11月発行)

 AMERICAN STUDIES⑦ ON THIS SITE by Joel Sternfeld(1996)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12375111.jpeg

第8号(2000年5月発行)

 AMERICAN STUDIES番外編 A PEANUTS BOOK featuring SNOOPY 3(1990)&7(1991)&16(1996)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12374679.png

第9号(2001年9月発行)

 AMERICAN STUDIES⑧ THE AMERICAN MOTEL by Michael Karl Witzel(2000)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12374387.png

第10号(2004年3月発行)

 AMERICAN STUDIES⑨ STRANGER PASSING by Joel Sternfeld(2001)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12374092.png

第11号(2006年8月発行)

 AMERICAN STUDIES⑩ Uncommon Places: 50 Unpublished Photographs 1973-1978 by Stephen Shore(2006)

AMERICAN STUDIES:写真をとおしてリアルなアメリカを覗く_a0285828_12372874.jpeg

いや~、表紙を見ただけでも全部ほしくなってしまいます。でも、もちろんすべて廃刊になっているので、1冊1万、いや2万をくだらないものばかり…。

ところで本の出版年を見ると、駒沢敏器がアメリカのスモールタウンを旅する前に見ていたはずの写真集は7号までで紹介されたものですね。『THE AMERICAN MOTEL』は2000年発行なので、2度の旅を終えたあとに手に入たことがわかります(雑誌に掲載された写真の中に僕が以前ブログで貼ったのと同じものがありました!)。

ちなみに著者のMichael Karl Witzelの写真集は、第2号で『THE AMERICAN DRIVE-IN』も取り上げていますね。やはり駒沢もお気に入りの写真家でした。

で、もちろん駒沢敏器探し。Amazonでそれぞれの写真集の商品説明をひとつずつ調べていきました。最初は全部の本で駒沢敏器の名前を発見できるのではと期待してたんですが、期待は失望の母。結局、雑誌で彼が紹介していた10冊の写真集で『THE AMERICAN MOTEL』以外に駒沢敏器の名前を発見できたのはたった1冊だけで、それが『SMALL TOWN AMERICA』だったんですね。

もうひとつ意外だったのはAMERICAN STUDIESで書いていたコラムとAmazonの商品説明は2冊ともまったくといっていいくらいに別の内容になっていたことでした。まあ、『American Book Jam』での『SMALL TOWN AMERICA』ははっきりいえば本の話は全然出てこないので、とてもではないけど商品説明に使うわけにはいきません。でも、そこで書かれている話はまさに僕が読んでみたいものだったんですね。

実は前々回に引用したこの文章はまさにそれの最初に書かれていたものでした。


「この2年間くらい、僕はアメリカのスモールタウンを旅行している。昨年は、マンハッタンから車を運転して、北部を縦断するようなかなちで10箇所のスモールタウンに立ち寄ってシアトルに抜けた。都会にはいちども寄らなかった」


もちろんこの後に出てくる話も興味深いものばかりだったんですが、それはまた次回に。


# by hinaseno | 2026-04-13 12:41 | 文学 | Comments(0)

わが孤独なる「駒沢敏器探しゲーム」で、ようやく2つめの「駒沢敏器」の名を発見したページで紹介されていた写真集を手に入れました。海外のサイトで注文してちょうど3週間。無事に届いてほっと一息。

SMALL TOWN AMERICA、そして駒沢敏器の言葉_a0285828_14491099.jpeg

タイトルは『SMALL TOWN AMERICA』。写真と文はDavid Plowden。出版されたのは1994年。駒沢がアメリカのスモールタウン巡りの旅を始める直前ですね。

掲載された写真の撮影された地名にはニューヨーク州スプリングヴィル、ウィスコンシン州ダーリントン、ミネソタ州ウェセカ、アイオワ州ブリックリンなど、1995年の夏にした最初の旅で訪ねた町の写真がいくつもあるので、おそらくはこの本を参考にして訪ねる町を決めていったんだろうと思います。町の風景もいいしそこで暮らしている人々の表情もいい。駒沢敏器じゃなくても行きたくなってしまう。


せっかくなので駒沢敏器が書いた商品説明を貼っておきましょう。彼がこれを書いたのは20年くらい前だとは思いますが、今のような時代だからこそ読まれるべき内容の文章になっています。そしてこれを読んだらきっと『語るに足る、ささやかな人生』を読んでみたくなるはず。


「強いアメリカ」の中にあっては、スモールタウンは弱者でもあり過去でもあるように見える。かつては最も一般的な光景として、どこにでも見られたはずの街並みや建物が(あるいはそこに住む人びとや彼らの表情さえ)、次々と姿を消しているのだ。経済的な余裕が不十分で町の外へ(都会へ)出られなかった者、止まった時間の中で停滞を余儀なくされた者、時流に即した新しいチャンスさえ手に入れようとしない者…。全米に無数に存在する名もない小さな町の光景は、今となっては、あたかも敗者や弱者の居場所をそのまま象徴するかのようでもある。
 しかしそれは、富による成功だけに価値を置いた、いびつな偏りの上に立った見方でしかない。今もなおスモールタウンで小さく暮らす人たちは、そのような価値よりも家族のきずなを大切にし、住人たちの交流を温かく固め、自分のエゴよりもコミュニティーを優先させる意志に目覚めている。老齢者と少年少女が交流し、そのなかで過去と現在が未来へ向けて人間的に結ばれ、そこから生まれる無形の財産こそ、本来アメリカが標榜してきたものだ、と語っている。そのことがプローデンの端正なモノクロ写真を見るとよくわかる。
 アメリカは繁栄を手にするために何を捨て、何を犠牲にしてきたのか。あるいは何をこれからも破棄していこうとしているのか。評論家のもっともらしい言説を待たなくても、この本に収められた写真の方がはるかに雄弁で温度がある。アメリカはかつての自分たち、自国の中に今もいる平和な人間たちそのものを過小評価し、過去に置き去りにしていこうとしているのだ。
 小さな町での小さな平和、静かな暮らし、ささやかな家族の団らん…。捨ててきたはずのものがいまだ片隅に残って営まれているという現実は、強いアメリカに対する、民衆の静かなアンチテーゼともなっている。
「この光景と、この人たちを見てほしい」とプローデンは言わない。「これはほんのこの間までの私たちだったはずだ。失ってはならない」とも言わない。しかし111点におよぶ写真は彼の悲痛でヒューマンな叫びを、しっかりと代弁している。(駒沢敏器)

# by hinaseno | 2026-04-10 14:50 | 文学 | Comments(2)

風鯨社で復刊された駒沢敏器の『語るに足る、ささやかな人生』をようやく本格的に読み始めました。「はじめに」と「おわりに」、それから宮里祐人さんの解説は先に読んでいたので、第3章のスプリングヴィルから。なぜ3章からかはあとで。


本を読み始める前、ふと、駒沢敏器が『語るに足る、ささやかな人生』のためのスモールタウン巡りの旅(アメリカのスモールタウンをつないだ大陸の横断の旅)を始めたのはいつだったのだろうかと思い、いろいろと調べていました。宮里さんの解説には「本書の旅は1995~1997年頃だと見るのが妥当だろう」とありましたが、1997年10月発行の雑誌に寄稿した彼のエッセイで1996年だったと確認できる文章を見つけました。


「この2年間くらい、僕はアメリカのスモールタウンを旅行している。昨年は、マンハッタンから車を運転して、北部を縦断するようなかなちで10箇所のスモールタウンに立ち寄ってシアトルに抜けた。都会にはいちども寄らなかった」


それから『語るに足る、ささやかな人生』の「おわりに」には「2年間にわたる、2度の夏は素晴らしかった」と書かれているので、最初の旅が1996年の夏、2度目が1997年の夏。上記のエッセイは2度目の旅を始める前か、あるいは旅の途中で書いたものだったかもしれません。

で、上のエッセイにも書かれているように1度目の旅のスタートはニューヨークのマンハッタン。で、最初に立ち寄ったスモールタウンがニューヨーク州スプリングヴィルだったのでそこから読み始めたわけです。


それはさておき最初の旅がちょうど30年前の1996年だったとわかって、ああ、また1996年だなとなったんですね。『語るに足る、ささやかな人生』と同じ日に入手した大瀧詠一プロデュースによる渡辺満里奈の『Ring-a-Bell』が出たのも1996年。改めて考えると1996年という年はその後の人生に大きな影響を与えた出来事が多い年であったことは確か。

まず一番に思い当たるのは星野道夫のこと。駒沢がスモールタウン巡りの旅を始めた1996年の夏に星野が亡くなったんだなと思ったわけです。2人に交流があったかどうかはわかりませんが、同じ雑誌に寄稿していたのでそれぞれのことはよく知っていたはずなので、星野の死は僕と同じように相当ショックだったはず。どこでそれを知ったかはわからないけど。

1996年といえば岩井俊二の『Love Letter』を観たのも1996年だったと昨日気づきました。映画が公開されたのは前年の1995年ですが、なにかで映画の評判を知って、それからしばらくしてできたばかりだったはずのブックオフでビデオを見つけて買ったんですね。まあ何回見返したやら。

映画でとりわけ好きなのが「藤井樹探しゲーム」のシーン。これが好きで好きで。

密林で「駒沢敏器探しゲーム」_a0285828_13214991.jpeg


密林で「駒沢敏器探しゲーム」_a0285828_13215291.jpeg

説明するとネタばらしになっちゃうので見てない人は見てくださいというしかないけれど、2人の藤井樹が通っていた中学校の図書委員の女子生徒たちが藤井樹という名前が記された図書カードを探しているという話。一人の生徒が「今のところ見つかったのは87枚」と。

ちなみにこれが一瞬映った図書カード。

密林で「駒沢敏器探しゲーム」_a0285828_13214750.jpeg

読み取れる文字から確認すると『宇治拾遺物語』、『原色…』(図鑑ですね)、高木敬次郎著『薬物学』、そして内藤多仲著『日本の耐震建築とともに』。

男の藤井樹が借りて図書カードに名前を書いたのは誰も借りないような本ばかりだったので、どれも中学生が手に取るとは思えないような本ばかり。内藤多仲って東京タワーを設計した人だったんですね。

そしてラストシーンに映るのがこれ。88枚目、かな。

密林で「駒沢敏器探しゲーム」_a0285828_13214509.jpeg

マルセル・プルースト著『失われた時を求めて 第7篇』。ここはもう涙なくして見れません。今回このシーンを見直しただけでもうるうるしました。


前置きが長くなりすぎましたがこれからが本題。そう、タイトルの駒沢敏器探しゲームのこと。10年ほど前、あることがきっかけで駒沢敏器探しゲームを始めたんですね。もちろんたった一人で。場所は図書館ではなくアマゾンの洋書。


10年前に見つけたのがこれ

その後ずいぶん熱心に探したものの全く見つからなかったんですが、つい最近ようやく2つ目を見つけることができました。なんでこれが見つけられなかったんだろうと思うような写真集。見つけたときはうれしかった〜。『Love Letter』に出てくる図書委員の女子生徒達が見つけた図書カードの数とは比べものにならないけど。

よし、これで3つめ、4つめを見つけることができそうだと思ったものの、あてがはずれてしまいました。

でもせっかくなので、久しぶりに再開した「駒沢敏器探しゲーム」の話を次回書いておきましょう。

密林で「駒沢敏器探しゲーム」_a0285828_13214248.jpeg


# by hinaseno | 2026-04-07 13:27 | 映画と文学 | Comments(0)

冬の星座


今年のナイアガラ・デイに『Ring-a-Bell 30th Anniversary Edition』が出ることがわかった時に書いたこの日のブログでこんなことを書いていました。


ぜひ聴きたいのはオリジナル・カラオケ。とりわけ大瀧さんが編曲した「ダンスが終わる前に」と「あなたから遠くへ」はぜひ聴いてみたい。そして最大の期待は、「あなたから遠くへ」の大瀧バージョン。金延幸子さんの作曲ですが、大瀧さんも少しは(おそらくは半分近くは)曲作りにかかわっているはずのこの曲を大瀧さんが歌っているものがあれば最大の目玉となります。


『Ring-a-Bell 30th Anniversary Edition』が手元に来て最初に聴いたのは未発表音源満載というDisc 2。収録曲を前もってチャックしていなかったので次から次へと、おっ!おっ!となりました。ただ、「あなたから遠くへ」の大瀧バージョンは残念ながらなし。歌ってなかったのかな~。

でも、オリジナル・カラオケは期待通り入っていました。「ダンスが終わる前に」と「あなたから遠くへ」はうれしくて何度も繰り返して聴きました。もちろん歌を口ずさみながら。

ただ、オリジナル・カラオケの中で一番リピートして聴いているのは未発表曲として今回収録された「冬の星座」。これが流れてきた時にはびっくりでした。なんたって大好きなペダル・スティールギターの音色が延々と聴こえてきたのだから。

演奏しているのはもちろん駒沢裕城。編曲は多羅尾伴内、つまり大瀧さんですが、ボツになったのがもったいないくらいに見事なカントリー・ソングに仕上がっていました。アレンジは大瀧さんとはいえ駒沢さんに自由に弾かせていたはず。


このあとにDisc-1とLPに収録された大瀧さんと渡辺満里奈さんのデュエット・バージョンの「冬の星座」を聴いて、能地祐子さんの解説(ウィキペディアの記事を参考にしているようです)も読みました。それによると「堀内敬三作詞の日本の唱歌。1947年(昭和22年)発行の国定教科書『中等音楽』に掲載されて以来、あらゆる世代から広く愛された名曲だ」と。さらに「が、日本の唱歌とはいえ生まれはアメリカ。1871年にウィリアム・ヘイズが書いたポピュラー・ソング「愛しのモーリー(Mollie Darling)」の旋律に堀内が、訳詞ではなく独自の日本語詞を乗せている」


というわけで、YouTubeで「Mollie Darling」を聴いてみたらどこかで聴いたことがある。ちなみに聴いたのはカントリー・シンガーのEddy Arnold(エディ・アーノルド)が歌ったもの。何度かリメイクされているようですが、最初に録音されたのは1947年に、The Tennessee Plowboyと一緒にこのバージョンのよう。大瀧さんが、というか駒沢さんが参考にしたのもこのバージョンのはず。



考えたら1871年に生まれた曲を、戦後間もない1947年に、一方ではカントリーソングとしてリメイク、一方では文部省唱歌として国定教科書に載ったというのも興味深いですね。堀内敬三はエディ・アーノルドが歌う曲を聴いて歌詞(訳詞ではなく)をつけてみようと思ったのかもしれません。そのあたり、堀内さんの何かの本に書かれているかもしれませんね。

ちなみに大瀧さんが生まれたのは1948年。小学校とかで「冬の星座」を歌ってたんでしょうか。大瀧さんにとってはきっとカントリーも幼少期の風景の記憶と結びついているはずなので、大瀧さんの口で「冬の星座」にまつわる話を聞いてみたかったですね。


そう、堀内敬三といえば1995年8月8日放送の日本ポップス伝第二夜の最後のあたりで彼が重要な人物として登場するんですね。

話は1925年(大正14年)に日本で最初に発足したラジオ局の一つJOAKののことから。JOAKの音楽関係の部署にいたのが堀内敬三で、そのJOAKにあったJOAKジャズバンドで、指揮、アレンジ、訳詞をしていたと。彼はいろんな曲をラジオから流していたようですが、あるときから外国の曲の訳詞をして、レコードになるとかならないかの前にJOAKジャズバンドで演奏して歌手を呼んで生で歌わせる。それがヒットするようになるんですね。で、大瀧さんが放送でかけたのは「ヴァレンシア」「アラビアの歌」、そして「青空」。もちろんすべて堀内敬三の訳詞。つまり日本のポップスが生まれる原点にいたのが堀内敬三だったというわけです。


考えれば堀内敬三が登場する日本ポップス伝が放送されたのが1995年8月。その堀内が作詞した「冬の星座」をレコーディングしたのが1996年の初め頃。翌1997年、12ぶりの新曲「幸せな結末」のレコーディングを開始するちょうど1週間前の9月4日に堀内敬三が訳詞した「青空」を録音(「私の天竺」というタイトルに変更)。

このあたり、適当に曲をピックアップしてレコーディングしたのではなく、強い意志のもとでのことだったわけですね。渡辺満里奈と一緒に童謡を歌っていたんだ、というレベルの話とは全然違います(父と娘で歌っているという感じではありますが)。かえすがえすも大瀧さんの話を聞いてみたかったなと思わずにいられません。

いずれにしても「冬の星座」で聴かれる駒沢さんのペダル・スティールギターは「空色のくれよん」「Blue Valentine's Day」に匹敵するくらいに素晴らしいものでした。


# by hinaseno | 2026-04-05 14:59 | ナイアガラ | Comments(0)

Fussa 45 Studio Live 1976で演奏されたのは全部で5曲。「福生ストラット(PART Ⅱ) 」「あの娘に御用心」「楽しい夜更し」「ハンド・クラッピング・ルンバ」「恋はメレンゲ」。

この音源自体は1995年3月にCD選書シリーズとして出た『NIAGARA MOON』に収録されていましたが、今回ライブ映像を見て一番よかったのは「恋はメレンゲ」でした。まあ曲がいいってことも大きいんですが、特に大瀧さんのギタープレイが見ててなんとも楽しいんですね。特に♫たった一度のダンスでロマンスの花が咲く~ の「は・な・がさく」のところ。手元にある楽譜ではGからE7になっているんですが、大瀧さんはGコードをセーハ型(人差し指で弦を全部押さえる形)で押さえて、指を1フレットずつずらせて演奏してたんですね。つまりG→F# →F →Eとコードを半音ずつ下降させていたと。へ~でした。

ちなみに「恋はメレンゲ」は途中で転調して半音上がるので、そこからはA♭G→F# →Fとなるんですが、そこをあるときはセーハ型、あるときは親指で6弦を押さえる形にして演奏してるんですね。どういう理由でそうしているのかはわからないけど楽しそうに演奏していることは確かで、みているこちらも楽しくなります。ってことで久しぶりにギターを取り出して、そこをマスターしようと日々練習中。


それにしても「恋はメレンゲ」って本当にいい曲ですね。詞も曲も。

この曲はバリー・マンとシンシア・ワイルが書いてイーディ・ゴーメが歌った「恋はボサ・ノバ(Blame It On The Bossa Nova)」を、ボサ・ノバ(でもないんだけど)をメレンゲに変えて作ったものというのは有名な話なんですが、でも、実は「恋はボサ・ノバ」のメロディが使われているのは♫たった一度のダンスでロマンスの花が咲く~ のとこだけなんですね。それ以外のAメロ、Bメロは「恋はボサ・ノバ」とは似ても似つかない。

ということで、きっとメレンゲの何かの曲から取ったんだろうと思って、ときどき暇があればYouTubeとかSpotifyでいろいろと聴いては、これも違う、あれも違うとやっています。

で、今日! これを書きながらSpotifyで、全然知らないアーティストのメレンゲのアルバムの曲を聴いていたら、なんと! それらしき曲を見つけたんですね。

それがこの「Compradre Pedro Juan」という曲。演奏しているのはNoro Moralesというプエルトリコのピアニスト兼バンドリーダー。まあ聴いてみてください。



前奏が結構長いんですが、0:23あたりから聴かれるメロディはもろ「恋はメレンゲ」。なので「恋はメレンゲ」がそっくりそのまま歌えます。まちがいないですね。


と、ここまで書いて、はて、誰かこれを見つけている人がいるかとネットで調べたら、一つヒット。う~む、残念。やっぱり見つけている人いましたね。

「Compradre Pedro Juan」という曲はいろんな人が演奏しているので大瀧さんが誰の演奏するのを聴いたかはちょっとわかりません。いろいろ聴いてみたところではThe Cha Cha Rhythm Boysが演奏したものかなと。


ところで「恋はメレンゲ」のとびきり素敵な歌詞は以前にも紹介したように「恋はボサ・ノバ」の歌詞の邦訳からのいただき、いや、あまりにも見事な”本歌取り”です。

♫たった一度のダンスでロマンスの花が咲く~♫ そして「恋はメレンゲ」の元ネタを大発見!!_a0285828_16151420.jpeg

歌詞で一番好きなのはこの部分。”本歌”と比べてみてください。


いつの日か子供達に
二人のロマンス聞かれたら
一緒にきっとこう云うだろう
メレンゲのせいだと

# by hinaseno | 2026-04-03 16:15 | ナイアガラ | Comments(0)