前々回に書いたブログの最後にちらっと載せた写真に写っていたこの雑誌を紹介しておきましょう。

『American Book Jam(アメリカン・ブックジャム)』バックアップ・カンパニー発行。
これは1996年から2006年の間に合計11号まで不定期に出ていた(当初は季刊を予定していたよう)雑誌で、駒沢敏器は「AMERICAN STUDIES 写真をとおしてリアルなアメリカを覗く」というタイトルで創刊号から全号でエッセイを寄稿。一回だけ番外編として漫画『PEANUTS』(スヌーピー!)を取り上げていますが、毎回1冊のアメリカの写真集を紹介しながら、それを通じて彼が学んだことを書いています。
ちなみに創刊号が出たのが1996年12月に出ているということは、ちょうど駒沢敏器が1度目のスモールタウン巡りの旅を終えた少し後ということになりますね。
実は前回紹介した写真集『SMALL TOWN AMERICA』を知ったきっかけはこの雑誌でした。そもそもの始まりは偶然手に入れたこの『THE AMERICAN MOTEL』という写真集。

あれは9年前、2017年のこと(この日のブログに書いています)、久しぶりに立ち寄った古本屋(万歩書店)で、探していた本がなくて帰ろうかなと思ったものの、せっかくなので店内の本をじっくりと見ることにしたんですね。で、写真集のコーナーで見つけたのが『THE AMERICAN MOTEL』でした。タイトルを見て思い浮かべたのは大瀧さんの「Velvet Motel」、そして駒沢敏器の『語るに足る、ささやかな人生』。彼はスモールタウンのモーテルに泊まり続けて旅をしていたのを知っていたので。値段を見たら2000円! この手の本にしては安すぎたのでもちろん即購入。
戻って早速Amazonでこの本をチェック。値段とか出品者(海外ばかり)を見て、よくぞこんな本が岡山のはずれの古本屋でこんなにも安く見つけられたものだなと、我ながらその幸運にほくそ笑んだものでした。そしてその下の方を読んで更なる驚きがあったんですね。それが滅多に読むことはない商品説明の最後に記された駒沢敏器の名前でした。ここから駒沢敏器探しが始まったわけです。
まずは『THE AMERICAN MOTEL』の写真と文章を手がけたMichael Karl Witzelの本を順番に見ていきました。すると…、『The American Diner』『The American Drive-In』『Route 66 Remembered』『The American Gas Station』『Americana: Roadside Memories』などなど、僕好みの本ばかりなんですね。当然のことながら駒沢敏器も読んでいるはずだと思って1冊1冊商品解説をチェックしていきました。でも、予想は外れて1冊も見つからず。次はそういう本をチェックしていると下に出てくるおすすめの本もチェック。やはりなし。う~ん、当てが外れたかと。それ以後もちょっと気になる写真集に目が留まったら商品説明の下の名前を確認し続けましたが、結局出会えずじまい。
今回『語るに足る、ささやかな人生』が復刻されることがわかったときに、再び駒沢敏器探しが再燃して、何か手掛かりはないかと調べたのがこちらにあがっている「駒沢敏器著作リスト」でした。もちろんこれは以前から何度も見ていて、そのときどきで必要な本を手に入れていたわけですが、今回、目に留めたのが『American Book Jam』という雑誌だったんですね。掲載タイトルは「写真をとおしてリアルなアメリカを覗く」。
で、ネットでこの雑誌を調べたら目次を確認できるものが1冊あって、そこに書かれていたのが『THE AMERICAN MOTEL』でした。そうか、もしかしたら駒沢敏器の商品解説はもともとはこの雑誌に書いたものだったかもしれないぞと。ということで多少苦労したものの全部手に入れたわけです。
せっかくなので各号で駒沢敏器が紹介していた本を写真と発行年を添えて並べておきます。
創刊号(1996年12月発行)
AMERICAN STUDIES① JUKE POINT BY Birney Imes(1990)

第2号(1997年4月発行)
AMERICAN STUDIES② THE AMERICAN DRIVE-IN by Michael Karl Witzel(1994)

第3号(1997年10月発行)
AMERICAN STUDIES③ SMALL TOWN AMERICA by David Plowden(1994)

第4号(1998年6月発行)
AMERICAN STUDIES④ Scared Space by Tom Rankin(1993)

第5号(1998年12月発行)
AMERICAN STUDIES⑤ WHISPER PINES by Birney Imes(1994)

第6号(1999年6月発行)
AMERICAN STUDIES⑥ HAWAIIAN COUNTRY TABLES by Kaui Philpottts(1998)

第7号(1999年11月発行)
AMERICAN STUDIES⑦ ON THIS SITE by Joel Sternfeld(1996)

第8号(2000年5月発行)
AMERICAN STUDIES番外編 A PEANUTS BOOK featuring SNOOPY 3(1990)&7(1991)&16(1996)

第9号(2001年9月発行)
AMERICAN STUDIES⑧ THE AMERICAN MOTEL by Michael Karl Witzel(2000)

第10号(2004年3月発行)
AMERICAN STUDIES⑨ STRANGER PASSING by Joel Sternfeld(2001)

第11号(2006年8月発行)
AMERICAN STUDIES⑩ Uncommon Places: 50 Unpublished Photographs 1973-1978 by Stephen Shore(2006)

いや~、表紙を見ただけでも全部ほしくなってしまいます。でも、もちろんすべて廃刊になっているので、1冊1万、いや2万をくだらないものばかり…。
ところで本の出版年を見ると、駒沢敏器がアメリカのスモールタウンを旅する前に見ていたはずの写真集は7号までで紹介されたものですね。『THE AMERICAN MOTEL』は2000年発行なので、2度の旅を終えたあとに手に入たことがわかります(雑誌に掲載された写真の中に僕が以前ブログで貼ったのと同じものがありました!)。
ちなみに著者のMichael Karl Witzelの写真集は、第2号で『THE AMERICAN DRIVE-IN』も取り上げていますね。やはり駒沢もお気に入りの写真家でした。
で、もちろん駒沢敏器探し。Amazonでそれぞれの写真集の商品説明をひとつずつ調べていきました。最初は全部の本で駒沢敏器の名前を発見できるのではと期待してたんですが、期待は失望の母。結局、雑誌で彼が紹介していた10冊の写真集で『THE AMERICAN MOTEL』以外に駒沢敏器の名前を発見できたのはたった1冊だけで、それが『SMALL TOWN AMERICA』だったんですね。
もうひとつ意外だったのはAMERICAN STUDIESで書いていたコラムとAmazonの商品説明は2冊ともまったくといっていいくらいに別の内容になっていたことでした。まあ、『American Book Jam』での『SMALL TOWN AMERICA』ははっきりいえば本の話は全然出てこないので、とてもではないけど商品説明に使うわけにはいきません。でも、そこで書かれている話はまさに僕が読んでみたいものだったんですね。
実は前々回に引用したこの文章はまさにそれの最初に書かれていたものでした。
「この2年間くらい、僕はアメリカのスモールタウンを旅行している。昨年は、マンハッタンから車を運転して、北部を縦断するようなかなちで10箇所のスモールタウンに立ち寄ってシアトルに抜けた。都会にはいちども寄らなかった」
もちろんこの後に出てくる話も興味深いものばかりだったんですが、それはまた次回に。








