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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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今日の話は、この写真に写っているものに関して。

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先日、姫路のおひさまゆうびん舎に久しぶりに行ってきました。いつものようにいろんなものを買ったり頂いたり。写真に写っているピンポンズさん関係のものはいずれも取り置きをお願いしていたもの。CDや冊子には先日ピンポンズさんがおひさまにやって来たときにサイン(&イラスト)してくれていました。


とりあえずまず初めに太田裕美さん関連のもののことを(これはおひさまゆうびん舎で手に入れたものではありません)。実は左の本はピンポンズさんと、その間の小さな雑誌と関係があるんですね。それを知っているのはたぶんピンポンズさんだけ。


今年の春、調べたら4月26日にNHKで「名盤ドキュメント 太田裕美『心が風邪をひいた日』木綿のハンカチーフ誕生の秘密」が放送されたことは確かこのブログでも書いたはず。1曲を除いて作詞は全て松本隆さん。先日紫綬褒章を受賞した松本隆さんの書いた詞で何か1曲となるとやはり太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」ということになるんですが、しばらくの間作詞の仕事から遠のいていた松本さんが近年活動を再開したのに呼応するように松本隆さんが作詞した太田裕美さんの曲が再評価される機運が高まってきて、まさにそんな中でこの番組が放送されたんですね。

番組のインパクトは想像以上に大きくて、これが放送される前あたりから太田裕美さん関連のものは軒並み高騰。番組で取り上げられた『心が風邪をひいた日』のLPはヤフオクですごいことになっていました。

僕はもちろん『心が風邪をひいた日』のLPを持っていたのですが、CDを買った時に手放してしまっていて(というか手放していたことに気がついて)どうにかこのLPを手に入れたいと、あちこち探す日々がしばらく続きました。

と同時に探していたのがその隣の『太田裕美白書』という本。帯に「そろそろ、太田裕美の再評価が出てきてもいいよね。歴史に残る歌が何曲もあるんだから」という松本隆さんの言葉があって、まさに、今その時がやってきたなという感じだったんですが、この本が発売されたのは2000年。松本さんの予言からは17年の歳月が流れていました。


この本のことは番組が放送される前日に、松本さんがツイッターでこの番組の告知をするツイートを流していた時、その流れでリツイートされていたものの中にありました。

この本に載っている松本隆さんのインタビューもぜひ読んでみたいと思って調べたんですが、こちらはすでに僕が古本を買う基準にしている上限を超えていました。でも、放送前日のその日に買っておけば、まだよかったのかもしれません。放送後はその本の価格は一気に高騰。いまだに高値がついたまま。


レコードはかなり早い段階でうまく見つけましたが、本の方は昨日ようやくゲットしました。ってことで昨日はレコードを聴きながら『太田裕美白書』を少し読みました。


さて、テレビで太田裕美さんの特集が放送されてから数日後、世田谷ピンポンズさんが、まさにその『太田裕美白書』の写真を添えてこんなツイートをしていたんですね。


昼間は不忍ブックストリート一箱古本市をふらつきました。見かけるたび、いつかは欲しいと思っていた「太田裕美白書」を山川直人さんが出されていたので、買わせていただきました。

びっくりでした。調べたらその前日にその山川直人さんがこんなツイートをしていたのがわかりました。


明日の販売物はこんな感じ。音楽関係の本です。
世界で最初の本格的評伝だったA.スカデュト『ボブ・ディラン』ほか、『トム・ウェイツ 素面の、酔いどれ天使』、あがた森魚詩集『モリオ・アガタ19721989』、売るのが惜しい『太田裕美白書』など。

山川直人さんは上の写真の真ん中にある『雲遊天下』という雑誌の表紙の漫画を描いている人。この雑誌で山川さんは「音楽と詩と珈琲」という連載をされています。で、この号に収録された作品のタイトルはなんと「風のたより」。原作はもちろん小山清の「風の便り」。あの「風の便り」です。「便り」がひらがなになっているのはこの原作を元にして作られた世田谷ピンポンズさんの「かぜのたより」の歌詞も下敷きにしているからでしょうね。

ということでこの漫画の主人公は世田谷ピンポンズにそっくり。

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ところでこの曲は(著作権のこともあるために一般に売られているCDには収録されておらず)姫路のおひさまゆうびん舎限定で歌われているはずだけど、山川さんはどこで聞かれたんでしょうか。もしかしたらおひさまゆうびん舎のイベントの時に配られたCDを持っているのかもしれませんね。ちなみにそのCDの1曲目は木山捷平の「船場川」。山川さんにはぜひこっちの作品も漫画にしてほしいです。まあ、木山さんは会いたかった人のところでは珈琲ではなく酒ばっかり飲んでたみたいですが。


さて、そのピンポンズさんのデビュー5周年記念のライブの時に配られたのが『世田谷ピンポンズの世界』という冊子。この冊子を作られたのはもちろんwacaさんなんですが、これが本当に素晴らしい。

例えばこのページ。

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たぶんピンポンズさんの部屋で撮ったはずですが、後ろの本棚に並べられている本のすごいこと。

上段には上林暁の単行本がずらり。真ん中の段の文庫本を見ると木山捷平の講談社文芸文庫(もちろん『木山捷平全詩集』も)や絶版になっている旺文社文庫がずらっと並んでいて、横には小山清や小沼丹もあります。文庫本の後ろには尾崎一雄の単行本が並んでいるようです。で、下の段には野呂邦暢も何冊か。映画『森崎書店の日々』にも映った『愛についてのデッサン』もあります(こちらはみすず書房で復刊されたもののよう)。たまらないですね。

それから興味深かったのはピンポンズさんの手帳を写したページ。こんな言葉が書かれていました。


私の趣味は、古本屋巡りと喫茶店巡り。
古本屋を巡って、買った本を喫茶店で読むのが特に好きである。
常に鞄には二、三冊の本を入れていて、一冊読み終わったら手帳に小さい字でちまちまと記録している。

というわけでそのページに写っているページには2015年から2017年にかけて読んだ本のタイトルが小さな字でびっしりと。すごい読書量。永井荷風の『濹東綺譚』もあってびっくり。


それから読んだ本だけでなく、行った本屋や喫茶店のリストも。喫茶店の名前には曲のタイトルになっているのもいくつか。ルノアール、トロアシャンプル、ボンボン。姫路や神戸という僕に縁のある街の喫茶店は知らないところばかり。姫路で行ったことがあるのはケンジントンだけ。

そういえばこの日同時に買ったピンポンズさんのニューシングル『机の傷を髪の毛と間違えて』(今、それを聴きながら書いています)の1曲目に収められているのが「翡翠にて」という作品なんですが、その翡翠というのも京都にある喫茶店。

2曲目の「青春やつれ」に「浴衣の君は」という言葉がでてきて思わず吉田拓郎の「旅の宿」を思い浮かべますが、『世田谷ピンポンズの世界』の冊子の中には吉田拓郎があちこちに散りばめられています。

その「青春やつれ」にはこんな歌詞が。


「自分なくしの長い長い旅の途中」

いい言葉です。

僕の大嫌いな言葉に「自分探しの旅」というのがあって、それを聞くたびに意味わからんわと、ちょっと腹が立ったりもしてるんですが、「自分なくしの長い長い旅」というのはすごく共感できます。

他の作品にも心に残る言葉がいくつも。


このピンポンズさんの『机の傷を髪の毛と間違えて』も『世田谷ピンポンズの世界』も『雲遊天下』も姫路のおひさまゆうびん舎で売っています。

そういえば、ピンポンズさん、今日、姫路に来てライブをやるんですね。ライブの後、おひさまゆうびん舎に立ち寄られるという情報も。

行きたいなあ~。でも、行けない。


行きたいなあ~といえば、昨日、神戸の僕がよく通ってたジャズ喫茶でも(ピンポンズさんの手帳には書かれていなかったけど、福岡に同じ名前の喫茶店がありました。チェーン店ではないからたまたまですね)ちょっとしたイベントがありました。すごく行きたかったけど残念ながら行けませんでした。

そのイベントをした人が先日、こんな写真とともに僕との「縁」のことをネットに書いていたんですね。でも、それが僕のことだとわかっているのは僕だけ。

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何百人もの人がそれがだれだろうと考えながら読んでいたのかなと思うと、なんだか面映くなってしまいました。

このあたりのことについて次回は書いてみようと思います。今、この人が焼いた珈琲豆を挽いて珈琲を飲んでいます。


ちなみにこれは以前その人が夏に投稿していた写真。写っているLPはもちろん...。

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# by hinaseno | 2017-11-05 13:55 | 雑記 | Comments(0)

Little Dancing Bird


昨日はドジャースがワールドシリーズを制覇することを想定して文章を書いていたんですが、結局負けてしまったので、書く気力をなくしてしまいました。時間もなくなったんだけど。

でもうれしいニュースがいくつかありました。ひとつは超ド級のニュース。今は毎日、贈り物のことを考えているのですが、その僕(だけではないけど)にとんでもない贈り物が届けられることになったんですね。

これです。

発売日は来年の3月21日。もちろんナイアガラ・デイです。


今年、このブログでシリア・ポールの「夢で逢えたら」の40周年記念盤が発売されることを願う文章を何度も書いてきましたが、まさかそれがこんな形で実現するとは思いませんでした。未発表音源の中にある「CM音源」というのはまちがいなくこの日書いた資生堂「香り’77」のはず。それから僕が5月にたまたまその前を通ったあの音響ハウスでマスタリングされた「ONKYO HAUS Master」を11曲も収録。願いが全てかなった感じで気持ちが悪いです。もしかしたら企画関係者の方、このブログ読んでくれているのかな。この日書いたようにアゲインでの石川さんの「マスターの自由自在」で関口さんが語られたことから、シリア・ポールに関する何らかの動きがありそうな”うれしい予感”はしていたのですが、やはりそうでした。ああ、楽しみすぎる。


うれしい話といえばもうひとつ、昨日、作詞家の松本隆さんが紫綬褒章を受賞されました。テレビ(「報道ステーション」)を見ていたら、ほんの数十秒のインタビュー・シーンでしたがなんと松本さん、大瀧さんのことを語っていました。字幕にももちろん「大滝詠一」の文字。

ああ、神戸で会いたかったな。いつか会えるかな、神戸で。


神戸といえば、宮治さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』の次に読んだのは(こちらは”小さな本”なので一気に読み終えました)ミシマ社創業十周年記念企画として出版された吉田篤弘さんの『京都で考えた』という本ですが、この中で最後の方で神戸のことがほんの少しだけ出てきました。


ここで、話はいきなり神戸に飛ぶーー。

と。

おっとなりますね。吉田篤弘さんといえば作家としても、そして何よりクラフト・エヴィング商會という肩書きでされている装幀家として大好きな人。きっかけは『おかしな本棚』。この本を読んでいたら神戸の海文堂書店のことが出てきてとにかくびっくりしました。吉田さんは神戸が好きで海文堂にも何度も立ち寄っていたんですね。その本を読んだ後、すぐに海文堂に行って吉田篤弘さんやクラフト・エヴィング商會の本をまとめ買いしました。

さて、『京都で考えた』に出てきた神戸の話はこう続きます。


 海側の「旧居留地」と呼ばれるエリアを歩いているとき、「すぐそこの遠い場所」というフレーズを思いついた。

「すぐそこの遠い場所」というのはクラフト・エヴィング商會名義で書かれた本のタイトル。その本もたぶん海文堂で買ったはず。

考えてみたら「すぐそこの遠い場所」といえばこのブログのタイトルである「Nearest Faraway Place」そのままですね。今頃になって気づきました。僕はビーチ・ボーイズの曲のタイトルからとったんですが縁とは不思議なものです。


不思議な縁とか偶然といえばポール・オースター。そのポール・オースターが編集した『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』に収録された「数学的媚薬」の余波はいまだに続いているようで、昨日も前々回に書いたものへのアクセスがいっぱいありました。さっきググってみたら、まだ前々回に書いたものがトップになっていますね。

読まれた人はこれを縁だと思ってぜひ宮治さんの本や『くまくまちゃん』も買ってみてください。いずれも「数学的媚薬」に負けないくらい素敵な話がいっぱいです。


そういえば『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』がらみの話をひとつ思い出しました。

『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』というのは本当に優れた企画で、集まってきたものが本当に素晴らしい話ばかりだったので、それに触発されて僕の敬愛する内田樹先生と高橋源一郎さんが日本版『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』を何年か前に企画したんですね。調べたら2010年3月8日の内田先生のブログに書かれていました。

でも、募集を締め切った頃に内田先生がブログに書いていたように思いますが、正直、あまり面白い話は集まらなかったんですね。募集された作品はのちに『嘘みたいな本当の話』と題された本になって、僕もぱらぱらと立ち読みしましたが、ポール・オースターが編集した『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』とは作品の質が違いすぎました。


実は僕もそれに応募しようと思って書きかけた話があったんですね。でも、その話、知り合いにしてみたら「ふ~ん」で終わってしまったので、結局応募しませんでした。

こんな話。2010年時点での話として書きます。もちろん事実。タイトルは「Little Dancing Bird」。


  *  *  *


今から10年あまり前の1998年の秋のこと。それまで10年近く仕事(小さな学習塾)をやっていたテナントビルの大家さんから、1年後に建物を取り壊すことになったので来年の夏くらいまでには出て行ってほしいと言われました。びっくりはしましたが、ちょうどその少し前にプライベートでかなりきつい出来事があったので、これを機会にこの地を去ろうかと思いました。でも冷静になって考えると、ずっと見てきた何人もの子供たちを見捨てるような形にするわけにもいかない。とはいえ、すぐ近くに手頃な場所が見つかりそうにもありませんでした。

年が変わって1月も終わり、いろいろな判断をするにはぎりぎりの時期になってきたある日、いつも通っていた道が工事のために通れなくなっていたので、仕方なく今まで通ったことのない小さな道に入りました。そして、その道からやや広い道に出ようとしてブレーキを踏んで一時停止したとき、一羽の小鳥が飛んできて車のボンネットの窓のすぐ近くのあたりに止まりました。一時停止しているとはいえ、車のボンネットに鳥が止まるというのは初めての経験でした。

すぐに飛び去るだろうと見ていたら、その小鳥は目の前で踊っているとしか思えないような動きを始めました。まるで何かを伝えようとするかのように。僕はブレーキを踏んだまましばらく(といってもおそらく10秒くらいのことだったかもしれないぇど)それを眺めていました。

ようやく小鳥は飛び去って車を発進させようとしたら、その小鳥はすぐ近くの建物の屋根のあたりに止まって、やはりこちらに合図を送るような動きを始めました。ふとその建物の壁を見ると、そこにはテナント募集の看板が。

こんな近くにテナントを募集しているところがあったとは思いもよりませんでした。管理会社に連絡して中を見せてもらったら理想的なサイズの建物。家賃も理想的。すぐに契約しました。

それから約10年、僕はその場所で仕事を続けています。


  *  *  *


「ふ~ん」

と、どこからかそんな声が聞こえてきそう。

「ふ~ん」ついでの話を今付け加えるならば、その建物の面していた道はかなり広い道なのにそれまで通ったことがなかったのには理由がありました。その道はずっと行き止まりの状態になっていたんですね。

あとでわかったことですが行き止まりになっていた場所には川が流れていました。僕がその建物を見つけたのは、その川に橋が作られて道が開通して間もない時期だったようです。

その川の名前は、船場川。


ところで内田先生がブログで作品を募集したときのものを確認したら最後にこんなことが書かれていました。


連盟(「甲南麻雀連盟」のこと)参与の平川くんはすでに「オレもう書いちゃったよ」と言ってくれております。

平川さんの話、本に載っているのかな。今度本屋に行って確認してみなくては。

ちなみに「Little Dancing Bird」というのはシェルビー・フリントのこの「Little Dancing Doll」という曲にかけています。曲を書いたのはバリー・デヴォーゾン。そういえば僕が宮治さんが書かれたものでとりわけ好きなのは「バリー・デヴォーゾンと語った午後」でした。




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# by hinaseno | 2017-11-03 11:57 | 雑記 | Comments(0)

海辺の小さな町の物語




僕には大好きな「海街」が3つあります。
牛窓、神戸、そして尾道。
もしも鎌倉に行けばきっと大好きな「海街」のひとつに加わることはまちがいありません。行っていないけれどもきっと好きになるはずの海街といえば…


なんてことを書いていたのは昨年の春のことでした。昨年は尾道に3回くらい行ったんですね。神戸は暮れに1回。松本隆さん関連のイベントに行ったんですが、例によってハックルベリーという中古レコード店に行き、そしてM&Mというジャズ喫茶へと足を運びました。本当は海文堂にも立ち寄るというのが10年近く続いたおきまりのルート。でも、今はもうなくなってしまったのでそのかわりに1003という素敵な書店に行きました。神戸とはいっても本当に好きなのは元町近辺のほんの限られた辺り。神戸という大きな街の中にある小さな町です。


さて、行けばきっと大好きな「海街」のひとつになるなるにちがいない茅ヶ崎という海辺の小さな町を舞台にした宮治淳一さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』をようやく(あっという間だったけど)読み終えました。

こんなにワクワクしながら本を読んだのは久しぶり。8章から最終章にかけてはたまらない話のオンパレード。茅ヶ崎には(たぶん)縁はないはずだけど大瀧さんの名前も何度か登場します。


ところでこの本の副題は「MY LITTLE HOMETOWN」。実は僕はずっと「MY LITTLE TOWN」と記載していました。宮治さん、すみませんでした。「Small town」や「Little Town」という言葉が好きで、つい宮治さんにとっては大切な「Home」を外してしまいました。

外すといえばこの本、カバーを外したら結構おしゃれなんですね。

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バート・ゴールドブラットがデザインしたレコードのジャケットのような雰囲気があります。写真に写っているのは茅ヶ崎のシンボルともいうべき烏帽子岩。烏帽子岩のことも最後の最後に出てきました。「烏帽子岩は、ただの岩ではない」というタイトルで人類学者の中沢新一さんが登場して(映画に出演されているようです)、「海民」の話まで出てきたのには驚きました。

で、巻末に載っていたのが茅ヶ崎の地図。副題の通り茅ヶ崎って本当に小さな町なんですね。小津のいた茅ヶ崎館と上原謙、加山雄三親子が暮らしていた家は目と鼻の先。その中間あたりにはこの作品において重要な建物でもある「ブレッド&バター」というカフェがあって、そこで南佳孝がライブをしたのを宮治さんが見に行ったらアンコールでランディ・ニューマンの「セイル・アウェイ」を歌ったとか、桑田佳祐がここで生放送でラジオ番組をしたとか、すごい話ばかり。

それから茅ヶ崎駅のすぐそばには大瀧さんと高田渡をつないだ添田唖蝉坊の家もあったというのもびっくりでした。やはり茅ヶ崎という土地の何かの力があるとしか思えないですね。


ところで「縁」の話をしたらきりがない小津の『早春』にも茅ヶ崎が出てきます。池部良と岸恵子が接近するきっかけとなったピクニックのシーンがここで撮影されているんですね。

これはそのロケの時の写真。

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すごい格好でカメラを覗いているのが小津監督です。ここはいったい茅ヶ崎のどのあたりになるんだろう。茅ヶ崎についてもいろいろと調べたくなりました。いや、なによりも今すぐにでも行ってみたい。もちろん宮治さんのブランディンに。


とはいっても茅ヶ崎まで行くのはやはり大変。

でも、茅ヶ崎とは別の海辺の小さな町に、今月行く予定にしています。きっかけはやはり「縁」。その町も行ったらきっと大好きになるでしょうね。


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# by hinaseno | 2017-11-01 15:12 | 音楽 | Comments(0)

相変わらず「数学的媚薬」の余波は続いているようで、このブログへのいつもとは違う量のアクセスが続いています。今朝「数学的媚薬」をGoogleで検索してみたら前回書いた話がトップに上がっていました。やはりあの物語、かなりのインパクトがあったようです。

「数学的媚薬」を読み直して(テレビを見て)思ったことですが、贈与という行為にはどんなささやかなことであってもいいから物語が入り込んだほうが素敵だな、と。贈与したものの価値とは別に。

それから「縁」があるというのは友愛数のような関係なのかなと考えたりもしました。いや、でもよく考えたら意外に友愛数は公約数が少ないなとか(たとえば220と284であれば公約数は1と2と4のたった3つ)、いや、それでも公約数の数だけの問題ではないかとか、相変わらず縁というものの不思議さのことを思ってしまいました。


それはさておき「数学的媚薬」で検索して前回書いた僕の文章にアクセスした人のうちで、そのあとに書かれた「ポプラ社」から出版された宮治淳一さんの『MY LITTLE TOWN 茅ヶ崎音楽物語』と高橋和枝さんの『コーヒータイム』の話まで読んでくれた人がどれだけいるでしょうか。アクセスした人の10分の1くらいのひとでもいいから最後まで読んでくれて、そのうちの数人でも『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』や『コーヒータイム』に興味を持って、そして一人でもいいから本を手に取ってくれたらうれしいんだけど。あっ、ただ、高橋さんの『コーヒータイム』は今、絶版になっていますね。「ポプラ社」の方、ぜひ再版してください。ぜひぜひ。


ところで昨日は休みだったので宮治淳一さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』をかなり読み進めました。宮治さんの同級生である桑田佳祐さんの話は最後の10章だけではなく7章から登場。このブログにはもしかしたら全く書いていないかもしれないけど、僕はかなり熱心なサザンのファンだったので、やっぱり桑田さんの話が出てくるとワクワクします。茅ヶ崎という地名を知ったのも最後の章のタイトルにもなっている「茅ヶ崎に背を向けて」という曲がきっかけでした。烏帽子岩を知ったのもやはりサザン。いや、江ノ電も、鎌倉も…。

そんなサザンの桑田さんと宮治さんが、間に一人おいていっしょに写っている中3のときのクラス写真にはちょっと興奮しました。桑田さん、今とちっとも変わっていない。ぜひ本を手に取って見てください。


ところで昨日読んだ部分で、あっと驚くようなことが書かれていて腰が抜けそうになりました。以前、小津の日記を読んでいたときにひっかかって、いろいろと調べたけど結局手がかりがつかめなかったものがこんなところに、しかも驚くような形で書かれていたとは。

その驚きのことが書かれていたのは第六章の尾崎紀世彦の章。

尾崎紀世彦が茅ヶ崎と関わりが深い人であることは知りませんでした。「加山がデビュー当時から海の町・茅ヶ崎出身というイメージを前面に押し出していたことに比べて、尾崎紀世彦からは茅ヶ崎の匂いがまるでしなかった」と宮治さんが書いている通り、あの野生的なイメージから茅ヶ崎にむすびつくものは一切感じられません。その尾崎紀世彦が「また逢う日まで」でレコード大賞を受賞する話のところに”それ”が書かれていました。

ちなみに僕が「レコード大賞」というものを初めて意識して見たのがこの尾崎紀世彦のとき。「また逢う日まで」はレコードを持っていたので、尾崎紀世彦が絶対にレコード大賞を取ると思ってテレビを見ていました。で、決まったときには「やったー!」と叫んだ記憶があります。後にも先にもレコード大賞で興奮したのはあのときだけ。

さて、そのときの場面を宮治さんはこう書いています。


…尾崎紀世彦がステージに上がると、水原弘、松尾和子、フランク永井ら歴代の大賞受賞者が拍手で迎えた。
そこにサプライズ・ゲストで尾崎の母親が現れ、高橋圭三が「残念ながらお父さんは一年ほど前に亡くなりここには来られません……」と述べ、花束を抱えていた男性の姿がアップで映った。そのとき、それまで黙って見ていた私の母親が驚きの声を上げた。
「あれ? 肉屋のオジさんだ!」
 尾崎が中学時代にアルバイトで手伝っていた肉屋の店主が、亡父に代わってお祝いに駆けつけた、という構図だった。
 尾崎が茅ヶ崎育ちだということはその年の春「また逢う日まで」が流行り出したころからは知っていたが、この肉屋のオジさんの登場で確信に変わった。父と母は結婚してから数年間、肉屋のすぐそばにあった岡村書店の離れを間借りしていて、その店でよく肉を買っていたのだった。

驚いたのはここに出てくる「岡村書店」。「岡村書店」についてはこの日この日のブログにかなり書いています。小津がちょうど『早春』の脚本の執筆を始めた頃の日記に岡村書店が何度も登場してくるんですね。最初はおそらく映画がらみの本の相談をしていたようですが、いつのまにか一緒に食事をしたり酒を飲んだりする関係になっているんですね。昭和30年(1955)の5月から6月にかけてはほぼ毎日会っています。ただ、小津のお目当はどうやらその店主と一緒に来ていた山下左登子という名の女性だったよう。でも、岡村書店についても山下左登子という女性のことも調べても何も出てきませんでした。


その岡村書店が茅ヶ崎にあって、そこの離れに宮治さんのご両親が結婚してから数年間住んでいたとは。

ちなみに宮治さんが生まれたのはまさに小津が岡村書店に何度もやってきていた昭和30年。宮治さんが生まれたときにはご両親は別の場所に移られていたのかもしれませんが、でも偶然にしてはすごすぎますね。

ご両親のアルバムの中に岡村書店の写真があるのかな。もしかしたら山下左登子という女性のこともご存知かもしれません。


こんなふうにしてある日、思いもよらぬ形で「南畝町228」の謎を知る機会がやってくるのかもしれません。


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# by hinaseno | 2017-10-31 14:02 | 雑記 | Comments(0)

この日のブログ、一昨日の夜から昨日にかけてかなりの数のアクセスが続いていました。今日もまだ続いているかな。

先日紹介した「数学的媚薬」が朗読される『この声をきみに』が一昨日の夜に放送されたんですね。放送後、「数学的媚薬」のことがSNSでかなり評判になって、ドラマを見ていない人がそれを調べようとして僕のブログにたどり着いたようです。一時はGoogleで「数学的媚薬」を検索したら2番目くらいに僕のブログが入っていました。


それはさておき、やはり気になったのでそのドラマを見ました。主演は竹野内豊さん。朗読だけかと思ったら、途中からドラマ仕立てになっていました。

実はあの話は男性同士の同性愛を扱ったものなんですが、読み始めたときにはそれに気づかないんですね。「愛」でまとめられた物語に入っているので、まあやっぱり男女の恋愛と思い込んで読みますよね。でも、途中から、なんだかおかしな感じになって(例えば交際相手の「ジョン」がセーターを編んでいて、語り手が自分を「僕」と呼んでいる)、ようやく同性愛の話と気づく。でも、ドラマだと始めから男同士が登場しているので、ちょっと面白みに欠けるかな。本とテレビの大きな違いですね。


僕が「数学的媚薬」に惹かれたのはなんといっても小川洋子さんの『博士の愛した数式』で知った友愛数(親和数)を使った素敵な物語だったから。ドラマを見ていておっと思ったのは、物語には書かれていない「220」と「284」の友愛数(親和数)が説明されていたこのシーン。

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220と284といえばこの日書いた文章。タイトルは「228と288」。とはいっても228と288は友愛数ではありません。228と288の、その数を除いた約数の合計はそれぞれ332と531です。

228と288というのは木山捷平が姫路にいたときに、いくつかの資料に残されていた南畝町の番地ですね。この2つの番地の謎を解明しようと思った大きな理由は、それが僕の大好きな友愛数の組み合わせ220と284にとてもよく似た数字だったということもあるんですね。僕という人間はそういうささいなことで縁を感じて動かされてしまいます。

ただ、この文章を書いたときには、まだどちらの番地のことも解明できていなくて、あの近辺をぶらぶらと歩き回っていた頃でした。

ああ、なつかしい。

そういえば288は解明できたけど228については大きな壁にぶち当たったままです。「壁」のことについては言えないけど。


ところで「縁」といえば宮治淳一さんの『MY LITTLE TOWN 茅ヶ崎音楽物語』はアッと驚く話ばかり。いや、とにかくすごい。一番気になるのは最終章の桑田佳祐に関する話なんですが、それ以前にも興味深い話だらけ。


昨日読んだのは第3章の喜多嶋修さんの話。喜多嶋修さんは加山雄三さんの従兄弟で、加山さんのバックバンドであるランチャーズの主要メンバーだったようですが、僕はこの人のことを知りませんでした。なんとこの人、僕が子供の頃にちょっとあこがれていた内藤洋子(『ひよっこ』に彼女のことが出てきたらしいですね)と結婚した人だったとは。彼女が突然結婚して引退したのは子供心にびっくりした記憶があります。


その喜多嶋修さんの話の中に吉野金次さんが登場してきた時には、思わず、おおっ、となってしまいました。吉野金次さんといえばエンジニアとして有名な人で、大瀧さんともはっぴいえんど時代から関わっていて、佐野元春さんの初期のアルバムのエンジニアもしていました。その吉野さんが「うら若き見習いのエンジニア」として登場するんですね。本では大瀧さんは出てこないけど細野晴臣さんが出てきます。へえ~、という話ばかり。

なんだかしばらくこの本の話をしてしまいそうです。


そういえば前回書き忘れたんですが、その宮治さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』の出版社はなんとポプラ社。ちょっと驚き。

ポプラ社といえばなんといっても高橋和枝さんの『くまくまちゃん』シリーズを出している出版社。どちらかといえば絵本や子供向けの本を出版している会社だと思っていたんですが、そうではなかったんですね。

高橋さんはそのポプラ社から『コーヒータイム』という素敵な本も出されています。こちらは大人の絵本ですね。この本に絡めてコーヒーの話もしたいんだけど、思い通りに書けない状態が続いています。

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# by hinaseno | 2017-10-29 12:40 | 雑記 | Comments(0)