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by hinaseno
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カテゴリ:ナイアガラ( 287 )


縁側ってのは縁


相変わらず暇を見つけて(見つけなくても)、大瀧さんが出演したラジオ番組をいろいろと聞いています。車の中ではずっと「ゴー!ゴー!ナイアガラ」。家ではいろいろ。

昨日から聞いていたのは1997年1月5日放送の新春放談。この新春放談でおっと思ったのは「築地の路地裏」という言葉がたとえ話として出てきたこと。大瀧さんが1996年6月に始めたインターネットのサイト「アミーゴ・ガレージ(Ami-go Gara-ge)」のあり方について達郎さんが「築地の路地裏」というたとえを使ったんですね。こんなやりとり。


山下:いいじゃないですか。築地の路地裏の、なんか一杯飯屋みたいで。
大瀧:(笑)だからそれを目指したわけ。そういうのってさぁ、私の得意のパターンだけど“聖地はスラム化する”というナイアガラ語録があってね。そういう路地裏のようなものを守るってのは、もう今や意図的にやるのは非常に難しい。

大瀧さんはこの「築地の路地裏」のたとえがいたく気に入ったようで、このあとご自身も何度も使っているのですが、このまさに10年後にその「築地の路地裏」を実際にしらみつぶしに歩かれたことを考えると、なんとも面白いですね。大瀧さんにとってはこういう達郎さんの口からぽっと出たような言葉も「縁」のひとつになっていたんだろうと思います。

「縁」といえば、「路地裏」の例えの流れで、「最近”縁側文化”ということを言ってるんだ」と話されたんで、何のことだろうと思って調べたら『インターネット・マニア』という雑誌の1996年11月号のインタビューでそれを語っていました。タイトルは「アミーゴ・ガレージは”縁側文化”を目指す」。『大瀧詠一 Writing & Talking』に収録されていました。


「縁ていうのが好きでね、昔から。縁があるかないかで全部決めてるんですよ、世の中。縁てのはなかなかに面白い言葉で。”アミーゴ・ガレージ”やってて最近気に入ってるのは、“縁側”という言葉。縁の側。そのぉ、中に入らないんですよ、お客さんは。庭を通るときに、縁側に寄ってお茶を出される。旅人ならばまあその縁側へいったん座って、お茶を出されて何時間かの話をして通り過ぎていくと。縁側ってのは縁なんですね」


「縁を作る、契りを結ぶ場なんだろうね。縁があるかないかを、縁側で判断する。そこで家の中に入る人もいれば、縁側に座るだけの人もいる、縁側を見ながらそのまま素通りする人もいれば、庭先のはるか遠くを通って行く人もいる……。これがなかなかに人生かな、と思う。で、まさに、この”アミーゴ・ガレージ”は縁側だな、と思うんだよ」


「来る旅人の心構えで出口も違うと、ね。その”縁側”で縁が結べるかどうかというようなまさに”縁側文化”みたいなところまでインターネットも進んで、使えたらね、これはもう人間の勝利だと思うけど」

その大瀧さんのアミーゴ・ガレージも熱心に更新されていたのは2、3年だったでしょうか。で、ある日、ばっさりと全て消されたんですね。

ちなみに僕がインターネットを始めたのは1998年7月。”アミーゴ・ガレージ”は後追いで見ていましたがあまりにも情報が膨大で全部を消化できない状態でいたら、ある日突然消えていたんです。

泣きました。

縁がなかったんだと言われれば、それまでなんだけど。


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by hinaseno | 2017-06-27 12:15 | ナイアガラ | Comments(0)

東京行きの準備が一段落したときに、ふと、あるきっかけで(内緒)『大瀧詠一Writing & Talking』に収められた「Eiichi Ohtaki: Return of the Giant」と題された渋谷陽一インタビュー(『ロッキング・オン・ジャパン』1987年4月号掲載)を久しぶりに読み返しました。このインタビューは渋谷さんの遠慮のない(遠慮なさすぎ)質問のおかげで、大瀧さんの興味深い発言をいくつも引き出しています。

中でもオッと思える話があったので東京行きの前に急遽書くことにしました。戻ってからはきっと書けないだろうと思ったので。


先月末に、おひさまゆうびん舎で行われた益田ミリさんの『今日の人生』を語り合うイベントのために作ったCDで、「今日」の曲と「人生」の曲を7曲ずつ入れたのですが、それについてこんなことを書きました。


「今日(today)」の中には「今日」という言葉のついた日本人の曲を2曲いれましたが、「人生(life)」のほうは「人生」という言葉のついた日本人の曲は1曲も入れていません。ちょっと”重い”曲が多いなという判断。ただしバートン・クレーンが日本語で歌った「人生はかない」は入れました。

日本語で「人生」と歌われるものには”重い”曲が多いと。もう少し言えば、「人生」という言葉が曲の中で歌われるときの言葉の響きにちょっと、いや、かなり抵抗があるんですね。でも、不思議なことに外国人であるバートン・クレーンさんが片言の日本語で歌った「人生」という言葉には全然抵抗がない。

で、選曲をしているときに、大瀧さんの曲の中に「人生」と歌っているものがあるんだろうかと考えたんですね。でも、全然浮かばなかったので、きっと1曲もないんだろうと思っていたら、なんとあったんですね。まさに『ロング・バケイション』の中に。B面2曲目に収録された「スピーチ・バルーン」という曲。


動き出した甲板(デッキ)は
君の人生運び去る


と。詞はもちろん松本隆さん。

この「スピーチ・バルーン」の「人生」について大瀧さんがこんなことを語っていました。大瀧さんも相当抵抗があったみたいです。


「スピーチ・バルーン」じゃ、「人生」まで出てくるんだよ。俺もう嫌でさあ。「君の人生」だよ。カンベンしてよって思ったけどね。自分の中のプロデューサー的部分としては、そんなの歌えばいいじゃない、って思ってんだけど、歌手として嫌なの。だから1人でブツブツ言ってんの。でも後で聞くとねえ、ちょっと他の人が歌う「人生」や「お前」とは違うっていう風に自分では思うんだよね。嫌な言葉ほど表現のしかたが上手いんじゃないかと思うんだよ。

ということで改めて「スピーチ・バルーン」のその部分を聴いてみたら、確かに日本語の歌にありがちな”重さ”とか”湿り気”が全くないですね。気がつかないはず。「じんせい」の「せい」にあたりの息の抜き方はさすが、という感じです。


でも、改めて考えてみると、松本さんって大瀧さんが「人生」なんて言葉を嫌いだってことはきっと知っていたはず。そこをあえて入れているんでしょうね。大滝はどう歌うかって。


ところで益田ミリさんの「今日の人生」のタイトルがときどきこんなふうに「人生」という字が白抜きの言葉にされているの気づいてました? ほかにも「の」が白抜きになっていたり「今日」が白抜きになっていたりと、いろんなパターンがあります。

この白抜きの人生にはどんな意味があるんだろう。

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by hinaseno | 2017-05-07 08:00 | ナイアガラ | Comments(0)

昨日は久しぶり(たぶん10年ぶりくらい)に中古レコード市に行ってきました。昔はよく行ってたんですが。

お目当てはといえば、もちろん昨日紹介したケニー・カレンの「夢見る16歳」とリトル・エヴァの「「ガヤガヤ・ノロノロ・ヨチヨチ・ウーウー・ターキー・ダンス」なんですが、まあそれはちょっと難しいだろうと。で、一番最初に探したのは先日NHK-BSで特集された太田裕美さんの『心が風邪をひいた日』のLP。このLPは持っていたんですがCDを買って手放してしまいました。番組では何度もLPをかける場面が映し出されて無性に欲しくなってしまったんですね。


さて、いざ会場に行って、数ある箱の中から太田裕美さんを見つけ出すのは大変。彼女のジャンルは「歌謡曲」なのか「ニューミュージック」なのか「アイドル」なのか、店によってバラバラ。彼女はまさにその中間にいたアーティストだったので。結局、太田裕美さんのレコードは何枚か見かけたものの『心が風邪をひいた日』は見つかりませんでした。

それにしてもレコード市ではどこに何があるのかわからないので、手当たり次第に箱をあさることになるのですが、これが疲れます。古書市であれば、本の背を眺める作業をすればいいけど、レコードは1枚1枚箱から抜き出して確認しないといけない。奥の方だとちょっと無理な格好をして、ぎっしり詰まっている箱だとレコードを取り出すのにかなりの力がいる。以前はいろんなジャンルの箱をくまなく見て3時間くらいは眺めていたものですが、10箱くらい見たらエネルギーがなくなってしまいました。情けない…。

ってことで、LPの箱から離れてシングル盤を置いているコーナーに。

結構収穫がありました。買ったのはこの3枚。

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スティーヴ・ローレンスの「Go Away Little Girl」とイーディ・ゴーメの「恋はボサ・ノバ」という最高のカップリング、ジョニー・ソマーズの「内気なジョニー/避暑地の出来事」、そしてクリフ・リチャードの「ラッキー・リップス」。いずれもずっと欲しかったものでした。3枚並べて見たら赤で統一されていましたね。


この日一番の収穫はこれでした。

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大滝さんの『A LONG VACATION』。ですが、一瞬、えっ、ですよね。『A LONG VACATION』のLPを、同じデザインでただイラストを「さらばシベリア鉄道」のシングルに使われたものに変えた絵のついた袋に入れたもの。目立つところに立てかけられていたんですが、よく残っていたなと思いました。家に帰って調べたら『All About Niagara』に載っていました。

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「季節によりヴィニール・カバーをつけて発売されたものもある」ということで、冬用のカバーと夏用のカバーの2種類があったようです。僕が手に入れたのは冬用のカバー。

大滝さんの『A LONG VACATION』のLPもCDを買ってまもなく友人にあげたのであとになってずっと後悔していました。で、いつかは手に入れようと思っていたのでラッキーでした。袋付きでもそんなに値段は高くなくて、しかもレコードはジャケットも盤も新品同様。傷もシミも全くありません。もちろん帯付き。もしかしたら袋に入れたままどこかの店にしまわれていたものかもしれません。


さて、もう1枚買ったのがペリー・コモの『So Smooth』というLP。

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ジャック・ケラー作曲の「Beats There A Heart So True」という曲に興味を持ってから、ペリー・コモに関心を持っていろいろ調べていたときに知ったもの。ジャケットもいいんですね。発売は1955年なので「Beats There A Heart So True」が歌われる3年前。

アルバムの中で一番好きなのはこの「Breezin' Along With the Breeze」という曲。「Breeze」という言葉を重ねたタイトルもしゃれてます。




そういえば僕がはじめて「Breeze」という言葉を覚えたのは『A LONG VACATION』の帯に書かれていたこの言葉でした。

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「BREEZEが心の中を通り抜ける」

そう、まさにまさにそれまで一度も経験したことのない爽やかなBREEZEが僕の心の中を通り抜けたんですね。このレコードに針を落とせば、今も、そしてこれから先の未来も永遠にそのBREEZEを感じることができます。

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ということで最後は「Breeze」つながりというオチになりましたが、「Breeze」に関してもうひとつ書いておかなければならないことがあります。新たなBREEZEが僕の心を駆け抜ける日がまもなくやってくるということを。それはまた次回に。


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by hinaseno | 2017-05-04 13:16 | ナイアガラ | Comments(0)

このブログを読まれている人で、コアなビーチ・ボーイズ・ファンがどれだけいるかわからないけど、この『The Big Beat 1963』という未発表作品集のことを知っている人がどれだけいるでしょうか。

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リリースされたのは4年前の2013年。リリース元はCapital Recordsなのですべて公式な音源。ただしCDの形ではなくてiTunesでの配信。しかも北米のみ。日本じゃ買えないんですね。泣きました。

発売されたのを知ってからずっと日本で帰るのを待っていたんですが、一向にそうならない。いろいろとネットで調べたら日本でも買う方法があるとわかったものの、かなり面倒くさい手続きを踏まなくてはならいようだったので二の足を踏んでいましたが、先日ようやくゲット。もちろん不正な形ではありません。


収録されている曲は全てブライアン・ウィルソンがらみの曲ばかり。ボブ・ノーバーグが関わった曲もいくつも含まれています。Bob & Sheri名義の曲も2曲。「The Big Beat」と「Ride Away」という曲。いずれも初めて聴きました。


このアルバムでいちばんのお目当てはこの「Summer Moon」という曲でした。この音源の状態はかなり悪いです。




歌っているのはボブ・ノーバーグとVickie Kocherという女性。Vickie Kocherという人はVictoria Haleという名前で女優もしているようで映像には彼女が出演したドラマのシーンも取り入れられていますね。Victoria Haleさんは昔から大変美しい人だったようで、ブライアンたちと出会った頃にもミス・ロサンゼルスとかいろんなミスに選ばれていたようです。

ちなみにこのビデオをアップしているのはVictoria Haleさん本人。時々読んでいる佐野邦彦さんの運営されているWebVandaにもこの音源のことが紹介されていました。

で、この音源が公式な形で『The Big Beat 1963』に収録されたんですね。ただし音はYouTubeでアップされたのと全く同じもの。マスターはないみたいですね。

さて、このBob & Vickieによる「Summer Moon」、聴いてびっくりなのはオケがビーチ・ボーイズの「The Surfer Moon」と全く同じなんですね。でも録音されたのはこちらが先。

ブライアンたちと知り合ったVickieは、ある日ブライアンとボブ・ノーバーグの住んでいたアパートに行きます。当時Vickieは18歳。そこでブライアンとボブ・ノーバーグはいくつか曲を演奏します。そのときVickieがいちばん気に入ったのがBob & Sheriのために作った「The Surfer Moon」。Vickieがそれを録音したいと言った時、ブライアンとボブ・ノーバーグは顔を見合わせてにっこりだったようです。ブライアンは男女のデュオをプロデュースすることにずっと関心を持ち続けていて、しかも「The Surfer Moon」はまさにそのために作っていた曲だったので渡りに船だったみたいですね。すぐに録音することに決めます。ただ、そこでVickieからひとつ提案が。私はサーファーじゃないからタイトルをサーファーからサマーに変えて欲しいと。

ということでタイトルだけでなく、歌詞の一部も変えて「Summer Moon」が録音されます。録音されたのは1963年5月9日。場所はハリウッドのユナイテッド・レコーダーズ。ミュージシャンはギターがボブ・ノーバーグ、ピアノがブライアンの他は例のレッキング・クルー。ドラムはハル・ブレイン、ギターはグレン・キャンベル、ベースはレイ・ポールマン。悪かろうはずがありません。

でも、結局Vickieとボブ・ノーバーグが歌ったものはボツになります。ボブ・ノーバーグはいうまでもなくVickieの歌もあまり魅力的とは言えないので(ブライアンのお父さんのマレーもVickieに「初めて恋をした女の子のように歌うんだよ」とかいろいろと歌唱指導したようですが)、仕方がないでしょうね。声の魅力はBob & SheriSheriの方がはるかにありますね。

ちなみにブライアンはVickie & Bobのために別の曲も用意していたようで、それがのちに『Good Vibrations Box』に収録された「Little Surfer Girl」だったとのこと。へえ~、ですね。

個人的にはVickieよりもSheriに歌われていたらよかったなと。


The Surfer Moon」は結局、ブライアンのダブル・ボーカルという形でアルバム『Surfer Girl』に収録されます。曲を好きだったということもあるとは思いますが、その頃、ビーチ・ボーイズは立て続けにアルバムを発表しなければならなかったので、数合わせに収録した可能性が高そうです。

さて、大瀧さんは果たしてBob & Sheriの「The Surfer Moon」を聴いていただろうかということですが、僕はおそらく聴いていたに違いないと思っています。それを聴いて曲の魅力を発見したんじゃないかと。

でも、多羅尾伴内楽團でカバーする時にはやはりビーチ・ボーイズのオケを参考にしたんですね。


これは『Becoming The Beach Boys 1961-1963』に載っていた若き日のVickie。個人的にはSheriがどんな顔をしていたのか気になります。

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by hinaseno | 2017-04-25 13:07 | ナイアガラ | Comments(0)

Bob & Sheriの「The Surfer Moon」は現在では(たぶん)公式な形でいくつかのCDに収録されているようです。僕が手に入れたのは『Surf Party: The First Wave』という10枚組のCDボックス。廉価盤なので解説は一切なし。ただ、オリジナルマスターから録音されたものかどうかはわかりませんが、音は『Still I Dream of You: Rare Works of Brian Wilson』よりもはるかにいいです。iTunesからもダウンロードできます。

ネット上で聴ける音源で一番いいのは、こちらのサイトに貼られていたオリジナルシングルからの音源。これにはびっくりでした。このサイトを運営しているももちゃんという人、とてつもなく貴重なレコードをいくつも紹介していますが、一体どういう方なんでしょう。

YouTubeにはいくつか音源が貼られていますが、一番いいのはやはりオリジナル・シングルから録音していると思われるこの音源でしょうか。




ちょっとびっくりしたのはこちらの音源。




あまり音も良くなくて、途中、サビの一番いいところで針飛びもしています。でも、コメントを見たらこんな言葉が書かれていたんですね。びっくりでした。


「sheri is my grandma. Isn't that cool?」


Sheriは私のおばあさんよ。いかすでしょ?」と。

どうやらこの音源をアップしたのはSheriことCheryl Pomeroyの孫娘さんのようです。下のコメントを見ると「これはオリジナルのレコードよ。傷があったりして音もクリアはないけどね」とか、さらには「おばあちゃんはこんなことも言っていたわ。ブライアンはこの曲をプロデュースしたけど、彼女とそのパートナーのボブも曲の一部を書いていたと。でも、レコードにはクレジットしてくれなかったと」。

コメントは7年ほど前のもの。そのときにはおばあさんのSheriも元気だったみたいですね。今も元気でいるんでしょうか。


さて、いい音で聴いたBob & Sheriの「The Surfer Moon」。とにかく素晴らしいの一語でした。

僕が読んだ限りこの曲に関しての感想を書いているすべての人がオケも歌もビーチ・ボーイズの方が格段にいいと言っていますが、僕は決してそうは思わない。むしろ本来この曲はこんなふうに男女のデュエット(基本的には女性のリードボーカル)で、ドゥーワップスタイルのシンプルなサウンドで歌われるべき曲だったんだなと思いました。

ブライアンのプロデュースは正しかったと。

Sheriもいい声しています。決してうまいとは言えないけど、でもこの曲にぴったりの歌い方をしています。

なんとなく先日亡くなったロージーがリードシンガーとして歌ったこの「Angel Baby」にもつながる雰囲気を持っています。




ところで、曲の初めに変な音が聞こえてきますね。一体なんの楽器だろうかと思っていたら、実はこれはコオロギの鳴き声。家の窓の外に出て録音したようです。Sheriの娘さんも書いていますね。


The Surfer Moon」に関しては面白い発見がいくつもあったんですが、その一つがこれ。




これはビーチ・ボーイズ関係の驚異の音源集『Unsurpassed Masters』の『 Vol. 1』に「The Surfer Moon (Inst. Take 1)」「The Surfer Moon (Inst. Take 2)」「The Surfer Moon (Inst. Take 3)」というタイトルで収録されているのをまとめたもの。このオケはまさにBob & Sheriのバージョンの「The Surfer Moon」のオケですね。Take 2から例のコオロギを鳴き声も入っています。今頃こんなことに気づくとは、でした。

それにしてもこのオケは華麗なストリングスの入ったビーチ・ボーイズのものとは比べ物にならないほどシンプルですが、例の循環コードを使ったまさにドゥーワップ調の曲であることを考えると、本来はこんな演奏がふさわしい曲なんですね。


さて、「The Surfer Moon」の話は4回くらいで終わる予定でしたが、この曲に関してもう一つびっくりする音源が存在することがわかったので次回その話を。


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by hinaseno | 2017-04-23 15:21 | ナイアガラ | Comments(0)

Bob & Sheriの「The Surfer Moon」? 何、それ。 

と思ったんですが、調べたら僕のパソコンのiTunesの中に入っていました。M&M(知る人ぞ知る、ですね)という日本のレーベルから1993年に出た『Still I Dream of You: Rare Works of Brian Wilson』というCDに収録されたもの。オリジナル・マスターからではなく制作者の手持ちのレコードから録音したいわゆる板起こしなので音はめちゃくちゃ悪いです。

ただしブックレットは素晴らしくてビーチ・ボーイズ研究の第一人者である佐野邦彦さんによる解説も充実。Bob & Sheriの「The Surfer Moon」についても詳しい説明があります。それから一応、割と最近出版された初期のビーチ・ボーイズに関する研究書『Becoming The Beach Boys 1961-1963』も読んで、Bob & Sheriが「The Surfer Moon」を歌ったいきさつを確認しました。

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Bob & SheriのBobとはBob Norberg(ボブ・ノーバーグ)のこと。ボブ・ノーバーグは僕の最愛の曲の一つである「Your Summer Dream」の共作者ですね。SheriはボブのガールフレンドのCheryl Pomeroy(シェリル・ポメロイ)。ブライアンはビーチ・ボーイズとしての活動を始めた頃に、すでにBob & Sheriとして活動していた彼らと親しくなったようです。ブライアンは2人の関係をすごくうらやましがっていたとのこと。ブライアンはそんな彼らのために曲を作り始めます。それが「The Surfer Moon」。

その「The Surfer Moon」を作っていた頃、ボブはブライアンに家を出て一緒に暮らすように提案します。ブライアンが父親との関係に悩ませられていたのを知っていたんですね。ブライアンは喜んで了解。2人はいろいろと共作を開始。「The Surfer Moon」も完成してブライアンのプロデュースで録音。1962年10月に発売されます。

これがそのレコードのレーベルの画像。ネットから拝借しました。

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「Produced by Brian Wilson」と記された最初のレコードだそうです。きっとうれしかったでしょうね。ちなみにSAFARIというのはブライアンの父親マレーがつくったレーベルのようで、その下に記されている住所はマレーの事務所の住所とのこと。父親から距離を置こうとしていたブライアンですが頼るときには頼っていたんですね。

ところでこのBob & Sheriの「The Surfer Moon」のレコードですが、これが超レア・アイテム。『Still I Dream of You: Rare Works of Brian Wilson』の佐野さんの解説によるとこのオリジナル・シングルは世界でたった6枚しかないとか。ネットでチェックしたら日本円で30万から40万を超える値がついていました。でも、佐野さんも含めて日本人の何人かは持っているみたいですね。

一つ気になるのは大瀧さんがそれを持っていたかということ。持っていたら「ゴー!ゴー!ナイアガラ」でかけていたはず、と思いながらレア盤を誇る人ではないのでどうだったんでしょうか。でも、1978年に『多羅尾伴内楽團 Vol.2』を出すときにはオリジナルがBob & Sheriだと知っていたというのがすごいですね。ビーチ・ボーイズ・フリークである達郎さんから聞いたのかもしれないけど。


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by hinaseno | 2017-04-22 13:20 | ナイアガラ | Comments(0)

ビーチ・ボーイズの「サーファー・ムーン」はとびっきり素敵なバラードでもちろん昔から大好きですが、でも、以前紹介した「私的ベスト30」には入れていない。同タイプのバラードの中では、どちらかといえば平凡な感じの曲に捉えていたので。他のバラードが素晴らしすぎるからなんですが。

とりわけ「サーファー・ムーン」の収録されたアルバム『サーファー・ガール』には「ユア・サマー・ドリーム」という屈指の名曲があって、それと比べてしまって僕の中ではどうしても影が薄くなっていました。「ユア・サマー・ドリーム」は1曲だけをリピートしたことは何度もあるけど、たぶん「サーファー・ムーン」はアルバムの流れの中で聴き流していただけ。1曲だけをリピートして聴くようなことはありませんでした。

さらにいえば『多羅尾伴内楽團 Vol.2』も正直あんまり熱心に聴いてきたとはいえなかったので、今回のシングル盤に針を下ろしたときにはいろんな意味で超新鮮に響いたんですね。しかもオリジナルには入っているはずの波の音が入っていない!

ただ、よく調べたら『NIAGARA BLACK VOX』に収録された『多羅尾伴内楽團 Vol.2』は波の音が入っていないことがわかりました。いかに聴いていなかったかがわかります。

で、改めて聴き比べて見たら何か違う。『NIAGARA BLACK VOX』に収められたものはステレオ、今回のシングルはモノ・ヴァージョンでした。

YouTubeに『NIAGARA BLACK VOX』の波音のないステレオ・ヴァージョンがあったので貼っておきます。




ところで、この多羅尾伴内楽團の「サーファー・ムーン」のシングルに最初に針を下ろして、そのイントロが流れてきたときに、僕の口をついてきた歌詞は、

♫There's a moon in the sky somewhere I know♫

ではなく、

♫3度鳴らしたクラクションが彼のお迎えの合図♫

でした。

竹内まりやの「真冬のデイト」という曲。

『NIAGARA 45RPM VOX』に収められたシングルを順番にA面B面と次々に聴いていたので、曲名をきちんと確認しなかったせいもあったんですが、似てるんですね。雰囲気が。

改めて多羅尾伴内楽團の「サーファー・ムーン」と「真冬のデイト」のイントロを聴き比べてみたら楽器の使い方から音の響きまでそっくり。このAmazonのサイトの『Denim』のディスク2に収められたものでイントロが視聴できるので聴いてみてください。

ちなみに「真冬のデイト」のアレンジをしているのはご主人でもある山下達郎。達郎さんは多羅尾伴内楽團には参加していませんでしたが、でももちろんレコードも持っていたはずですし、何度も聴いていたはず。

達郎さんもビーチ・ボーイズが大好きなので、このリズムの曲ならばビーチ・ボーイズっぽくと考えてやったんでしょうけど、結果的に一番似ていたのが大瀧さんのアレンジした「サーファー・ガール」だったというのが、なんともいいですね。


さて、『NIAGARA 45RPM VOX』の楽しみの一つは、シングル盤のジャケットの裏側を大きく見れること(小さいのは『All About Niagara』で見ていました)。本来はそこに歌詞が載っていたりするんですが、このレコードはインストなので歌詞はありません。その代わりに『多羅尾伴内楽團 Vol.2』のアルバムに収められた曲を全曲紹介しています。作曲者と、それを歌ったり演奏したオリジナル・アーティストの名前。

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「サーファー・ムーン」の作曲者はもちろんブライアン・ウィルソン。作詞もブライアンだったんですね。で、オリジナル・アーティストの名前を見たらこう書かれていました。

Bob & Sheri

ボブ&シェリ!?

ビーチ・ボーイズではなく。


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by hinaseno | 2017-04-20 14:12 | ナイアガラ | Comments(0)

実は、ひと月ほど前にある方から、以前僕がこのブログに書いた願いごとが実現するというとんでもないビッグニュースをいただいて、ずっと東京に行くことを考えています。行かなければ絶対に後悔するだろうと。

東京のことを考えると自然に頭に流れてくるのがマイクロスターの「東京の空から」という曲。昨年行われたアゲインでのイベントの時に「My Baby」とともに歌われた曲ですね。本当にいい曲なんです。

そういえばマイクロスターに関してもこの日のブログで書いたことがようやく実現。そう、あの『She got the Blues』がアナログのLPとして来月に発売されることが決まったんですね。速攻で注文しました。これでようやく何もしなくても「My Baby」で針を一旦止めて、曲(あるいはA面全体)の余韻にしばらくひたることができます。

次はアナログ・シングルBOXですね。『NIAGARA 45RPM VOX(ナイアガラ 45 ヴォックス)』みたいな箱に10枚のシングルが収められた夢のようなBOX。またLPとは違った発見がきっとあるはず。


45回転のアナログのシングル盤レコードのファンであるならば誰でも知っていることですが、それまでCDかなんかで耳にしていた曲もシングル盤レコードを聴くとまるで違う曲を聴いているような印象を持ってしまうことがあるんですね。初めて聴いたかのように、今まで気がつかなかったその曲の魅力を発見するというような。

不思議なことに、あとでCDなんかと聴き比べてみるとたいした違いはなかったりするんですけどね。45回転のアナログのシングル盤レコードには間違いなく魔法があります。


3月21日に発売された『NIAGARA 45RPM VOX(ナイアガラ 45 ヴォックス)』で、いろいろな発見がいちばんあったのはこのレコードでした。

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プロモーション用に作られた(DJ COPY ONLY)レコード。もちろん非売品なのでうわさによればとてつもない値段がついていたようです。収められているのは『多羅尾伴内楽團 Vol.2』から2曲。A面が「心のときめき」、そしてB面が「サーファー・ムーン」。驚いたのはB面の方でした。

そう、ビーチ・ボーイズが1963年に発表したアルバム『サーファー・ガール』に収められたこの曲のカバー。作詞作曲はブライアン・ウィルソン。





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by hinaseno | 2017-04-19 13:14 | ナイアガラ | Comments(0)

ここのところずっと家のパソコンでは「多羅尾伴内楽團」関係の音楽を聴いています。多羅尾伴内というのは大瀧さんの変名。いちばん有名なところでは松田聖子の「風立ちぬ」の編曲者のクレジットは多羅尾伴内となっています。

ということで、多羅尾伴内楽團とは大瀧さんがプロデュースした楽団で、編曲は大瀧さん。『多羅尾伴内楽團 Vol.1』と『Vol.2』という2枚のアルバムを出しています(現在出ているCDはこの2枚のアルバムを1枚にしたもの)。

ちなみにこれが『Vol.1』のジャケット。テーマは冬。

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そしてこちらが『Vol.2』のジャケット。テーマは夏。

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大滝さんの写真がかなり大きく写ってますね。変な格好ですが、いずれのジャケットもパロディになっています。『Vol.1』はジャック・ニッチェ、『Vol.2』はビーチ・ボーイズの『サーフィンUSA』かな。超照れ屋の大瀧さんも多羅尾伴内という仮の姿を借りるとおかしなコスチュームを着た変装も平気なようです。


僕の持っている『多羅尾伴内楽團』のレコードは1984年に発売された『NIAGARA BLACK VOX』に入っていたもの。2007年に出たCDも買いましたが、いずれも正直あまり聴いていませんでした。

理由は、歌のないインストだから、ということになるでしょうか。別にインストが嫌いというわけではないけど、どうせ大滝さんのアルバムを聴くのならやはり大瀧さんの歌の入っているものを聴いてしまいます。

でも、ここ数年、大瀧さんの曲でもどちらかといえば歌の入っていないカラオケ・ヴァージョンをよく聴くようになっていて、で、ようやく『多羅尾伴内楽團』にたどり着いたんですね。オリジナルと聴き比べるのも楽しいし、なんでこんな曲を入れたんだろうと思えるものもあるし。と同時に、この曲があの曲につながっていたんだなと今更のように気がつかされるものもあります。『Vol.1』の「雪やコンコン」はもろに「君は天然色」だし。

で、その流れでやはりちゃんと読んでいなかった『大瀧詠一 Talks About Niagara』の『多羅尾伴内楽團』に関する大瀧さんのインタビューを読んだら、大瀧さんのこんな発言を見つけて思わずニンマリでした。


「だいたい小津がわかるようになる感じと似たようなものがあるんだよね、インストなんてね」

ところで今一番のお気に入りは『Vol.1』の1曲目の「Mr. Moto」。オリジナルはThe Belairs(The Belairesと記載されることも)のこれ。




サーフィン・ソングでは超有名な曲ですが、なんでこれが「冬」がテーマの『Vol.1』の1曲目なのか意味がわからない。「霧の彼方に」という邦題がついているけど、この曲にもともとこんな邦題がついていたんでしょうか。


オリジナルの「Mr. Moto」はイントロのエレキギターの演奏が最も魅力的な部分なんですが、それを駒澤裕城さんのスティールギターでやっちゃうところががなんともおかしい。テンポもオリジナルに比べて妙にのろくてこれではとても波に乗れない。駒澤さんはもちろん真面目に演奏されているんでしょうけど。


ちなみに大瀧さんは「Mr. Moto」についてはこちらのThe Challengersが演奏したほうがお気に入りのようで、「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のインスト特集でもかけていました。




途中のカスタネットが入るところが好きみたいですね。『多羅尾伴内楽團』でもやはりカスタネットが入れています。初期のスペクターサウンドにも通じるものがありますね。


「霧の彼方へ(Mr. Moto)」はシングル盤でも発売されていて(発売は1977年12月)、超のつくレア・アイテムで、とんでもない値段がついていたと思いますが、先月発売された『NIAGARA 45RPM VOX(ナイアガラ 45 ヴォックス)』に収録。このジャケット、いいですね。

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ジャケットの裏には大瀧さん自身によるこんな解説が書かれています。


原題はMor. Moto、オリジナルはBelaires。原曲とはアレンジが少し違っていて、駒澤裕城のむせび泣くようなスチール・ギターが聴きもの。この冬の哀愁サウンドの決定盤とも言えましょう。

どこまで本気なんだか。


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by hinaseno | 2017-04-17 13:26 | ナイアガラ | Comments(0)

『NIAGARA 45RPM VOX(ナイアガラ 45 ヴォックス)』に合わせるように発売された『大滝詠一読本 完全保存版 2017 EDITION』。大瀧さんのインタビューなどが載っているわけではないのでどうしようかと思っていましたが、立ち読みでいくつか読んでいたらおもしろそうだったので結局買ってしまいました。

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巻頭の特集は「周辺アーティスト&スタッフ最新インタビュー」。大瀧さんの”書生”というか”丁稚”をしていた湯浅学さんが大瀧さんの身近にいた5人の方々にインタビューをされています。5人の中には名前だけ見ただけでは誰だろうという人も。もちろんよく知っている人もいますが、大瀧さんが亡くなって以後いろいろ出た本の中では、たぶんそれほど大きく取り上げられることがなかった人たちばかり。松村邦男、駒沢裕城、後藤博、吉田保、中村欣嗣、子安次郎。

村松さんと駒沢さんはナイアガラ・サウンドを支えた重要なミュージシャン。村松さんはエレキ・ギター、駒沢さんはペダルスティールを演奏。ちなみに『多羅尾伴内楽團』の『Vol.1』は駒沢さん、『Vol.2』は村松さんをフィーチャーしています。

吉田保さんは『ロンバケ』以降のエンジニア。あのナイアガラサウンドに欠かせない人。後藤さんはそのロンバケの一つ前の『レッツ・オンド・アゲン』のエンジニアをされていたんですね。知りませんでした。しかも『レッツ・オンド・アゲン』に収録された「ピンク・レディー」という曲を歌っていたようです。グループ名はモンスターですが、『レッツ・オンド・アゲン』の解説(書いたのは大瀧さん)には「正式には『後藤博とモンスター』といい、メンバーは後藤(32才)を中心に全5人で平均20才のグループ。全員がピンクレディーの大ファンで、さるアマチュア・コンテストで、ピンクレディーの曲を歌い、その熱狂ぶりがプロデューサー大瀧の目にとまり、大瀧は一週間眼科へ通うはめになった。…」と書かれていますね。まあ、遊んでいるというかなんというか。これがあの『ロンバケ』の一つ前のアルバムなんですから。

子安さんは湯浅さんと同じく大瀧さんの”書生”だった人。のちにディレクターとなってウルフルズを担当されていたようで、ウルフルズがらみの興味深い話がいっぱい。

中村欣嗣さんはオーディオショップのスタッフとして大瀧さんの家のオーディオ・システムを長く見てきた人とのことですが、実はこの中村さんのインタビューが一番面白かった。大瀧さんの”人となり”がよく出ているエピソードの連続。「(大滝さんは)”良い音”の一歩手前がお好きなんです」という言葉には、ひざを10回くらい打ってしまいました。


さて、最後に一番いい話を。それは駒沢さんのインタビューの中の言葉。駒沢さんは先ほどの『レッツ・オンド・アゲン』でも「ピンク・レディー」という曲をはじめとしてほとんどの曲でペダル・スティールを弾いているんですが、実は駒沢さんはこの後、しばらくミュージシャンとしての活動から離れられるんですね。


駒沢:(大滝さんは『レッツ・オンド・アゲン』で)やり尽くした感じがあったんでしょうね。でも、今から思えば大滝さんがコロンビアでナイアガラを閉めたタイミングと、僕が足を洗ったタイミングはほぼ同じ。どこか運命的なものを感じますね。
湯浅:どうして足を洗おうと思ったんですか?
駒沢:業界の俗っぽい感じとか、いろんなことに嫌気がさしてしまったんです。その間は農地を開墾したり無農薬の野菜を育てて売ったりしていました。7年ぐらいそんな生活をして、85年の12月にまた戻ってきたんですけど。湯浅:復帰後、大滝さんとも再会したんですか?
駒沢:それがね、またしても運命を感じないではいられなかったんだけど、音楽をやめていた後、最初に電話してきてくれたのが大滝さんだったんですよ。「頼みたいことがある」と。
湯浅:復帰のきっかけが大滝さんだったんですね。
駒沢:具体的にどんな仕事だったかは忘れてしまったけど、誰かへの提供曲のレコーディングだったのかな。とにかくそれが復帰後最初の仕事。だから僕のキャリアの節目には、必ず大滝詠一という人がいるんです。
湯浅:そういう時に閃くんですよね、大滝さん。関わりの深い人の節目、節目に出てくる。
駒沢:つい先日、武蔵小山のAgainで安宅浩司くんとダブル・ペダル・スティールのライブをやったんです。そのアンコールで「空いろのくれよん」を演奏してね。いろんなことを思い出しました。大滝さんのことは、亡くなってからずいぶん考える時間が増えた気がします。僕は村松くんのように近年まで一緒にやっていたわけではないけど、あれほど濃密な時間を過ごした人は他にいません。
湯浅:コロムビア時代には、左チャンネルから駒沢さんのペダル・スティールが聴こえる曲が本当に多いですね。いつも駒沢さん用のトラックを空けて待っていた。大滝さんにとっては、自分の中にある得も言われぬ感覚を音にしてくれる要人だったんだと思います。
駒沢:そう思ってくれていたなら嬉しいけど。

音楽を離れていた時に、農業をされていたという話に驚きました。川上哲治みたいですね。

そして駒沢さんの話の最後にはアゲインのこともちらっと。以前、そのアゲインの石川さんから駒沢さんの『私のモーツァルト』という素晴らしいアルバムを録音したものを送っていただきましたが、他のアルバムも聴いてみたくなりました。


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by hinaseno | 2017-04-03 14:44 | ナイアガラ | Comments(0)