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カテゴリ:雑記( 264 )



2017年5月7日。時刻は午後6時半ごろ。場所は東京神田の岩本町にあるライブハウスTOKYO TUC。その時間、外にどれくらいの明るさが残っていたのか地下だったのでわからない。

BREEZEの4人のメンバーがこの日2度目のステージに登場。第1部で野口さんによって振られていた小さなネタを受けた話を磯貝さんがされて観客の笑いを誘う。その笑いが収まって、会場は静謐な空気に。

その瞬間、僕も、そしておそらく石川さんも”そのとき”がやってきたことを知る。このブログでぽろっと書いた夢が実現するときが。


BREEZEのメンバーの小菅けいこさんが次に歌う曲の紹介を始める。「あまり知られてはいない曲で、私たちも知らなかった曲だった」。と。曲のタイトルは言わないまま。

ここで野口さんがBREEZEによってその曲が歌われることになったいきさつを語り始める。ジャック・ケラーという作曲家によって書かれて、ペリー・コモに歌われた曲だと。その場にいた観客のどれくらいの人に届いたかはわからないけど、たくさんの人を前にしてジャック・ケラーの名前が語られたことに心から感動する。「ジャック、聴いてる? これから君の書いた素晴らしい曲がここで演奏されることになるんだよ」と心で叫ぶ。

そしてその知られていない曲を野口さんに教えた「ある方」の話が始まる。「ある方」という表現で通されるかと思ったけど、野口さんはその人の紹介を始める。「武蔵小山のアゲインというライブカフェのオーナーの石川さん」と。なんだか自分のことのようにうれしくなる。そして野口さんが呼びかける。

「その石川さん、今日、来てくださっているんですね。石川さん、どこにいらしゃいますか?」

目の前に座っている石川さんがテーブルの下に潜り込もうとするが、逆にその動きが目立ってしまう。僕も後ろから石川さんの背中をたたく。全員の視線が石川さんに集まり、石川さんが恥ずかしそうにおじぎをする。たまらないくらいに幸せな気持ちになる。

野口さんは石川さんがいかにポピュラー音楽に造詣が深いかを説明し、大瀧さんや山下達郎さんの話を交えながら今回5年ぶりにこの曲が演奏されることになった経緯を紹介。石川さんとの具体的なやりとりも話されていました。で、石川さんの友達(僕のことですね)も今日のライブに来ていると言われ、このときに初めてBREEZEのメンバーと目が合う。

野口さんは「知られていないけどこんなにいい曲があるんだということを知ってほしい」と話されて小菅さんにバトンタッチ。


ここで小菅さんはペリー・コモにまつわる興味深い話を披露。それはペリー・コモの最後の来日公演の時の話。調べたら1993年3月。

この公演、NHKで放送されたということがわかったのでもしやと思って調べたら、なんとYouTubeにありました。




実はこの来日公演ときにドラムを叩いていたのが今回の野口久和 THE BIG BANDのドラムを演奏していた稲垣貴庸さんだったことがわかりみんなびっくり。そしてそのあと、さらにびっくりするようなとびっきり素敵なエピソードが紹介されます。

それはペリー・コモの歓迎パーティーのときのこと。上の貼ったYouTubeの最初の方にそのパーティーの様子がちらっと映っていますね。加山雄三さんもいることからもわかるように会場はかなり騒然とした雰囲気に包まれていました。そんな中、一人の女性がステージに呼ばれ歌を歌うことになります。後藤芳子というジャズシンガー。騒然とした会場で、きっと自分の歌が誰の耳にも届いていないことを感じながら後藤さんは歌を歌ったにちがいありません。

ところが後藤さんが歌い終えたときに、彼女のところに一人の男性がやってくる。ペリー・コモ。そして彼は彼女にこう言う。「僕は聴いていたよ」と。この後藤芳子さんというのがBREEZEの師匠に当たる人。

さらに興味深いのはBREEZEが結成されたのはまさにこのペリー・コモの最後の来日公演があった1993年。いや、縁というのはなんて不思議なんだろう。

いくつもの”たまたま”がきっかけで今回野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”で演奏されることになったペリー・コモの「Beats There A Heart So True」。もちろん、演奏した野口さんも、歌を歌ったBREEZEも素晴らしい曲であると判断したからこそだろうとは思いますが(磯貝さんは例のeBayでこのレコードを手にいれて聴いたそうです。磯貝さんはレコードマニアなんですね)、ペリー・コモとのこんな素敵な繋がりがかくされていたとは。歌われる前から胸がいっぱいになってしまいました。

こうなったらBREEZEには絶対に『Sings Perry Como』というアルバムを出してもらわないと。もちろん演奏は野口久和 THE BIG BANDで。


さて素敵なエピソードが披露された後、小菅さんによって曲のタイトルが告げられついに「Beats There A Heart So True」の演奏が始まる。すぐに石川さんの背中が激しく震え出すのがわかる。手で顔をおおい、しばらくは顔を上げることができないでいる。僕もすぐに涙が溢れてくる。願いが叶ってうれしいということもあるけど、何よりも目の前で演奏されている曲の素晴らしさに感動して。なんとなく歌っているBREEZEのメンバーの目も潤んでいるように見える。

曲の素晴らしさにについて説明する言葉はない。哀しみを表現するような金管楽器とその哀しみを優しく包み込むような木管楽器の織りなす演奏にBREEZEの4人のハーモニーが見事に重なっていく。哀しみにつつまれ曲だけど、なんて希望に満ち溢れた曲なんだろうと思う。

永遠に曲が終わってほしくないと願いながら、最後のエンディングが近づく。音が完全に消えるまでは誰も拍手をしないでほしいと願い続ける。

そして音が消え、一瞬の間があって盛大な拍手。石川さんは「すごい!すごい!」と叫び続ける。BREEZEサポーターの席に座られていた人が「BREEZEにぴったりの曲」とさけぶ。僕と石川さんだけでなく、演奏していたバンドやBREEZEのメンバーも含めてみんながこの曲のすごさに心を打たれていることがひしひしと伝わってくる。まちがいなくこの日のライブのハイライト。

少しだけ正気に戻ってきたときに石川さんが振り返って、ふたりでがっちりと握手。この素晴らしい瞬間をひとりではなくふたりで共有できたことは喜びを何倍にもする。ああ、いっしょに来てよかった。石川さんに、そして野口久和 THE BIG BANDとBREEZEのメンバーに心から感謝する。


これはこの日のライブの写真ではないけど、TOKYO TUCのサイトに貼られていた少し前に行われた野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”のライブの様子を撮ったもの。お借りしておきます。

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by hinaseno | 2017-05-23 13:27 | 雑記 | Comments(0)

唐突ですが、これから「地下」の時代がやって来そうな予感。

東京に行って以来(というか実際には行く少し前から)「地下」がなんだかキーワードになってしまいました。

アゲインも地下。先日のライブがあったTOKYO TUCも地下。できれば恐る恐るとかこそこそではなく、スキップしながら階段を駆け下りて行けるような地下が身近にあってほしいなと。別にそこでレジスタンスをするわけではありません。でも、きっと未来は地下から始まるだろうと。

そういえばライブ会場でも言われていましたが、来週土曜日の「出没!アド街ック天国は神田の岩本町編。なんとTOKYO TUCのある場所なんですね。で、TOKYO TUCも映るそうです。

もしこのライブに行かなければ岩本町ってどこ?だったんですが、岩本町は遠く離れていてもすごく身近に思える場所になりました。

この番組、昨日こちらでも見れることがわかったので予約録画しました。石川さんがスキップをしながら駆け下りた岩本駅の地下鉄の階段が映るのかな。楽しみですね。

テレビの話ついでですが、昨日の『ブラタモリ』は僕の愛する町の一つ、尾道でした。いろいろ書きたいけど、今はやめておきます。で、驚いたことに来週のブラタモリは倉敷。ついにタモリさんが岡山へ。「出没!アド街ック天国とともに来週の土曜日が待ち遠しい。


ところで昨日ブログを書き終えた後、『One Night Stand!』のライナーノーツに野口さんが書かれた解説を読んでいたら興味深いことがいろいろと。

ビッグバンドを結成するにいたったのは今回ライブをしたTOKYO TUCの方の進言と強い後押しのおかげだったと。で、こんな言葉。


「どうせやるならメチャクチャ楽しいバンドに・・・音楽だけでなく、エンターテインメントの部分もしっかり確立したかったので、まずバンドシンガーは絶対必要だと。幸いすぐ側に「BREEZE」という仲間達がいたので、コーラスグループ付き総勢21人というビッグバンドが誕生!これは現在の日本のバンドシーンの中ではとても贅沢なことではないでしょうか?そしてモットーとしては「ジャンルにこだわらずメロディの良い曲を演奏する」「長いアドリブは演らない」「譜面はすべて手書きで!(この点については自分が超アナログ人間だということもありますが、ビッグバンドに限らず最近のコンテンポラリージャズ色の強い、いかにもコンピューターを使って作ったようなサウンドに対するアンチテーゼでもあります)」

なるほど、でした。今回のライブはエンターテインメントとしても最高に楽しめるものでしたが、なによりも野口さんの演奏された曲はどれもメロディの良い曲だったというのがいちばんの感想。僕は基本的には音楽をメロディ(とアレンジ)で聴く人間なので。

そういう野口さんですから、ただ石川さんに頼まれたからとか石川さんが好きだからということだけで曲を演奏するはずがないんですね。


思わず笑ってしまったのが「Cradle Song」についてのこんなコメント。


「どこか外国の避暑地の昼下がり、ハンモックに揺られて・・・というイメージ」


昨日僕が書いていた通りですね。まさに野口さんがイメージしていた通りに受け取っていたんですね。


前置きが長くなりましたが、ライブは第2部へ。時刻は夕方の6時。

まずは野口久和 THE BIG BANDによる演奏が3曲。1曲目は超アップテンポの「Dizzy Fingers」という曲。野口さんが超高速で演奏するピアノがすごかったです。ここにLiberaceというピアニストの演奏シーンがありますがこんな感じ。




で、野口さんの凄いのは合間合間にバンドの指揮もするんですね。昔、ビデオでグレン・グールドが指揮をしながらピアノを弾いているのを見てびっくりしたことがありましたが、そういうのを生で見たのははじめて。というかめったに見れるものではないですね。一旦ピアノから離れて指揮をして、で、ピアノに戻ってすぐに弾き始める。言葉で言うのは簡単だけどすごいことです。


2曲目は野口さんのファースト・アルバム『How About A Drink?』に収録された「Cat Walk」。明らかにヘンリー・マンシーニのこの「ピンク・マンサーのテーマ」を下敷きにして作られた曲ですね。これもいい曲でした。

この日のライブではヘンリー・マンシーニの「Mr. Lucky」も演奏されていたので、きっと野口さん、ヘンリー・マンシーニがお好きなんでしょうね。僕もヘンリー・マンシーニは大好きです。


大好きといえば、この「Cat Walk」を演奏した後に野口さんの好きなアレンジャーの話をされたんですが、この話のあたりから僕のワクワク度合いはさらに高まっていくことに。で、野口さんが好きだというアレンジャーの名前を聞いて、野口さんのバンドで演奏した曲がそのアレンジも含めて僕の好みにぴったりだと感じた理由もよくわかりました。

まず最初に名前を挙げたのがクインシー・ジョーンズ。クインシー・ジョーンズといえば僕にとってはなんといってもレスリー・ゴーアの楽曲のアレンジですね。

で、次がこの日のブログで紹介したネルソン・リドル。

そして3人目がニール・ヘフティ。

ニール・ヘフティはジャズ畑では最も好きなアレンジャーだったので、昔、中古レコード屋さんを回ってはニール・ヘフティのレコードを集めていました。カウント・ベイシーの『Basie Plays Hefti』なんて死ぬほど好きです。

そういえばニール・ヘフティのものでいちばん探したのがこのレコード。

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ジョニー・ソマーズの『The "Voice" Of The Sixties!』。

知り合いがこれを持っていて、ジャケットを含めて最高だったので、どうしても欲しくて大阪あたりまで探しに行きました(もちろんまだネットを利用していない頃の話)。でも、結局、見つからなかった。

で、ネットを利用するようになって知ったのが海外のオークションサイトeBay。初めてeBayを利用して買ったのがこのレコードでした。結構高かったけどどうしても欲しかったので。

そういえばそのeBayの話もこのライブの時にちらっと出てきましたね。


さて、野口さんがとりわけ好きなアレンジャーとして最後に語られたのがギル・エヴァンス。

ギル・エヴァンスといえばなんといってもあれだなと僕が頭に描いていたら、「もし、無人島にもっていくレコードがあるとすれば」という話がでてきてびっくり。僕がそのレコードを知ったきっかけはまさに『無人島レコード』という本だったので。

で、野口さんの口から語られたのはまさにその『無人島レコード』という本で知ったレコード、マイルス・デイヴィスの『マイルス・アヘッド』。そのアルバムはこの日のブログで紹介していたもの(マイクロスターの「My Baby」の話のつながりでしたね)。ピチカート・ファイヴの小西康陽さんが『無人島レコード』という本で選んでいたものでした。こんな写真も載せていますね。僕もこれを読んで『マイルス・アヘッド』を買いました。

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というわけで野口さんのこの話が出た瞬間から僕の頭の中ではこのアルバムの1曲目の曲が流れ始めてきて、東京にいる間中ずっと脳内再生を続けていました。本当は実際の曲を聴きたくて仕方がなかったけど僕のスマホにはその曲を入れてなかったので、東京から戻ってきたとき、いろいろと買ったりもらったりしたCDをおいといて、まず最初に『マイルス・アヘッド』に針を落としました(持っているのはCDなので、あくまで比喩)。

大好きなその1曲目の曲。タイトルは「Springsville(スプリングズヴィル)」。




野口さんがライブで実際に演奏されたのは『マイルス・アヘッド』とは別のアルバムに収録された「Jambangle」という曲。でも、僕の頭の中には「Springsville」がとめどなく流れてきて、それとビッグバンドが演奏する曲が重なってちょっと夢心地な気分になっていたときにBREEZEが再登場。

ついにそのときがやってきました。


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by hinaseno | 2017-05-21 12:44 | 雑記 | Comments(0)

前回紹介した野口久和 THE BIG BANDの『One Night Stand!』を手に入れました。よく利用しているAmazonが品切れ状態だったのでちょっと苦労したけど。

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ジャケットを開いたらビッグバンドのメンバーとBREEZEの写真。BREEZEはこのときはアルトが現在の松室さんではなかったんですね。

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先日のライブで聴けた曲も何曲か。「Cradle Song」は何度聴いてもたまらない。海辺の木につるしたハンモックに寝そべってこの曲を聴きながらうとうとできたら最高だろうな。

ハリー・ウォーレンの「Jeepers Creepers」も最高。早速iTunesのプレイリストの「Harry Warren Songbook」に入れました。「Jeepers Creepers」はこれで6曲目。


さて、新曲「Pick Yourself Up」のあとにBREEZEが歌ったのはラテンの曲が2曲。有名な「ベサメ・ムーチョ」と「Cielito Lindo」。ラテンなのでいずれもスペイン語。日本人としては英語以上に発音が難しいのではと思いますが、見事に歌いこなされていました。実はラテンの曲はちょっと苦手なんだけど、こうやって聴くとやっぱりちがいますね。印象がすっかりかわりました、特に初めて聴いた「Cielito Lindo」というのはとてもいい曲。

こんな曲です。




ソロで歌われていた磯貝さんの声質によく合っていました。

そういえば磯貝さんのMCって最高ですね。何度も笑わせてもらいました。


第一部でのBREEZEはこの3曲。「Beats There A Heart So True」は2部に持ち越し。でも、コーラスグループとしてのBREEZEの実力を十分に知ることができたので、期待はさらに高まりました。

で、BREEZEが退場した後、ビッグバンドによる演奏が2曲。まずはクラリネットのソロによって演奏されるベニー・グッドマンの「Memories of You」。いやあ、これも素晴らしかった。

これがオリジナルですね。




で、1部の最後に演奏されたのが「Ol' Man River」。作曲は「Pick Yourself Up」と同じジュローム・カーン。ただし作詞はドロシー・フィールズではなく有名なオスカー・ハマースタイン。ミュージカル『ショウ・ボート』で歌われた曲だったんですね。

ここで野口さんはジュローム・カーンの作曲した曲を何曲か紹介。石川さんの好きな「The Way You Look Tonight」や『有頂天時代』の話をされて、ようやく僕はいろんなつながりに気がつきました。


ところで僕が「Ol' Man River」という曲を知ったのはビーチ・ボーイズが歌ったこれでした。




この曲はたいていこんな風にゆっくりと歌われるんですが、野口さんはこの曲を軽快なアレンジで演奏します。ウェストコーストって感じで。

ちなみに先日紹介したビル・ホールマンもこの曲をこんな感じで軽快に演奏しています。




この曲で1部は終了して30分間の休憩に。この休憩のときに石川さんの顔の広さをまざまざと知ることになりました。あちこちでいろんな人から声をかけられていたんですね。

でも2部が終了したときにはさらに多くの人が次々に石川さんのもとへやってくることになります。石川さんの肩を強く叩いて握手する人がいたりと。

その理由についてはまた次回以降に。


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by hinaseno | 2017-05-20 15:20 | 雑記 | Comments(0)

さて、場面はBREEZE登場から。ですがその前に先日アゲインの石川さんから野口久和さんが野口久和 THE BIG BAND名義で2010年に出した『One Night Stand!』のCDを送っていただいたのですが、なんとBREEZEが歌っている曲の一つがハリー・ウォーレン作曲の「Jeepers Creepers」。いや、びっくりでした。

ハリー・ウォーレンというのは「Beats There A Heart So True」と同様に僕と石川さんがそれぞれに騒ぎ続けている作曲家。このブログでも彼のことを何度書いたかわかりません。

きっかけはやはり大瀧さん。「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のクリス・モンテス特集のときに大瀧さんがハリー・ウォーレンのことを語っていたんですね。「ハリー・ウォーレン、非常にいい曲を書きますね」と。

クリス・モンテスは昔から大好きなアーティストですが、とりわけ好きだった「The More I See You」が古いポピュラー音楽で、その作曲家がハリー・ウォーレンという人だなんて全く知らなかったのでちょっとびっくりしてしまって、ハリー・ウォーレンに注目するようになったんですね。

探しはじめたらいい曲がいっぱい。それから僕と石川さんの間でそれぞれが見つけた音源や情報を交換し合っていました。石川さんから送られてきたCDは10枚を超えていたような気がします。


ハリー・ウォーレンといえば、3年ほど前のこの日のブログで紹介したこの『イージー・トゥ・リメンバー:アメリカン・ポピュラー・ミュージックの黄金時代』という本のこと。たまたま書店で見つけたものですが、この本を手にとって何よりも嬉しかったのはハリー・ウォーレンという作曲家のことをかなりのページ数を割いて取り上げられていたこと。しかもハリー・ウォーレンがピアノを弾いているこんな写真まであって。

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もちろん即購入。で、このブログで紹介したら石川さんがすぐにそれに反応されて(すばらしい本だと電話をいただいたように思います)、石川さんのブログでも何度もこの本のことを紹介されたんですね。

そんなある日、石川さんは思いも寄らないポピュラー・ミュージックのソングライターに目を付けられます。このページの写真をブログに載せられて。

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ピアノを弾いているのは作曲家のジミー・マクヒュー。でも石川さんが惹きつけられたのはその傍らに立っている作詞家の女性でした。

その女性の名はドロシー・フィールズ。

石川さんはこの人の作詞した曲に心を奪われてしまわれたんですね。とりわけ心を奪われたのがジュローム・カーン作曲の「The Way You Look Tonight」で、その曲について折に触れてブログに書かれていました。

ちなみにこの本でジュローム・カーンとドロシー・フィールズのことを取り上げているのはフレッド・アステアの映画音楽について書かれた章。フレッド・アステアの曲は僕も大好きだったのでこの章はとても楽しく読んでいたのですが、でも、ドロシー・フィールズに関心を持つことはありませんでした。

恐るべし、石川アンテナです。


さて、ライブが始まって30分くらいたったところで待望のBREEZEが登場。「Beats There A Heart So True」がどういう形で歌われるのかドキドキしながらも、もともとコーラス好きなのでどんなコーラスを聴けるのか楽しみな気持ちでいっぱいでした。

そしてMCを担当された磯貝さんが1曲目の曲を紹介されます。


「BREEZEの新曲で野口さんがアレンジしました。フレッド・アステアが映画の中で歌った曲です。

『Pick Yourself Up』」


この瞬間、僕の前に座られていた石川さんが激しく反応。僕の方を振り返って「ジュローム・カーン、ジュローム・カーン」と興奮気味に言われました。そう、それはまさに石川さんが愛するドロシー・フィールズが作詞してジュローム・カーンが作曲した曲。石川さんがアゲインを出る直前に僕にくれたフレッド・アステアの映画のチラシでこれだけは見なければと指差していた『有頂天時代(Swing Time)』で歌われた曲でした。これが映画で歌われるシーン。




ちなみに石川さんがとりわけ好きな「The Way You Look Tonight」も同じ『有頂天時代』で歌われたもの。

どうやら野口さんとBREEZEは「Beats There A Heart So True」以外にサプライズの形で石川さんへのプレゼントを用意していたようでした(「たまたま」ではなかったはず)。

ただ、実は僕はこのときにはまだこの曲がドロシー・フィールズが作詞したもので、『有頂天時代(Swing Time)』で歌われた曲だとは気がついてはいませんでした。でも、あとで振り返ったらちょっと鳥肌が。

ちなみにこれは『イージー・トゥ・リメンバー』に載っていた『有頂天時代』のスコアを検討中のジュローム・カーンとドロシー・フィールズの写真。

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さて、野口さんのアレンジしたビッグバンドの軽快なサウンドに乗って歌っているBREEZEを見てこれは本物だなと感服。いっぺんにBREEZEファンになってしまいました。来て本当によかったなと。


ところで、今、BREEZEは野口さんとツアー中。静岡~名古屋~四日市~松阪と回られるようです。こちらに日程が載っていますね。静岡は昨日終わったようですが、もしお近くの人がいらっしゃったらぜひ行ってみてください。


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by hinaseno | 2017-05-19 12:29 | 雑記 | Comments(3)

松本隆に最も接近した日


野口久和 THE BIG BANDのライブの話はいよいよBREEZE登場ということになりましたが、ここでちょっと別の最近の話を。

何か長い話を書き続けているとその間に起こった出来事を書けないまま、僕自身の賞味期限が切れてしまうことがしばしばあるのでそれを書いておこうと思います。

野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”のライブの賞味期限が切れることは絶対にないのでご心配なく。


最近、というか昨日すごいことが起こったんですね。と言っても例の皇室の方の、まだ正式決定はしていないはずのおめでたい話ではありません。こういうのがワイドショーで流されまくる状況を作って、それを隠れ蓑にして恐ろしい法案が通ってしまうようになるのはたまったものじゃないんですが、たいていそういうことが起こっています。

オリンピックという名目のために、僕のようにあまり人が通らないような路地に入りこんで、あまり人が撮らないようなものにカメラを向けたりしていたらすぐに通報されたり職務質問されたりしてしまうような法律ができるなんて冗談じゃないです。僕のささやかな楽しみの自由を奪って欲しくないです。ホントに。


話がそれてしまいました。

ところで僕のブログでこれまで書いた記事の中で最もアクセス数が多いのはダントツでこの話です。松本隆さんが大瀧詠一さんについて新聞に書いたコラムを載せたときのもの。おそらく松本さんがTwitterかFacebookにリンクして、さらにそれを見た人がリンクしていったんじゃないかと思いますが、まあとにかくすごいアクセス数でした。

ちなみにその次に多いのはこの記事。理由は、さて。


実は昨日、その松本隆さんに、あの内田樹先生と毎日放送の西靖アナウンサーが、たぶんプライベートに食事をされて、さらに内田先生と西さんは神戸にある松本さんの家に招かれたというんですね。関係のない人にとってはこういうのは「へえ~」で終わってしまうと思いますが、僕にとってはすごいこと。内田先生は大瀧さんの家にも行き、そして松本さんの家にも行ったことになります。すっごいな~、うらやましすぎる~。

確か来月、石川さんは内田先生や平川さんたちと一緒に恒例の箱根の温泉に行かれるそうなので、ぜひ松本さんとお会いしたときのことを聞いておいてほしいと思います。


ところで結局書かずじまいに終わってしまった話の一つに、僕が松本隆さんに最接近した日のことがありました。それは昨年暮れのこと。

神戸の元町にある音楽バーで(店の名前、なんて言ったっけ?)松本隆さんが作詞した曲をかけまくるというイベントがあったんですね。で、もしかしたらそこに松本さんが顔を出されるかもしれないということを松本さん自身がTwitterだかFacebookでつぶやかれていたのを見つけて、絶対に行かなくてはと思って速攻で予約して行きました。

でも、帰りの電車のぎりぎりの時間まで待っても松本さんは現れず。仕方なくその場所をあとにしました。店の下には松本さんが現れるのを待っている人も何人かいました。

で、帰る電車の中でチェックしたら、なんと僕が店を出てから間もなく松本さんが現れたという情報が。その場にいた人は嬉しそうに松本さんと並んで写真を撮ってました。くやしかったな。

でもまあ松本さんの作詞した曲を、もちろん大瀧さんが作曲したいくつもの曲を、レコードで爆音で聴くことができたのはうれしかったです。

この写真は僕が座ったカウンターの風景。

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目の前に並べられていたのは松本隆さんが作詞された曲のシングル・レコード。

右から太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」。で、次の2枚が大瀧さん作曲の曲ですね。まずは松田聖子の「風立ちぬ」、そして森進一の「冬のリヴィエラ」。「風立ちぬ」は僕がジャック・ケラーという素晴らしい作曲家を知るきっかけとなった永遠の名曲。でも、僕がいるときにはかからなかったけど。

さて、そのジャック・ケラー作曲の「Beats There A Herat So True」がBREEZEによって歌われたときの話は次回、かな?


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by hinaseno | 2017-05-17 13:24 | 雑記 | Comments(0)

感動というのを言葉にするのは本当に難しい。なるべく冷静にそのときのことを振り返ろうと思いますが、淡々と書き過ぎればあまりにも多くの思いがこぼれ落ちてしまうような気がします。かといって大げさに書いてしまったら逆に伝わらない。この一週間、このときのライブに至るまでの過程を書きながら、このライブのことをどう書いたらいいのかずっと考え続けてきました。

はっきり言えるのはこの日のライブでのあの瞬間の感動は一生忘れないだろうと。それくらい素晴らしいライブでした。


正直言えば、これまで僕はビッグバンドものをそれほど熱心に聴いてきたわけではありません。ジャズのライブには何度か足を運んだことがあるものの、ビッグバンドが演奏するのを見るのは初めて。まあもちろん滅多に見られるものではありません。今では日本だけでなく、世界でもビッグバンドはめずらしいものになっているはずですし、ましてやバンド・シンガーを伴って現在も活動しているバンドなんてはたしてどれくらいあるんだろう。


ということなので、BREEZEの登場を待ちわびつつも、いったいビッグバンドによる演奏でどんな音が飛び出してくるのか興味津々でした。

その1曲目は野口久和さんのオリジナルの「How About A Drink?」。

野口さんのファースト・アルバムに収録されているアルバムのタイトル曲ですね。曲が流れてきた瞬間、おおっウェストコースト!と思ってしまいました。僕がビッグバンドの中では最もよく聴いていたビル・ホールマンのアレンジした曲に通じるような爽快なサウンド。いっぺんに引き込まれてしまいました。と同時に、17人のミュージシャンによって演奏される音の厚みに圧倒されてしまいました。いや、すごいなと。


2曲目は「Don’cha Go 'Way Mad」。

この日のライブを1枚のレコードに例えるならば、この第1部の2曲目はA面の2曲目にあたる曲。A面2曲目にふさわしいというか、A面2曲目好きの人間としてはたまらない曲でした。野口さんも大好きな曲とのこと。作曲はイリノイ・ジャケー。

この曲、聴き覚えがあったので、はたしてだれのもので聴いていたのかと考えていたのですが、ようやくわかりました。このルーシー・アン・ポークの歌ったものでした。




この曲が収録されたアルバムは超のつく愛聴盤。その中ではあまり意識しなかった曲でしたが、大好きな曲になりました。好きな曲が一つ増えるというのはいいものですね。

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で、3曲目はふたたび野口さんのオリジナル曲。タイトルは「Cradle Song」。

この曲ははっきり言ってつぼでした。ボサノバのリズムに乗って奏でられるフルートのソロが何とも心地いい。一日中聴いていても飽きないような爽やかな曲。よかったなあ~、この曲。

この「Cradle Song」は野口久和 THE BIG BAND名義のアルバム『One Night Stand !』に収録。アルバムにはBREEZEも参加しているんですね。


さて、ビッグバンドによる大・大・大満足の3曲の演奏が終わった後、ついにBREEZEの4人のメンバーが野口さんに呼び込まれて登場。ネット上の写真で見ていたBREEZEが目の前に。いや~、感動しました。

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右から磯貝たかあきさん (baritone)、松室つかささん (alto) 、小菅けいこさん (soprano)、そして中村マナブさん (tenor)。


そしてBREEZEの新曲として披露された1曲目の曲に、目の前に座っていた石川さんが激しく反応することになります。


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by hinaseno | 2017-05-16 15:01 | 雑記 | Comments(0)

野口久和 THE BIG BAND with “BREEZE”によるライブが行われる会場は秋葉原にあるTokyo TUC。東京の地理に関してはここ数年、映画や文学の舞台、あるいはよく知った人の住んでいる場所を通じて行っていなくてもかなり詳しくなっているつもりですが、実は秋葉原ってどこ? でした。秋葉原という地名はもちろんよく知っていても、場所をチェックしたことは一度もありませんでした。


地図を調べたら神田の近く。

おっ、でした。

神田には行ってみたい場所がいっぱいあったので、それではと宿泊場所を神田にしました。泊まったのは内田先生が東京に行くときには必ず利用される学士会館。

行ってみたら場所も最高だし、なによりも建物の雰囲気が素晴らしかった。泊まった建物は関東大震災後に建築されたいわゆる震災復興建築。完成したのは昭和3年。外観もそうですが建物内のいたるところに歴史を感じさせるものがあふれていて廊下を歩いているだけで戦前にタイムスリップしたような気分になりました。今後東京に来ることがあれば、必ずここを利用することにします。

そういえばその学士会館の近くにいたときに石川さんが「ゴー!ゴー!ナイアガラ」の植木等さんがゲストのときのクレージーキャッツ特集で学士会館の話が出てくるというのを言われたので昨日聞き返してみたら確かに。

まだ「スーダラ節」で大ブレイクする前の話ですが、クレージーは学士会館で演奏したりしてたんですね。学士会館のサイトにこんな写真が貼られていました。演奏しているのがクレージーのようです。

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植木さんは学士会館にまつわるエピソードをいくつか紹介していました。学士会館の従業員とバンドのメンバーとの間で食べ放題の食事をかけて野球をしたとか。なんとものんびりした、いい時代。学士会館に対してさらに親しみがわきました。それにしても植木さんと大瀧さんの話、最高だな。話の内容もそうですが、何よりも語り口が素晴らしい。


さて、チェックインをすませてもう一度地下鉄に乗ろうかと考えましたが、歩いても時間がそんなに変わらないということと僕自身が地下鉄に乗るよりも街を歩いてみたかったので、結局歩いて行くことにしてもらいました。石川さんも日頃は地下にいらっしゃることが多いので、街を歩くのは新鮮だったようです。


会場に到着したのは開演の4:30ぴったり。全席Sold Outしていたことは知っていましたが、まさに超満員。歩く余地すらないほどぎゅうぎゅう詰め。僕たち二人が予約していた席が2つ残っていただけでした。で、目の前には一見してベテランとわかるミュージシャンがずらりとスタンバイ。

この光景を見て、正直ちょっと気軽に考えていたことがいっぺんにふっとんでしまいました。こんな場所で、こんな多くの、間違いなく耳の肥えた人たちを前にして「Beats There A Heart So True」が演奏される、歌われるということがなんだか恐いことのように思えてきました。

ここに来ているほとんどの人が「Beats There A Heart So True」という曲をはじめて聴くはず。僕が大瀧さん経由で知って大好きになったジャック・ケラーという作曲家のことなんて絶対に誰も知らないはず。

聴く人だけでなく、演奏するメンバーにも、曲を歌うBREEZEにも満足してもらえるんだろうかと、僕の方まで緊張してきてしまいました。


そして、バンドリーダーの野口久和さんが登場しました。


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by hinaseno | 2017-05-15 15:34 | 雑記 | Comments(0)

荏原中延の隣町珈琲から武蔵小山の商店街を通り抜けて15分くらいで武蔵小山の駅前に到着。アゲイン、ペットサウンズのあるビルが見えてきました。

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聞くところによると、アゲインからの客を隣町珈琲に送り込んだり、逆に隣町珈琲の客をアゲインに送り込んだりしているようで、ここを行き来している人は結構多いようです。ずっと商店街が連なっていて散歩するにはちょうどいいコース。

さて、いくつもの「たまたま」が重なって、この日東京に来ることになったわけですが、アゲインという場所にやって来ると不思議なことに、またいくつもの「たまたま」が起こり始めたんですね(あとになって気がついたことも多いけど)。一体ここはどういう場所なんでしょうか。

ここがアゲインの入り口。

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はじめてここを訪れた人はここから地下に降りて行くのはちょっと勇気のいること。高橋和枝さんもここでしばらく立ち止まったようです。その小さな心のハードルを乗り越えて入ってきた人というのはもうそれだけで石川さんにとっては合格ということで、店にとってかけがえのない人として大歓迎をされるんですね。歓迎のコースは何種類かあるようですが、それは行かれてみてのお楽しみ。

ところで約束の時間は過ぎていたのですが、アゲインに行く前に上のペットサウンズに立ち寄りました。そこで買ったのが元ピチカートファイヴの野宮真貴さんの新譜『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。~ Wonderful Summer ~』。

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全曲カバーなんですがどれもいい曲ばかりなんですね。1曲目はわが最愛のロビン・ワードの「ワンダフル・サマー」。他にも大瀧さんの曲や達郎さんの曲や細野さんの曲やかまやつさんの曲をカバー。元ピチカートファイヴのメンバーだった小西康陽さんの曲も2曲。この情報を知っていたのであらかじめペットサウンズに予約していました。ちなみにこの小西さんというのがあとにつながってきます。

この日は店長の森勉さんはお休みということでレジにいたのは東尾さん。野宮さんのマグネットをはじめいろいろとおまけのプレゼントをいただきました。

さて、急ぎ足でアゲインに行ったら、この日のイベントである『ほのぼのSP講座』(講師は郡修彦さん)は最終盤。ちょうど最後の曲がかけられるところでした。

それが「おっ!」という曲。この「長崎の鐘」でした。




作曲はあの古関裕而。「長崎の鐘」についてはこの日のブログでも少し触れていますが、実は翌日ニコライ堂に行く予定にしていたので同じ古関裕而作曲の「ニコライの鐘」がかかれば最高だったなとちょっと思ったりもしました。でも、曲としては「長崎の鐘」のほうがはるかにいいです。

そういえば以前、竹久夢二の書いた「福島夜曲」という詩に古関裕而が曲をつけたものがあることがわかったとき、アゲインの石川さんが速攻で送ってきてくれたのが『ほのぼのSP講座』の古関裕而特集のときの音源でした。そこに「福島夜曲」が収録されていたんですね。いろんな意味で感動しました。


ところで時系列的には少しとびますが、翌日その古関裕而について武蔵新田の喫茶店で石川さんと高橋さんと僕の間でこんなやりとりがありました。


石川「古関裕而は誕生日が僕と同じ8月11日で、人に言うとたいてい『へえ~』で終わっちゃうんだけど、これは僕にとってすごいことなんだ」
(高橋さん、その意味を汲み取ろうと石川さんの話を真剣な眼差しで聞く)
僕「ところで僕は原節子と誕生日がいっしょなんです」
石川「へえ~…」
(高橋さんと僕、ずっこける)

誕生日がいっしょということでもうひとつおもしろいことがありました。あとでわかったことだけど。

『ほのぼのSP講座』が終わったあと、その日いらっしゃっていたある女性が紹介されたんですね。作家で翻訳家でもある松本侑子さん。

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今度、古川ロッパに関する本を出されるということで、7年前に石川さんが企画立案されて出されたこの『古川ロッパ傑作集』というCD(郡さんも音源提供されて、ブックレットに寄稿されています)のことを知って、石川さんや郡さんの話を聞きに来られていたんですね。アゲインに来られたのは2度め? 松本さんは石川さんのことを「石川先生」と呼んでいました。

これが『古川ロッパ傑作集』。

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そして、その松本さんの新刊がこの日紹介されていたこの『みすゞと雅輔』。

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みすゞというのは金子みすゞ。雅輔というのはみすゞの弟の上山雅輔。古川ロッパの下で編集者として働いていたんですね。ということでロッパの曲にもいくつか詞を提供しています。

『みすゞと雅輔』は400ページ近い大書ですが、石川さん曰く「君(僕のことです)のような人間にはぴったりだと思う」と。ということで石川さんにその本をいただきました。またゆっくり読みます。

ところで、この日知ったことですが松本さんは『赤毛のアン』を翻訳されていた方だったんですね。東京に来る新幹線でずっと聴いていた太田裕美さんの『心が風邪をひいた日』の中に収められた超名曲「青春のしおり」の歌詞の最初に『赤毛のアン』が出てきていたので「おっ、つながった!」でした。作詞はもちろん「木綿のハンカチーフ」と同じ松本隆さん。

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つながったといえば、家に戻って松本侑子さんのことを少し調べていたら僕と誕生日が同じでした。

(「へえ~」)

これも縁ですね。次のロッパの本も必ず読みます。


さて、3時には店を出てライブ会場に向かうということになっていましたが、最後にちょっと小さなトラブルがあって(その後日談が笑っちゃったけど)予定の時間を少しオーバー。でも、そのバタバタした状態の中で店を出る前に石川さんからいただいたのがシネマヴェーラ渋谷で上映されるミュージカル映画特集。ぜひ手渡したかったもののようでした。

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こちらが上映される映画。

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僕も大好きなフレッド・アステア主演の作品が中心です。このとき石川さんが全部は見れないけどこれだけは絶対に見ておかなければと言ってチラシの左のほうを指差した先にあったのが『有頂天時代』。そのときには僕も落ち着かない状態だったのできちんとそれを確認できてはいなかったのですが、実はこれがあとにすごいつながりをもっていようとは、でした。

これが「たまたま」だったのか。


ところで今気がついたけど、このミュージカル特集の上映が始まる日は松本侑子さんの誕生日ですね。つまり原節子さんの誕生日であり僕の誕生日でもあります。

(「へえ~」)

もうひとつ誕生日つながりの話。昨日、平川克美さんの『路地裏の民主主義』を読んでいたら、坂本九の「上を向いて歩こう」の話が出てきて、それが全米1位になった日の日付が書かれていて「おっ」でした。

1963年6月15日。

松本侑子さんの生まれる2日前でした。


店を出る前に撮ったのがこの写真。大瀧さんを囲んだ石川さん(石川先生)、平川さん、内田先生。前回来たときにも撮ったけど、ここに来た記念です。

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というわけで石川さんと一緒に武蔵小山駅の階段を早足で駆け下りました。このときの石川さんはまだ僕が追いつけるスピードでした。


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by hinaseno | 2017-05-14 12:49 | 雑記 | Comments(0)

大崎広小路駅で池上線の電車に乗って2つ目の駅が荏原中延駅。荏原中延は平川さんが隣町珈琲をされるようになって知った町ですが、東京に行く前に『早春』のシナリオ(昭和30年11月発行の『シナリオ 早春特集号』と昭和31年発行の『松竹映画シナリオ 早春』)を読んでいたら、その荏原中延が出てきたんですね。

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39 夕方、荏原中延界隈
      高架線の上を電車が通る。

ところが『日本シナリオ文学全集』(理論社)に掲載されたシナリオではこれが五反田に変えられていました。

このあたりのいきさつはよくわかりませんが、いずれにしても浦辺粂子(池部良の奥さんの淡島千景の母親役)がやっているおでん屋は当初は荏原中延のあたりに考えられていたんですね。ただ、おでん屋は高架下にイメージしていたら、荏原中延のあたりは高架ではないということがわかって最終的には場所を五反田に変更されたんですね。でも、きっと小津は荏原中延のあたりをロケハンしていたはず。

なんてことを考えながら荏原中延駅から商店街を通って隣町珈琲に向かいました。

これは荏原中延駅。

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あとで写真を確認したら下に交番があったんですね。ちっとも気がつきませんでした。共謀罪なんてものができたら即座にしょっぴかれちゃいます。

で、駅から連なる商店街を。

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日曜日の昼過ぎ。人にあふれているとまではいかないけど、これくらいの人が行き交う商店街というのはなんだかとても懐かしい。

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花屋には春の花がいっぱい。ちょっと年配の女性も大きな買い物かごを取り付けた自転車で元気に通り過ぎていきます。

そして隣町珈琲が見えてきました。駅から歩いて5分くらい。ここまで地図もナビも一切使わずにやってきました。この町もストリートビューで何度も歩いていたので。

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これが正面入り口。初めて来たのに懐かしい。

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どきどきしながら店内に。入り口すぐそばの本棚には高橋和枝さんの『くまくまちゃん』と益田ミリさんの『今日の人生』が並んでいました。

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そしてカウンターには小さな額に飾られた大瀧さんの写真。大切な人や大切なものがいっぱい。

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で、平川克美さんが一番奥の席にいらっしゃいました。パソコンを前に執筆中。テーブルは埋まっていたので、平川さんに促された場所に座ったら、目の前に見覚えのある人。あの名越康文さん。よく来られているとは知っていましたが、やはりびっくりしますね。

ちなみにこの写真を撮ったとき、名越先生はお手洗い中。

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平川さんのことはこのブログで何度も書いているのでちょっと名越先生のことを。

僕はテレビは10年くらい前からあまり見なくなったけど、毎日必ず見ていた番組があってそれが『ちちんぷいぷい』でした。正直、関西の番組はどれも苦手でしたが、『ちちんぷいぷい』は司会をされていた角淳一さんが好きだったんですね。『ヤングタウン』時代からのファンだったので。

その角さんのあとに司会をするようになったのが岡山出身の西靖さん。これも縁でした。最初ははらはらして見ていましたが、でもすぐにアナウンサーとしてもひとりの人間としても大変優れた人であることがわかりました。で、その『ぷいぷい』にレギュラーとして出られていたのが名越先生。

その名越先生と西さんと内田樹先生(改めていうまでもありませんが平川さん、石川さんの幼馴染で同じ会社にもいらっしゃった人)が『辺境ラジオ』というのをするようになったんですね。これがめちゃくちゃ面白くって第一回目から全部聞いています。

その名越さんと平川さんが目の前にいらっしゃるので緊張しない方がおかしいですね。いやはや。でも、岡山がらみのいろんな話をしました。岡山の女性の顔は○○だ、という話(ブルゾンちえみにつながる話)で盛り上がってしまって、予定の時間をオーバー。お二人に囲まれて写真を撮らせてもらっていい記念になりました。


ところでこれは昨日紹介した平川克美さんの新刊『路地裏の民主主義』(角川新書)。

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もちろんサインしていただきました。帯に使われている写真はおそらく荏原中延の商店街で撮られたもの。家に戻って読んだらびっくり。この日に紹介した『望星』に収録された話が載っていました。他にもうれしい話がいっぱい。池上線や目蒲線沿線の町の話とともに岡山の話もあちこちに出てきます。

ただ、この本は単なる町歩きの穏やかな本ではありません。この本を書き上げたあとに平川さんは大きな手術をされたんですね。先月アゲインで行われたアゲイン10周年記念イベントの内田樹、平川克美、石川茂樹鼎談では手術の前に遺書を書かれていたとおっしゃっていました。ある種の(つまり場合によってはこれが遺作になるかもしれないという)覚悟の中で、この本を書かれていたんですね。絶対にオススメですので是非読んでみてください。

そういえば隣町珈琲では内田樹、平川克美、名越康文の鼎談を収めたこの『僕たちの居場所論』本も買いました。本は持っていたんだけど、サイン本ということだったので。でも、あとで見たら平川さんのサインはありませんでした。まあ、もう一冊の方にいただいたのでいいかな。

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さて、その平川さんに近道を教えてもらって、急ぎ足でアゲインに向かいました。少し拝見しようと思っていた郡さんの『ほのぼのSP講座』も終わりかけの時間になっていました。


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by hinaseno | 2017-05-13 11:02 | 雑記 | Comments(0)

昨日のブログを読み返していて、古い池上線の写真を一枚貼り忘れていることに気がついて今朝貼り付けました。よかったら見ておいてください。今よりもはるかに素敵な風景です。


さて、五反田で下車して、小津の映画のシーンが撮影された場所とともにどうしても見ておきたかったのはこの絵が描かれた場所でした。

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松本竣介の「鉄橋付近」という作品。何度も書いていますが松本竣介は僕が日本で一番好きな画家。夏葉社から出た尾形亀之助の『美しい街』で松本竣介のデッサンが使われていたことは本当に嬉しく思いました。

さて、松本竣介は同じ風景を描いた作品(「鉄橋近く」という題名になっています)もいくつかありますが、これはその中の一つ。松本竣介の、あの「青」で描かれたもの。

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どっちも最高に素晴らしい。で、先日、彼がこの絵のデッサンをした場所に行ったんですね。それがここ。

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小津の『早春』や『東京暮色』に映っている池上線の鉄橋の下をくぐって目黒川沿いに下って、さらに山手線の鉄橋をくぐった場所。高さの違う線二つの線路が川の上で重なり合っています。山手線は水平なのに対して池上線は左側に高度を下げていますね。

言うまでもありませんが、今のこの風景を見て、松本竣介が描いた風景がここだとわかる人はまずいないはず。

この場所の発見については3年前に書いたこの日のブログで説明しています。僕が松本竣介という画家に強く惹かれるきっかけになった洲之内徹の『気まぐれ美術館』に書かれていたんですね。

松本竣介が描いていたこの無題のデッサンが決め手でした。

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まさにあの場所ですね。「鉄橋付近」(「鉄橋近く」)は文句なしに素晴らしい作品ですが、こちらのデッサンもたまらないものがあります。確認のためにこのデッサンをプリントアウトしてたのに持っていくのを忘れていました。

ところでこれは洲之内徹さんが撮影したここの風景。

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最初に掲載されたのは『芸術新潮』の1975年10月なので、これは1975年の池上線の風景のはず。

そういえば東京で手に入れた本の最初に読んだエッセイで、1975年のことを意識したばかりだったので「おっ」でした。

その本にはこんなことが書かれていました。


 1975年は、日本が、この歌のように相矛盾する二項の一方へと引き寄せられていくターニングポイントといってもよい年であった。戦後の高度経済成長が終わり、日本はまったく新しい時代の幕開けに立ちあっていたのである。
 そして、多くの日本人たちはそのことにまだ気が付いてはいなかった。

「この歌」というのは太田裕美の「木綿のハンカチーフ」のこと。実は僕は東京に来るまでの”東へと向かう”新幹線の中で何度もこの「木綿のハンカチーフ」が収録された太田裕美さんの『心が風邪をひいた日』を聴いていました。五反田に到着するまでに何回リピートしたんだろう。


ところで洲之内徹さんの『気まぐれ美術館』に収録された「松本竣介の風景(二)」には、松本竣介の絵とは直接関係のない洲之内さん自身とある女性とのちょっと切ない物語が語られています。「木綿のハンカチーフ」よりは少し前の、もう少し大人の物語。その舞台となっているのが五反田と武蔵小山でした。

武蔵小山というのは石川さんのアゲインのある場所。ということで石川さんと合流するためにその武蔵小山へと向かうことになるんですが、武蔵小山は池上線ではありません。もし武蔵小山へ電車で行くとするならば五反田から山手線で目黒に行き、そこで”元”目蒲線の目黒線に乗り換えて行くことになります。でも、僕は池上線に乗って荏原中延駅で下車しました。そこで石川さんと関わりの深い方の店に立ち寄って昼食をとりたかったので。武蔵小山へはそこから歩くことにしていました。


石川さんと関わりの深い方というのはもちろん平川克美さん。店というのは隣町珈琲。先ほど紹介した本はその隣町珈琲で買った平川さんの新刊(といっても僕が買ったときはまだ発売前)に掲載されていたエッセイでした。


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by hinaseno | 2017-05-12 12:45 | 雑記 | Comments(0)