Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
プロフィールを見る
画像一覧
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ:映画( 92 )



アゲインの石川さんから送っていただいた例の朝妻一郎さんがホスト役を務められたラジオ番組の話に移る予定でしたが、せっかくなので朝妻さんのことをしっかりと書いておきたいと思い、その仕込みに時間がかかっているので、内藤篤さんの『円山町瀬戸際日誌』のことをもう一回だけ書いておきます。昨夜読んだところに、ちょっと面白いことが書かれていたので。


前回も書きましたが、石川さんがミュージカル映画に関してとりわけご執心なのがバスビー・バークレーという振付師。彼は自ら振付をした映画の監督もしています。

今回のシネマヴェーラ渋谷での「ミュージカル映画特集Ⅱ」がどういう形で終わったのかはわかりませんが、次はバスビー・バークレー特集なんかをしたら石川さんが狂喜乱舞されるのでは、と思っていたら、そのバスビー・バークレーに関しての話が『円山町瀬戸際日誌』に出てきました。2014年に特集した「映画市場の名作」でバスビー・バークレー監督の『青春一座』を上映したんですね。

実は内藤さんは『青春一座』に関しては集客的にはあまり期待していなかったとのこと。ところが予想に反して客の入りは上々だったんですね。で、こんなことを書かれています(ちなみに筆者の内藤篤さんは「バスビー・バークレー」ではなく「バズビー・バークレイ」と表記)。


『青春一座』は、ミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドの一連の青春アイドル路線の第一作だが、あのバズビー・バークレイをバズビー・バークレイたらしめている華麗なダンスシーン演出はなくて、むしろ当時のMGMの看板スターのクラーク・ゲーブルをめぐる楽屋オチを楽しむような、ミュージカルファンにはやや物足りない一篇である。ああ、そうか、それでむしろ一般の客は入ったのか⁉︎ いや、しかしそこまで中身を熟知して、見に来てるとは思えないわけで、どうにも合点がゆかぬ。


これだけ読んでも名画座を経営する難しさがわかります。

『青春一座』は先日の「ミュージカル映画特集Ⅱ」でも上映されていて、石川さんはやはり見に行かれていました。石川さんの感想を読むと「いわゆる万華鏡バークレー・ショットは見られ」なかったことがちょっと残念だったようですが、映画としては楽しめたようです。


さて、果たしてシネマヴェーラ渋谷でバスビー・バークレー特集をやる日がやってくるでしょうか。お一人はきっと毎日通われるはずですが…。


[PR]
by hinaseno | 2017-08-25 10:14 | 映画 | Comments(0)

『円山町瀬戸際日誌』を読む前は名画座というものにロマンチックなイメージをもっていたけど、いざ経営ということになるとやはりいろいろと大変そうです。当たると思った特集が全然不調だったり、逆に苦しいかなと思った特集に結構人が集まったりとか。


ちょっと興味深かったのはちょうど10年前(2007年の末から2008年の初め)に行われたミュージカル特集のこと。この特集、どうやらかなり客の入りが悪かったようです。

内藤さん、こんなことを書かれています。


 さて、劇場はといえば、年末年始の年越しのミュージカル特集は不調で、筆者の見るところ、これは上映作品がどうのこうのというより、たぶん日本人はミュージカル映画がキライだ、ということなのだと思う。アステア映画が一本もないなど、作品的にも苦戦したのは事実だが(略)ジャンルとしてのミュージカル特集への敵意というのか無関心というのかが、日本全体を覆っているとしか思えない。漠然とは、そうした匂いを知らなかったわけではないから、今回も「ミュージカル」を前面には出さずに、「踊る人」という看板をかかげて、バレエ物や「踊りといえばベルトリッチ」などを混入させて「特集偽装」(?)をはかったのだが、やはりバレていたようだ。ピーマン嫌いの子供にピーマン食べさせようとして、細かく切って卵焼きか何かに混ぜて、どさくさ紛れに食べさせようとしても、そういうことには妙に敏感で、すぐに感づかれてしまうのと似ている。どうせ不調ならば、全部MGM映画でやれば良かったかもしれない。バレエ物も好きだが、一番好きなダンス映画が何かといわれれば、文句なく、RKOのアステア=ロジャース物とMGMのアーサー・フリード作品群である。ま、前者は公式には上映用プリントは存在せず、後者も三週間のプログラムを埋めるほどにはないのだけれども。

正直言えば、僕もずっとミュージカル映画は苦手でした。唯一好きだったのが、オードリー・ヘプバーンとフレッド・アステア主演の『パリの恋人』。これでフレッド・アステアを知って彼のCDをいろいろ買ったりしましたが、あくまで関心をもたのはアステアの歌であって、彼が主演した映画はいまだに

ほとんど見ていません。「日本人はミュージカル映画がキライだ」という内藤さんの意見にも頷けるものがあります。


ただ、僕の場合、最近はミュージカル映画で使われて、のちにスタンダードになった音楽への関心が急速に高まっているので、その流れでミュージカル映画もちょこちょこ見るようになりました。最近観たのでは大好きなハリー・ウォーレンの曲が使われている『四十二番街』とか。この振り付けをしているのがバスビー・バークレー。アゲインの石川さんが今最も強い関心を持たれている人ですね。

そう、最近の僕のミュージカル映画への関心の高まりは石川さんの影響大×4です。その石川さんが足繁く通われたのがシネマヴェーラ渋谷で6月から7月にかけて行われていたミュージカル特集Ⅱ。タイトルに「Ⅱ」がついているのは10年ぶりに行われる特集だからですね。

おそらく前回の第一回目の特集の反省を踏まえて「RKOのアステア=ロジャース物とMGMのアーサー・フリード作品群」を前面に押し出してのもの。内藤さんにとっては満を持してという感じだったでしょうか。果たして客の入りはどうだったんでしょう。


さて、ミュージカル映画への関心に多大なる影響を与えてくださったアゲインの石川さんから、またまた素晴らしいものを送っていただきました。先日、NHK-FMで4回に渡って放送されたこの番組を録音したもの。これが大瀧さんのアメリカンポップス伝を思い起こさせてもらえるような、超わくわくの番組だったんですね。これについてはまた次回に。


[PR]
by hinaseno | 2017-08-23 13:20 | 映画 | Comments(0)

先日書いた牛窓の話に関して、おひさまゆうびん舎の窪田さんから牛窓にあった絵本屋さんは宇吉堂という店ではとの連絡がありました。ネットで調べてみたら、宇吉堂は現在金沢に移転しているようですが、牛窓にあったときの情報も残っていたのでそれを見ると宇吉堂のあった場所は僕の記憶しているところと同じ。どうやら僕が言った絵本屋さんは宇吉堂でまちがいないようです。窪田さんは宇吉堂に何度か行かれていたばかりか、おひさまゆうびん舎やお隣にあったツリーハウスも宇吉堂とつながりがあったそうです。ツリーハウスでは出張宇吉堂というのを何度かやったそうです。へえ~、ですね。

その窪田さんから、世田谷ピンポンズさんの好きな曲についてのアンケートを半月ほど前に頼まれていて、先日ようやく書いて送りました。

好きな曲を5曲ということだったんですが、文句なしに入るという曲ですぐに4曲埋まってしまって、残りの1曲をどうするかでずいぶん悩んでしまいました。候補が5曲以上あったので。

引き受けたときには楽しい作業に思えたんですが、選ばなかった曲に対してちょっと申し訳ない気持ちになっちゃうんですね。でも、選曲しながらピンポンズさんのいろんな曲を聴いて改めて本当にすばらしいシンガーソングライターであることを再認識しました。


さて、文句なしに選んだ1曲が「名画座」。これはもう詞も曲も最高です。

そして名画座といえば、今もがんばっているシネマヴェーラ渋谷。

シネマヴェーラ渋谷といえば、先日時間つぶしに立ち寄った(というのは嘘で、立ち寄るのも目的に1つにしていた)本屋で、いろいろとながめていたときにパッと目に飛び込んで来たのがこの本でした。

a0285828_12125713.jpg


あのシネマヴェーラ渋谷の館主の内藤篤さんが書かれた『円山町瀬戸際日誌 - 名画座シネマヴェーラ渋谷の10年』という本。以前、このブログにシネマヴェーラ渋谷のことを書いたときにおひさまゆうびん舎の常連さんの方から教えていただいて(いろんなつながりにびっくりでした)同じ本屋で探したときには見当たらなかったはずだったんですが、ひょこっと本棚に収まっていました。これも何かの縁ですね。

ってことで本を買って今読んでいるところ。日記形式で書かれているのですが、あちこちで笑えて楽しく読んでいます。まだ途中ですが、へえ~っという話がいくつも。

一番びっくりしたのは館主の内藤さんはあの岩井俊二監督といくつか一緒に仕事をされていたということ。シナトラの「マイ・ウェイ」を『スワロウテイル』で使う交渉をしたのは内藤さんとのこと。あるいは『リリイ・シュシュのすべて』でもリーガルアドバイザーとして内藤さんの名前を見ることができます。すごいですね。

岩井監督といえば、毎年この時期になると必ず観ている『打ち上げ花火下から見るか横から見るか』を一昨日観たばかりですが、今、そのアニメ版が上映されているんですね。奥菜恵さんが演じたなずなの声を広瀬すずさんがやっています。広瀬さんは挿入歌も歌っているんですね。それが松田聖子の「瑠璃色の地球」のカバー。詞はもちろん松本隆さんです。アニメ版、観ようかどうしようか悩んでいます。

その岩井さん、ちょっとびっくりしたのは最近こんな仕事をされていたんですね。




新山詩織さんという女性シンガーの新曲『さよなら私の恋心』のMusic Videoを岩井さんが作られたんですね。いかにも岩井さんらしい映像です。曲は岩井さんとも関係の深いCharaが書いています。


ところで新山詩織さんとシンガーのことを知ったのはこの曲でした。




大瀧さんの「君は天然色」のカバー。こんな可愛い女の子がカバーしてくれるなんて、大瀧さんも喜んでいるでしょうね。


話が「円山町瀬戸際日誌」のことからそれてしまいました。次回はその本のことをもう少し


[PR]
by hinaseno | 2017-08-22 12:15 | 映画 | Comments(0)

高峰秀子、三吉橋を渡る


先日、日本映画専門チャンネルで放送された成瀬巳喜男の『女が階段を上る時』、主演が大好きな高峰秀子さんでDVDも出ているんですが、見るのはこれが初めてでした。高峰さんが演じるのは銀座のバーの雇われマダム。というわけで銀座近辺と思われる風景がいくつも出てきます。ただ、路地が多くてほとんどわからないけど。

でも、少し前にこのブログで紹介した佃の渡しはすぐにわかりました。『東京の編集者』(夏葉社)の表紙に使われた山高登さんの写真と同じ風景だったので。

a0285828_14552826.jpg


実はその前にこんなシーンがありました。高峰秀子と仲代達矢がどこかの橋の上を歩いています。

a0285828_14555098.jpg


昔の映画に出てくる東京の風景の中で、とりわけ気になるのが橋と川。というわけで、映画を見終えた後で調べてみたらびっくり。なんと、あの三吉橋の上を歩いていたんですね。大瀧さんが通っていた音響ハウスのすぐそばの橋。で、驚いたことに…。

その前に戦前の三吉橋周辺の地図を。

a0285828_14562355.png


以前、三吉橋の絵葉書を紹介しましたが、実は三吉橋の絵葉書は同じ時期に撮影されたものが3枚あります。三又の橋を3方向からとらえているんですね。

まず、これ。

a0285828_14563865.png


地図の癌研究会付属病院と書かれている建物のあたりから緑の矢印の方向をとらえています。三吉橋の向こうにはいろんな映画によく出てくる築地橋が見えます。左端に映画のシーンに映っている建物がありますね。

次がこれ。

a0285828_14565254.png


地図の水色の矢印の方向をとらえています。正面にある建物は京橋区役所。

で、その京橋区役所から撮影したはずの絵葉書がこれ。

a0285828_14570519.jpg


地図の赤色の矢印の方向を写しています。向こうに見えるのはあの新富橋。

年代を知りたかったのでこの絵葉書だけ手に入れました。でも残念ながらどこにも年代の記載はありませんでした。


さて、『女が階段を上る時』に戻ると、高峰さんは地図の紫の方向を歩きます。そして橋の途中で立ち止まって振り返ります。

a0285828_14571506.jpg


なんと向こうに見えるのは新富橋、そして(たぶん)鈴木ビル。

で、次のカット。

a0285828_14572923.jpg


高峰さんのバックにはっきりと新富橋が映っています。橋の上を車も走っていました。


ところで『女が階段を上る時』が公開されたのは昭和35年(1960)1月。『秋立ちぬ』と同じ年に公開されていたんですね。『秋立ちぬ』の公開は10月。ちなみにこの年、成瀬は4本も映画を撮っていて『秋立ちぬ』が4本目。

成瀬が『秋立ちぬ』の構想をいつ立てたかはわかりませんが、その最も重要な場所である新富橋をちらっと写しこんでいるのは意図的なものなのか、それともたまたまなんでしょうか。


[PR]
by hinaseno | 2017-06-24 14:59 | 映画 | Comments(0)

四列穴門を見た後、城島くんはいよいよここへ。

a0285828_14292933.jpg

あの2本の煙突のある工場。正面にその1本がありますね。

小津の『早春』のこのシーンでは奥側に見える煙突です。

a0285828_14294472.png

ちなみにこの工場の入り口あたりは1月22日の放送でも映りました。
a0285828_14300466.jpg

この日の放送ではまず望遠で煙の出ている煙突の先端を捕えた後、カメラを次第に下へパンしていました。

ところで、僕が初めてここを訪れたときに一番気になったのは右に見える事務所の建物。戦前に建てられたはずですが、とても雰囲気のある建物なんですね。これが入り口のある側。

a0285828_14302038.jpg

そしてこちらが川から見た眺め。

a0285828_14303698.jpg

ちなみにこの建物の前を流れている小さな川は関川といいます。この川は兵庫県との県境の船坂峠の方から流れてきていて、四列穴門のすぐ近くで金剛川に合流しています。

実は木山捷平も戦前にこの関川沿いを歩いているんですね。それは昭和18年の5月。その日の日記を。


五月十一日、火、晴。
 三石下車。船坂峠の方を歩く。関川を見る。小魚がいる、うぐいす鳴く。

三石耐火煉瓦株式会社の創立は明治25年とのことなので、木山さんが通ったときには工場はあったはずですが、工場とか煙突のことには触れていないですね。


ところで工場の入り口のすぐそばにある事務所の建物。最初に見たときには小津の『早春』の三石のこのシーンに出てくる事務所ではないかと思いました。

a0285828_14310144.jpg

でも、中に入って話をいろいろと伺ったときに見た感じはちょっと違っていました。映画のシーンの事務所はセットだったんですね。ちょっと残念でしたが、そういうのが次第にわかってくるという過程というのもそれはそれで楽しいものです。


[PR]
by hinaseno | 2017-04-12 14:31 | 映画 | Comments(0)

先週の土曜日、おひさまゆうびん舎でちょっと久しぶりに行われた世田谷ピンポンズさんのライブに行ってきました。

個人的なことを言えば、直前にちょっとしたトラブルがあったので行けてよかったなと。

とにかく僕の”ハッピー・ライフ”にはピンポンズさんの音楽は欠かせないものになっています。


本当は撮影した動画をアップできればと思っているんですが、まだいろいろと格闘中です。とりわけ素晴らしかったのが初めて聴いた「タウン」という曲と「ぬくぬくとした善意に包まれて」という曲で、この2曲だけはぜひ見てもらいたいなと。特に後者の曲はピンポンズさんのパフォーマンスも最高で笑いが絶えませんでした。でも、実はすごく曲がいいんですね。完全にツボにはまっていて毎日何回か見ています。僕一人だけ見るのは申し訳ない気がするので、できるだけ早くアップしたいですね。


ライブのことはまた改めて書くとして、今日はその日撮った写真を何枚か貼っておきます。

a0285828_13084703.jpg

これは毎回おひさまでのピンポンズさんのライブの前にちょっと立ち寄っているこの場所で撮った船場川の風景。ちょうど日が沈みかけているところ。考えたら木山捷平が船場川の詩を書いたのは12月だったはず。もちろんこの日もピンポンズさんはおきまりのMCとともに「船場川」を歌ってくれました。


そして、ライブでのピンポンズさん。おひさまゆうびん舎の窪田さんが何度も「かっこいい」「かっこいい」を連発していましたが、確かにすごくかっこよくなっていました。

ということでピンポンズさん10連発です。

a0285828_13090210.jpg


a0285828_13090617.jpg


a0285828_13090994.jpg


a0285828_13091230.jpg


a0285828_13091503.jpg


a0285828_13092268.jpg


a0285828_13092830.jpg

この2枚は「ぬくぬくとした善意に包まれて」を演奏しているときの動画から撮りました。

a0285828_13093477.png


a0285828_13093882.png

最後にもう1枚。いい表情です。



[PR]
by hinaseno | 2016-12-07 13:13 | 映画 | Comments(0)

a0285828_12324357.jpg

改めて厚田さんの手帳に描かれた平山家の場所を示す地図を。
a0285828_12325824.jpg

福善寺の南側の門から線路と国道を渡った場所にある階段を上った左手に平山家がありますね。
その入り口の階段。
a0285828_12331448.jpg

石段の登り口には「丹花小路」と書かれた石柱。その石柱や手すりは新しく作られたもののようですが、石段は相当古いことがわかります。
石段を20段ほど上ると、左に道が曲がっていました。目の前はまさに平山家があった場所。
a0285828_12333447.jpg

路地はそこから下って目の前には薄暗い世界が広がっていました。あちこちに石段や石垣があって道はいくつも枝分かれしています。なんだか異次元の世界に迷い込んできたよう。
a0285828_12335552.jpg


a0285828_12341419.jpg


a0285828_12342961.jpg


a0285828_12344543.jpg

井戸も何箇所かありました。
a0285828_12351726.jpg

祠も。
a0285828_12353076.jpg

そしてこんな3体の石仏が民家の脇に立っていました。
a0285828_12354891.jpg

尾道ではいろんな路地を歩きましたが、ここは特別な空気が流れていました。
そういえば最初に紹介したようにここで一人の女性に出会いました。彼女の家は上に貼った写真にも写っています。
僕が「丹花」という言葉を発したことで、彼女はいろんな話を聞かせてくれました。彼女はそのあたりの町並みに残る記憶をなんとか後世に伝えようと努力されているようでした。僕が小津さんたちが『東京物語』のロケの時にここを歩かれたんですよと話したらとてもうれしそうにされていました。
僕が帰りかけた時に彼女がちょっと待ってほしいと家に戻って取ってきたのはこの新聞の切り抜き。
a0285828_12363730.jpg

記事の部分がないので正確にはわかりませんが、どうやら尾道の地形と風水の関係を表しているようです。ネットで調べると、その記事につながるような話がいくつか書かれていました。
地図のポイントは風水の四神の南北と東西を結んだ線の交わった場所が丹花城跡、つまり福善寺裏の墓地だということ。「この場所こそ『尾道パワースポットの芯』」と書いているブログもありました。
この説の真偽は別としても、あの福善寺裏の墓地から丹花の路地にかけてのあたりは不思議な空気が流れていることだけは確かなこと。歩いてみたらわかります。小津がそこを歩いてそこを映画の重要な場所にしたというのは何かに引きつけられたのかもしれないですね。

改めて思ったことですが、『東京物語』の尾道の平山家というのは、映画を見ると浄土寺のそばというイメージを持ってしまいますが、本来はこの丹花に想定されていたのではないかと。「もうひとつの平山家」ではなくこちらこそがまさに尾道の平山家だったんだろうと。

さて、この日、本当は厚田雄春の撮影日程表に書かれている通り、最後は「米アゲ町」に行ってみる予定だったのですが、丹花で出会った女性と長い話をし過ぎてしまってその時間を取ることができなくなってしまいました。
改めてもう一回だけこのコースを歩いてみようと思っています。でも、天満宮に行くのはやめとこうかな。

最後に、先日手に入れた昭和30年頃の写真の中にこんな写真もありました。
a0285828_1242854.png

子供たちが山の上から写生をしているもの。
『東京物語』のシナリオでは、最後は香川京子さんは校外で写生の授業をしていることになっていたのですが、まさにそんな風景。
それからこれはおまけですが、昨日、白黒写真をカラー写真に変えるというサイトがあることを知ったので、この写真をカラーにしてみました。すごいですね。
a0285828_12451998.jpg

[PR]
by hinaseno | 2016-10-31 12:45 | 映画 | Comments(0)

a0285828_12264985.jpg

御袖天満宮から再びれんが坂を登って尾根の最も高いところに戻り、そこから福善寺の墓地に入りました。いよいよ今回の尾道歩きのメインの場所へ。
ところで、今回尾道に行く前に尾道の古い写真を何枚か手に入れたのですが、その中の一枚がこれ。
a0285828_12271941.png

千光寺山の中腹から東の方向を撮った写真。福善寺のある尾根がはっきりと写っています。撮影されたのは昭和30年。『東京物語』のロケが行われた2年後のこと。つまりここには『東京物語』をロケした当時の風景がほぼそのまま写っているんですね。
左端に写っているのが中世に丹花城があった福善寺の墓地と福善寺の本堂。
a0285828_12274274.png

そこから海に向かってゆるやかに尾根が傾斜していることがわかります。
そしてその尾根の右端あたりのこの部分。
a0285828_1228696.png

道路と線路によって削り取られていますが、その南側に丹花の家並みが見えます。小津はここのどこかの家に”もうひとつの平山家”を設定していたんですね。

ちなみに本堂の右上には筒湯小学校の校舎を『東京物語』に映っているそのままの姿で見ることができます。

れんが坂から福善寺の墓地に入って向かったのは前回探すのに苦労したこのシーンが撮影された場所。
a0285828_12283847.png

今回は写真を見ないで行ってみることにしました。が、結構大変。だいたいの場所はわかっているものの、そこに行く通路がわからず、行ったり戻ったりを繰り返してようやく見つけました。
a0285828_12285792.jpg

ここに眠っているはずの「とみ」と「しょうじ」に手を合わせて、境内に。そしてとりあえずここの場所も。
a0285828_12291661.jpg

で、東側にある山門からではなく南側の門から外に出ました。目の前には丹花の町。ここからまっすぐ丹花小路の入り口につながっているのがわかります。
a0285828_12293284.jpg

ちなみにこれが丹花小路の入り口から福善寺側を見上げたもの。
a0285828_12294794.jpg

写真を見ればわかるように福善寺からは右に曲がって線路沿いに下りて行くことになります。
その坂道が線路と同じ高さになるあたりで見えたのがこの風景。
a0285828_1230752.jpg

『東京物語』の最後の原節子さんが乗った汽車が東京に戻って行くときにほんの一瞬だけ映るこのシーンはやはり予想通りここで撮られていました。
a0285828_12302266.png

僕は金網越しに撮ったのですが、もしかしたら厚田さんは中にカメラを置いて撮ったのかもしれません。

ところで僕が手に入れた尾道の古い写真には、やはり千光寺山の中腹から撮られたこんな写真もありました。撮影されたのは昭和31年。
a0285828_12304866.png

ここには『東京物語』にほんの一瞬映る丹花の家並みをそのまま見ることができます。これがそのあたりを拡大したもの。
a0285828_1231286.png

水色で囲んでいるのが映画に映り込んでいる場所。崖にはられた看板も崖の上の家もそのままですね。

そして、赤の丸で囲んでいるのが平山家が設定されていたはずの家。
いよいよその平山家に向かいます。なんとなく何十年ぶりかで我が家に帰るような気分になりました。
[PR]
by hinaseno | 2016-10-30 12:31 | 映画 | Comments(0)

a0285828_1348137.jpg

久保小学校の正門前の道かられんが坂に通じている道をくねくねと歩いたらこの場所にたどり着きました。
a0285828_13481655.jpg

右に西国寺、まっすぐ行けば福善寺と記した道標。ここからがいよいよれんが坂。ただしどこにも「れんが坂」と書いたものはありません。

もともと坂好きで、しかも小津が通ったはずの道なので、最初はわくわくしながら歩いていましたが、途中からとんでもない急坂に。もとは丹花城あった尾根の頂上部分に一気に登っていく坂になっているようです。これはこたえました。
坂を登りつめた所に見えてきたのがこの風景。福善寺の墓地ですね。あの過酷な坂を登った後にこんな風景を見ると、おおっと思ったでしょうね。墓地があるけどどこか天国的な風景。
a0285828_13502628.jpg


a0285828_1350407.jpg

ここから墓地の間の道を通って福善寺の境内に入ることができるのですが、その前に小津さん一行が歩いたのと同様に御袖天満宮に向かいました。御袖天満宮はすぐ近くに見えて入るけど、そこに行くには一度れんが坂を下って、長い石段を登らならないことがわかりました。やれやれ。
坂を下り始めた所で5匹くらいの猫がお出迎え。尾道ではあちこちで猫を見かけましたが、何匹も集まっているのを見たのは初めて。どれもかわいい猫ばかりでこれには癒されました。
a0285828_13505345.jpg

特にかわいかったのはこの猫。
a0285828_1351488.jpg

ほかの猫たちは一応僕の方に関心を向けているのに、この猫だけは知らんぷりしてごろごろ。どうやら昼寝していたのを起こしてしまったようです。

坂を下りてこれが天満宮の入り口の鳥居。石段を見たらちょっとうんざりした気分にになって深くため息。
a0285828_13514380.jpg

足が悲鳴をあげかけているのをがまんして石段の途中にある門をくぐり、それからさらに石段を登ってようやく境内に。これが登りきった場所から下を眺めた風景。
a0285828_13515898.jpg

あの大林監督の『転校生』の階段から転げ落ちるシーンが撮影されたのがまさにここだったんですね。向こうには福善寺の本堂が見えています。

境内には30歳代くらいのカップルが一組。『転校生』の話をしているようにも思えませんでした。『転校生』ももう34年も前の映画なので知らない可能性もあります。
これが境内から南側を眺めた風景。
a0285828_13523479.jpg

小津さんがここに来たのはやはりあの笠智衆と原節子が朝日を眺めるシーンを撮る候補地として考えたからでしょうね。
これがもう少し塀に近づいた場所から眺めた風景。
a0285828_13524924.jpg

目の前には福善寺の墓地が見えていますが、海までは遠く、浄土寺で撮影された風景に比べたら開放感に欠けていますね。境内もちょっと狭い。

考えたら今は浄土寺も二人の立っていた場所には鐘楼が建てられていて、境内の向こう側はすべて塀が作られて海が見えづらくなってしまっています。
これはもう失われてしまった風景なんですね。
a0285828_13531163.png

さて、天満宮の長い石段を降り、再びれんが坂を登って福善寺の墓地へ。
坂を登った所にはさっきの猫たちがいて、ほっこりした気持ちに。あの猫だけはやはりごろごろ。でも少しだけ眠そうな目をこちらに向けてくれました。
a0285828_13532550.jpg

[PR]
by hinaseno | 2016-10-28 13:53 | 映画 | Comments(0)

a0285828_1241358.jpg

久保小学校の南側の門を出てすぐ左手の石段を登って見るのを楽しみにしていた西郷寺へ。西郷寺を楽しみにしていたのは、写真で見た本堂が素晴らしかったこともありますが、なによりそこが時宗の寺だったこと。
時宗については、その開祖である一遍上人という人になぜか心惹かれるものを感じていて、一遍上人に関する本を何冊か買って読んでいました。
なによりも例の福岡の市も出てくる一遍上人絵伝は何度見ても楽しいものがあります。さらに彼が始めた踊り念仏というのも共感を覚えるものがあって一度はどこかで見てみたいと思っていました(踊り念仏といえば杉真理さん経由で知ったレキシというグループに「踊り念仏」という曲がこれが最高です)。
ところが、一遍、時宗に関心を持ったものの身近なところには時宗の寺はどこにもなかったので、時宗とは縁がないまま過ごしてきましたが、前回、尾道に行ったときにたまたま立ち寄った福善寺のそばの常称寺が時宗の寺だとわかってびっくり。岡山にはひとつも時宗の寺がないのに尾道には時宗の寺が5つもあるんですね。で、いろいろと調べているうちに西郷寺のことを知ったんですね。あの香川京子さんの歩かれた場所のすぐ近くにあるということにも縁を感じて、これは絶対に行かなくてはと思っていました。

これが山門。
a0285828_1243175.jpg

そして本堂。
a0285828_12431296.jpg

素晴らしいですね。手前の木は桜なので、桜が満開の時はかなり見応えがありそうですが、もう少し葉が枯れるか、あるいは葉が落ちてしまったほうが寺の雰囲気に似合っているような気がしました。

西郷寺の山門と本堂は現存する時宗の最古の建造物とのこと。本堂の廊下からはこのように隣の久保小学校の校舎を見ることができます。
a0285828_1243281.jpg

境内には七福神の石像が建てられていました。地元の尾道大学の美術学科の生徒が数年前に作ったようです。寺の雰囲気と合っているかどうかは微妙。
a0285828_12434048.jpg

こんな風景を前にしてコンビニで買ってきたおにぎりでも食べようかと思ってカバンからおにぎりを出しかけたら、住職と思われる人(住職でした)が出てきて庭の落ち葉を掃き始めました。さらによく見たら境内に建てられた看板には境内での飲食はお断りしますとの文字。あわてておにぎりをしまいました。

住職と少し話し。
本堂前の場所に連れられて、本堂の方を眺めてこう説明される。
ちょうどこの場所のあたりから見たら本堂の屋根の傾斜は背後の山の傾斜が重なるように作られているとのこと。
a0285828_1244062.jpg

僕は寺の建造物では寄棟造りがいちばん好きなのですが(牛窓の本蓮寺の本堂も寄棟造り)、西郷寺の本堂はとりわけ屋根の傾斜がゆるやかに作られていて、そのため寄棟造りの建物にしてはめずらしく軽やかで優美な感じを生み出しているんですね。これだけ均整のとれた美しい寄棟造りは初めて見ました。

住職に本堂の中に入るように促されて中で拝礼。
中に入ってわかったことですが、本堂の中には「泣き龍天井」というのがあって。手を打つと音が不思議な反響をして天井から返ってくるんですね。案内板には竜にまつわる伝承も書かれていました。1回だけ手を打つようにと書かれていましたが3回ほど叩いてしまいました。

西郷寺の山門を出たところで久保小学校をながめながらおにぎりを食べて、次はいよいよ厚田さんの日程表に「練瓦坂」と記されている「れんが坂」に向かいました。ちなみにこの日のブログに貼った地図には西郷寺付近かられんが坂までは点線で記していますが、小津一行はおそらく久保小学校の正門前の道かられんが坂につながっているこの道に入ったんだろうと思います。
a0285828_1244193.jpg

[PR]
by hinaseno | 2016-10-27 12:45 | 映画 | Comments(0)