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by hinaseno
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カテゴリ:音楽( 383 )



コーヒーをめぐる話を書くつもりでいましたが、時間があんまりないので別の話を(でも、少しだけかすっています)。


昨日は『太田裕美白書』を読みながら太田裕美さんのアルバムを何枚か聴いていました。『心が風邪をひいた日』を何度か聴いたあとは『ELEGANCE』。もちろん聴いたのはLP。これは手放していませんでした。曲は1曲を除いて全て作詞松本隆、作曲筒美京平の黄金コンビ。

A面の2曲目に大好きな「ピッツア・ハウス22時」。太田裕美さんの曲の中では5本の指に入るくらいに好きな曲。詞を書いた松本さんもお気に入りのようです。


そしてB面。2曲目に素晴らしい曲が流れてくる。この「煉瓦荘」という曲(このYouTube映像には最初にちょっと余計な音楽が入っています)。




この曲のことはすっかり忘れていました。もちろん「ピッツア・ハウス22時」と同じくらい大好きだった曲。

京平さんの曲も素晴らしいけど、松本さんの詞がたまらなくいいですね。最初の数行でその世界に引き込まれてしまいます。


 あれからは詩を書き続けた

 哀しみにペン先ひたして

 想い出で余白をつぶした

 君の名で心を埋めた


 井の頭まで行ったついでに

 煉瓦荘まで足をのばした

 …

東京のはずれの小さな町での「売れない詩人とデザイナーの卵」のささやかな物語。都会的と言われる松本隆さんの歌詞も太田裕美さんに関しては地方色が感じられるのもが多いですね。この曲の詞の舞台は東京ですが、登場人物(のどちらか)はおそらく(「木綿のハンカチーフ」の主人公と同じく)地方出身。

そういえばこの曲を昔聞いていたときには全く知らなかった「井の頭」も川本三郎さんのエッセイによく出てくるので今では身近に感じられる場所になっています。川本さん、井の頭公園はよく散歩されているんですね。夏葉社からも近いので島田さん、息子さん連れて散歩してるかな。


それはさておき、やはりA2(A面2曲目)とB2(B面2曲目)にはいい曲が多いですね。A2理論とB2理論を証明するような作品です。これをCDや、あるいはダウンロードした音源で聴いたのでは「煉瓦荘」という曲の魅力に気づかないかもしれません。


話は変わりますが、昨日の「姫路サウンドトポロジー2017」での世田谷ピンポンズさんのライブ、どうやら新曲が2曲歌われていたようです。そのうちの一つはなんと姫路にある喫茶店がタイトルに。

「喫茶 大陸」

大陸はおひさまゆうびん舎の近くにある喫茶店ですね。『世田谷ピンポンズの世界』に写っている手帳にも「大陸(姫路)」という記載がありました。僕は店の前を通ったことは何度もありますが一度も入ったことがありません。せっかくなので今度行ってみよう。一人で入るのにはちょっと勇気がいりそうだけど。


「喫茶 大陸」はどうやらそのあとおひさまゆうびん舎でこっそりと開かれたシークレット・ライブでも歌われたようです。おひさまゆうびん舎さんのツイートでちらっとその曲が聴けましたが、とってもチャーミングな曲。きちんと聴いてみたい。


それにしてもピンポンズさん、いつもながらいい場所見つけます。


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by hinaseno | 2017-11-06 13:01 | 音楽 | Comments(0)

海辺の小さな町の物語




僕には大好きな「海街」が3つあります。
牛窓、神戸、そして尾道。
もしも鎌倉に行けばきっと大好きな「海街」のひとつに加わることはまちがいありません。行っていないけれどもきっと好きになるはずの海街といえば…


なんてことを書いていたのは昨年の春のことでした。昨年は尾道に3回くらい行ったんですね。神戸は暮れに1回。松本隆さん関連のイベントに行ったんですが、例によってハックルベリーという中古レコード店に行き、そしてM&Mというジャズ喫茶へと足を運びました。本当は海文堂にも立ち寄るというのが10年近く続いたおきまりのルート。でも、今はもうなくなってしまったのでそのかわりに1003という素敵な書店に行きました。神戸とはいっても本当に好きなのは元町近辺のほんの限られた辺り。神戸という大きな街の中にある小さな町です。


さて、行けばきっと大好きな「海街」のひとつになるなるにちがいない茅ヶ崎という海辺の小さな町を舞台にした宮治淳一さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』をようやく(あっという間だったけど)読み終えました。

こんなにワクワクしながら本を読んだのは久しぶり。8章から最終章にかけてはたまらない話のオンパレード。茅ヶ崎には(たぶん)縁はないはずだけど大瀧さんの名前も何度か登場します。


ところでこの本の副題は「MY LITTLE HOMETOWN」。実は僕はずっと「MY LITTLE TOWN」と記載していました。宮治さん、すみませんでした。「Small town」や「Little Town」という言葉が好きで、つい宮治さんにとっては大切な「Home」を外してしまいました。

外すといえばこの本、カバーを外したら結構おしゃれなんですね。

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バート・ゴールドブラットがデザインしたレコードのジャケットのような雰囲気があります。写真に写っているのは茅ヶ崎のシンボルともいうべき烏帽子岩。烏帽子岩のことも最後の最後に出てきました。「烏帽子岩は、ただの岩ではない」というタイトルで人類学者の中沢新一さんが登場して(映画に出演されているようです)、「海民」の話まで出てきたのには驚きました。

で、巻末に載っていたのが茅ヶ崎の地図。副題の通り茅ヶ崎って本当に小さな町なんですね。小津のいた茅ヶ崎館と上原謙、加山雄三親子が暮らしていた家は目と鼻の先。その中間あたりにはこの作品において重要な建物でもある「ブレッド&バター」というカフェがあって、そこで南佳孝がライブをしたのを宮治さんが見に行ったらアンコールでランディ・ニューマンの「セイル・アウェイ」を歌ったとか、桑田佳祐がここで生放送でラジオ番組をしたとか、すごい話ばかり。

それから茅ヶ崎駅のすぐそばには大瀧さんと高田渡をつないだ添田唖蝉坊の家もあったというのもびっくりでした。やはり茅ヶ崎という土地の何かの力があるとしか思えないですね。


ところで「縁」の話をしたらきりがない小津の『早春』にも茅ヶ崎が出てきます。池部良と岸恵子が接近するきっかけとなったピクニックのシーンがここで撮影されているんですね。

これはそのロケの時の写真。

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すごい格好でカメラを覗いているのが小津監督です。ここはいったい茅ヶ崎のどのあたりになるんだろう。茅ヶ崎についてもいろいろと調べたくなりました。いや、なによりも今すぐにでも行ってみたい。もちろん宮治さんのブランディンに。


とはいっても茅ヶ崎まで行くのはやはり大変。

でも、茅ヶ崎とは別の海辺の小さな町に、今月行く予定にしています。きっかけはやはり「縁」。その町も行ったらきっと大好きになるでしょうね。


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by hinaseno | 2017-11-01 15:12 | 音楽 | Comments(0)

10月23日のブログに書いた、ちょっと驚きの内緒の話、わかった人がいたようです。わかるとしたらあの人たちだろうなと思っていましたが。


ところで、急にいろんな用事が入ってきたりして思うようにブログが書けない日々が続いていますが、これも昨日書こうと思っていた話。

一昨日、ビヴァリー・ケニーの『Sings For Playboys』を車で聴きながら向かったのは市内にある大きな本屋。そこで3冊の本を買ってきたんですね。『柴田元幸翻訳叢書 ジャック・ロンドン 犬物語』、鷲田清一・山極寿一著『都市と野生の思考』、そして宮治淳一著『MY LITTLE TOWN 茅ヶ崎音楽物語』。

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夜、その前に読んでいた本(ミシマ社の『ちゃぶ台3』)を読み終えて、寝るまでにそんなに時間はないけれど、次に読む本のことを考えました。本当は『ちゃぶ台3』と同時に買っていた吉田篤弘さんの『京都で考えた』(ミシマ社)を読むつもりでいたのですが、ちょっと考えて手に取ったのは宮治淳一さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』でした。

この本、つい先日ペットサウンズ・レコードのホームページで紹介されていて、これは絶対に買わなければと思ったんですね。実は少し前にアゲインの石川さんから宮治さんが出演している映画『茅ヶ崎物語~MY LITTLE TOWN~』のチラシを送ってもらっていてそれもびっくりしたんですが、まさか本まで出されるとは思いもよりませんでした。


宮治淳一さんはこのブログでも何度も紹介している音楽評論家。現在茅ヶ崎でブランディンという音楽カフェも経営されていて(いつか行ってみたい)、アゲインで定期的に出張ブランディンというイベントをされています。例の「2017年は JK(ジャック・ケラー)の時代」という歴史に残る(?)発言をされたのもこのイベントでした。


さて、寝る前に序章だけ読んでみようと読み始めたんですが、いや、すばらしい。完全に僕のツボにはまってしまいました。

ご自身の生まれた茅ヶ崎という海辺の小さな町で、なぜ多くの優れた音楽家(代表的なのは加山雄三とサザンの桑田佳祐ですね)を輩出したかというテーマももちろんツボですが、なによりもそのテーマに向かう過程の描かれ方が素晴らしい。


 私の前に長いこと立ちはだかっていた謎について、明確な答えが得られぬまま筆を執ることになった。
 しかし私は思っていた。きっと書いていくうちに分かってくることもある。

僕はこういう姿勢で書かれたものが好きなんですね。さらに言えばその語り口。宮路さんの実際の語りはいろんなメディアで見聞きしていましたが、それとはかなり違う。こんな言葉も書かれていました。


 人生の終盤、レコードでいえばB面の3曲目あたりにさしかかり、そこに自分が生まれ育ってきたことの意味のようなものを、なにか自分が納得できる形で確認したい、残したいという気持ちが生まれてくることも、珍しくはないのかもしれない。

宮路さんがB面の3曲目あたりならば、僕はB面の1曲目の終わりくらい、『ロング・バケーション』で言えば「雨のウェンズデイ」のエンディングのピアノの独奏あたりになるんでしょうか。


ということで、文句なしに面白い本であることを確信して本を閉じて、で、寝る前に(たいてい12時過ぎ)にいつもそうしているようにアゲインのサイトを開きました。その時間に新しいものが更新されていることもあれば、そうでないこともありますが、その日は更新されていました。

驚いたことに、そこにはまさにその宮治淳一さんの『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』を紹介した文章がかかれていました。にっこり×4。でも、読まずに寝ました。


翌日(昨日ですね)3章まで読んで、石川さんのブログを読みました。そこで石川さんが紹介していた文章は僕も心に強く響いて線を引いた言葉。


 偶然のなせる業全てを「縁」という実に便利な日本語ですまそうとする。だが日々の生活で計画された以外の事象は全て偶然に過ぎない。偶然と「縁」とは次元が違う。
 私たちは偶然の世界に生きている。だが偶然がいつしか必然と思えるとき、それは「縁」に昇華する。


ここ、僕のような人間が反応しないはずはありません。

で、今日更新されたブログで石川さんはさらに詳しく本の紹介をされていましたが、それはコピーしておくことにして、本を読み終えてから読ませていただくことにします。


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by hinaseno | 2017-10-27 15:16 | 音楽 | Comments(0)

秋になると聴きたくなるものはいくつもありますが、ビヴァリー・ケニーのこの『Sings For Playboys』もそんなアルバムの一つ。

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ビヴァリー・ケニーは女性のジャズ・ボーカリストの中では一番好き。

何よりもとびっきりの美人。幸か不幸か若くして亡くなっているので、若いときの写真しか残っていないこともありますが、どの写真も美しいものばかり。

それから歌っている曲がいい曲ばかり。彼女が歌うとよく聴こえるのかもしれないけど、でもやはり選曲の素晴らしさには感心してしまいます。


でも、何よりも最高に魅力的なのが彼女の声であることはいうまでもありません。で、その声の魅力について今朝からずっと考えていたんですが、ひとつ気づいたことがありました。それは彼女は地声も裏声もどちらも魅力的なこと。こういうシンガーはなかなかいないんですね。

ということで彼女は地声で歌えるところを裏声で歌ったりして、地声と裏声が何度もひっくり返るんですね。とにかく見事という他ないくらいにひっくり返しをしています。


地声と裏声のひっくり返しといえば大瀧さんですが、大瀧さんはお母さんがよく聴いていた平野愛子さんの歌でそのひっくり返しの魅力に気がついたそうですが、ビヴァリー・ケニーのひっくり返しは平野愛子さんどころではありません。彼女自身も、あるいは彼女のレコードを作っていたスタッフもその魅力をよく知っていたんですね。

というわけで『Sings For Playboys』に収録されたこの曲を貼っておきます。




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by hinaseno | 2017-10-25 15:01 | 音楽 | Comments(0)

ロイ・オービソンを聴いていると、いや、そうでなくても秋になると、なぜかペトゥラ・クラークを聴きたくなってしまう……。


ロイ・オービソンの曲を初めて聴いたのは1986年1月9日に放送された新春放談でした。かかったのは名曲「Crying(ライブ・バージョン)」。この曲の素晴らしさに感動して僕のロイ・オービソン・ストーリーが始まりました。

実はこの日の放送の「Crying」の前にかかったのがペトゥラ・クラークのこの「You'd Better Come Home」でした。ペトゥラ・クラークの曲を聴いたのもこのときが初めて。




この日の放送はまさにテープが擦り切れるくらいに聴いたので、この2曲の流れが自分に刷り込まれてしまっているんですね。曲のタイプも似ていて、当時、大瀧さんの「雨のウェンズデイ」の雰囲気に似ているなと思ったものでした。その感覚は間違えてはいなかったわけですが。


面白いと思ったのは、数年前に「ゴー!ゴー!ナイアガラ」を順番に聴いていたら、ロイ・オービソン特集の3週後にペトゥラ・クラーク特集をやっていたんですね。女性の単独のアーティストとしての特集はペトゥラ・クラークが最初。大瀧さんの中でもロイ・オービソンとペトゥラ・クラークは無意識につながっているのがわかってうれしくなりました。


そのペトゥラ・クラーク特集が放送されたのは1975年11月10日。まさに秋ですね。

昨日久しぶりに1986年1月9日放送の新春放談を聴いたら大瀧さん、ペトゥラ・クラークは「秋口に、のんびりしているときに聴くと合うんですね」と言っていました。まさにそうなんです。ペトゥラ・クラークは秋になると聴きたくなってしまうんです。


で、「秋」といえば木山捷平。

ということで忘れられないのは今から4年前、木山捷平の姫路での「たったひとりの友」を探して曽根の町を歩いたときにずっと聴いていたのがペトゥラ・クラークでした。

最初に行ったのが山の中の古い墓地で、そこで上田秋成の『雨月物語』のあの恐ろしい場面を思い出して背筋が凍りつくような恐怖感に襲われてしまったこととか、結果的には奇跡的とも思えるような形で「たったひとりの友」につながる人に出会うことができたこととか、忘れられないことがいっぱいあるんですが、それらもすべてペトゥラ・クラークにつながっているんですね。ペトゥラ・クラークを聴くと、あの曽根の風景を思い出してしまう。


というわけで改めてペトゥラ・クラークをいろいろと聴いていたら、当時とはちょっと好みが変わっているのに気がつきました。これはやっぱり「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のペトゥラ・クラーク特集を聴いた影響でしょうね。

今のいちばんのお気に入りはこの「Crying Through A Sleepless Night」。




この曲はトニー・ハッチがマーク・アンソニー名義で書いた曲。大瀧さんはトニー・ハッチ名義で書いた曲とマーク・アンソニー名義で書いた曲の違いを説明していてマーク・アンソニー名義で書いた曲がいいんだと言っていて当時かなりの目から鱗だったんでしが、その影響をたっぷり受けてしまったようです。

で、何度も「Crying Through A Sleepless Night」を聴いていたら、この曲、ロイ・オービソンの「Only The Lonely」を始めとするあの一連の曲のリズムが使われていることに気がつきました。あのリズムはやっぱりたまらないですね。

というわけで例によって2017版のペトゥラ・クラークのベストCDを作りました。個人的には「Crying Through A Sleepless Night」がメインに考えているので、そのシングル盤のジャケットを借りました。

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by hinaseno | 2017-10-14 12:31 | 音楽 | Comments(0)

「ゴリラのゴンちゃん」


アゲインの店主石川茂樹さんによる「マスターの自由自在」の話をもう少し。

この企画では話の途中で会場に来ている人がいきなり呼び込まれるというのが面白いところ。少し前の石川さんのブログに呼び込まれた人の名前が書かれていたので誰が呼び込まれたのかはわかっていましたが、でも、いきなりなので呼び込まれた人はいずれも戸惑いながらの登場。


個人的にいちばん見たかったのは、今回の石川さんの企画のきっかけになったという「ようこ」というシンガー。この女性、初めてアゲインを訪れたときからなんだか気になる存在で、いろいろと大丈夫かなと思わせる部分がいくつもあったのですが(あくまで石川さんのブログでの書かれ方のせいですが)、でも、アゲインで初ライブをしたときには、なんと19人もの集客があったんですね。

このライブの後、石川さんは「ようこ」にけしかけることをしただけではフェアではないと考えて(この辺りが石川さんらしい)、自分も何かしなければと思いうことで今回の企画をする運びになったんですね。で、やるからには「ようこ」の19人には負けたくないと。結果的にはその数を上回ったので一安心だったようです。


というわけで「ようこ」が呼び込まれたシーンを楽しみにしていたんですが、残念ながら今回送られたディスクにはその部分は入っておらず、2枚目のディスクはその次に呼び込まれたペットサウンズの森勉さんが登場しているシーンからということになっていました。

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話題はジャック・ケラー。

森さんはジャック・ケラーに関してはそれほど熱心には聴いていないようにおっしゃられていましたが、でも、さすがリアルタイム世代という話が出てきて、それが聞けただけでも満足でした。

ちなみに森さんが登場されていたときに映されていたのは、最近発売されたキャロル・キングのライブの映像。で、ジャック・ケラーの話になったときに、「キャロル・キングとジャック・ケラーってけっこう間違われる」と。確かにあの大瀧さんも「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のキャロル・キング特集のときに、間違えてジャック・ケラーが作曲したエヴァリー・ブラザーズの「How Can I Meet Her?」をかけてしまったんですね。

それはさておき「ジャック・ケラーの曲の中で印象的な曲は何ですか?」という石川さんの問いに対して森さんが答えられたのが意外な曲。僕はもちろんよく知っていましたが、知る人ぞ知るという感じの曲。大瀧さんのジャック・ケラー特集でも達郎さんのジャック・ケラー特集でもかかっていないこの「Makin’ With the Magilla」という曲でした。歌っているのは「ロコモーション」をはじめキャロル・キングの曲をたくさん歌っているリトル・エヴァ。




森さんの話によるとこの曲は日本で1966-67年に放映された「ゴリラのゴンちゃん」という短いテレビアニメの主題歌だったようで、森さんはそれを見ていてこの曲を好きになったとのこと。ただ、その曲をリトル・エヴァが歌っていてジャック・ケラーの作曲だと知ったのはその10年くらい後だったそうです。

ちなみに「ゴリラのゴンちゃん」の原題はThe Magilla Gorilla Show。放映されたのは1963-64年。アメリカン・ポップス的にはまさにゴールデン・イヤーです。Youtubeにいくつか映像がありました。




主人公のゴリラは日本では「ゴンちゃん」となっていますが、もともとは「マギラ(Magilla)」という名前。アメリカでは最後に韻を踏んだ名前にしているのに日本では最初の「ゴ」に韻を踏ませた名前にしているのが面白いですね。


ところで日本で放送されていたときに「ゴリラのゴンちゃん」の吹き替えをしていた人の名前を見たらなんと「高橋和枝」。

高橋さん、「くまくまちゃん」の前に「ゴリラのゴンちゃん」をやっていたのと一瞬思ったけど、もちろんこのとき高橋さんはまだ生まれていません。

「ゴリラのゴンちゃん」の吹き替えをしていたのは声優の高橋和枝さん。『快獣ブースカ』のブースカの声をされていて、昔、高橋和枝さんの作品を調べていたときに『快獣ブースカ』が出てきてびっくりしたものでした。


さて、これが「ゴリラのゴンちゃん」で流れていた「Makin' With the Magilla」。ゴンちゃん、モンキーダンスみたいな踊りを始めています。いや、ゴリラなんでゴリラ・ダンスですね。




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by hinaseno | 2017-10-13 13:04 | 音楽 | Comments(0)

Lipstick On Your Lips


大瀧さん関係の原稿の長い引用が続いているのでここでひと休み。

朝妻さんの話にはなかなかいかないですね。夢の話もいったいどこに…、いや、昨日の最後にちょこっと「吉備団子の夢」が出てきました。

ところで、最近手に入れたのがこのシングル盤。

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シェリー・フェブレーの「悲しきテレフォン・デート/ビッグ・スター」。最高のカップリングでずっと探していたもの。待てば海路の日和あり、でした。他にも嬉しいのが2枚ゲットできたんですがそれはまた改めて紹介します。

A面は「悲しきテレフォン・デート」。原題は「Telephone」。曲を書いたのはバリー・マン(作曲)とシンシア・ウェル(作詞)。大瀧さんが小泉今日子さんのために作った「快盗ルビイ」にはこの曲と、同じくバリー・マンとシンシア・ウェルのコンビで作った「Johnny Loves Me」を合わせたような作りになっています。


B面の「ビッグ・スター」は原題も「Big Star」。松田聖子さんの「風立ちぬ」の下敷きとして使われていたことがわかってから大好きになりました。個人的には「Telephone」よりも好き。「風立ちぬ」の影響のせいかこの季節に聴きたくなりますね。何度聞いても胸がキュンキュンします。

曲を書いたのはシャーマン・エドワーズ(作詞はシド・ウェイン)。シャーマン・エドワーズはかの「See You In September」を聴いて以来、大好きになったソングライター。というわけなので僕のパソコンのiTunesには当然”Sherman Edwards songbook”というプレイリストを作っています。


ところでいつもチェックしているこちらのサイトを見たら、富田さんが続けられているソングライター・シリーズでつい先日取り上げられたのがなんとシャーマン・エドワーズ。いや、うれしかったですね。「Big Star」、「See You In September」やジョニー・ソマーズの「Johnny Get Angry」、「When The Boys Get Together」などなど。最高ですね。この「When The Boys Get Together」は久しぶりに聴いたけど、なんて魅力的な曲なんだろう。




知らない曲ではポール・ピーターセンの「Girls in The Summertime」という曲がなかなかよかったです。早速パソコンに取り込んでプレイリストに入れました。


ところで話はまたまたちょっと逸れるんですが、昨日、あることがきっかけで「くちびる」に興味をもってしまって(どんなきっかけなんだ)、で、それならばと「くちびる(Lips)」の曲を集めてプレイリストを作りました。「Lips」で検索したら「Lipstick」とタイトルにつく曲もたくさん出てきたのでそれも入れることに。それならば邦題で「口紅」とつくものも入れられるので当然「Tシャツに口紅」も。

というわけで30曲くらい集まったので、1枚のCDにしようかといろいろ聴いていたときに流れてきたのがブライアン・ハイランドのこの「Lipstick On Your Lips」という曲。これがいい曲なんですね。朝妻さんならきっと胸キュンになるはず。




この曲、パソコンに取り込まれたものは作曲者のクレジットが表示されていなかったので調べてみたら曲を書いたのはシャーマン・エドワーズ(作詞はハル・デイヴィッド)。なんてすてきなタイミング。

というわけで近いうちに「Sherman Edwards songbook」も1枚のCDにしようと思っています。


ところで「Lips songs」の方。基本的にはタイトルのしばりをかけようと思っていますが、「くちびる」という言葉で始まる「君は天然色」を入れようか入れまいかと思案中。

それにしても「Lips」「Lipstick」がタイトルにつく曲はいいのが多いですね。


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by hinaseno | 2017-09-21 14:36 | 音楽 | Comments(0)

夏がやってきたら


夏が終わりそうだというのにこのタイトルって何? ですね。朝妻一郎さんのことを書き始めたばかりですが、ちょっと中断。今日書くことは前から決めていました。タイトルはさっき考えたのだけど。

今日はわれらが世田谷ピンポンズさんの五周年記念公演が行われる日。場所は東京のザムザ阿佐ヶ谷。残念ながら僕は行くことはできないけど、姫路のおひさまゆうびん舎関係の人たちが大挙して行くようなので、彼女たち(「彼」もいるのかな)に魂は預けています。どんなライブになるのか想像するだけでわくわくしますね。ライブ会場で売られる特典も気になるものばかり。


この五周年記念公演のことを知ったのはおひさまゆうびん舎で3月に行われたライブでした。姫路から東京というのは絶対に1泊はしないといけないということもあるし、平日の夜ということもあって、さすがの窪田さんですらどうしようかどうしようかと悩んでいたようです。体調の心配もあったようですが、やはり好きな人の大事な日にその場に居たいという気持ちを抑えきれなかったようです。で、同行される方々が何人も出てきて。すばらしいですね。


きっと彼女たちが行くことを決めたのはまだ春だったはずなので、夏がやってくること、この8月のライブの日がやってくることを指折り数えていたに違いありません。

僕の方はこの8月にいくつかの心配事が重なっていたので、心の中では8月がやってこないことを願っていたこともありました。でも、季節はかならず巡って来るものです。当たり前だけど。


ピンポンズさんの5周年というのは公な形で始めてリリースした『H荘の青春』が発売されてからということだそうです。というわけで、今回のライブはそのアルバムをフィーチャーする形になるみたいですね。今回の講演のタイトルである『都会、なんて夢ばかり』というのは、その『H荘の青春』の帯に書かれていた文字。面白いことに、このCDをiTunesに入れるとアルバムタイトルがこんなふうに『都会、なんて夢ばかり』になっているんですね。お気を付けください。僕はパソコンに取り込んでから直しました。

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このアルバムで最初に気に入った曲は「オレンジジュース」。でも、3月のライブで聞いた「H荘の青春」のニューバージョンが素晴らしくて、是非もう一度それを聞いてみたいと思っているんですが、今回のライブでそのニューバージョンが演奏されるでしょうか。

ニューバージョンは歌詞が少し変わっていたけど、この部分の歌詞はこのままだったかな。


夏がやってきたらいろいろ考え直してみようかな
夏がやってきたらもっとまじめに生きよう
夏がやってきたらことさらまじめに生きよう
夏がやってきたら君の事もっとまじめに考えよう

さてピンポンズさんの五周年記念公演の当日券は少し残っているようです。お近くの方、ぜひ行ってみて感想を聞かせてください。

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by hinaseno | 2017-08-29 10:20 | 音楽 | Comments(0)

朝妻一郎さんのこと


アゲインの石川さんから送っていただいたのは今月の8月7日(月)から10日(木)にNHK-FMで全4回にわたって放送された特集番組『ポピュラーミュージックヒストリー ~発展の歴史と舞台裏~』を録音したものでした。

ホストを務められたのは朝妻一郎さん。朝妻さんの声を聞くのは初めて。


朝妻一郎さんの名前はこのブログでも何度も出ています。全て大瀧さんがらみですね。朝妻さんは大瀧さんと公私にわたって関係の深い人でした。ビジネスの大切なパートナー(大瀧さんが契約していたフジパシフィックミュージックという音楽出版社の偉い人。知り合ったときにはまだそんなには偉い人ではなかったかもしれないけど)であり、アメリカン・ポップスについてコアな話ができる数少ない友人(朝妻さんのほうが大瀧さんよりも5歳年上でしたが)でもあったようです。


僕が初めて朝妻さんの言葉を見たのは『All About Niagara』に掲載されたこの対談(対談が行われたのは1976年)でした。

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これを読むとお二人は本当に気の合う仲間だったんだなと。ただ、気の合う仲間とは言っても、大瀧さんは朝妻さんに対してアメリカンポップスを愛する(ただ愛するだけでなく、それを日本に広めようと努力してきた)先輩として敬意を抱き、朝妻さんも大瀧さんに対して一人のミュージシャンとして敬意を持っていたこともよくわかります。


さて、そういう朝妻さんなので、今回の番組は同じくNHK-FMの夏休み期間に放送されていた大瀧さんの『アメリカンポップス伝』を意識していたことはいうまでもありません。『アメリカンポップス伝』の続編をという要望があったのかもしれません。

で、朝妻さんがされたのは、大瀧さんの放送の続編という形ではなく、大瀧さんが多くは語らなかった舞台裏の歴史でした。中心として語られたのは朝妻さんご自身がずっとされてきた音楽出版社の歴史。

ということなのでビジネスの話がたくさん出てきます。まあ大瀧さんはビジネスの話はお好きではないのですが、音楽の歴史を考える上ではやっぱり避けて通れない部分ですね。もちろん大瀧さんはその部分をよく知っていたはずですが。


ビジネスといえば、ぱっと浮かぶエピソードがあります。それは朝妻一郎さんのこの本に収録された「『A LONG VACATION』」と題されたエッセイに書かれていること。

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 大滝君というのは、人から何かをせかされたりとか催促されることが嫌いなんだと思う。「黙っててもアルバムを作りたくなるような環境ができれば、作るよ」と彼はずっと思っていたんじゃないかな。
 これは僕の失敗談だけど、97年に久々に出したシングル「幸せな結末」が売れたときに、「大滝君、久しぶりにシングル出したんだから、これをフィーチャーしてアルバム作ろうよ」って言ったら、「朝妻さんは、すぐビジネスなんだから」と立腹させてしまったんだ。あまりにも短絡過ぎて、「もうちょっと何か言い方があるでしょ」みたいなことだったんだろうね。でも音楽業界の人だったら普通、当然そう言うでしょ。


大瀧さん、このとき本気で怒ったのかな。冗談交じりに言葉を返したような気もするけど。でも、ちょっと興味深いエピソード。


朝妻さんの話はこの後こう続きます。


 大滝君の場合は、基本的にはやるきになるのを待つしかないんだ。自分の音楽を作る上での、その美学は譲れないわけだし、それは、そもそも「ナイアガラ」ってレーベルを作りたいと考えて、実際に始めたところから続いているものだ。自分のレーベルを持つこと自体、新しい考え方だったのに、ましてはマスターを全部自分で持つという発想はさらに先を行っていた。やっぱり今、彼がマスターを持っているから、再発のたびごとにリマスターをしたりして、自分の音楽を管理することができているわけだからね。彼自身、ティン・パン・アレイ時代からのアメリカの音楽出版とレコード・ビジネスの歴史をよく勉強していたと思う。
 僕が大滝君に何か影響を与えたことはないと思う。だけど、自分でレーベルを持つというアイデアを思いついたときに、そういう話に乗りそうなやつは誰かなと思って見回したときに、たぶん、朝妻一郎だったら話が分かるかなと思ってくれたんじゃないかな。そのことは僕にとってとても大きかったと思うね。

今回の朝妻さんのラジオ番組はまさに「ティン・パン・アレイ時代からのアメリカの音楽出版とレコード・ビジネスの歴史」だったんですが、その朝妻さんははっきりと「彼(大瀧さん)自身、ティン・パン・アレイ時代からのアメリカの音楽出版とレコード・ビジネスの歴史をよく勉強していたと思う」と書いていますね。


そういえばビジネスといえば、もう一つ、例のラジオデイズの『大瀧詠一的』で平川克美さんが大瀧さんにストレートに「ビジネス、嫌いですか?」と尋ねた瞬間がありましたね。そのとき大瀧さん、どう答えたんだったっけ。あまりにストレートな問いだったので、大瀧さん、ちょっと動揺されていたような。


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by hinaseno | 2017-08-27 13:48 | 音楽 | Comments(0)

15. 「櫻の園」

大村雅朗が亡くなった2年後の1999年12月18日発売されたアルバム『永遠の少女』に収録された曲。編曲は大村雅朗ではなく石川鉄男。

『永遠の少女』は『Citron』以後、松田聖子さんのプロジェクトから離れていた松本隆さんが11年ぶりに作詞を手がけることになった作品。それを引き受けた際、松本さんはプロデューサーの若松さんに一つ条件を出します。松本さんが大村雅朗から生前に預かっていた一つの曲を世に出すということ。それがのちに「櫻の園」と題された作品でした。『作編曲家 大村雅朗の軌跡 1951-1997』の冒頭に収められた松本隆さんのインタビューでも、この「櫻の園」に関する話が長く語られています。初めて聞く話もあって、正直涙なくしては読めません。詳しくは本を読んでください。


僕が聖子さんのアルバムを買ったのはやはり『Citron』まで。『永遠の少女』で松本さんが復帰されることは知っていましたが、すぐには買いませんでした。買ったのは何かで「櫻の園」のエピソードを知ってから。大村雅朗さんが亡くなられていたことを知ったのもそのとき。あまりにも若い死だったので本当に驚いてしまいました。


松本さんのインタビューによると、松田聖子さんにはそれが大村さんが書いた曲だということはずっと知らされていなかったようです。歌入れを始めて2回くらい通して歌ったときに彼女は気づいたんですね。そのメロディが大村雅朗に書かれたものであることを。

彼女は激しく泣き始めて歌うことができなくなります。そこで松本さんが彼女に事情を説明して、彼女の気持ちが落ち着くまで散歩でもするようにと伝えます。そして改めて録音。


この作品にも『ロングバケーション』と同じように透明な哀しみが溢れているんですね。

特に最後のこのフレーズは何度聴いても胸が詰まります。


木の下で振り向くあなたの影
さようならって手を振っていた


僕はつねづね音楽は、その背景にあった出来事で色をつけるべきではなく、あくまで音楽のみで語られるべきだと考えているのですが、でも、いつか紅白でこの曲を歌ってもらえたらと思い続けています。今年はいいタイミングなのかもしれません。


ところで先日紹介した「Sleeping Beauty」のラジオ番組でのライブ録音があまりにも素晴らしかったので、ちょっとその音源について調べました。もしかしたらピアノを弾いているのが大村雅朗さんではないかと思って。

で、調べていたら、歌の前のMCの部分を収録した音源がYouTubeにアップされていました。




ピアノを弾いていたのは大村さんではありませんでした。ちなみにこの音源は松田聖子さんがパーソナリティを務めていた「愛にくちづけ」の最終回の放送の時のもののようです。放送されたのは1985年3月31。

それにしてもこのときの松田聖子さんの歌は本素晴らしいすぎますね。「Sleeping Beauty」も死ぬほど好きになってしまいました。今年の夏はこの1曲です。


というわけで「櫻の園」の「木の下で振り向くあなたの影 さようならって手を振っていた」という言葉でCDが終わるのは少しさびしいものがあったので、改めてこのライブ音源の「Sleeping Beauty」をボーナストラックとして最後に収録したものを作りました。

「Sleeping Beauty」の最後の言葉はこうなっています。こっちのほうがいいですね。


眩しい光の中
あなたが立っているわ
微笑いながら
腕を差しのべてくれる


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by hinaseno | 2017-07-27 12:35 | 音楽 | Comments(0)