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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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2017年 11月 12日 ( 1 )



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海に近い駅から坂をかなり上ったところにあるカフェの窓際に座って、彼らが淹れた珈琲を飲む。窓から見える山間の谷は風の通り道になっている。ここは小さな海街だけど風街でもあることがわかる。

街の名は塩屋。

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手元には今年の初めに買ったまま読んでいなかった『風待茶房 松本隆対談集 1971-2004』。松本隆さんは言わずと知れた風街の人。

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食事が終わって彼らが珈琲を淹れている部屋に行く。窓は閉まっているけど心地よい風が珈琲の香りを運んでくれている。風を感じさせてくれていたのは正面にかけられたこの暖簾。

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暖簾には潜水艦になった珈琲豆のロゴ。いいデザイン。


目の前で彼が珈琲を淹れている。

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ふと気がつくと彼の着ている服の左胸にはビートルズの4人のイラスト。

「潜水艦といえばビートルズの『イエロー・サブマリン』なので」と。「『イエロー・サブマリン音頭』じゃないんだね」と言うとにっこりと笑う。年の差があっても通じている。


  *    *    *


ここで話はちょっと脱線。

大瀧さんがプロデュースして金沢明子が歌った「イエロー・サブマリン音頭」の作詞は松本隆さん。クレジットでは訳詞となっているけど、訳とは程遠い内容。冗談音楽をやるときには大瀧さんは自分で詞を書くのですが、このときはあえて松本さんに頼んだんですね。松本さんの笑いのセンスを買って。


そういえば昨年放送された『ブラタモリ』の横須賀編で、潜水艦を目の前にしたタモリさんが突然ビートルズの「イエロー・サブマリン」ではなく金沢明子の「イエロー・サブマリン音頭」を歌ったのにはびっくりでした。


♫イエロー・サブマリン 潜水艦♫

と。

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隣で近江アナは笑っていますが、彼女はこの歌を知らないようでした(もしかしたら元歌であるビートルズの「イエロー・サブマリン」も知らないかもしれない)。「イエロー・サブマリン音頭」は1982年の曲なので、近江さんはまだ生まれていなかったはず。


ところで『風待茶房 松本隆対談集 1971-2004』の対談相手は1人目の谷川俊太郎から17人目の高田渡までいろんなジャンルの人がずらり。その中にははっぴいえんどのメンバーだった細野さんや大瀧さんも。この2人との対談はネットで公開されていた時に何度も読んでいました。大瀧さんのはもちろん印刷して持っています(対談の様子を写した写真は今となっては貴重)。


実は塩屋に到着するまでの約2時間、電車の中でずっと聴いていたのは太田裕美さんの曲でした。本当は細野さんの新作を聴こうかと思っていましたが、朝の気分でやはり太田裕美かなと。太田裕美さんに書いた松本さんの詞を改めてじっくりと聴いてみたい気持ちもありました。

で、ふとこの本に載っている太田裕美さんとの対談が急に読みたくなって(ネットでは読んだことがあったけど)、出かける寸前にかばんに入れました。何かをねらっていたわけではありません。


そういえば家に戻って大瀧さんとの対談を久しぶりに読んだら「イエロー・サブマリン音頭」に関する話も出てきていました。大瀧さん、こんなことを言っています。


「イエロー・サブマリン音頭」って松本隆の最高傑作じゃん。あれを松本・大滝作品の一番にしたいんだけど、作曲者がおれじゃないもんなあ。それがすごく悔しい。

これを最高傑作と呼ぶのはいくらなんでも…。


それはさておき話がとんだついでに『風待茶房』をぱらぱらと帰りの電車で眺めていたら16人目の対談相手は『海街diary』の是枝裕和監督でした。

おお、海街つながり!

ただし対談が行われたのは『海街diary』が作られる10年前の2004年。原作の吉田秋生さんの漫画の連載も始まっていません。

あの映画の舞台は鎌倉ですが、今回訪ねた塩屋も鎌倉と同じように山に囲まれた町。ただ塩屋は平野部が本当に少なくて坂ばかり。その意味ではタモリさん好みですね。


ところでその松本隆さん、ひと月ほど前に出演されたテレビのインタビューでこんなことを語っていました。

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余白がいっぱいあるほうが美しい詞ができる

実は今回僕が書く珈琲をめぐる話のキーワードは「余白」。余白という言葉は、松村圭一郎さんの『うしろめたさの人類学』のキーワードである「スキマ」にも通じています。

カフェでいただいた小さな冊子(タイトルは「余白通信」)にはこんな言葉が書かれていました。


 ハンドドリップには、「中挽き~粗挽き」がちょうどいい。細かく挽くと、少し窮屈になりがちだ。粉のスキマは、お湯の通り道。空いていると、自分でスピードを調節できるが、渋滞中はそうはいかない。

そう、美味しい珈琲を淹れるためにも、美しい詞を書くためにも「スキマ=余白」が必要。

ということで、つい説明しすぎて余白を無くしてしまう癖があるので、心して書いていこうと思います。といいながらいきなり脱線ばかりしてしまいました。


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by hinaseno | 2017-11-12 14:02 | 雑記 | Comments(0)