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2017年 05月 12日 ( 1 )



昨日のブログを読み返していて、古い池上線の写真を一枚貼り忘れていることに気がついて今朝貼り付けました。よかったら見ておいてください。今よりもはるかに素敵な風景です。


さて、五反田で下車して、小津の映画のシーンが撮影された場所とともにどうしても見ておきたかったのはこの絵が描かれた場所でした。

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松本竣介の「鉄橋付近」という作品。何度も書いていますが松本竣介は僕が日本で一番好きな画家。夏葉社から出た尾形亀之助の『美しい街』で松本竣介のデッサンが使われていたことは本当に嬉しく思いました。

さて、松本竣介は同じ風景を描いた作品(「鉄橋近く」という題名になっています)もいくつかありますが、これはその中の一つ。松本竣介の、あの「青」で描かれたもの。

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どっちも最高に素晴らしい。で、先日、彼がこの絵のデッサンをした場所に行ったんですね。それがここ。

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小津の『早春』や『東京暮色』に映っている池上線の鉄橋の下をくぐって目黒川沿いに下って、さらに山手線の鉄橋をくぐった場所。高さの違う線二つの線路が川の上で重なり合っています。山手線は水平なのに対して池上線は左側に高度を下げていますね。

言うまでもありませんが、今のこの風景を見て、松本竣介が描いた風景がここだとわかる人はまずいないはず。

この場所の発見については3年前に書いたこの日のブログで説明しています。僕が松本竣介という画家に強く惹かれるきっかけになった洲之内徹の『気まぐれ美術館』に書かれていたんですね。

松本竣介が描いていたこの無題のデッサンが決め手でした。

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まさにあの場所ですね。「鉄橋付近」(「鉄橋近く」)は文句なしに素晴らしい作品ですが、こちらのデッサンもたまらないものがあります。確認のためにこのデッサンをプリントアウトしてたのに持っていくのを忘れていました。

ところでこれは洲之内徹さんが撮影したここの風景。

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最初に掲載されたのは『芸術新潮』の1975年10月なので、これは1975年の池上線の風景のはず。

そういえば東京で手に入れた本の最初に読んだエッセイで、1975年のことを意識したばかりだったので「おっ」でした。

その本にはこんなことが書かれていました。


 1975年は、日本が、この歌のように相矛盾する二項の一方へと引き寄せられていくターニングポイントといってもよい年であった。戦後の高度経済成長が終わり、日本はまったく新しい時代の幕開けに立ちあっていたのである。
 そして、多くの日本人たちはそのことにまだ気が付いてはいなかった。

「この歌」というのは太田裕美の「木綿のハンカチーフ」のこと。実は僕は東京に来るまでの”東へと向かう”新幹線の中で何度もこの「木綿のハンカチーフ」が収録された太田裕美さんの『心が風邪をひいた日』を聴いていました。五反田に到着するまでに何回リピートしたんだろう。


ところで洲之内徹さんの『気まぐれ美術館』に収録された「松本竣介の風景(二)」には、松本竣介の絵とは直接関係のない洲之内さん自身とある女性とのちょっと切ない物語が語られています。「木綿のハンカチーフ」よりは少し前の、もう少し大人の物語。その舞台となっているのが五反田と武蔵小山でした。

武蔵小山というのは石川さんのアゲインのある場所。ということで石川さんと合流するためにその武蔵小山へと向かうことになるんですが、武蔵小山は池上線ではありません。もし武蔵小山へ電車で行くとするならば五反田から山手線で目黒に行き、そこで”元”目蒲線の目黒線に乗り換えて行くことになります。でも、僕は池上線に乗って荏原中延駅で下車しました。そこで石川さんと関わりの深い方の店に立ち寄って昼食をとりたかったので。武蔵小山へはそこから歩くことにしていました。


石川さんと関わりの深い方というのはもちろん平川克美さん。店というのは隣町珈琲。先ほど紹介した本はその隣町珈琲で買った平川さんの新刊(といっても僕が買ったときはまだ発売前)に掲載されていたエッセイでした。


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by hinaseno | 2017-05-12 12:45 | 雑記 | Comments(0)